クライアントワークで大切な行程の1つにプレビューチェックがあります。
みなさんはどのような方法で行っていますか?
リモートワークの習慣が根付いた昨今、編集した映像をファイル転送サービスを使用してデータを送ったり、YouTubeに限定公開してURLを送ったりと、遠隔地のクライアントにリモートでチェックしてもらうことも多くなってきました。
今日ご紹介するFrame.ioは、そんなリモート環境でのプレビューチェックをシームレスかつ安全に行えるとても有用なサービスです。ただ、基本はサブスクリプション制のサービスのため、ある程度ハイエンドな現場環境に限られて使われてきた印象があります。
しかし・・・2022年4月、Adobeアップデートにより大きな変革が起こりました!
Premiere ProとAfter Effectsにデフォルトで「Frame.io」が搭載されたのです。これにより今までフリープランで2GBのストレージ容量だったものが、Adobe CC 契約者であれば100GB使えることになりました。
(小・中・高および高等教育機関向けに販売されるすべてのプランは除く)
100GBあればリモート共有するためのストレージとしては十分な容量だと思います。つまりAdobeユーザーであれば実質無料でこのサービスを使えることになります。使える機能もとても充実したものなので、ぜひご一読いただきお試しいただけたらと思います!(本記事ではPremiere Proをベースにご紹介しています)
Frame.ioの説明を動画でご覧になりたい方はこちらをどうぞ。
【プレミアノートPremiere Note】
「Frame.io」を大解剖!PremiereProに最強のプレビューツール搭載!2022.4アップデート!
前述した通り、このサービスは編集がひと通り終わった段階で使用するものになります。編集者側とクライアント側の立場を切り替えながら説明していきますね。(Premiere Proのバージョンは22.3.0以上である必要があります)
【編集者側】
今回はPremiere Proのシーケンス上に、ひとまず編集し終えた素材がある状態から説明します。
ワークスペースをレビューに切り替えると、左上にFrame.ioのパネルが配置されます。
パネル内のContinue with your Adobe IDをクリックするとご自身のAdobe IDでログインできます。
Frame.ioパネルの左上「Select a project」のプルダウンを開き「Add Project」で新規プロジェクトを作成します。
(ここでの「プロジェクト」とはPremiere Proのプロジェクトではなく、Frame.io独自のプロジェクトになります)
プロジェクト名を入力し「Create」で作成できます。これでクライアントと映像データを共有する領域が準備できました。
次に「Upload」を押して「Active Sequence」を選択すると、アップロードに関する設定のダイアログが表示されます。
各項目を設定しましょう。
Name アップロードする動画の名前(ここでは「001」→任意でOK)
Preset アップロードする動画の解像度やコーデック(ここでは「Web 1080」→容量軽めのHD)
Range アップロードする動画の範囲指定(ここでは「Whole Sequence」→シーケンス全体)
Render to アップロードする動画の仮書き出し先(ここでは「デスクトップ」→任意でOK)
これで「Upload」ボタンを押すと、Media Encoderが立ち上がりバックグランドで書き出しが始まり、書き出し後にアップロードが自動で行われます。(Frame.ioパネルに進行状況が表示されます)
アップロードが完了したらサムネイルにマウスポインタを合わてみてください。「・・・(Item Options)」が表示されるので、クリックしてプルダウンを表示し、「Share for Review」を選択しましょう。
(エラーが表示される場合はFrame.ioパネル右上のリロードボタンを押して再実行してください)
URLリンクが表示されると思います。このURLにアクセスすると、誰でも動画をプレビューすることができるという仕組みです。
URLをコピーし、クライアントに送ってください。
【クライアント側】
届いたURLをWEBブラウザで確認します。スマホでも確認できます。
(2022.5現在、SafariはバグがあるようなのでChromeなど別のブラウザをおすすめします)
動画のプレビュー画面が開き、ログインしなくても再生・視聴が可能です。
キーボードの「J・K・L」キーで、シャトル操作も可能(再生・停止・早送り・早戻しなど)。
画面下にあるコメント欄を使用して、任意のタイミングにコメントを記入することができます。
「send」ボタンを押すと、クライアント側のメールアドレスの入力が求められます。メールアドレスを入力して「Continue」を押せば、瞬時に編集者側のPremiere Proに反映され、タイム情報と共にコメントが共有できます。
(2回目以降はメールアドレスの入力は必要なく「send」ボタンを押すだけでOK)
【編集者側】
編集者のPremiere Proにはコメントが記入されたことが通知されます。(サムネイル右下)
サムネイルをダブルクリックすると拡大され、プレビュー画面下にクライアントが入力したタイミングにマークが記されています。
マークをマウスオーバーするとクライアントからのコメントが確認でき、クリックするとPremiere Proのタイムラインが連動し、再生ヘッドが移動してマークされたフレームがプログラムモニターに表示されます。
ここまでのやりとりだけでも、安全かつシームレスなフローがひしひしと伝わってきますよね、めちゃくちゃ便利!
