映像や写真の表現が大きく変化する「レンズ」や「カメラ」には拘りを持っている方は多いが、意外と**メモリーカードは「価格重視」の方やあまり拘りを持っていない**という方も多いはずだ。
確かにレンズやカメラは画が変わり、とてもワクワクすると筆者も思うが、メモリーカードを変えても画は変わらないのでメモリーカードに掛けるコストを減らして、レンズやカメラの方に投資をする方の気持ちも十分に理解できる。
しかし、時としてメモリーカードに掛けるコストを惜しむことで様々な悲劇に見舞われたり、時間を大幅にロスしたりすることもある。今回はメモリーカードの重要性を紹介したいと思う。
サンディスクのメモリーカードを長年愛用する2つの理由
まず、筆者はメモリーカードには拘りがあり特定のブランドのメモリーカードを使用している。その中でも一番長く使用しているのがサンディスクのメモリーカードだ。数え切れないほどのメモリーカードを使用している筆者だが、サンディスクを使う理由は2つある。
筆者が愛用するサンディスク製品
理由その1:信頼性
1つ目は「信頼性」だ。信頼性こそがメモリーカードにおいて重要なこと。万が一、データなどが消えてしまったり、エラーを起こしてしまったりすると仕事においても作品撮りにおいても全てが終わりだ。
仕事のデータが飛んでしまうなんて「想像するだけでも恐ろしい」。苦労も信頼も失ってしまうので絶対にメディアには妥協したくない。
その点、サンディスクのメディアは様々なメーカーでカメラの開発時から基準メディアとして使われることも多く、多くのカメラと相性が良いのも魅力の1つ。
また、カードの新製品については、発売前にサンディスク社内での様々な機器との互換性確認はもちろんのこと、カメラメーカーへサンプルを配って事前に互換性に問題がないかの確認を行っている点も強みだ。
同じ種類のメディアでも対応している物もあれば、対応していない物もあるのでご自身が使用しているカメラの推奨メディアのメーカーや製品名を調べておくといい。ほとんどの場合サンディスクのメモリーカードは推奨メディアリストに掲載されているはずだ。
万が一、対応メディアではない場合、エラーが起こったり、撮影中に停止してしまったりすることもあるので注意しよう。近年はメディアの容量も増えてきており、一度データが飛んでしまうと失う物も非常に大きいので信頼できるメディアにしておくことが、撮影者の信頼にも繋がるので覚えておいて欲しい。
メディアの種類も様々だ。お使いのカメラに合わせて選ぼう。
理由その2:スピード
2つ目はスピード。サンディスクのメモリーカードも様々なスピードの物が用意されている。特にSDカードはUHS-IとUHS-IIでは容量が同じでもリード&ライトスピードは全く違う。
出来るだけ高速に書き込みたい場合やデータ量の多い動画を撮影する場合はUHS-IIがオススメ。高速書き込みによりヘビーな動画収録も安心だ。もちろんカメラがUHS-IIに対応していないと意味がないので確認してほしい。また、UHS-II対応のカードリーダーを使えばパソコンやSSDなどへの転送も爆速なのでデータのバックアップに掛かる時間も節約できる。
一方、リード&ライトスピードはUHS-IIよりは劣るがUHS-Iは多くのカメラで使用できコスパに優れている。大容量の物もコスパがよいのが特長。ただし、高速連写や高精細な動画撮影には向いておらず、また、バックアップする際の時間はUHS-IIに比べると時間が掛かるので自分の求める撮影や編集環境に合っているか、よく考える必要がある。
筆者はUHS-Iにしか対応していないカメラでもUHS-IIを使うことが多い。理由はPCやSSDへの転送の速度。明らかにUHS-IIの方が速いので時間の節約になるからだ。少しコストは掛かるが時間のことを考えるとスピード重視の方が長い目で見るとお得だと思う。
筆者が使用しているサンディスク純正カードリーダー
それぞれのメディアに応じたカードリーダーを使おう。
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メモリーカードで知っておくべき4つの重要な要素
ここでメモリーカードに書いてある重要な要素をいくつか紹介したいと思う。特にSDカードには様々な情報が書いてある。
最大読み出し速度、最大書き込み速度
まず、300MB/秒や170MB/秒は最大の読み出し速度、260MB/秒や90MB/秒は最大の書き込み速度のことだ。こちらの数値が大きい方が高速メディアということになる。
UHSスピードクラス
次にUHSスピードクラス。Uの中に数字が書いてあるのがUHSスピードクラスのこと。UHSとはUltra High Speedのことで、U3の場合は最低30MB/秒保証ということになる。U1の場合は最低10MB/秒保証になる。
ビデオスピードクラス
さらに動画撮影で重要になるのがビデオスピードクラス。V30やV60、V90などがある。こちらも最低書き込み速度のこと。従来のUHSスピードクラスではU3の30MB/秒までしか対応していなかったが、ビデオスピードクラスは60MB/秒や90MB/秒の速度もカバーしている。
