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3DCGの技術が開かれたものになりつつある今、思い描いた世界を動かすことは夢ではありません。イラストレーターやデザイナーの皆さん、自分のキャラクターを動かしてみたいと思ったことはありませんか?3DCGにつまずいたクリエイターの皆さん、もう一度その楽しさを思い出してみませんか?
そんなクリエイターの皆さんのためのイベント『Blender Debut Festival』連動ウェビナーDAY3の内容がまとめ記事になりました!DAY3では、遂にキャラクターにアニメーションをつける方法を学んでいきます。
▼DAY1で学んだモデリングと同内容のチュートリアル&DAY2のまとめ記事はこちらから
ゼロから始めるBlender -モデリングの基本-
※Blender Debut Festival と連動した特別チュートリアルです。2022年1...
【ウェビナーまとめ記事】キャラクターアニメーションをつくろう!DAY2 アニメーション入門編 - キーフレームアニメーションとリギング-
本記事の元となるウェビナーは、動画アーカイブがございます(Premiumメンバー限定) https://vook.vc/events/vookevent211211/archive 3DCGの技...
アニメーションに入る前に①親子関連付け
細かなパーツとの紐づけ方
前回アーマチュアとメッシュの親子関連づけについて学びましたが、そのステップ通りに実践しても「胴体を動かすと、目などの顔のパーツが動きについてこない」といった現象が生じてしまうはずです。その場合、以下の方法で対処することができます。
CASE1:該当する2つのメッシュが統合されている場合
「ウェイトペイントモード」で影響の度合いを見てみましょう。メッシュ上でShift+右クリックから頭のボーンごとのウェイトを見てみると、このように目に色がついていない(暗い青になっている)場合があります。
このような場合は下記の方法を試してみましょう。
- 「ペイントマスク」をONにする
- 「編集モード」で目だけを選択
- 「ウェイトペイントモード」に切り替えて目を塗る
この時ショートカットキー「Shift+K」を使うと、設定中のウェイトで選択範囲全体を一括で塗り込むことができます。こうして目全体のウェイトを赤(1.0)にすることで、頭のボーンを動かした時にしっかりとついてきてくれるようになります。
また、メッシュがボーンと意図せず関連付けされていないかチェックする際にも、ウェイトペイントは有効です。確認したいメッシュにカーソルを合わせてShift+右クリックを押せば、該当するメッシュが関連付けられているボーンを一覧で確認することができます。不要なものがある場合はウェイトを「0」にして塗りつぶせば、そのボーンからの影響を避けることができます。
CASE2:該当するメッシュが別々になっている場合
CASE1と同様にボーンに対してウェイトペイントが適正に設定されていれば、パーツが分離することなく動かすことが可能です。
ミラーモディファイアの取り扱い
ウェビナーDAY1(もしくはチュートリアル)で、キャラクターの半身だけを作って「ミラーモディファイア」をかけるモデリングの方法をおすすめしました。この方法をとる場合の注意点として、リギングに入る前にミラーモディファイアを「適用」するようにしましょう。ただし、一度適用してしまうと元に戻すことはできないので注意が必要です。
なお、アーマチュアとメッシュを親子関連付けすると、自動的にモディファイアの部分に「アーマチュアモディファイア」が表示されます。これが「ミラーモディファイア」の上にある場合、半身だけ動かそうとしても左右対象の動きになってしまいます。上記「適用」が済んでいればこの問題はおきませんが、モディファイアの配置順には注意しましょう。
アニメーションに入る前に②IKリギング
Inverse Kinematicsを設定してみよう
IKリギングのIKとは「Inverse Kinematics」の略で、日本語では「逆運動学」と略されます。肩が腕、腕が手に影響を与えるように、ボーンは親から子へ、つまり身体の根本に近い部分から遠い部分へと影響を与えるのが通常の動きのメカニズムです。「Inverse Kinematics(以下、IK)」はその逆で、先端から動かすものを指します。
手足のボーンにIKを当て込むことで、ジャンプをする動きなどに活かすことができます。例えばこのように、足を動かすとすねや膝も一緒に動くようにする場合もIKが必要になります。
IKリギングの手順
1. 一つ手前のボーンを選択
1. 「ボーンコンストレイント」プロパティで「ボーンコンストレイントを追加」を選択
1. 「インバースキネマティクス」 を選択
1. 「ターゲット」は大元のアーマチュアを、「ボーン」は動かす先端のボーンを設定
1. 先端の親子関係をクリアし、コネクト解除
1. チェーンの長さを設定し、影響を受ける範囲を制限
※⑤⑥は逆の順番でも設定可能
①~④でIKリギングを設定し、通常のリギングの仕組み(Forward Kinematics)の設定解除を⑤⑥で行っています。この手順を踏むと、選択したボーンが黄色く変化します。
これにより、地面にしゃがむ等の動作の設定も可能になります。
アニメーションに挑戦!①手を振る
手を振る動きを作ってみよう
それでは、手を振る動きを付けていきましょう。以下のような動きを作っていきます。
手を振る動きを作るSTEP
1. タイムライン(*)上の1フレーム目の位置にカーソルを置く
1. 「オブジェクトモード」でアーマチュアを選択し、ショートカットキー「Ctrl+Tab」で「ポーズモード」に切り替える
1. ポーズが決まったらボーンをすべて選択してショートカットキー「I」で「回転」を選択。1フレーム目にキーフレームが打たれたことを確認する(これがデフォルトの状態)
1. 8フレーム目まで進め、一つ一つのボーンにショートカットキー「R」でポーズをつけていく
1. ポーズが決まったらすべてのボーンを選択し、③と同様に回転のキーフレームを打つ
