クリエイターにとって、長時間作業はPCを不安定にさせます。しかし、複数のアプリを同時に起動して作業するのがクリエイターの常です。
こうした時、しっかりしたスペックを持ったPCは作業効率を確実にアップしてくれ、安定した時間をクリエイターへ提供します。そのおかげで、心に余裕ができ集中力をしっかり確保してくれるはずです。
今回はポスプロエディターのナカドウガさんに、前面パネルのベベル具合がイケてるHPのスタイリッシュなクリエイターPC 「HP Z1 G8 Tower Desktop PCパフォーマンスモデル」 をレビューしていただきました。
3DCG制作ツール「Blender」を使用した場合、作業効率がどれぐらい上がるのか。そして、クリエイターにどんなクリエイティブな時間を提供してくれるのか、とことん検証していただきました。
ナカドウガ
ポスプロエディター。大阪のTV番組制作会社で、バラエティ番組からドキュメンタリーや報道・CM・企業VPの編集まで幅広く手がけ、テロップ漫談家としての顔も持つ。
Twitter:https://twitter.com/douga_nakagawa
「HP Z1 G8 Tower Desktop PCパフォーマンスモデル」のスペックは?
PCのスペックが足りない時、複数のアプリを同時に起動していると、PCが不安定になってきます。実を申しますと僕自身、現在使っている「Macbook Pro 2017 13インチ」が、どうにもスペック不足で途方にくれていました。
そんな中で、今回HPさんから検証を依頼されたのが 「HP Z1 G8 Tower Desktop PCパフォーマンスモデル」 です。こちらは、どのような検証結果をもたらしてくれるのでしょうか。
まず、スペックは以下の通りです。
「HP Z1 G8 Tower Desktop PC パフォーマンスモデル」スペック
* CPU:インテルCorei 9 11900プロセッサー(2.5GHz-5.2GHz コア数8/スレッド数16キャッシュ 16MB)
* メモリ:64GB(32GB×2)DDR4-3200
* GPU:NVIDIA® GeForce RTXTM 3070 LHR(8 GB GDDR6)
* SSD:512GB SSD Gen4x4 と2TB HDD
* 価格:327,800円(税込)〜
詳細はこちら
https://jp.ext.hp.com/immersive/z1_g8_tower/#contents_model
インテルCorei9 11900プロセッサー搭載機がこの値段というのはありがたいかぎり。パフォーマンスモデルについては、最初からでメモリが64GBあるのも嬉しいポイント。複数のアプリを同時に起動しながらの作業が当たり前であるクリエイターにとっては、ひとまず安心です。
さらに保証が手厚いのも大きな特徴。3年保証がデフォルトというのはあまり見かけません。 ここは世界規模のPCブランドであるHPのなせる技と言えるでしょう。ハイエンドとは言わないまでも、しっかりしたパーツ構成であることが窺える本機。 見る限りでは通常のクリエイティブワークについてはさほど不安要素は見当たりません。
ということで、今回は特にシビアなスペックが求められる 3DCG制作ツール「Blender」 を使って検証していきたいと思います。
「Blender」と「HP Z1 G8 Tower Desktop PC」の相性はいかに?
Blenderの公式リリースによると、推奨スペックは以下の通り。
「Blender」の推奨スペック
* CPU:8コア64ビット
* メモリ:32GB
* 外部デバイス:3ボタンマウスまたはペンタブ
* グラフィックボード:8GBのVRAM GPU
このPCについては全ての項目をクリアできていますね。期待も高まります。ちなみに各ソフトの公式推奨スペックは以下です。
Premiere Proの推奨スペック
* CPU:Intel® 第7世代以降のCPU
* メモリ:2Kの場合は16GB ・4K以上の場合は32GB以上
* GPU:2K・一部の4Kの場合は 4GBのGPUメモリ・4K以上の場合は 6GB以上
After Effectsの推奨スペック
* CPU:マルチフレームレンダリングには 8コア以上を推奨
* メモリ:32GBを推奨
* GPU:4GB 以上の GPU VRAM を推奨
Adobe製品についてもしっかりとカバーできています。問題ありません!
検証開始! 短時間で作品のリファインを目指す
今回の検証はこちらのファイルをサンプルとして扱っていきます。
実はこの作品にはMacの性能的に諦めたことがあります。
- テクスチャーを使って質感アップ
- オブジェクトをもっと増やしてにぎやかに
- カメラの被写界深度を再現して雰囲気のある映像に
これらの演出を組み込んでしまうと、どうしても締め切りの時間(2022年の元旦)までに完成できそうもなく、泣く泣く諦めたものでした。
僕個人としては決して作業の手は早くありませんが、PCのレスポンスが遅いのはどうにも我慢ができない性分。面倒なことは考えずに起動して「よーいドン!」で始めても、ストレスなく作業できることが、何より大事だと思っています。
と言うことでトライ&エラー体験、さっそくやっていきましょう。
4Kサイズのテクスチャーを貼ってみる
まず最初にオブジェクトの質感をリテイクしていきます。もともとは、布のような温かみのある質感を狙っていましたが、大量のオブジェクトに4Kのテクスチャーを貼ってしまうと、処理に時間がかかってしまうことから諦めていましたが…。
4Kのテクスチャーを地面・テキスト・人物の服に当てています。ビューポート上で視点を変えたり、タイムラインの別のポジションに移動すると、描画までにワンテンポほどタイムラグがありますが、さほど気になる程度ではありません。Blender 3.0で新たに実装された「Cycles X」であれば致し方ないかなという印象です。さらにノードで細かく質感を調整しても即座にビューポートに結果を返してくれます。
これは素直に嬉しいですね。
オブジェクトを増やしてレイアウトをやり直す
欲ばってさらにオブジェクトを増やすとどうなるでしょうか?
