GH6はクリエイティビティの新次元を見せてくれるのか? LUMIX GH6 レビュー

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2022.02.22 (最終更新日: 2022.03.08)

開発発表や発売時期延期を経て、ついに待望の「LUMIX GH6」が2022年3月25日に発売されます。発売日が発表された本日2022年2月22日から予約開始です!

キットレンズがパナライカで、LUMIXのフルサイズハイエンドモデル「S1H」をも凌駕する性能と、同等の外観を持つとくれば、「ああ、パナさん。本気なんですね」と、こう思ったわけです。笑 さらにキャッチコピーである「クリエイティビティの、新次元へ」なんですが、読点はあって句点がないところから「まだ終わらせない」という強い意志を勝手に読み取ってみたりしています。見当違いだったら超絶恥ずかしいのですが...。

まずはじめに、今回Panasonic様、そしてVook様よりレビューと銘打った記事執筆を仰せつかり、LUMIXカメラを使用するビデオグラファーとして、ひとりのLUMIXファンとして、有り難き幸せです。大変素敵な機会を下さったことにこの場をお借りして改めて感謝申し上げます。

さあ、待望のGH6は一体どんなカメラなのか?ボクらは「クリエイティビティの、新次元」を体感することが出来るのか?フルサイズセンサーを搭載したミラーレス一眼カメラがメインストリームとなっている今日日、そんな時代の中心に産み落とされたマイクロフォーサーズハイエンド機LUMIX GH6の底を知るべく、テストを重ね、実戦投入してみました!

長年映像分野においてLUMIXカメラの捉える光に惚れ込んでGH4から使い始め、現在はワンマンでLUMIX S1Hを使用して映像制作をしているボクが、S1HからGH6に持ち替えてどういう印象を抱いたのかを、実際に制作した作品を交えながら書き記してきます。

有益な情報となれば幸いです!

準備

まず、驚いたのがその外観とキットレンズ。GH5、GH5S、GH5IIのデザインを踏襲しながらも、S1Hを彷彿とさせる物理ボタンと放熱ファン、さらにはチルトフリーアングルモニター...。そして、キットレンズは[LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0 ASPH./POWER O.I.S.]ときたら、こりゃ相当な本気度だなぁと感じました!

さらにはマイクロフォーサーズとしてオーバー4Kを実現しており、4:3のセンサーフルで5.8K30pに対応した高画素ハイエンドフラッグシップ機として、4K時代を十分に乗りこなせる性能を持っております!

GH6とキットレンズである[LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0 ASPH./POWER O.I.S.]

キットレンズを装着したGH6

とりあえず、S1Hと使用環境を同じようにするところから始めてみました。GH6はS1Hにもある多彩な撮影アシスト機能が同じように搭載されているんです!通常であれば外部モニターに頼ることになる「ウェーブフォーム」や「ベクトルスコープ」「LUTビューアシスト」「フレーム表示」、さらにGH6では「セーフゾーン表示」をすることも出来るようになって、「記録」と「モニターサイズ」を除けば外部モニターに頼る必要性がないのです!

また「LUTビューアシスト」機能は「.cube」ファイルにも対応しました。S1HではPanasonicが提供する「VARICAM LUT LIBRARY」よりモニター専用の「.vlt」ファイルでしか運用出来なかった「LUT ビューアシスト」ですが、17ポイント、33ポイントのLUTであれば最大4つの任意のLUTをカメラに追加しV-Log収録時に当て込んでモニターすることが出来ます!

ボクも追加を試みましたが、愛用するLUTが32ポイントと64ポイントだったため、S1Hで使用している「VARICAM LUT LIBRARY」の「Bleachy By Pass LowCon」「Fashion2」「Nicest709」「Vintage」を「.vlt」で読み込みました!

実際のLUTデータ選択画面

S1Hにあった「8文字制限」がなくなっているためファイルリネームの必要はなく、拡張子が表示されるので読み込んだファイルが「.cube」なのか「.vlt」なのかも一目瞭然です!

