CMで音MAD!?あのモスバーガーのCMはこうして生まれた!制作秘話とオファー裏話

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2022.03.14 (最終更新日: 2022.08.31)

プロの映像クリエイターのインタビューをもとに、そのナレッジやノウハウを紹介していく「Cutters Point」。

今回のゲストは、ドット絵や音MAD動画を武器に活躍する映像クリエイターの山下諒さんです。音源や映像を編集・再構成する音MAD動画は00年代から注目を集めてきましたが、山下さんはその手法を取り入れ、斬新な映像を生み出してきました。

今回のインタビューでは、映像の道に進むきっかけから、最新作であるモスバーガーのWebCMの制作秘話、さらにはパソコンのカスタム術まで幅広くお聞きしました!

ゲスト:山下諒さん
映像クリエイター/ドッター。学生時代に見た音MADに衝撃を受け、そこから独学で映像制作をスタート。
その後、東京造形大学造形学部アニメーション専攻領域卒業。映像制作会社所属を経て、2019年よりフリーランスとして活動をスタートさせる。
アニメ『ポプテピピック』Pop team 8bitパート、ブリーフ&トランクスのMV『逆に』の映像作品や、オンラインイベント『クリエイターオンライン花火大会』主催など、幅広い領域で活躍中。

インタビュアー:ダストマン
3年間勤めていた映像プロダクションを退職し田舎へと移住。広島を拠点に、TVやWebのCMをメインにエフェクト・モーショングラフィックス・VFX・コンポジット業務をフリーランスで請け負いながら、After Effectsのチュートリアル動画を主に発信しているYouTubeチャンネル『ダストマンTips』を運営。

兄に見せられた音MAD動画をきっかけに

ダストマン:今回インタビューさせていただくにあたり、世の中に存在している山下さんの動画をほとんど見たんですが、『まこってぃーな』(東京造形大学非公認天使系アイドル)が特に好きでした。

[https://t.co/S3KNu5baKS:embed]
山下:お恥ずかしい…。でも、ありがとうございます!あれは、自分の出身校である東京造形大学初のミスコンを開催することになり作った作品です。

実は当時、文化祭も学生が主体で運営していて、当然ミスコンも学校側としてはそこまで乗り気ではなかったんです。だから募集しても、なかなか人が集まらないんじゃないかという懸念があって。

それで、自治会の友人たちに声掛けをし、人を集めたんですよね。そんな状況の中で演劇部出身の自分に白羽の矢が立ったというわけです。

出演を決めたはいいものの、身内ネタで終わらせては申し訳ないなと。そこで、ある程度キャラクターを決めて、エンタメとして楽しんでもらえることを意識しました。それで生まれたのが、あの『まこってぃーな』というキャラクターなんです。

ちなみにその年のミスコン女王に輝いてます笑

ダストマン:映像制作だけでなく、演技までしちゃうんですね。色々調べていたら、山下さんはアニメーションの声も担当されているとか。さすが元演劇部、多才ですね!

山下:そうですね、演劇とかゲームとか、映像以外にありとあらゆる武器があるというのは自分の強みかもしれません。

ダストマン:山下さんが映像に興味を持ったきっかけは何だったんでしょう?

山下:最初に映像に興味を持ったのは兄に見せられたニコニコ動画の音MADで、その後、友人が音MADを作る方法を教えてくれたんですよね。こうやって映像編集するんだよって。

それから大学進学にあたって、将来自分は何をしたいのかと考えた時、もともとゲームが好きだったこともあり、ゲームのキャラクターデザイナーになりたいとぼんやり考えるようになったんです。

でも、いざ大学(東京造形大学 造形学部)に入ってみると、ちゃんと予備校に通ってきた人たちのデッサン力に圧倒されて

自分は基本的なイラストの力が圧倒的に劣っているということに気づいたんです。だからある種、落ちこぼれみたいな感じでした。自分で作ったキャラクターを動かしたいという夢があって入学したものの、このままではやっていけないなということに気付かされたんです。