4K動画や6K、8K動画を撮影する場合には重要になる。低速のメディアで4Kや6Kなどの動画を撮影すると途中で止まってしまうので、撮影する前にしっかりとビデオスピードクラスを確認するようにしよう。
SDカードのUHS-IとUHS-II。見た目は似ているが、ラベルに書かれているIやIIで区別ができる。
データの高速転送を実現するため、カード裏面の端子が2列になっているのが(写真左側)がUHS-II。右がUHS-I。
UHS-IとUHS-IIカードの転送速度を比較テスト
実際にUHS-IとUHS-IIカードに同じデータを書き込んで転送のテストをしてみた。使用するカードリーダーはSanDisk純正のImageMate PRO USB-Cマルチカードリーダーを使用した。
カードに拘ったら、カードリーダーにも拘ることが重要だ。筆者は純正を使うようにしている。
今回の転送速度テストはシンプルに約30GBのデーターをSSDに保存するのにどの程度時間が掛かるのかテストしてみた。使用するSSDは筆者愛用のSanDisk Extreme PRO Portable SSD 500GBのモデル。
テストの結果は
UHS-IIのメディアの転送時間は約1分53秒
UHS-Iのメディアは約2分58秒
という結果になった。
30GBのファイルなので差は1分くらいだったが、100GBの場合だと3.3倍以上時間差が出てくる。筆者の場合だと同じバックアップを4回行うのでUHS-IIで時間を短縮できるのは非常にありがたい。
バックアップワークフロー
ここで筆者のバックアップワークフローを紹介したいと思う。
筆者のバックアップは2段階に分けている。まず始めに撮影が終わったら、記録メディアからひとまずSSD4台にバックアップをする。
そこから、プロジェクトが終わるまで記録メディアとSSD4台をキープ。2段階目は、プロジェクトが終わったらRAID 0のHDDと2台のポータブルHDDにデータを移動させて保管およびバックアップしている。
まず、撮影データをSSDに移動させる理由はシンプルに時間の節約だ。
例えば1TBのデータをポータブルHDDなどに移動させると1時間以上掛かってしまう。しかし、高速のSSDであれば1/5程の時間で転送できるので時間の節約になる。ただ、SSDは長期でデータを保管するにはコスト高なのでプロジェクトが終わり次第大容量のHDDに保存するようにしている。
ポータブル HDDにも保存する理由は地震などの天災によりメインのHDDが落下して壊れてしまった場合などを想定している。そのポータブルHDDはハードケースに入れて保管しておくとより安心だ。何が起こるか分からない世の中なので、万が一に備えることが重要だと思っている。
記録メディアは消耗品。定期的に買い替えることが何より重要
筆者が愛用しているHDD、SSD、メモリーカード。全て、サンディスクブランドを展開するウエスタンデジタル社製だ。
筆者が思うに記録メディア自体は消耗品だと思っている。
サンディスクのメモリーカードは非常に優秀でエラーも起こったことはないので安心して使っているが、筆者は仕事用のメディアは1年に一度全て新品に買い換えをしている。
正しいのか分からないが、書き込みや読み込みが続くといつエラーが起こるか分からないのもあり、1年を節目に新しいものに変更をしている。
データを失って怖い思いをするよりも一年に一度新しいメディアを購入した方が結果安いと思っている。データ復旧などに出すとかなりのコストも掛かるので新しいメディアを定期的に購入することがベストな選択だと感じている。
また、サンディスクのメモリーカードにはモデルにもよるが、無期限保証がついている。また、1年間使用できるデータ復旧ソフトも付属している。万が一、ミスでフォーマットしたり、データを消した場合でも高い確率でデータを取り戻すこともできるので、安心感もある。
とはいえ、1年を節目に買い替えているのは筆者の場合なので、まずは安心して信頼できるメーカーの製品を購入し、その後はメーカーの保証期間が過ぎたら新しいものに買い替える、もしくは、カメラを買い替えた時にメディアも買い替えるなど、タイミングをみて買い替えることをオススメする。
是非、皆さんもメモリーカードはどこのメーカーでもいいと思わず、折角の画像データや動画データを安心して保存できるメディアを選択して使用していただきたいと思う。
KOJI_UEDA@KOJI_UEDA
米国サンフランシスコに留学し、写真と映像の勉強しながらテレビ番組、CM、ショートフィルムなどを制作。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントを経て、フリーランスのフォトグラファーとして活動開始。ライフワークとして世界中の街や風景を撮影。ドローン撮影や特機での撮影も...
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