さらに、ファンクションボタンが豊富で、ワンアクションで撮影アシスト機能にアクセスが出来るところが、ボクがS1Hを使用するひとつの理由であり、GH6でもその恩恵を受けられるんですよ!まさに、ワンマンビデオグラファーの強い味方なんです!

バッテリーは、LUMIX S5やGH5IIと共通の「DMW-BLK22」を採用していますが、GHシリーズで長年採用され続けてきた「DMW-BLF19」を使用することが出来ます。バッテリー資産を生かせるようにしてくれたところはPanasonicの長期ユーザーに対する真摯な配慮としてものすごく感銘を受けました!

ただし、記録フォーマットに制約はあるため、あくまで「使用することが出来る」と考えた方が無難です!

旧GHユーザーの慣れ親しんだ「DMW-BLF19」

GH6はS1Hと比較して、ほとんど同じボタン配置となっているので持ち替えてもなんら違和感のない操作感です!

ボクがS1Hを運用する際に絶対的に必要なのが、PD対応のモバイルバッテリーです。ボクの業務上、長時間の撮影がほとんどで、ライブ収録や配信となればカメラを止めることすら許されないんですよね(マルチカメラであれば、タイミングを見計ってバッテリー交換もアリですが...)。

DCカプラーを使用して電源供給することも考えますが、必ずしも電源を確保出来るとは限らないものなんです。そう言った際にPD対応モバイルバッテリーがとてつもなく活躍します!LUMIXのお家芸「無制限記録」とバッテリー交換無しで電源を供給し続けられるというシステムは、とてつもないことで、カメラバッテリーを持ち歩くことも、DCカプラーを使うことも、必要性すら感じなくなってしまうほど便利なんです!

モバイルバッテリーであればポケットに忍ばせておけますから、撮影の邪魔にもならないのです!よくあるのが、ライブ収録の現場で公演のリハーサルに合わせてカメリハをするんですが、リハから本公演までの時間がなくバッテリー残10%から収録を開始するという超綱渡り現場。泣

ただですね、アンコール含め3時間弱の収録を終えたバッテリーは100%、満充電。笑

この価値をGH6でも体感出来ます!複数個バッテリーを持ち歩かなくて良くなるので超ミニマルです!

ボクの愛用するPD対応モバイルバッテリーと接続したGH6

GH6はSDカードとCFexpressカードのデュアルスロットです。CFexpressへの記録によって600Mbpsや800Mbpsといった高ビットレートのフォーマットやApple ProRes 422 HQでの内部記録も可能になったとのことです!

NLE編集では結果的にProResにレンダーするため、内部記録でこの中間コーデックに対応したのは嬉しいことです!ただ、ボクはCFexpressカードを持っていないため、UHS-IのSDカードを使用します!

SDカードのみの運用だと必然的にシングルスロットとなる

さて、まあこんなところで準備は完了です!

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テストシューティング

論より証拠と言いますので、テストシューティングの結果をご覧下さい。

今回、目新しい機能や性能を含め、テストでチェックしたい項目は以下の通りです。

  • V-Log/V-Gamut
  • 4K120p
  • 10bit VFR
  • 5.7K60p 422 10bit
  • 手ブレ補正
  • コンティニュアスAF
  • ダイナミックレンジブースト
  • 内蔵マイク24bit対応

ボクは普段、Log収録がほとんどで、手持ち、マニュアルフォーカスの撮影スタイルです。手持ち撮影がボクにとって最も被写体と向き合える気がしています。今回のテスト撮影でも前述の通り、手持ち、マニュアルフォーカス、Log収録で行いました!

V-Log/V-Gamut

マイクロフォーサーズのLogといえば「V-Log L」でしたがGH6はガンマが「V-Log」、色域が「V-Gamut」と、VARICAMやS1Hと共通したガンマ、色域で撮影をすることが可能になりました。LUMIXがG9Pro以降一貫している「生命力・生命美」という画作りの思想が反映された柔らかい質感描写はGH6でも体感することが出来ます!

