2022.05.24 (最終更新日: 2022.09.20)

DaVinci Resolve 18 新機能まとめ 〜カラー編〜

このページでは、DaVinci Resolve 18の新機能のうちカラーページの新機能について解説します。今回のアップデートでは、マジックマスクが進化を遂げたことが最大の注目点として挙げられるでしょう。普段のメジャーアップデートのときと比べて項目数はかなり少ないですが、オブジェクトマスクだけでも相当のインパクトがあるのではないでしょうか。

オブジェクトマスク

今回のカラーページのアップデートの目玉はなんといっても、オブジェクトマスクです。どう考えても、誰がなんと言おうが、この事実は変えようがありません。DaVinci Resolve 17ではマジックマスクというセクションが新たに追加されました。これはDaVinci Neural Engine(AI)を使って、自動的にマスク(ウィンドウ)を作り、トラッキングまでできる機能でした。つまりこれまでパワーウィンドウツールとトラッキングツールを使って、一部マニュアルでやっていたことが、マジックマスクツールでは全自動でできるというわけです。しかしDaVinci Resolve 17の段階ではひとつ落とし穴がありました。それはこのマジックマスクが対象としているのは人物(つまり人間)のみである、ということです。炎、水、電気、草、氷、地面、虫、岩、ドラゴンといった、人間ではないものは対象として認識されませんでした。今回からは人間以外のあらゆるものが対象になります。それがオブジェクトマスクです。

マジックマスクはカラーページのツールのひとつです。トラッカーツールとブラーツールのあいだにあります。

マジックマスクは2つのモードに分かれています。デフォルトではオブジェクトマスクが選択されています。

もうひとつは人物モードです。これは人間を対象にしたマジックマスクです。DaVinci Resolve 17から存在するマスクです。

使い方は簡単です。マジックマスクのモードで、ビューワーで対象物をドラッグします。人物のときには短く線を描いて、オブジェクトのときには長く線を描くことをお勧めします。

どこが選ばれているかを見極めるには、「マスクオーバーレイを切り替え」ボタンを選んでください。

人物マスクモード

オブジェクトマスクモード

モードの選択は間違えないようにしましょう。人物は人物マスクモード、人物以外はオブジェクトマスクモードを使用することが大事です。オブジェクトマスクモードで人物を選択したり、人物マスクモードで人物以外を選択したりすることは可能ですが、自動選択やトラッキングの精度が悪くなります。だからちゃんと2つのモードのうち正しいモードを選ぶように注意しましょう。

自動選択の段階で対象物がうまく選ばれないときには、品質を切り替えましょう。「速度優先」を「品質優先」にします。こうすると精度が高くなり、より正確に対象物が選択がされるようになります。ただし「品質優先」だとトラッキングの速度は遅くなるのでご注意を。

うまく抜けない場合には、ストローク(選択の線ですね)を追加するのもひとつの手です。+マークで選択範囲を拡大、-マークで選択部分を一部削除できます。ビューワー上では、青が+、赤が-を示しています。

選択が完了したら、トラッキングを開始しましょう。普通の再生ボタンを使ってもいいですが、この両矢印のボタンを押すと、順再生と逆再生を両方やってくれるので、クリップ全体に対してマジックマスクのトラッキングを完了できます。

トラッキングは遅いです。普通のパワーウィンドウのトラッキングに比べると、かなり遅いと感じてしまうのではないでしょうか。しかしこれを自分で手動でやろうと思ったら、もっと時間がかかります。だから気にしないでください・・・とまでは言えないですが、まあ、のんびりトラッキングが終わるのを待ちましょう。コーヒーを入れたり、フルーツを切ったり、キャベツの千切りをしたりしながら時間をつぶしましょう。

このマジックマスクを使うと何ができるか? 代表的なものを3つ紹介しましょう。

1. 対象物にエフェクトをかける

1つめはいちばんシンプルなやつです。パワーウィンドウと同じような使い方で、選ばれた箇所を明るくしたり暗くしたり、シャープにしたりぼかしたり、モザイクをかけたり色を変えたりします。

2. 対象物を切り抜く

2つめは人物やオブジェクトの切り抜きです。通常、対象物をべつの画像に合成する際には、グリーンバックのクロマキー合成などの方法を採る必要がありますが、このマジックマスクを使えば、グリーンバックがなくても、お手軽に合成ができます。マジックマスクを使ってアルファチャンネル(透かし)を作るには、カラーページのノードセクションの背景で右クリックして、「アルファ出力を追加」を押します。

