初心者から達人まで、ソニーαユーザーの意欲作が集結! 第11回「α café」スペシャルフォトコンテスト|CP+2022

2022.03.08 (最終更新日: 2022.06.04)

2月22日(火)から27日(日)わたって開催された(※プレ・イベント含む)、カメラならびに関連機材の展示会「CP+2022」。コロナ禍への配慮から、今年もオンラインのみの単独開催となったが、カメラ愛好家にとっての恒例イベントとして、今回も見どころの多いイベントであった。

本稿では、ソニーのデジタルカメラブランド「α」ユーザーによるギャラリー&コミュニティサイト「α café」の会員がその腕を競う作品コンテスト、第11回「α café」スペシャルフォト&ムービーコンテストの結果発表の模様をお届けする。

TEXT_kagaya(ハリんち
EDIT_沼倉有人 / Arihito Numakura(Vook編集部)

第10回から動画部門を追加。第11回は、全6部門で開催

第11回「α café」スペシャルフォト&ムービーコンテストは、昨年末から今年1月いっぱいまで応募受付を行い、CP+2022開催のタイミングで、受賞作品の発表を迎えた。

部門は「一般部門(テーマ別に生き物部門、風景部門、自由部門の3部門を用意)」、「カンピオーネ限定部門」、「αcafeニューカマー限定部門」、「動画部門」の合計6部門で開催された。

審査員は野生動物写真家の野口純一氏、風景写真家の萩原れいこ氏、写真家の並木 隆氏、映像作家の鈴木佑介氏の4名が務めた。

本セッションに参加した審査員の3氏。左から、写真家 並木 隆氏、風景写真家 萩原れいこ氏、野生動物写真家 野口純一氏

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一般部門【生き物部門】

ここからは、各部門の受賞作品と審査員コメントを紹介していく。まずは、一般部門【生き物部門】だ。

金賞 『深い森の赤い鳥』fukunariさん

受賞理由(野口氏):
深い森の水面を割って飛び出すアカショウビンを素晴らしく絶妙なタイミングで撮影されています。水飛沫や翼の形もとても良いと思います。

そして、こういった場合は(画として)クローズアップしがちになるのですけれども、あえてアカショウビンの生きる空間を広く写し込むことによって、森の奥深さを表現されていると思います。

また、色遣いや露出から作者の自然に対する思いまで伝わってきます。安易に場所に手を加えるのではなく、自身が自然と一体化して、時間をかけて辛抱強く撮影されたのだということが伝わってくる、とても良い作品です。

一般部門【風景部門】

金賞 『雪の銀山温泉』竈渕雅信さん


受賞理由(萩原氏):
緻密な構図や球ボケの美しさなど技術的な完成度はもちろんのこと、物語性を感じさせる点が素晴らしいです。

銀山温泉は宿の灯りが煌々と灯って、ライトアップしたような雰囲気の作品が多いのですけれども、この作品は、ほんのりと灯りが灯ることによって、雪の肌寒さ、そして切なさを感じさせる作品になっています。

遠くに傘を差して歩く人びとがいるのですが、その中に相合い傘をしているカップルのような人たちがいて、まるで「もう少し散歩したいけれども、雪も激しくなってきたし、そろそろ戻ろうか」といった声が聞こえてくるような、ストーリーを感じさせてくれました

また、雪の球ボケの明るさ、丸さといった技術的な完成度も素晴らしく、本当に見事な作品だと思います。

一般部門【自由部門】

金賞 『星追う兄弟』qwetさん


受賞理由(並木氏):
長時間露光で星の軌跡を背景にしていて、子どもたちがこの星を見ながら何を話しているのかなと想像できる作品です。子どもを持っている親の立場から、暖かい目で見たくなってしまい、うるっときました。それが選出の決め手になりました。

動画部門

最優秀賞 『縄跳び50回!』くんたまさん


受賞理由(鈴木氏):
「縄跳び50回飛べるまでがんばるお子さんを残した作品」と言ってしまうと陳腐に聞こえるかもしれませんが、応募作品の中で、飽きずに何度も観ることができた作品でした。

開始30秒で主人公の男の子を応援したくなったのは私だけではないはずです。伝わりやすいテーマで、上手に飛べなくて途中へこたれる姿や半べそをかく姿もきちんととらえ、がんばる姿をスローモーションなどを使ったりして、時間経過を含め「努力する姿」が効果的に描かれていました