S1Hと比べるとパキっとカリっとシャキっとした感じではありますが、クリスピーかと言われるとそうでもない。約2500万画素の高画素機でありながら、カリカリし過ぎない程よいシャープネスと色のりの良さはポストでキチンと応えてくれます!

HS撮影

HS撮影がとてつもなく強化されていて、「C4K60p 422 10bit」「4K120p」「5.7K60p 10bit」と解像度やクロマサブサンプリングはそれぞれですがS1Hと比べてHS撮影ではGH6に軍配が上がります。そしてバリアブルフレームレート(=VFR)が10bit対応したのも嬉しいポイントです!

VFRを活用するメリットなんですが、純粋に内部記録時点でスローになっていることから、編集時のパソコンへの負荷を下げられるところが1つポイントです!あと、ミュージック・ビデオの撮影時に、演者さんに実際にスローな映像を即時的に共有が出来るところも大きなポイントだと思います!

S1Hでは8bitでの記録なので使うことはない機能なのですが、10bitであればガンガン使いたいところですよね!

120fpsは24fpsで20%スロー、30fpsで25%スローということになり、かなりのハイスピードですから、シャッタースピードは1/250がセオリーですので、フリッカーには気をつけなければならなくなります。その点に留意すれば、手掛ける映像作品にこれまでにないスローの世界が手に入りますよね!

手ブレ補正

これもLUMIXのお家芸「手ブレ補正」。GH6のボディ内手ブレ補正(B.I.S.)は7.5段です!

S1HのB.I.S.は6段分でしたのでかなりの進歩ですね。レンズ内手ブレ補正(O.I.S.)との協調補正「Dual.I.S.II」でも7.5段分で焦点距離140mmまで補正してくれますので長玉でも安心して使えます。変に引っ張られる感じがなく、滑らかで自然に補正してくれる、まさに伝家の宝刀です。テストではかなりラフに構えているカットもありますが、それでここまで補正をかけてくれるのはさすがと言ったところです!

コンティニュアスAF

さて、世間を騒がすLUMIXのAF問題。笑

前述した通り、ボクはマニュアルでフォーカスをとります。それは手持ち以外のジンバルやスライダーなどの特機を使用したドリーなどのカメラワークでもです!

ただ世間的に「LUMIXにも像面位相差を」という声はかなり大きな音量で聞こえてきます。先にボクの見解を述べると、「LUMIXには像面位相差は必要ない」と考えています。確かに「位相差分」で測距し、「コントラスト検出」で最後の微調整をするハイブリッドなオートフォーカスは現在のミラーレスカメラのトレンドで、ピントの掴みが速く、外しづらいというのは魅力であると思います。

が、しかしメリットばかりでないのも事実なのです。「像面」に「位相差」専用の画素を埋め込むことになるので、その画素は画像情報を受け取れず、隣近所の情報から補間する必要があるため、「補間ノイズ」が発生するリスク、そして補間しきれない情報は欠損してしまう「画素欠損」のリスクがあるのです。

ボクはLUMIXカメラが捉える光の描写を愛しています。発生確率が低かったとしても、リスクがあるならば像面位相差は不必要だと考えています。

さて、本題に戻りますが、今回は大多数の方が望む「像面位相差センサー」は非搭載で、従来の「コントラスト検出」と「DFDテクノロジー(空間認識技術)」が採用されたオートフォーカスです。しかし、新世代ヴィーナスエンジンがS1Hと比較して演算処理能力が約2倍と高速なものになっているんだとか。今回、セルフィーでいくらかテストを重ねてみましたが、「うん、これなら使える」と感じる速度、精度でした!