1. 16フレーム目も8フレームと同じ状態にするため、ショートカットキー「Ctrl+C」⇒「Ctrl+V」でポーズをコピぺして設定(ショートカットキー「Shift+D」の「複製」でつくることも可能)
1. 12フレーム目に少し手が下がった動きをつけて、③⑤と同様に回転のキーフレームを打つ
(*)「タイムライン」「ドープシート」どちらでも基本的には同じことができます
グラフエディターで見てみよう
前腕の動きを上腕から少し遅らせたい場合など、動きの形はそのままに、発生するタイミングだけ調整することも可能です。この場合は「グラフエディター」を使用しましょう。キーフレームを全て選択し、ショートカットキー「G、X」で同じグラフの形状のまま移動させることができます。これにより、手を振る動きが自然でなめらかな表現に変わります。
魅力的なアニメーションにするための基礎知識
アニメーションの12原則
アニメーションのバイブルとされているディズニーの「ディズニーアニメーション 生命を吹き込む魔法 ― The Illusion of Life」。その中で紹介されているのが「アニメーションの12原則」です。今回は、生き生きしたアニメーションを作る上で特に重要な3つの原則について解説します。
以下のGIFでは、青色のものが各原則を反映した動きをしています。
スローイン・スローアウト
自然界には等速直線運動をするものはほとんどありません。基本的には「徐々に加速し、減速する」という動きになり、それを「スローイン・スローアウト」といいます。キャラクターを動かす時にも意識すると良いでしょう。
予備動作
「予備動作」とは、「これからこの動きをするよ」という合図のようなものです。例えば、ジャンプする時に勢いをつけるためにしゃがみ込むような動きを指します。
フォロースルーとオーバーラッピング
動きはじめのタイミングが遅れたり(オーバーラッピング)、動いている間は遅れて動きがついてきたり(ドラッグ)、本体が止まっても動き続ける(フォロースルー)など、慣性の法則によってやわらかさや面白みを表現するものです。
アニメーションに挑戦!②ジャンプ
ジャンプする動きを作ってみよう
アニメーションの12原則の中から「スローイン・スローアウト」「予備動作」「フォロースルーとオーバーラッピング」を意識して、こちらのようなジャンプする動きを作っていきます。
STEP1:メインの動きをつける
まずは大きなポーズをつくります。最初に立っている状態、空中にいる状態、最後に着地した状態の3つのポイントでキーフレームを打っていきます。最初と最後は同じなので、空中にいる状態を作ってみましょう。
【メインの動きをつける】
1. IKリギングを設定しているため、足がついてくるよう足のボーンも選択し、空中に位置を取る
1. 手や足のボーンの位置を動かし、ショートカットキー「I」で回転のキーフレームを打つ
1. 腰のボーンを選択し、グラフエディターを確認する。ジャンプする動きは通常のスローイン・スローアウトとは異なり、最初は勢いよく加速し、途中(空中)で減速、着地に向けてまた加速するため、グラフエディターが放物線を描くような形になるように調整する
STEP2:予備動作や反動のポーズを入れる
STEP1で付けた大きなポーズの間に、予備動作と反動のキーフレームを打っていきます。キャラクターの動きをつくる場合、このようにまずは大きな動きをつけ、その間に細かな動きをつけて補完していくのが基本のセオリーとなります。
【予備動作:しゃがむ/着地】
腰・背骨のボーンを選択し、「トランスフォームピポットポイント」で「それぞれの原点」を選択。複数のボーンがそれぞれをちょっとずつ曲がるような設定が可能です。
STEP3:耳の柔らかさを表現する
最後に、フォロースルーとオーバーラッピングを活用して耳の柔らかな動きを設定していきます。
【フォロースルーとオーバーラッピング】
しゃがみ込むときには耳の動きは遅れ、しゃがんだところで追いつき、ジャンプするところでまた遅れて…と、耳は頭の動きにたいして少し遅れて動きます。耳の柔らかさによっても、どの程度頭の動きに遅れるのかの程度が変わります。
以上で、ジャンプする動きができました!ここまでできたら、最後は書き出しを行って完成です。書き出しの方法については、こちらの記事を参考にしてみてください。
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はじめに せっかくBlenderで作品を作ったなら、人に見せられるかたちにしたいところ。今回は、ライティング(照明)、カメラ、レンダリングの基本的な考え方と操作を見ていくことで、最終的な絵作りの...
おわりに
最後にサタケさんに、キャラクターを魅力的に見せるポーズの付け方についてお聞きしました。
「キャラクターの性格をイメージすることが大切です。やんちゃなのか、おとなしいのか。年齢は何歳か、子供なのか大人なのか。そういった部分を想像していくと、それに合うポーズや動きが浮かびやすくなります。周囲に別のキャラクターがいる場合は、かれらとの関係性により役割分担も見えてきます。こうしたイメージは、できるだけ人間にあてはめて考えてみるのがおすすめ。そこで想像した動きをBlenderで表現できるかどうかは、今からの頑張り次第です!」
以上で「キャラクターアニメーションをつくろう!」と題して開催してきたウェビナーでの学習は終了です。是非、Blender Debut!シリーズの記事を参考に、Blenderで自分だけのキャラクターアニメーションを作ってみましょう!
▶BlenderDebutFestivalのコンテンツはこちらからご覧いただけます
▶Blenderの楽しいはじめ方がステップでわかる「Blender Debut!」シリーズはこちら!
Blender Debut! ステップ1:Blenderをはじめよう
はじめに どうもこんにちは!星子旋風脚です。アニメーション、モーショングラフィックス制作の仕事をする中で、Blenderの力をたくさん借りてきました。今はその恩返しとして普及・促進活動に勤しんで...
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