そうしたときにAfter Effectsを習う授業がありました。授業でいじっていくうちに「これは楽しいぞ」と。楽しいとスキルも上達するじゃないですか。After Effectsに関しては、他の生徒たちよりも、自分の方が得意だなと思い始めて

中学生の頃に音MADに初めて触れた時の感覚に近しいものを感じて、すんなり馴染むことができました。

ターニングポイントとなったアニメ『ポプテピピック』

画像出典:ポプテピピック公式サイト

ダストマン:山下さんは大学在学中に『ポプテピピック』に携わったそうですが、一体どのような経緯だったんですか?

山下:きっかけは大学在学中に作った『DOT BIT BEAT』という大学の課題作品です。

これが、学生CGコンテストで審査員を務めていた神風動画の水崎社長の目に留まり、ある時突然連絡をもらいました。『ポプテピピック』でゲームのようなパートを作る予定だということで、「面白い学生がいるから会ってみよう!」という感じで呼び出されたというわけです。

ダストマン:『ポプテピピック』のゲームパート(※13話)も拝見しました。これ、相当大変だったのでは?

山下:先ほど話した『DOT BIT BEAT』以降は、ドット絵って数える程度しか作っていなかったので、大変でしたね。

『ポプテピピック』の主人公であるポプ子・ピピ美の目が、やはり一番のこだわっているポイントで。均一に丸を描いてしまうと、どうしても変な目になってしまうんですよね。それだけで10回以上はリテイクしました。

苦労は多かったのですが、先人たちがスーパーファミコンなどで築き上げた素晴らしいドット絵があるので、それを参考にしたり。そうした作業は個人的にも楽しくて、それほどキツくはなかったですね。

誰も通らない道をゆく。ドット絵に振り切ったワケ


ダストマン:山下さんが大学生だった当時、ドット絵を作るクリエイターが減ってきている状況だったと思います。そうした中で、ドット絵に全振りしていくことを決めたのは、どんな心境だったんですか?

山下:実は『ポプテピピック』を作った後、就職活動をして1回映像製作会社に入っているんですよね。なので、「ドット絵で飯を食っていこう」というスタンスではありませんでした

正直なところ、『ポプテピピック』がまさかここまで売れるとは思いもしなくて。だから就職活動が終わった後に『ポプテピピック』が放送され、大きな反響をいただけた時は嬉しかったです。

『ポプテピピック』放送終了後に『名曲アルバム+』というEテレさんの番組で、またドット絵のオファーをいただきまして。その流れで、今もドット絵を続けています。

ダストマン:ゲーム好きな山下さんですが、ゲーム会社に就職するという選択肢は考えなかったのですか?

山下:もともとゲームのキャラクターデザインをしたかったんですが、冒頭でお話しした通り、その夢はかなり早いタイミングで潰れてしまって。それでも「ゲームに携わりたい」と、実はゲーム会社のプランナー職をいくつか受けているんです。でも、見事に全部落ちました(笑)。それで、映像製作会社に入社したんです。

ダストマン:なるほど。順風満帆にステップを踏んで行ったと言うより、目の前に来たものを一生懸命やってきた結果今があるということですね。

11万いいね超!話題のモスバーガーのWebCMについて

ダストマン:山下さんの最新作であるモスバーガーさんのWebCMについても聞かせてください。どのようなオーダーがあったんですか?