露出不足や逆光で光源がフレームに入っていて余程の輝度差がない限りは、基本的に食ってくれますし、デフォーカスしてからのフォーカスインも非常に滑らかにしてくれるので、ある意味では人為的というか人間の手でフォーカスを送っているような感覚をボクは抱きました。AFの強化によって「ラクが出来る」ということよりは、「可能性が広がる」とボク個人は感じています!

ダイナミックレンジブースト

LUMIXといえば、VARICAM譲りの「デュアルネイティブISO」によって、高感度でもとてもクリアな映像を得ることが可能になっていましたが、GH6には非搭載です。その代わり?として新機能「ダイナミックレンジブースト」が登場しました!

GH6の持つダイナミックレンジは12+ストップですが、「ダイナミックレンジブースト」をONにすることでレンジが拡張され、10MPのマイクロフォーサーズボックスシネマカメラ「BGH1」の13ストップを上回る13+ストップのダイナミックレンジを得ることが出来ます!

V-Logガンマ使用時において通常のベース感度はISO250のところ、「ダイナミックレンジブースト」をONにするとベース感度がISO2000に引き上がります。テストでは、ND8-2000という化け物じみた可変NDフィルターを使用して、日中屋外でもダイナミックレンジブーストをONにして撮影しました。内蔵のウェーブフォームで見てみると、OFF時はIRE82%くらい、ON時は88%くらいまで拡張されます!

ちなみにS1Hのダイナミックレンジは14+ストップあり、IRE95%くらいまでハイライトを収められます。シャドウ側はいずれも大体IRE9〜10%程度のあたりまでです。

今回のテストでNDを使用しかなり減光して臨みましたが、ダイナミックレンジを優先するなら「ダイナミックレンジブーストをONにしてNDで大幅な減光をしてもいいのかな?」と思いました。通常時ベース感度250と「ダイナミックレンジブースト」ON時ベース感度2000との差は3段分ですので、ND8は最低でも必要となり、晴天時の日中屋外ではさらに減光しなければならないので、かなりの段数減光することになります。

S1H使用時は個人的な目安として、シャッタースピード1/50とした場合に晴天日中屋外はISO640(低ISOベース)でF11〜16、計算するとGH6でダイナミックレンジブーストをONにして晴天日中屋外で適正露出を得ようと思うとND500からND1000くらいは用意したいところですね!

ただ、現在映像業界のトレンドは「シネマティック」です!

シネマライクなカメラワークやルックを指す言葉だとボクは認識していますが、ルックの傾向として「ハイライトのロールオフ」がとても重要だと考えています。ハイライトを寝かせて飛ばさずに階調を見せるというこの傾向は、最終的にIRE70〜80%近辺に収まっているローコントラストな描写が多いので、OFF時のダイナミックレンジだとしても最終的にシネマライクなルックを目指すことを考えれば、十分なものだと考えています!

ついでに高感度ノイズについてもここで触れておくことにします。ISO8000くらいまではLUMIXらしいフィルムグレインのような美味しい粒状ノイズですが、ISO10000以上はカラーノイズも出てきます。ただ、ディテールが損なわれたり、コントラストが低下したり、色乗りが悪くなったりすることはなく、常用感度内では十分使える範囲だと思いました!

この許容範囲は使う人それぞれですので、ご自身の目で確かめる他ないのですが、GH6は約2500万画素で、この高画素機でISO12800まで使えるということはとても大きなことだと思います。ボクの場合、メイキングやドキュメンタリー、BTSなどの記録撮影をすることがあるのですが、この手の撮影は基本的に地明かりで行うことになります!

とにかくどれだけ記録が出来るかがとても重要になってくるので、ISO12800であれだけ描写が荒れなければ使用可能範囲だと考えています!

内蔵マイク24bit対応

S1HだとDMW-XLR1というマイクロフォンアダプタを使用することで24bitに対応出来ましたが、GH6は内蔵マイクが24/48、24/96で収録可能なのです!

