HDR時代の幕開け。カラーマネージメントモニターで思い通りの色作り!EIZO 「ColorEdge CG2700S」レビュー

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Sponsored by EIZO株式会社
2022.01.27 (最終更新日: 2022.06.09)

ここ数年、映像制作を行う上でカラーコレクション、カラーグレーディングは常識となったが、そこで必要になってくるのが「正しい色が出るモニター」だ。今回はEIZOさんから発表されたカラーマネージメントモニター「ColorEdge CG2700X」、「ColorEdge CG2700S」のうち「CG2700S」を一足お先に試用させていただいた。

現在、他社のカラーマネージメントモニターを使用しているが、HDRには対応していないので次のモニターの情報集めをしていた。ちょうど良いタイミングで今回のお話を頂いたのでありがたく引き受けさせていただいた。

私は主に自然映像を撮影しているので、**美しい色表現をするためにHDRは避けて通れない**のだが、いかんせん勉強不足だった為これを機に勉強をしようと覚悟を決め、EIZOの担当者さんにも色々レクチャーしていただいた。

※文章中にスペックを / で区切っている場合、それぞれ( CG2700X / CG2700S )の順番で並べている。

筆者の映像制作環境

昨秋までは、それなりにハイスペックなWindows PCで編集をしていたのだが、現在はAppleのMacBook Pro M1 MAX (16インチ,2021)で行っている。WindowsからMacに切り替えた理由は今回の内容とあまり関係がないので割愛する。

PCからの出力はBlackmagic DesignのビデオI/OのDeckLink Mini Monitor 4Kを介してカラーマネージメントモニターに接続している。ビデオI/OはHDMI / SDIから映像信号を取り出し正確な信号をモニターに出力してくれる。カラーマネージメントモニターを導入の際は合わせて導入しよう。

映像編集以外の時はモニターをUSB Type-C接続に切り替え、セカンドモニターとして使用している。映像制作で使用するソフトウェアはDaVinci Resolveでほぼ完結しており、必要に応じてAfter Effectsを使っている。カラーグレーディングの際はDaVinci Resolve Mini Panelを使用している。

今まで使っていたカラーマネージメントモニターの場合、接続するケーブルの本数が多くて少し困っていた。「PCとビデオI/Oに繋ぐケーブル」「セカンドモニター用のDisplayPortケーブル」「モニターとデータ通信を行うUSBケーブル」と色々煩雑になっていたので、PC周りがとてもスッキリした。

以前はデスクトップPCだったので本体にUSB Type-Aポートがたくさんあったので良かったのだが、MacBook Pro M1 MAX (16インチ,2021)はUSB Type-Aポートが無く、USB Type-Cポートが3つのみと少ないので、USB Type-Aを4ポート備えたCG2700Sはとても助かった。

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カラーマネージメントモニターを使う理由

映像を作る上で「色」の再現は避けて通れない。一般的なモニターで映像を制作し、他のモニターやスマートフォンなどで同じ映像を見たら、 色が意図したものと違い何かおかしい。 という経験をしたことがないだろうか? 

制作時に使用したモニターがおかしいのか、あるいは見ているモニターがおかしいのか。大抵の場合、どちらのモニターも意図した色を表示していない。

そういった場合に必要なのが、色の表示を正しく表示してくれるように調整した「カラーマネージメントモニター」なのだ。カラーマネージメントモニターとは、色温度・輝度・色域を基準となる値に調整(キャリブレーション)することができるモニター。このカラーマネージメントに対応したモニターで色を作ることが映像を制作するうえでとても大切となる。

TVやスマートフォンはキレイにそして映えるようにモニターが調整されている。カラーマネージメントモニターはむしろそういった味付けの無い映像そのもののピュアな色を表示する。そしてその状態を長く維持できるように設計がされている。

一般的なモニターでもソフトウェアキャリブレーションという方法で調整は可能だが、この方法はパソコンの出力を調整して色を調整することでモニターの表示される色を調整するので、階調が減少し、階調飛びや色つきが見られる場合がある。

一方でハードウェアキャリブレーションはモニター内部の出力を調整するので、階調が減少せず、階調飛びや色付きは起こらない。そのためハードウェアキャリブレーションに対応しているカラーマネージメントモニターの方が厳密に色温度・輝度・色域を調整でき、意図した色表示ができる。

『ColorEdge CG2700S』の特徴

キャリブレーションセンサーを内蔵

カラーマネージメントモニターといえど長期間使用すれば色の経時変化は避けられない。しかし、キャリブレーションすることでフレッシュな状態を保つことができる。

ColorEdge CG2700Sには、キャリブレーションセンサーが内蔵されているため、別途キャリブレーションセンサーを用意する必要が無い。 また、モニター単体でキャリブレーションすることもでき、スケジュールを設定(推奨は200時間毎)すれば定期的にセルフキャリブレーションをしてくれるので、気がついたら全然違った色になっていたということも無い。

(CG2700Sに内蔵されているキャリブレーションセンサー)