でも、まだまだです!!さらなる便利機能はこちら!!
【クライアント側】
次は、コメント以外の伝え方も紹介します。さきほどと同じように修正をしたいタイミングで再生を止めて、コメント欄にある「筆」のようなアイコンをクリックしてください。
いろいろとツールのようなアイコンが出てきました。これらはプレビュー画面の映像に書き込むためのツールです。
「手書き」「矢印」「四角」「直線」など、画面に直接書き込み、ビジュアル的に伝えることができます。
しっかり書き込んで「send」ボタンを押して送りましょう。
【編集者側】
クライアント側から送られてきたマークをクリックすると、見事に「画面に書き込んだ」情報が反映されています。視覚的に修正ポイントを共有できることにより、編集者も修正内容を的確に把握して作業にかかれます。
【クライアント側】
ここまでは、修正するタイミングを1つのフレームを指定して伝える形でしたが、マークの左右に表示される[ ]をドラッグして動かすことで、イン点・アウト点のように「マークの範囲を指定」することも可能です。伝えたい内容に合わせて上手に活用してみてください。
【編集者側】
指定されたポイントを参照しながら、修正作業を行います。修正が終わった後は、もう一度「Upload」を行います。
この時「Upload Sequence」のダイアログで「Auto-version」がオンになっていることを確認してください。
この項目をオンにすると、アップロード完了後、自動的に最初にアップロードしたサムネイルに組み込まれ、サムネイル右上に複数のバージョンがあることが数字(ここでは2)で表示されます。
自動的に1つのサムネイルにまとまらない場合は、サムネイルをドラッグして重ねるように持っていきましょう。1つのサムネイル内にバージョン違いとして組み込まれます。
【クライアント側】
編集者側で追加・更新された内容は、元々のURLでブラウザを更新(リロード)することで内容も反映されます。(追加で別のURLを発行・取得する必要はありません)
新しくブラウザ画面の上の部分にバージョン情報が追加されました。ここで、新しいバージョンと過去のバージョンを切り替えて表示することができます。さらに「Compare versions」をクリックすると、左右に画面に分かれて2つのバージョンが表示されます。
再生すると2つの動画が同時再生され、容易に比較することが可能です。
それぞれのプレビュー画面の上にあるオーディオのマークをクリックすると、選択した方の動画の音声がモニターできます。1クリックで簡単に切り替えられるので簡単に音の比較ができます。
いかがでしょうか?いやーめちゃくちゃ便利ですよね。
本記事ではFrame.ioの基本的な使い方をご紹介しましたが、プロジェクトの管理とか、チームメンバーの管理とかで、もっとセキュアな使い方もできそうです(僕もまだ試せてませんが・・・笑)
とりあえず、ご紹介した使い方だけでもかなり有用なツールだと思うので、まずはお試しいただいていろいろ可能性を探っていただけたらと思います。
このほかにもPremiere Proに関する情報をYouTubeで発信していますので、よろしければこちらもご覧ください。
YouTubeチャンネル【プレミアノートPremiere Note】
また、FacebookでPremiere Proユーザーグループも運営しています。
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素敵な映像制作ライフを!
市井義彦@ittsui
株式会社Command C 代表取締役。大阪で映像制作を生業にしています。Adobe Community Evangelistであり、PremiereProユーザーグループの代表です。
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