一応、これでも音楽も取り扱うクリエイターなのでここもお話しさせて頂きたいのですが、16bitと24bitとでは8bit分、つまり256倍もの階調差があります。16bitで96dB、24bitでは144dBのダイナミックレンジがあり、人間の耳はだいたい120dBほどと言われています。ダイナミックレンジが広いということはS/N比に優れているということになります。しかもそれが内蔵マイク、外部マイクでも24bitで記録が出来るのです!

さらにLUMIXのマイクレベルリミッターは優秀で、程よいコンプ感と結構ブリックウォールリミッターかよってくらい的確にリミッティングしてくれるので使い勝手いいですよ!(ライブ撮影の時に引き定点をアンビマイクとしてリミッターに引っ掛けて録って使ったりしています)

とまあ、気になる機能や性能を確認しながらテスト撮影を行いましたが、安心して実践投入出来そうな結果でした。

操作系統はS1Hと同等と捉えて問題なく、その他の撮影アシスト機能もS1Hと同じように使うことが出来る。ダイナミックレンジに差はありますが、ウェーブフォームが搭載されているので可能な限りGH6の持つダイナミックレンジの中で豊富な光情報で戦える。

いざ、実践へ。

実践

今回GH6のレビューをするにあたり、「ミュージック・ビデオ」を2作品制作しました!

本来であれば普段制作する映像作品である「ライブ映像」「ドキュメンタリー撮影」でも投入してみたかったのですが、「ドキュメンタリー撮影」は機会に恵まれず、「ライブ映像」は新型コロナウイルス変異株の感染拡大が東京都内でも叫ばれている中でしたので控えることにしました!

2作品ともにコンテは準備せず、現場での撮影に余白を持たせ自由なアーティストの表現を優先しようと考えたからです!

まず1作品目は目黒のHIPHOPクルー「L’s town」よりAzuki Eru初のソロ楽曲「DAY & NIGHT」です!

今作はスタジオ常設のバイカラーパネルLEDを2灯とフォグマシンを活用し、演出しました!キーライトを3200K、バックライトを5600Kに設定し、カメラのホワイトバランスは3200Kに設定しての撮影です!

NICEST709を適用した作品内のワンカット

これにより、スキントーンをきれいに出しながら、バックライトを青に転ばせ、撮影段階である程度のルックを目指しました!ポストは総てFinal Cut Pro Xを使用しています。映画フィルムのような質感とスキントーンを心掛け、ブロックバスタールックを目指しグレーディングし、最終的にビネットとフィルムグレインを加えています。

収録は5.7K 4:2:0 10bit LongGOP(5728×3024)の23.98fpsを基本としてHS撮影では5.7K 4:2:0 10bit LongGOP(5728×3024)59.94fpsを使用しました。サンプリングが4:2:0ですが、グレーディング耐性は本当に高く、トーンジャンプなども起きず、さすがだなぁと思います!

※V-Log

※コレクション後

※グレーディング後

ダイナミックレンジブーストはOFFでの運用となりました!

最終的な解像度は2.4:1(4096×1728)を予定していましたので、フレーム表示「2.39:1」で常にマスクをかけた状態でモニターしました。最終的なアスペクト比でモニターしフレーミング出来る、しかもそれが外部モニターなどを使わずにカメラだけで完結が出来るというのは本当に素晴らしく、S1Hでも愛用している機能です!

ひとつだけ不満があるとすれば、これはS1Hでも同じことが言えるのですが、プレビュー時にこのフレーム表示が適用出来ないところです...。

クライアントにプレイバックしてプレビューしてもらう時に、最終的なフレームで確認をしてもらえないのは結構痛いのです。LUTビューアシストは適用出来るので、是非フレーム表示の機能のあるカメラはプレビュー時にも適用出来るようにアップデートしてもらえるとさらに嬉しいなと思います!

基本的に手持ち撮影を基本として、ジンバルや小型三脚を使用しています。普段は外部モニターを使用しますが、今回は「現実的なワンマンビデオグラファー装備」を意識して、そしてGH6だけで可能な限り完結させることを目的として外部モニターは使用しませんでした。ワンカットのみS1Hを混ぜた作品なのですが、ご覧になられた方はパッと見で分かりましたか?