現在の私は他社のカラーマネージメントモニターと内蔵タイプではないキャリブレーションセンサーを組み合わせて使用している。以前から違うメーカー同士の製品で調整をするより、専用設計されたキャリブレーションセンサーの方が正確だろうと思っていた。CG2700Sのキャリブレーションセンサーは、普段はモニターの上部枠に収納されているので机の上がスッキリするのも良い。

セルフキャリブレーション中は画面が暗転しないので、作業を中断することなくメール確認などの事務作業を行える。さらに、無償で「ColorNavigator 7」という便利なキャリブレーション用のソフトウェアも提供されており、こちらを使うことでより詳細な調整やモニターの管理も可能なのだ。

(セルフキャリブレーション中も事務作業を進められる)

カラーマネージメントモニターとしての基本性能

アンチグレアIPSパネルを採用、モニターの端も中心も同じ色味・輝度で表示する表示ムラ補正機能や多階調処理による滑らかな階調表現を実現。また電源を入れて3分で安定する。現行モデルのCG279Xと比べて高輝度(500cd/㎡ / 400cd/㎡)・高コントラスト(1450:1 / 1600:1)になった。解像度はCG2700Xは4K UHD(3840x2160)、CG2700SがWQHD(2560x1440)だ。

メインで使用しているMacBook Proのモニターはとてもキレイで発色も良いが、16インチという小さいモニターでは詳細な部分は見えないのでしっかりとしたグレーディングをするには大きいモニターが必要だ。27インチというサイズは机上で圧迫感も無くとても良い。私はここ10年ほどずっと27インチモニターをメインに使っているので違和感なく使うことができた。

映像制作専用カラーモードを豊富に搭載

BT.2020、BT.709、DCI-P3、PQDCI-P3、HLGBT.2100、Adobe RGB、sRGBなど、ユーザーオリジナルのカスタム設定を含めて10種類のカラーモードをプリセットとして用意している。 作りたい物の用途に合わせて切り替えるだけで良いのはとても簡単で使いやすかった。

(カラーモードはモニター前面のボタンから簡単に切り替えできる)

基本的にプリセットのカラーモードを切り替えて使うだけで大丈夫だが、ユーザーオリジナルのカスタム設定もできる。モニター前面のボタンからカラーモードを切り替えられるほか、ColorNavigator 7をインストール後はMacのメニューバー(Windowsの場合は タスクトレイ)に表示されるアイコンからカラーモードを切り替えることもできる。多少手の届かないところにこのモニターが置いてあっても手を伸ばさずに切り替えられるのが良かった。

カラー設定が自動で切替わるSync Signal 機能

HDMIやSDI信号のメタデータに連動してカラー設定を自動で切り替えてくれるのが、Sync Signal機能だ。切り替えを忘れて全然違うカラー設定でグレーディングしてしまうと、気づいたとき、とても悲しい気持ちになる。そういったミスを減らしてくれる。

USB Type-C接続で入力・PCへの給電ができる

HDMI、DisplayPort入力のほかUSB Type-Cでの入力にも対応している。USB Type-C接続時はPCへの給電が可能(94W / 92W)だ。私の場合、MacBook Proを家へ持ち帰っているが、編集室に来てモニターとUSB Type-Cケーブルで接続するだけで外部モニター兼電源アダプターになるのでとても重宝した。

M1 Max 16インチの急速充電には対応しないがハードに使ってもバッテリーを消費することはなく普通に充電できた。 映像編集をする時は先述のビデオ I/Oを介してクリーンフィールド(メニューやマウスカーソルは出ず純粋にプレビュー映像のみ)を出力するが、それ以外の作業時はUSB Type-Cケーブル1本でセカンドモニターとして使用できるので、PCに繋ぐケーブルは1本でも少なくしたい私にはとても嬉しい。(記事冒頭の機材構成図を参照)

作業に集中できるデザイン

業務用機材的なデザインが多いカラーマネージメントモニターだが、編集室に合う堅実なデザインは維持しつつパンチングメタルを採用したり直線と曲線がうまく組み合わされたスタイリッシュなデザイン。外装が全てプラスチックのモニターが多い中、金属を組み合わせたCG2700Sは結構好きなデザインだ。

パンチングメタルは単なるデザインではなく高輝度・大容量の給電で発生する熱を放熱するファンレス設計なので、ファンノイズが無く作業に集中できる。 台座はコンパクトだが、とても安定している。背面のケーブルホルダーにケーブルをまとめることで前面から見てもスッキリしている。

スッキリとしたデザインの遮光フード

周囲の光から影響を受けるオフィスなどで作業をする際、付属の遮光フードを付けると外光の映り込みや反射を遮り、意図した色で見ることができる。フードはマグネット式で取り付けがとても簡単。私の場合編集室が薄暗いので使用しなかったが、付けていても圧迫感が無いスッキリしたデザインだ。フードをつけていた方が画面に入り込めるので作業に集中できる気もする。

