ポップで元気な印象を作るカラーグレーディングって?―BTS(방탄소년단)『Dynamite』_MV超色分解Vol.2

2022.04.14 (最終更新日: 2022.07.20)

MV超色分解Vol.2は日本でも大ヒットしたBTSの『Dynamite』!K-POPの色鮮やかなMVは日本でも人気がありますよね。今回は代表してBTSの楽曲から色解説をしていきます。

Vol.2:BTS (방탄소년단) 『Dynamite』

MV解説

BTSにとって『Dynamite』は、ミュージックビデオの再生回数は24時間で1億100万回再生回数を記録し、圧倒的な記録を残した名曲です。
楽曲を通してポジティブな歌詞が多く元気を貰えますね!

ミュージックビデオの演出も素晴らしくどういうカラーが使用されているのかみていきましょう!

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カラーパレット




印象的なシーンのカラーパレットを生成してみました!
※後ほど生成したカラーパレットのカラー詳細はお伝えします。

色は全体的にブライトトーンで全体を統一している印象です。
ビビットより若干明度が高く、再度を少し落としたような色味になります。

このトーンを意味合いでいうと「明るい」「元気」「健康」という意味が含まれているので、BTSさんが今回の楽曲を通して伝えたかったメッセージと繋がっているんじゃないのかなと思いました!

色相環でいうとこのほとんどのカラーが使用されていました。
ミュージックビデオではなかなか珍しいんじゃないでしょうか!
各シーンで全色使用している訳ではなく、各シーン毎にカラーを使い分けている感じですね。

沢山勉強になる配色もあったので、みていきましょう!

配色解説

アナロジー配色を使って華やかさ、美しさを演出

 


▲画像出典:BTS (방탄소년단) 'Dynamite' Official MV : https://youtu.be/gdZLi9oWNZg

「BLUE」「PURPLE」「MAGENTA」の3色で構成されており、
アナロジー」という配色の組み合わせが使用されていますね!

アナロジー配色とは色相環の隣接しているカラーを用いた配色になります。印象を変えたくないけど、色を足したい場合などに使用されることが多いです。

こちらは冒頭部分のシーンですが、ものすごく華やかに見えますね。
ピンクのカラー演出は「華やか」「美しい」など色々な意味を含みますが、このシーンではそういった印象を狙っていたのかもしれませんね。

ナチュラルハーモニー配色で明るく元気な印象を表現



▲画像出典:BTS (방탄소년단) 'Dynamite' Official MV : https://youtu.be/gdZLi9oWNZg

こちらのシーンは「ナチュラルハーモニー」配色が使用されています。
自然界の光の当たり方をベースに考えられたカラーです。

左側のヤシの木は明るく見えますが、右側のヤシの木は少し暗く濃くみえ、「YELLOW」「GREEN」「BLUE」をベースにカラーが作られています。

この配色は「気取りのない雰囲気」や「気分転換」などを意味するので、恐らく採用されたの理由は楽曲を通して元気になってほしいというBTSさんの気持ちが表されていたのかもしれませんね。

ダイアード配色でコントラストを際立たせる演出



▲画像出典:BTS (방탄소년단) 'Dynamite' Official MV : https://youtu.be/gdZLi9oWNZg

最後の1シーンはK-POPのミュージックビデオでは珍しい!! と思ってしまったシーンです。

個人的な主観ですが、K-POPのミュージックビデオはコントラストがしっかりつけないイメージがありました。しかしこのシーンではコントラストをしっかりつけられており、印象的でした。

このシーンは「ダイアード」配色が使用されています。

代表的ルックでもある「ティール&オレンジ」ですね。
ティールとは「青緑」のことで、その反対色はオレンジ。つまり補色の配色です。

ティール&オレンジは映画などでよく使われており、シネマティックな映像にしたい場合によく用いられています。

こちらのシーンでは「着ている服」「サーフボードの線」「手前に掛けてある服」など暗い部分に「ティール」グレーディングを施してカラーを立たせているのが分かります。

BTSの『Dynamite』MV超色分解まとめ

いかがでしたか?
BTSの『Dynamite』は曲の印象に違わず明るく元気なカラーグレーディングが印象的でした!曲のイメージに沿った色調整はすごく参考になるのでぜひ色の視点でMVを見てみてくださいね。

次回もお楽しみに!

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MV内でなぜその色が使われるのか、どのような感情を表現しているのか、細かく解説していただきます。

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著者プロフィール

  • ビデオグラファー / 映像ディレクターRen Takeuchi

    1997年京都生まれ。高校卒業後にビデオグラファーとして活動し、2019年にフリーランスの映像ディレクターとして独立。TVCM、WebPV、PV、企業VP、MVなど様々な制作を手掛ける。現在はチームで活動をし、主にカラーグレーディングを得意とし、企画・ディレクション・撮影・編集をワンストップで行う。 https://www.instagram.com/grove_glas/?hl=ja

  • Edit:古川恵梨 / Eri Furukawa(Vook編集部)

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