そしてノードの青い出口を、新しく追加されたアルファ出力に接続します。これによりマジックマスクで選択された以外の部分がアルファチャンネルに変換されます。

あとはエディットページで背景の映像を下に敷けば、合成の完成です。

前景

背景

合成後

3. テキスト合成

3つめは上の合成の応用です。マジックマスクを使えば、テキストを被写体と背景のあいだに自然に挟み込めます。ここではエディットページでのトラックの重ね方が重要です。

いちばん上のトラックにはマジックマスクでアルファチャンネルをつけたクリップを置きます。真ん中のトラックにはテキストを配置します。いちばん下のトラック人はマジックマスクを適用していないオリジナルのクリップを置きます。

こうすることによりテキストを合成できます。

人ではない対象物でも、今回追加されたオブジェクトマスクを使えば一発です。

上にあげた3つの例は、あくまでも一部の作例にすぎません。マジックマスクの使い道は限りなく存在しているはずなので、自分にあった面白い使い方を見つけてみてください。

NVIDIAさんの動画でもオブジェクトマスクが紹介されています。

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「カラーマネジメントをバイパス」の機能を拡張

RCM(Resolve Color Management)を使っているとき、クリップを右クリックすると「カラーマネジメントをバイパス」というメニューが出てきます。これはカラーマネジメントの変換を、そのクリップだけ無効化する機能です。今まではテキスト+クリップや調整クリップが上のトラックにあるとき、下のクリップの「カラーマネジメントをバイパス」がうまく機能しないというケースがありましたが、今回からはそのようなことはなく、スムーズに機能するようになっています。そして今回のアップデートに併せて調整クリップのコンテクストメニューから「カラーマネジメントをバイパス」が消えています。

ACESでBlackmagic Gen 5のカラーサイエンスに対応

全国のACES & Blackmagicファンの皆様、お待たせしました。Blackmagic Gen 5のカラーサイエンスに対応しました。ACES Input Transform(IDT)に、Blackmagic Design Film Gen 5という選択肢が追加されています。

「Blackmagicのファンだけど、ACESのことはよくわからん」という方もいらっしゃると思いますが、大丈夫です、あまり気にしなくてもよろしいかと・・・。

ACESレファレンス色域圧縮がデフォルトでオンに

これもACESファン限定のお話です。プロジェクト設定のACES設定の中に、Apply ACES reference gamut compress(ACESレファレンス色域圧縮)という項目があります。今回からこれがデフォルトでオンになっています。ACES 1.3で高彩度の画像を変換した際に生じる色飽和を回避することができる・・・らしいです。しかしACESに関してはほぼすべての文章が「ようです」「みたいです」「と思われます」みたいな感じでで終わってしまいますね。

ACES色域圧縮を書き出し時にオフに

前述のとおり、ACES 1.3使用時にはプロジェクト設定内で色域圧縮機能が使えますが、これがデリバーページで無効にできます。ラウンドトリップでできるだけ変換の処理を加えずにべつのソフトウェアに素材を送りたいときなどに使えます。

HDR Vividに対応

ACESファンに続きまして、今度は全国のHDRファンの皆様にニュースです。HDR Vividという規格に対応を開始しました。これまでもHDR規格としてはDolby Vision、HDR10+のふたつに対応してきましたが、ここに新たにHDR Vividが加わりました。HDR Vividの特徴はなんでしょうか? HDR Vividは中国発のHDR規格です。Dolby VisionやHDR Vividと同じく、ダイナミックメタデータを使用しています。全フレームを分析する必要がありますが、DaVinci Resolve 18はその自動分析をサポートしていて、マニュアルでの細かいパラメーターの調整にも対応しています。しかしDaVinci Resolveは新しいテクノロジーへの対応が早いですねえ・・・(と話を変える)。


DaVinci Resolve Mini Panel、DaVinci Resolve Advanced Panelに機能を追加

DaVinci Resolve 17.4で、両方向トラッキングボタンが追加されたのはご存知のとおりです(ご存知ですよね?)。クリップ全体をトラッキングするための機能です。再生ヘッドがクリップの途中にあっても、これを押せば順方向と逆方向を両方トラッキングしてくれるので、まずは順方向、次に逆方向、という風に2回ボタンを押さなくてもよくなります。今回はDaVinci Resolve Mini Panel(2021年10月に値下げされました)とDaVinci Resolve Advanced Panel、この2つのコントロールパネルでこの機能が使えるようになりました。