使用したレンズは、GH6とともにお貸し頂いた、
[LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm/F1.7 ASPH.]
[LEICA DG VARIO-SUMMILUX 25-50mm/F1.7 ASPH.]
です!

パナライカ10-25mmと25-50mm、F1.7の大口径ズームレンズ

パナライカのF1.7兄弟、バリオズミルックです!

いわゆる「ハイスピードズームレンズ」や「バリアブルプライムレンズ」と言われる部類のレンズですね。この2本だけでマイクロフォーサーズマウントを使う価値のあるレンズだと思っています!

一部ジンバルでドリーショットやFPVショットを撮りましたが、基本的には手持ちで撮影をしました。ジンバル使用時には積極的にAFCを使ってみていますが、極端にピントが背景に抜けることもなく、ワブリングに一喜一憂することもなく的確に掴んでくれていましたので、あぁやっぱり変わったんだなぁと思いましたね。

そして2作品目は横浜のHIPHOPアーティスト、ツカダカインと1作品目でも協力してくれたAzuki Eruとの合作「きみは太陽」

ヒロインに町田のシンガーCcn、キャストとしてlil shock(from L's town)、wellka(from school town)にも出演して頂きました!

この作品ではジンバルと一脚を活用した擬似ドローンショットなども盛り込んでいますが、基本的には手持ちと中望遠画角という、ボクの得意のセットアップを多用しました。引きじりさえ確保できれば、どんなサイズも中望遠で撮りたいと思うくらい好きなのです!

望遠になればなるほど手ブレを抑えるのが難しくなるのですが、むしろそのブレが映像に感情を与えてくれるような気がしていて、微細な手ブレは抑え込み、小さく体を揺らすことで動きを与えるようなカメラワークをよく使うのですが、7.5段の手ブレ補正が滑らかに自然に効いてくれるので、違和感のない映像に仕上げることが出来ました!

また、マニュアルフォーカスでのフォーカシングでしたが、「フォーカスリング制御」を「リニア」にし、回転角度を「210度」に設定し使用したことで、微妙なピントの微調整が可能ですし、ピント送りの速度も自由自在です!気分はまるでシネレンズのようでした!

パナライカ10-25、25-50にはフォーカスクラッチ機能があり、フォーカスリングを手前に引くことでマニュアルフォーカスに切り替わります!

フォーカス、ズーム、絞りのそれぞれのリングが滑らかで適度に重く上質な作りで、写真で見て頂ければ分かる通り、それぞれのリング位置が同じですから、リグを組んだ際にフォローフォーカスの位置を変更する必要がありません!

動画ユーザーをかなり意識した作りとなっていると感じたとともに「フォーカス制御」を活用すれば、GH6とパナライカ10-25、25-50は最良なシステムで、かつ今後鉄板の組み合わせになるのではないでしょうか!

マイクロフォーサーズでこそ選択の出来る理想的な組み合わせ

この作品の個人的な裏テーマは「マイクロフォーサーズはボケない」に対するアンチテーゼでした。笑

※作品のワンカットにNECEST709を適用

ご覧頂いたカット、いかがですか?
パナライカ25-50mmの望遠端50mmで、フルサイズ換算100mm相当の画角です。これは個人的な見解なのですが、「マイクロフォーサーズはボケない」というのは詭弁であって、十分美しいボケを得ることが出来ます!

そもそも何をもってボケとするかを定義付けないと「マイクロフォーサーズはボケない」などという非常にくだらない議論も生まれないのですが、でも世間の印象って「マイクロフォーサーズってボケないよねー」っていうものであるのは確かなんですよね。泣

確かにセンサーサイズがフルサイズに比べて小さい分、センサー由来で被写界は分厚くなるので、画角を同等にした場合、同じ絞り値ではフルサイズの方がシャローフォーカスになります。ただ、ボケを作る要素って何も「センサーサイズ」と「F値」だけではないわけです。「センサーと被写体との距離」「被写体と背景との距離」これが大きく関わってくるわけです!