現状のままでは、いまいちスケールがもの足りない感が否めません。景気良く元の4倍くらいまでオブジェクトを増やしてみましょう。
こちらも体感的に大きく変化はありません。Cyclesで質感やライティングと合わせて出来上がりをジャッジしたいものですが、この大量のオブジェクトがあってもビューポートの反応性は損なわれることなくストレスも皆無。 この辺りはグラボが大活躍してくれているような印象。ナイスですね。
リアルタイムで再生しながらカメラワークを調整する
オブジェクトを増やしたことで、カメラをもっと引かないと全景が入らなくなってしまいました。続いてはカメラアングルの調整です。
カメラワークこそ、リアルタイムでチェックしないと思い通りになっているかどうか判断しにくいもの。再生しながらグラフエディターでカメラの軌道を調整します。が、さすがにレンダビューでのプレビューではフレームレートが40%ほど減少しました。 ですのでこちらはソリッドビューのトライ&エラー。悪くない仕上がりだ!
カメラの被写界深度を入れてみる
更に質感をアップしていきましょう。次に試すのは、お手軽に映像の雰囲気をアップさせることができる「ボケ」です。
しかしボケはいつの時代も処理が大変なもの。このPCはそんなボケに上手にツッコミを入れてくれるのでしょうか? 静止している状態では、特段の不満は出てきません。再生するとフレームレートがさらに低下していますが、ここまで負荷をかけていることを考えると当然の結果とも言えます。
レンダリングの速度はいかに?
では仕上がりに満足がいったところで、レンダリングして完成させましょう。
レンダリング要件
* 書き出し枚数:280フレーム
* フレームレート:30fps
* 画像解像度:2K 1920×1080px
* レンダリング形式:連番のPNG 8bit
各検証の結果
* 今回の検証機「HP Z1 G8 Tower Desktop PC」のCycles Xのレンダリング時間:1時間14分01秒
* 比較対象の「HP Z4 G4 ワークステーション(CPU:XeonW-21233.60GHz)」のCycles X レンダリング時間:2時間40分56秒
* 「AMD Ryzen 9 5900X 12-coreプロセッサー」のCycles X レンダリング時間:1時間31分37秒
* 今回の検証機「HP Z1 G8 Tower Desktop PC」のCycles レンダリング時間:9時間14分50秒(参考)
* ナカドウガ所有のMacBookでのCycles レンダリング時間:計測不可(終わりませんでした)
最近実装されたBlenderの新しいレンダラー「Cycles X」について「XeonW-21233.60GHz機」だと2時間40分56秒かかったものが、今回の検証機では1時間14分01秒で終わりました。
今回のような複雑なプロジェクトファイルも見事に1時間26分46秒の時間短縮となりました!すごい!
最新のテクノロジーと今回の検証機 「HP Z1 G8 Tower Desktop PC」 を組み合わせることで、トライ&エラーを繰り返すことができる環境が充分に整えることができそうです。
ちなみにこれまでの作業は、Premiere ProとAfter EffectsとPhotoshopとIllustratorとWebブラウザとチャットアプリを立ち上げつつ、画面キャプチャをしながら、メディアエンコーダーでエンコードをかけながらの状態でのパフォーマンス。当たり前のようにこなしてくれましたが、これは結構すごいことでは!?
パフォーマンスを見てみると、全てのパーツが総出でがんばっていることが伺えます。CPUも見事なマルチスレッドっぷりを見せてくれていますね。大きな不満もトラブルもなく、無事に作業を終えることができました。
ちなみに完成動画した動画はこちら
気になるPremiere ProやAfter Effectsの動作については?
Premiere Proでの2Kの動画編集は問題ない印象。After Effectsについても静止画像や2K程度の映像を合成加工する程度ではストレスに感じるようなことはありませんでした。しかしながら4K以上の高解像度の編集や、高度なパーティクル生成プラグインなどを扱うとなると、長時間の作業ではやや力不足を感じますので、ハイエンドな用途や規模の大きい環境によっては物足らないかもしれません。
僕のように2Kの映像編集や合成加工がメインで、Premiere ProやAfter Effects、Blenderをコスパよく使いこなしたいという個人のクリエイターにとっては、強い味方になってくれるのではないでしょうか。
「インテル Corei9 11900プロセッサー」の恩恵はいかほど?