カメラの向こうでお子さんが縄跳びをする姿を黙って見守る父親の姿もイメージできました。欲を言えば、最後の締め、オチとなるカットをもう少し選びたかったところですが、お子さんが大人になったとき、すごい宝物になるのではないかと思いました。

こうした日常をαで収め、物語として紡ぐことで、単なる記録を特別な記憶に変えることができるのだなあと、改めて映像の持つ力を再確認できました。

収録された音声も良く、映像においてもジンバルなどを安易に使わず、手持ちやフィックスで撮影されているところにも好感を持ちました。これからも美しい思い出をαで紡いでいってくださいね。

α caféニューカマー限定部門

最優秀賞 『雨』whiterabbitさん


受賞理由(萩原氏):
カワセミと言えば、やはり鮮やかな羽で飛び込む姿が格好良い作品が多い中、本当に優しくて心安らぐ作品だなと思いました。

晩秋の雨の中、空を憂うようにカワセミが上を向き、瞳に寒空が映る様子、またそれを心配するかのような作者の優しい気持ちが伝わってくる作品です。

雨の軌跡の長さもとても的確で、シャッタースピードなどの設定も素晴らしいですし、カワセミにきちんとピントが合っていて、作者の技術力も窺える作品だと思います。

カンピオーネ限定部門

最優秀賞 『夢を乗せてTake off』こうちゃんパパさん


受賞理由(野口氏):
一見してまるで映画や童話の世界に迷い込んでしまったのではないかというような、不思議な感覚を起こさせる作品です。

画面の大部分を木々のシルエットで覆ってトンネルをつくって、そのすき間から観覧車や紙飛行機を飛ばす少年を覗き見るようなかたちにすることで見ているこちらと森のトンネルの向こうにある世界で、別々の時間が流れているような感覚にさせてくれます。

おそらく、作者にとってこの作品は、シャッターを切る前に、心の中ですでに出来上がっていたのだろうなと思います。

作品をつくる上で、技術的なことはもちろん大事ですけれども、何よりも作者の世界観、イメージする力、そういったものがとても大切になるということを改めて教えてくれた、素晴らしい傑作だと思います。

最後に、第11回のコンテストについて、審査員3名から総評が語られた。

野口氏:
今回非常に多くの素晴らしい作品を見せていただきました。機材の進歩に伴って技術的な差はなかなか生み出しにくくなってきていると思います。

そういった中でこれからやはり、作品に問われるのは、作者のイメージする力、どんな世界観を持っているかがより重要になっていくだろうと思います。

そして今回、確固たるご自分の世界観を持ってつくられた作品が多いことをとても嬉しく思っていますし、またそうした作品がコンテストで上位に入賞するということにもつながったのかなという気がします。

コンテストにおいては全体的なレベルも非常に高くなってきていますし、わずかなフレーミングやカメラポジションの甘さといった小さな差が積み重なって、順位選定の際に大きな変化になっているという状況です。

これからコンテストを目指される方は、ご自分の世界や意志を画面の隅々までしっかり反映させて作品づくりに取り組まれると、よりいっそうのレベルアップにつながると思います。

萩原氏:
コンテストの受賞作品は年々レベルが上がっていて、α caféの熱意が伝わってきました。テクニック的な部分はとても充実しているので、その先にある自己表現の世界を楽しみ始めている方も多いのではないでしょうか。

自己表現の世界を極めるには、自分の心に対して素直になって、感動した風景にとにかくたくさんシャッターを切ることが大切だと思います。

そうしていると、自ずと自分の世界観が築き上げられていきますし、道が開けてくると思います。αは美しい写真を撮らせてくれるので、カメラを信じて、是非あなたにしか撮れない作品、世界観を追求してください。

並木氏:
今回コンテストで皆さんの作品を見て、世界観としては撮っている皆さんの気持ちが伝わるものが多かったのです。

けれども、惜しいなあと思ったのはフレーミングや被写体の配置で、特に被写体を真ん中に置いてしまっている作品がすごく多くて、もうちょっと右だったらな、左だったらなと思うことが何度もありました

「ここに置いたら作品のイメージがどういう風に変わるかな」ですとか「この背景をもうちょっとこう入れたらもっと自分の気持ちが伝わるんじゃないか」といった試行錯誤をもっとしていただけたら、自分の世界観を強く表現できる作品が出来上がると思います。


受賞作品は、3月上旬に「α café」公式サイトでも発表される予定だ

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