だから声を高らかに叫びたいのが「望遠域を使え」なのです!

ボクの場合、人物を撮ることがほとんどなので、特殊な演出でない限りは基本的に人物に最も目が向くように考えます。となると、より強調したい場面ではボケを使うわけなのですが、ここで重要なのが被写界です。上で紹介したカットでもそうなのですが、人物にだって奥行きがあるわけで、被写界を薄くし過ぎると、左目にピントを合わせたとして、左耳や右目、鼻などがデフォーカスするということは良くあります。これが意図したものならば誰も文句は言えないわけですが、どうもハッキリしない印象になりがちだと思います。

そして結果として中望遠あたりの画角の時は、フルサイズでもなんだかんだでF5.6とかF8まで絞るって結構普通なんですよね。人物というレイヤーと背景というレイヤーを切り分けて分離感と立体感を出すには中望遠〜望遠域で絞りこむのが最短距離だというのがボクの経験からの答えです。

※作品のワンカットにNECEST709を適用

さらに、マイクロフォーサーズは「寄れる」「大きく写せる」というメリットを持っています。大抵のレンズが結構寄れるし、ハーフマクロくらいまで大きく写せます。

なので「マイクロフォーサーズでもボケます」がボクの答えです。

マイクロフォーサーズのメリット

普段S1Hを使用するボクが久しぶりにマイクロフォーサーズを使用して改めて感じたメリットを記しておこうと思います!

まずは「小型・軽量」
そして「寄れる・大きく写せる」
さらに「深く・明るく」
最後に「レンズの自由度とコスパ」

でしたね!

「小型・軽量」はもうみなさんご存知なので言わずもがな、「寄れる・大きく写せる」に関しては前述したので省略します。「深く・明るく」は、センサー由来で被写界が分厚くなるので、フルサイズと比べ同じF値だとピントの合う範囲が広くなります。裏を返せば、得たい被写界に設定した時、フルサイズとマイクロフォーサーズとではマイクロフォーサーズの方が明るくなるのです。これは特に暗所での撮影に役立ちます。個人的な感覚としてはマイクロフォーサーズはフルサイズに比べ2段くらい被写界が分厚いです。

例えば同じ画角と仮定してフルサイズでF8の被写界と同等にしようと思うとマイクロフォーサーズではF4くらいだということです。その分、ISO感度を2段分下げられますから、明るさの点でマイクロフォーサーズに軍配が上がると考えています。

「レンズの自由度とコスパ」についてですが、作品を撮る際に使用したパナライカ10-25/F1.7と25-50/F1.7に相当するフルサイズのレンズは存在しません。さらに、歴史あるマウントですので、レンズラインナップが豊富で選択の自由度が高いです!

さらにレンズ単体の価格がフルサイズに比べて安く、気軽に買えるところもメリットかと思います!GH6とS1Hを比べて考えれば、Sシリーズが採用するLマウントはまだ未成熟なマウントであるためレンズラインナップに限りがありますよね!

マウントアダプターを経由すれば選択出来るレンズは増えますがAFCが使えなかったり、フォーカス制御機能が使えなかったりと制約が増えます...。ですがGH6は違うのです。豊富なマイクロフォーサーズマウントレンズ群を選びたい放題です!この点だけ見ても、S1Hと同等の機能が組み込まれ、S1Hを上回る性能を持ったGH6はハイエンドフラッグシップ機であると言えるでしょう!

クリエイティビティの、新次元へ

果たして、クリエイティビティの新次元とはどんな世界なのでしょうか?