実は、3DCGで主要な作業のほとんどはCPUが担っています。今回、検証しているCPUはIntelの 「インテル Corei9 11900プロセッサー」 です。クリエイティブワークに定評があるCPUです。
- レンダリング(Eevee以外)
- ハイポリゴンのスカルプト作業
- アニメーション
- 物理シミュレーション(ベイク)
- コンポジット
かなり多くのクリエイティブな作業に関係しており、中にはGPUよりも重要な部分もあります。
では、ベンチマークソフトとしておなじみのCinebenchで「インテル Corei9 11900プロセッサー」を計測しておきましょう。比較対象は、ナカドウガの所有PC「インテルXeon W-2123プロセッサー」と「AMD Ryzen 9 5900X 12coreプロセッサー」「Macbook Pro 2017 13インチ」の3つ。
今回の検証で充分に「インテルCorei 9 11900プロセッサー」の恩恵を受けていることがわかります。普段使っているパソコンとのレンダリング比較結果からもわかる通り、確実に待ち時間を短縮をすることができました。
もちろんハイエンドCPUを搭載すれば全体的に高速化が図れますが、プログラム側の仕様もあるので、ハイエンドにすればするほど快適に動くわけでもないということも覚えておきたいところ。
例えばAdobeソフト系にもあるようにプログラムの処理がシングルコアにしか対応していない場合はコア数が多くても恩恵を受けられない作業もあるということなので注意が必要です。
最大4画面出力! NVIDIA® GeForce RTXTM 3070 LHR
主にレンダリングやビューポート上での反応性に関わってくるGPU。GPUそのものの処理性能は重要なものの、高解像度テクスチャを多様する場合はVRAM(グラボのメモリ)やバス幅(転送速度)が重要になってきます。その点もバッチリ。NVIDIA® GeForce RTXTM 3070 LHRが搭載されており、安心感があります。
特に気になるビューポートの反応性についてもまずまず。今回の検証ではレンダービューで再生すると、どうしてもフレームレートは40%ほど低下してしまいましたが、モデリング作業やマテリアル作業ではそれほど不満もありません。 もちろんBlenderの新型レンダラー「Cycles X」の恩恵もバッチリ受けることができたのは検証結果からも明らかでした。エンコードやレンダリングを試してみると、しっかりと動いている様子。
ちなみに搭載グラボの末尾の「LHR」は、近年ブームとなっている仮想通貨のマイニング性能にのみ制限をかけたバージョンとのこと。つまりマイニング勢に買い占められる心配がないGPUということ。そんなGPUをチョイスしているHPさんの心意気も気持ちいいです。
また、こちらのグラボは最大4画面までの出力が可能。(DisplayPort x 3, HDMI x 1, Virtual Link(USB TypeC))
ナカドウガの環境ではフル活用することはできませんでしたが、もし4画面もあれば、カラーマネジメントモニタで最終出力を見ながら、After EffectsやBlenderの作業で広々と使うことができます!
手厚い3年保証がうれしい! HPの底力
BTOパソコンとしては珍しい3年保証。標準対応の内容としては、
- 休日修理付き 翌日訪問修理対応(オンサイト翌日対応)
- 故障部品の無償交換
サポート内容の詳細はこちら
HPさんは法人向けに長く運営しているのでやはりサポート実績に強みがあります。深夜や休日にPCの不調は突然やってきます。ピンチの時に手を差し伸べてくれるHPさん。困ったときにこそ、ありがたい非常に手厚いサービスだと言えます。
さらに保証を手厚くすることも可能とのこと。ぜひ検討する時の目安にしてください。
「HP Z1 G8 Tower Desktop PC」をオススメしたいクリエイターは?
今回の検証でやはり、しっかりした性能のPCを持っておくことは大事だと実感しました。PCの動作が遅いまま長時間の作業をすると、作品への愛情がなくなってしまうもの。
今回のHPさんの「インテルCore i9プロセッサーを搭載した HP Z1 G8 Tower Desktop PCパフォーマンスモデル」のようなしっかりしたPCでの作業は、トライ&エラーをしやすく心を穏やかに作業を進めることができました。
何かとクリエイティブ以外での心労も多い今の時代。いいPCで今年も穏やかに楽しく作品づくりをしていきましょう!
「HP Z1 G8 Tower Desktop PCパフォーマンスモデル」はこんな方にオススメ!
* 動画編集からモーショングラフィックスや3DCGにも挑戦したい方
* 保証も重視しながら、コスパの良いクリエイターパソコンが欲しい方
プロ向けソフトウェアの認定を受けたデスクトップ「HP Z1 G8 Tower Desktop PC」
Blenderなどの本格的な3DCG制作に最適なクリエイター向けデスクトップパソコン。「NVIDIA GeForce RTX3070」でクリエイティブプロジェクトを新たなレベルに引き上げ、最高のクリエイティブアプリにAIアクセラレーションを提供。そして、最新世代の「インテル® Core™i7/ i9プロセッサー」搭載でプロフェッショナルユーザーに適した性能を有し、2次元/3次元CAD・CIMやVRなどにも最適です。高いパフォーマンスでクリエイターの想像力をカタチにします。
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