山下もともとモスバーガーさんは、「ジョイマンの高木さんを1いいねごとに1人増やす」という尖った企画をすでにされていたんです

それで、もう一度芸人さんを起用して面白いものを作りたいということで、コンテンツスタジオである株式会社チョコレイトさんからお声がけをいただきました。

今回のトム・ブラウンさんに関して代理店からのオーダーは「スクショするポイントが欲しい」ということでした。

Twitterにスクショを上げて「ここが面白かった」とユーザーが拡散し、情報が出回っている状態にしてほしいというオーダーだったんです。加えて、「最低限の物語性」と「実写を使った短尺もの」という2つのオーダーもありました

これら全部を1つに頑張ってまとめようとすると、なかなかまとまりません。しかも、スクショするポイントを増やそうとすると、小ネタをどんどん入れていくしかない。さらに、小ネタを入れるとなると、その解説も必要です。でも、解説を増やしすぎると尺が長くなってしまうと言うジレンマが(笑)

『ポプテピピック』に関しては、ほぼサウンドエフェクトとか一言発するだけで終わりという作り方ができましたが、今回はトム・ブラウンさんの漫才なので普通にセリフもある。ということで、音MADに全振りするのはどうか?と考えたんです。

ダストマン:拝見しました。それにしても、めちゃくちゃネタを詰め込みましたね!

山下:そうですね。思惑通り、元ネタ集みたいなものもツイートされていたりしたので、狙い通りの結果になり嬉しいです。

前代未聞?音MADで絵コンテを描く

ダストマン:今回のモスバーガーさんのWebCMの場合、具体的にどのようなプロセスで作ったのか教えてもらえますか?

山下:制作にあたって、まずは興味があるネタってどのようものなのかを自分なりにリサーチしていきました。周囲のクリエイター仲間にも「みんなならどのネタ入れる?」と聞いて回ったんです。そうすると色んな答えが返ってきて、周囲から集めたネタをずらっと並べました。

その後、前代未聞だとは思いますが、音MADに絵コンテを描いていったんです。その絵コンテをモスバーガーさんにチェックをいただいて、一部修正をし、撮影2日前にギリギリビデオコンテが完成しました。

山下さんが作成した絵コンテの一部

ちなみに、トム・ブラウンさんが音MADというものをご存知だったかどうかは分からないのですが、みちおさんが結構アニメ好きな方だというのは知っていて。

なので、説明した際にもネガティブな反応は一切なく、むしろ「面白そうですね」と前向きなリアクションをもらえたことも大変ありがたかったですね。

ダストマン:あの素材自体はグリーンバックで撮ったんですか?あえて合成感を出すためにこだわったポイントはありますか。

山下すべてグリーンバックで撮りました。照明部とか録音部との打ち合わせもあったんですが、「ここどうしましょう?」と色々積極的に聞いてくださって。今回はあえて合成感を出した作品にしたかったので、「あんまり考えなくていい」みたいなことを言っていた気がします(笑)。

ダストマン:なるほど。では、音MADで前代未聞の絵コンテを作り、撮影現場では前代未聞の「特に何も考えなくて大丈夫です」という感じだったんですね(笑)。

音MAD愛が伝わり、結果も残すことができた


ダストマン:今回のWebCMの曲以外部分、音MAD部分のサウンドについては、山下さんが作られたんですか?

山下:そうですね。『ポプテピピック』や『DOT BIT BEAT』に関しては、頼りにしている友人にお願いしているのですが、今回は音MADなので、音楽を作ってくれる彼にあまり知見がないということもあり、自分で作りました。

REAPER※という無料ソフトを使い、音を自分でワーッと並べて、ミックスに至るまでほぼ自分でやりましたね。

※REAPERは現在有料ソフトです。
山下さんご利用の無料版はベータ版となり、一部機能が制限されたものです。

ダストマン:今回のWebCMは絵コンテを作った段階で、音楽のイメージはあったんですか?

山下:実はほぼできていなくて。絵コンテをざっと描いてみて、なんとなくAメロ、Bメロ、サビ、それでCメロでサビだなというところを、音楽制作者に伝えて。速くてメロディックで電子系の音という3つと、あと音MADでよく使われそうな音楽を一緒に送ったんですよね。それでできたのがあの音楽です。

なんでこれだけの情報でこんなに素晴らしい音楽ができるんだ!と驚きました。制作者の方のセンスが抜群に良かったんだと思います。

ダストマン:じゃあ今回の工程としては、ネタ集めをして、大まかなストーリーが決定した後、ネタ集コンテを作って、音楽制作をお願いして、音MAD作りが始まって、あとカットの精査もご自分で?

