自己紹介
皆さん、こんにちは。映像ディレクターをしています、Ren Takeuchiです!広告映像、ライブ配信、ミュージックビデオなど幅広く映像制作をしており、DaVinci Resolve公認トレーナーとしても活動しております。
はじめに
映像制作をされている方は、普段の映像制作でLogやRAWなど様々な形式で収録する機会が増えたと思います。LogやRAW収録をしているということは、カラーコレクション/カラーグレーディングが必須になっていると思います。そのため、無料で配布されているLUTを適用したり、有料で販売されているLUTパックを購入したりと、LUTを沢山もっているはずです。
ただ、それでもクライアントの方から「このカットもうすこし違うカラー無い?」などの要望がたくさん来たり、自身の作品で「全体的にもっと青くしたいな」など、思うようにカラーが決まらないことがあると思います(筆者は経験済み)。
そこで一度は思ったことがあるはずです。「自分のLUTを作ってみたい」「私には、自分が綺麗だと思うカラーがある」とー。
そのクリエイティブを一緒に実現しましょう!
DaVinci Resolveとは
DaVinci ResolveとはBlackmagic Design社が提供している動画編集ソフトです。メディア管理からエディット、カラー、VFXまで1つのソフトで完結できるようになっています。無償版と有償版があり、無償版でもお仕事として動画編集が充分できる最強ソフトウェアです。
個人的にDaVinci Resolveについて気になっていることがあり、Blackmagic Design社の方と話す機会があった際にお伺いしたことがありました。
「DaVinci Resolveには、推奨OSはあるのか問題」
これからDaVinci Resolveで映像制作したいけど、Win?Mac?どちらがいいの?と思っている方でも、ここがクリアになっているだけで一歩が踏み出しやすくなると思います。
DaVinci ResolveはWindows、Mac、Linuxの全てのOS対応なので、既にお持ちのPCでも大丈夫かと思います。もし、WindowsかMacかで悩んでいるなら、是非この記事も読んでみてください。
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Look Up Tableとは
いきなり結論からいいますが、Look Up Tableの略称をLUTと言います。Look Upは「参照する」Tableは「対応表」 という意味があります。
LUTには「1D LUT」「3D LUT」というものが存在しており、それぞれに違いがあります。
細かい話をすると数式ばかりの内容で自身でもわからなくなるので、要点だけかいつまんで説明します。
まず、1D LUTにはカラーコントロール機能に限界があるので、RGBの各チャンネルに分かれた情報は持っていません。つまり、1D LUTは「RGBトーンカーブ/ホワイトバランス」の情報のみを持ったLook Up Tableなのです。
「3D LUTとはどう違うの?」と思った方もいると思いますが、凄くシンプルにお答えすると 「サチュレーション/彩度」の情報がありません。これは2D LUTでも同じことが言えると思います。皆さんが使用することは無いと思いますが、知っておくと役立つ情報なのでお伝えしておきます。
では3D LUTについてお話します。
RGB三原色を入力値として、決まった配列と補正式に従い数値を変換して出力します。3D LUTは33ポイント立方体から成り立っているもので、10bit=1024ですので「1024 × 1024 × 1024」は10億通りもの配列を用意しなくてはなりません。データ量で考えると、恐らく1TBを余裕で上回ってくると思います。
そのため、3D LUTのデータ量を軽減するため、そして計算処理を早くするために、配列ポイントはまばらに配置され、各ポイント間は計算式で補う形で計算が行われています。
3D LUTは基本的にRGBの各軸に「33 × 33 × 33」ポイントづつ配置するように設計されており、それぞれのポイント間は補正式を使用して数値変換を行っています。難しい話に聞こえますが、知っておくとカラーグレーディングなどを行う際、破綻せずに良いルックを制作できるキッカケにもなると思います。
bit(ビット)とは
少しだけ3D LUTにも関わることなので、「bit(ビット)」についても触れておきます。
新しいカメラが発売されたり、友人の話などで「10bit撮影可能!」「換算すると12bitにもなる!」などと耳にしたことはないでしょうか。
ビット数というのは、色などを表せる情報量の単位のことです。単純にbit(ビット)数は増えれば増えるほど、階調が豊かになっていきます。
「逆に1bitだとどうなるのか」と気になる方もいると思いますので、お答えすると「白黒」です。これは2の〇乗という計算式からなっているものです。