縦型表示も可能

デジタルサイネージなどの縦型映像を作る際にモニターを回転させ縦型表示も可能。ちょうどレビュー期間中に縦型の映像を作っていたので重宝した。

モニターアーム対応

VESAマウントのモニターアームにも対応。背面のボタンを押すと簡単にスタンドを取り外せる。

ColorNavigator 7で簡単に設定

カラーマネージメントソフトウェア ColorNavigator 7を使うと、簡単にキャリブレーションやモニターの設定ができる。白色点やガンマなどについて、特殊な知識は必要なく(知っているに越したことはないが)、基本的にはプリセットのカラーモードを使用すればよい。メニュー構成もシンプルなので特にマニュアルを読む必要もなく操作できた。

キャリブレーション方法

キャリブレーションはとても簡単。特殊な設定をしない限りは「キャリブレーション」ボタンを押してメニューに従うだけ。

画面上部からセンサーが出てきて自動でキャリブレーションをしてくれる。

キャリブレーションには時間が掛かるが、私が今まで使っていたセンサーよりも速くキャリブレーションできた(実測90秒)。今まではキャリブレーションに10分近く掛かっていたので、作業が中断するのがネックだった。CG2700Sの場合スケジュール設定をしておけば、作業の妨げになることもないのがさらに良い。

HDRのカラーグレーディングをしてみた

CG2700SとDaVinci Resolveを使ってHDRカラーグレーディングを行ってみた。HDRにも規格が色々あり、初見の方はまずそこでつまずく。まず覚えてほしいのは、「HDRの国際規格BT.2100」。中でも用途によって 「WEB /映画のPQ」「放送のHLG」 と、ガンマカーブの使い分けを覚えると良い(かなり乱暴だが)。

私のように、メインがYoutubeで公開する映像の場合は 「PQ」 だ。 私はMacBook Pro M1 MAXユーザーなのでMacでの設定の説明になるが、DaVinci Resolveは基本的にどのOSでも操作は一緒なのでWindowsユーザーも参考にしていただきたい。

Macの設定

システム環境設定から「ディスプレイ」を開きCG2700Sを選択し「ハイダイナミックレンジ」にチェックを入れる。そうすれば出力信号がHDRになる。

DaVinci Resolveの設定

環境設定の「可能な場合はビューアに10-bitイメージを表示」「Macディスプレイカラープロファイルをビューアに使用」にチェックを入れる。

プロジェクト設定を開き、カラーマネージメントの設定を以下の画像のようにする。さらに詳細に突き詰めたい場合は「Automatic color management」のチェックをはずして詳細に設定することも可能だ(が私のようなHDR初心者はまずはここから)。

スコープの表示をHDR(ST.2084/HLG)に切り替えると波形のレベルが10000まで表示されるようになる。HDRの基準1000cd/㎡に合わせてグレーディングをしてみよう。

下の比較画像を見ていただくとHLGで撮影したものを輝度調整しただけだが、ダイナミックレンジが広がったおかげで雪の白や空の鮮やかさがHDRの方が気持ち良い。

今まで気にしなかったが、SDRがくすんで見える。「HDR=派手」とはまた違った、HDRならではの階調を活かした色作りをしたいが、まだまだ思い通りにはできない。今後、研究を重ねて、さらにしっかりとした色作りをしていきたいと思った。

まとめ

気がつけば身の回りにはTVやスマートフォンといったHDRを再生できる機器が溢れている。 PCのモニターの対応が一番遅れているとさえ思ってしまう。2017年にVookで行われたEIZOさんによるカラーマネージメントモニター講座に参加した際、「世の中のほぼ100%はSDRなので色作りはRec.709で大丈夫です。」と教わったが5年経った今、ちょうどSDR / HDRといった映像の規格の変革期である。映像で正しい色表現をするためには正確な色を表示できるカラーマネージメントモニターが必須だ。映像を仕事としていて色作りをする人はもちろん、仕事としていなくてもしっかりとした色作りをしたい人はカラーマネージメントモニターの導入をお勧めする。

これまで、HDRリファレンスモニターはプロダクション向けで、価格面で手が出せるものではなかった。しかし、制作用のモニターでもHDRプレビューをできるモデルが世に出てきていたことに驚いた。

ColorEdge CG2700X/CG2700Sは、私のような個人で活動しているクリエイターにも手が届きやすいモニターだ。

正しい色が見れる環境の構築は、なによりも大事なのだ。

数年後にはさらにHDRが浸透しているように思う。カラーマネージメントモニターの導入を検討している映像制作者は、これから導入するのであれば、HDR対応のモデルを候補にいれることをお勧めする。

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happydayz

井上卓郎@happydayz

北アルプスの麓、長野県松本市を拠点に、自然やそこに暮らす人を題材とした映像作品を自然の中にゆっくり溶け込んで撮影しています。 山と猫をこよなく愛す。 DaVinci Resolve 17 認定トレーナー VIDEO SALON 「今日からあなたもダビンチ推し」...

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