山下:そうですね。音楽、Vコン、撮影したものを編集したという感じでしたね。

ダストマン:WebCMの反響はかなり大きなものだったのでは?

山下:公開時はすごく緊張したんですよ。すごくウケてくれるか、この先一生モスバーガーさんから仕事が来ないかのどっちかになるだろうなと…。

最初予告映像を作った際は、ちょっとだけ反応が悪かったんですよね。やはり音MADというものが世に出てくることって今までほぼありませんでしたから。

今回、「音MADをやる!」と言った手前、半端なものを出したらどうなることやらみたいな雰囲気にはなってはいたんですけど。でも、自分の音MAD愛が伝わり、かつ結果も残せて認めていただいたので、内心かなりホッとしました。

ダストマン:ちなみに編集は何でやったんですか?

山下:編集はすべてAfter Effectsですね。素材作りにCLIP STUDIOPhotoshopIllustrator。音作りにREAPERと少しPremiereを使いました。

ダストマン:タイムラインがすごいことになってそうですね。

山下:そうですね。トラック数がえげつない。音を独学でやっているので、並べ方とか全然分からないので。多分音を専門にやっている方々から見たら「なんだこれ?」という感じにはなっていると思います。えげつないトラック数にはなっていますね(笑)。

ダストマン:ちなみに山下さんの今後についてですが、このままこの路線でいく予定ですか?何か他にもチャレンジしたいことはありますか?

山下:ドット絵を駆使した映像をやりつつも、ある種、勢い任せな映像作品というのは個人的にやっていても楽しいと感じましたね。

たとえば今回のモスバーガーさんのWebCMも、最初はどうなることやらとずっと思いながらやっていたのですが、映像ができあがっていくと、普段映像制作している以上に楽しく、ハイになってくる感覚があって。「自分はこういうのが好きなんだろうな」と思いながら作業していました

今後は、たとえばCGなり音楽なり、色々な分野にも挑戦していきたいですね。もともと演劇もやっていましたから、幅広い分野に手をつけながら、自分の可能性を模索しているところです。

多少の負荷にはびくともしない。マウスのパソコンを選んだ理由


ダストマン:山下さんのお使いのパソコンですが、こだわりはありますか?

山下:現在はマウスさんのパソコンを使用しています。大学生のころに買ったパソコンが要らないものがいっぱい付属しているのにスペックがあまり足りず、すぐ止まることが多くて。 それで色々と調べていくなかで、パソコンはネットで買った方がいいよという情報を見つけたんです。

それでどのメーカーがいいかなと探しているうちに、マウスさんのパソコンにたどり着きました。当時たしかクリエイターパソコンみたいな感じで、「映像作る人だったらこれ」といった記事を読んで。

割とそれに沿って「ああ、じゃあこれを使おう」みたいな感じで決めましたね。必要な機能とそうでない機能をカスタマイズして購入しました。

ダストマン:どの辺のパーツを補強したとかって教えてもらえますか?

山下:ゴリゴリのCGは無理だとしても、多少のCGだったら耐えられる範囲のスペックは欲しいなと思って選びました。

あとはDAIV。これを使ってようやく作業らしい作業ができるようになってきました。それに、今回のモスバーガーのWebCMを作ることができたぐらいなので、大体の負荷には耐えられるかと思います!

ダストマン:それは間違いないですね(笑)。山下さん、ありがとうございました!

山下諒さんのPCスペックはこちら
OS:Windows10 Home
CPU:インテル® Core™ i7-8700 プロセッサー
GPU:GeForce GTX 1070Ti
メモリ:16GB

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