オリジナルLUT生成
ようやく本題まできました。ここからは凄く簡単なフローになりますので、記事を読んだ後にでも実際にオリジナルLUTを生成してみましょう。
まずはDaVinci Resolveのカラーページにて、好みのルックにグレーディングしましょう。カラーコレクション、カラーグレーディングについて分からない!知りたい!!という方がいたら、是非こちらの記事を読んでください。
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僕自身は、少し前に収録した素材でカラーグレーディングをしてみました。
▼カラーグレーディング前
▼カラーグレーディング後
ここから、LUTの生成に入ります。まず、こちらがDaVinci Resolveのカラーページを開いている状態です。
カラーページを立ち上げている状態で、右上にある「クリップ」を選択しましょう。
タイムラインに並んでいるレイヤーを、クリップとして表示することができます(今回は記事執筆用に立ち上げたプロジェクトですので、クリップは一本だけです)。
UIの中央左にクリップが表示されました。次に、LUTとして書き出したいクリップを選択し、クリップ上で右クリックを押します。
そうしたら、「LUTを生成」から「33ポイント立方体」を選択してください。 カメラやモニターによって、17×17×17などのLUTしか受け付けないという仕様もあったりするので、その際は17ポイント立方体で生成してみてください。
※33ポイントや65ポイントなどの違いについては、記事の最後にお伝えします。
エクスプローラーが立ち上がります。お好きなフォルダやファイル名で保存を選択してください。
「CreativeLUT0011.Untitled0041.cube」という名前で保存されました。
「Untitled_0041」は消しても問題無いファイル名ですので、気に入らない方は削除しても問題無いです。
これで皆さんのオリジナルLUTが生成されました! 仕事仲間にオリジナルLUTをプレゼントするのも良し、友達や恋人にもプレゼントするも良し。
という冗談はさておき、このオリジナルLUTをDaVinci Resolveに読み込んで使用してみましょう。
DaVinci ResolveでLUTの読み込み方
DaVinci ResolveのUIの右下にある歯車マークをクリックしましょう。
「カラーマネジメント」から「LUTファルダーを開く」を選択します。
すると、自分が保有しているLUTが全て表示されます。「こんなLUT持っていたかな?」と思った方もいると思いますが、DaVinci Resolveに純正で入っているLUTも表示されているので問題ありません。
そこに先ほど書き出したオリジナルLUTの「ファルダ」もしくは「.cube」のファイルをドラッグ&ドロップで移動させましょう。移動ができたらエクスプローラーは閉じておいて大丈夫です。
これで、オリジナルLUTを追加することができました。
よくあるミスなのですが、「オリジナルLUTを追加しても反映されていない!」と困ることがあるのではないのでしょうか。オリジナルLUTを追加したら「必ずDaVinci Resolveを再起動」と覚えておいてください! ここだけ覚えていれば、きっと大丈夫です。
それでは、実際にDaVinci ResolveでオリジナルLUTが反映されているか見てみましょう。
LUT欄にしっかりと「CreativeLUT」「CreativeLUT_001」と入っていました。是非皆さんもオリジナルLUTを生成してみてくださいね。
👉おまけ~33ポイントや65ポイントなどの違いについて~
わかりやすくお伝えするために「3D LUTには間引いたデータを使用する」と言いましたが、その表現は実は正しくはありません。
3D LUT計算式には格子点を用いており、どの程度情報を間引くかのレベルがあります。33ポイント立方体で3D LUTを書き出した場合、約格子点は32,768行ほど、データ量でいうと「131KB」ほどです。33ポイント立方体で1/33に間引いた後のデータ量ですが、正確な情報では無くなっていきます。
65ポイント立方体で3D LUTを書き出した場合、約格子点は262,144行ほどです。データ量でいうと「1.0MB」ほどです。1D LUTで考えた場合は約85倍ほどです。
まとめ
筆者が思っているのは、カラーグレーディングに正解は無いということです。
LUTを生成する以外にも様々なLUTについての知識をお伝えしましたが、こういった知識が無くても素晴らしいルックを制作する方もきっといると思います。作品の表現したいルックに近づき、自身が納得のいくルックになればそれが正解です。
この記事を読んでいただき、皆さんの素晴らしいルックが見れる日を楽しみにしております。ありがとうございました。
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