「クリエイティビティ」とは、創造力や創造性、独創的なことを表す言葉だと思います。ボクは自分でクリエイティブな人間だとは思いませんが、創造的作品を音楽アーティストとともに創り上げる分野で仕事をしております。その中で、「クリエイティブ」に最も重要なことは、「インスピレーションを止めないこと」だと思っています。一瞬のひらめきや着想をすぐに形に変えられるか、その反応速度と感度を常に試されています。最終的にはその作品の結末にいかに説得力を持ってたどり着けるかが重要だと考えます。

ボクらカメラマンにとってカメラは道具に過ぎません。そして道具は「手段」であって「目的」ではないのです。今日日、フルサイズセンサーと派手な性能で各社競っており、若干飽和しているようにも感じています。しかし「フルサイズだからいい画が撮れる」とか「8Kが撮れるからいい画になる」のではなくて「とあるカメラを使っていい画を撮る」のです。

その"とあるカメラ"を適切に選択することでクリエイティヴを、インスピレーションを、得たいものに可能な限りにじり寄って行く、そんな地道なものです。それでは、前述した「クリエイティヴ」の土台となる「インスピレーション」を止めないためには何が必要でしょうか。

LUMIX GH6は「質実剛健」、ド派手な目を引くような性能はないかもしれません。センサーサイズがメインストリームであるフルサイズではありません。ですが、「確実に撮りたい時に撮れる」堅実さを持っています。この堅実さが何よりインスピレーションを止めないために重要だと考えています。

さらに、ワンマンビデオグラファーにとっては、カメラだけであらゆることが完結出来るに越したことはないと考えています。ボクは「シネマクオリティ」を謳ったLUMIX S1Hを手にし、その恩恵を受けてきました。ミラーレス一眼の小型、携帯性と豊富なファンクションボタン、記録フォーマット、撮影アシスト機能、そして描写性能。どれをとっても一級品だと思っています。

GH6はそのS1Hからさまざまな「シネマクオリティ」の性能、機能をさらに小さな筐体に移植し、S1Hではなし得なかったHS撮影やApple ProRes 内部記録が出来てしまう。豊富なレンズ選択肢があり、全体的なシステムが安くコンパクトにまとまってしまう。ランアンドガンスタイルのビデオグラファーであれば運搬しながら撮影だと思います。重量から解放され、ストレスを感じることなく撮影に集中出来るでしょう。

ボクらワンマンビデオグラファーにとって、こんな強い味方がいますでしょうか。「無制限記録」や「撮影アシスト機能」、「アクセスしやすい物理ボタンとメニュー」、「HS撮影」、「多彩なフォーマット」によって、インスピレーションを止めず、さらに伸ばし続け「無制限」に記録をすることが出来るカメラだと思いました。

ボクは自分自身クリエイティヴではない平々凡々とした人間なので、クリエイティビティの新次元など皆目見当もつきませんが、GH6となら新次元に片足くらいは突っ込めそうな気がしました!

フルサイズミラーレス黎明期でS1Hで市場価格は50万円ほど、他メーカーを見ても40〜60万円くらいは下らない中で、GH6はボディ単体で市場想定価格が26万3千円前後と半値ほどで手に入ります!

さらには、予約購入キャンペーンでボディ単体で2万円、レンズキットで3万円のキャッシュバックと128GBのCFexpressカードが手に入ります!CFexpressカードをお持ちではない方にとってはかなりお得な購入特典ですよね!

待ちに待ったLUMIX GH6は本日2022年2月22日より予約開始で、発売は2022年3月25日です!みなさんは買いますか?予約、購入を悩まれている方の背中を押すことは出来ましたか?

少しでもお力になれたのなら、幸いです!


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クマザワコータロー@kumazawacotalow

神奈川県横浜市保土ヶ谷区出身、平成元年生まれ33歳。嫁と保護猫4匹と暮らしてます。東京拠点にインディース音楽業界で音楽、写真、映像のワンストップマン。クリエイターよりアルチザン寄り。若き燻銀目指しつつ基本的に逆張りカウンタースタイル。あと、ようつべでビロガーし...

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