そのほかにも、このバージョンにはパネルへの機能追加が多く含まれています。
* Mini PanelとAdvanced Panelでマットフィネスと3Dクオリファイアーに対応
* Advanced PanelでDolby Visionのハイライトクリッピングの項目に対応
* Advanced Panelでカラー出力のバイパスに対応
* Advanced Panelでキーミキサーを追加した際にキー出力を自動接続

WindowsとLinuxでビューワーの10bit表示に対応

これまではDaVinci ResolveでGPUから全画面表示にした際、どういうわけかMacでしか10bit表示ができませんでした。Windows、Linuxでは、どのようなGPUを使っても、必ず8bitで映像がビューワーに表示されていました。だからDeckLink/UltraStudioを導入しないと、Windows、Linuxでは10bit表示ができなかったわけです。しかし今回からはめでたくWindows、Linuxでも、GPUからの出力で10bitが出せるようになりました。これでどのOSを使っても、UItraStudio/DeckLinkを使っても使わなくても、10bitが必ず表示できるようになっています。

これはカラーページに限ったアップデートではないのですが、8bitか10bitかというのは、カラーページを使われている方がいちばん気になる項目ではないかと思いこちらの記事に記載することにしました。もちろんカラーページに限ったことではないので、カットページでも、エディットページでも、Fusionページでも、Fairlightページでも、出力映像は常に10bitです。環境設定での設定をお忘れなく。

Apple Neural EngineをDaVinci Neural Engineに使用

M1 Macにはハードウェアの中にApple Neural Engineが搭載されています。DaVinci ResolveにはAIを活用した技術としてDaVinci Neural Engineが搭載されています。これまでは両者は名前が似ているだけでとくに関連性はありませんでした。しかし今回からはM1 Mac、M1 Pro Macにおいて、Apple Neural EngineがDaVinci Neural Engineの処理に使われるようになりました。これは大きいです。DaVinci Resolveの中にある多くのDaVinci Neural Engineを使用した機能が、パフォーマンス向上の恩恵を受けることを意味するからです。

DaVinci ResolveのAIテクノロジー 〜DaVinci Neural Engineでできる10のこと〜

DaVinci Neural Engineというテクノロジーをご存知でしょうか? DaVinci Resolve 16から搭載された技術で、AIを使って高度なエフェクトを適用したり、時間のかかっ...

この記事の最初で紹介したマジックマスクもそのうちのひとつです。

Dolby Vision対応のH.265書き出し

Dolby Vision対応のH.265書き出しに対応しました。

RED SDK 8.2.2

REDの最新SDK、8.2.2に対応しました。

ARRI Alexa 35

18.0ベータ6から、ARRI Alexa 35のフッテージに対応を開始しました。

リモートグレーディングでクリップグループを同期

リモートグレーディングを使用したとき、グループモードでのグレーディングが可能になりました。これまではリモートグレーディングではクリップ単位のグレーディングが想定されていて、グループ単位でのグレーディングをするとそれがリモート操作を受けている側でクリップ単位で適用されていましたが、これが修正されています。

「リモートグレーディングとは何か?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。いい機会なのでここで紹介しておきましょう。リモートグレーディングとは、片方のマシンでグレーディングをしたら、それがリアルタイムでもう片方のマシンにも反映される、という機能です。TeamViewerと似ていますが、伝送されるのは映像ではなく操作の内容なので、リモート操作を受けている側も、リモート操作をしている側と同じ水準の品質で映像を視聴できます。カラリストとクライアントが別々の場所にいるときなどに便利な機能です。使い方は次のとおりです。

  1. リモートグレーディングでは、2つのマシンが同じネットワークの中にいる必要があります。同じ敷地内ではなく、遠隔での接続が必要であれば、VPNの設定が必要です。
  2. 2つのマシンは、同じプロジェクト、同じ素材を持っている必要があります。事前にカラリストはクライアントにデータを送っておきましょう。同じバージョンのDaVinci Resolveのインストールも必須条件です。
  3. 両者は同じタイムラインを開き、カラーページを開きます。 クライアント(つまりリモート操作を受ける側)は、「ワークスペース」のプルダウンメニューから、「リモートグレーディング」を押します。カラリストのマシンのIPアドレスを入力します。
  4. カラリスト側にメッセージが届くので、「同意する」を押します。
  5. これ以降、カラリストの側で操作をした内容が逐一クライアント側に伝送されます。逐一、と書きましたが、ほんとに逐一で、たとえばカラリストがカーブを試行錯誤しながらいじるとすると、そのいじる様子が毎秒毎秒送信されるので、クライアントはその試行錯誤がそのまま見えます。クライアント側はこのようなウィンドウで伝送状況をモニタリングできます。
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