DaVinci Resolve 18の新機能ベスト18

2022.06.30 (最終更新日: 2022.09.16)

2022年4月19日、DaVinci Resolve 18のベータ版がリリースされました。それ以来、ベータ版は定期的に更新され続けています。アップデート項目は100点以上ありますが、全部チェックしていくと時間がかかってしまうので、「いいから要点だけを教えてくれ」とおっしゃる方もおられるかもしれません。そのためにこの記事を作ってみました。この記事ではDaVinci Resolve 18の新機能のうち、重要なものを18個厳選しています。

各ページ、各テーマでもっと詳しく知りたいという方は、こちらの記事をご覧ください。ただ全部合わせると本当に100項目くらいあるので、ご自身でとくに知りたいページやテーマに絞ってご覧いただくとよろしいかと思います。

DaVinci Resolve 18 新機能まとめ 〜エディット編〜

このページでは、DaVinci Resolve 18の新機能のうちエディットページの新機能について解説します。今回のアップデートの注目点は、字幕機能です。そのほか、25画面マルチカムや、「タイム...


DaVinci Resolve 18 新機能まとめ 〜Fusion編〜

DaVinci Resolve 18のFusionページの最大のアップデートは、日本語対応です。設定も、ノードも、パラメーターも、ユーザーインターフェースが全部日本語になっています。そのほかにも...


DaVinci Resolve 18 新機能まとめ 〜カラー編〜

このページでは、DaVinci Resolve 18の新機能のうちカラーページの新機能について解説します。今回のアップデートでは、マジックマスクが進化を遂げたことが最大の注目点として挙げられるで...


DaVinci Resolve 18 新機能まとめ 〜Fairlight編〜

DaVinci Resolve 18の新機能まとめシリーズは、Fairlight(例の音声編集のページです)からスタートします。今回の18のアップデート項目を見回してみたとき、ページ別に見れば、...


DaVinci Resolve 18 新機能まとめ 〜Resolve FX編〜

この記事ではDaVinci Resolve 18で追加されたResolve FXの新機能、そして向上したResolve FXの機能についてご紹介していきます。Resolve FXは、ご存じのとお...


DaVinci Resolve 18 新機能まとめ 〜Proxy Generator編〜

この記事ではDaVinci Resolve 18で新たに追加されたアプリ、Blackmagic Proxy Generatorをご紹介します。このアプリケーションはDaVinci Resolve...

Blackmagic Cloud

DaVinci Resolve 18のアップデートの最大の注目機能はBlackmagic Cloudです。これを超えるインパクトのある新機能は存在しません。これはプロジェクトファイルをクラウド経由で共有するための機能です。8月に日本でもサービスが開始されました。

この動画で詳しく解説しています。

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Blackmagic Cloud Presentations

これも目玉機能です。イメージとしては、ZoomやGoogle MeetやMicrosoft Teamsなどのウェブ会議システムに、動画レビュー機能を加えたものと考えるとわかりやすいと思います。しかしこれもまだサービスが開始されていません。これは日本のみならず、アメリカでもヨーロッパでも同様です。こちらもサービスが開始されたら記事を記載予定です。それまでのあいだもうしばらくお待ちください。

Blackmagic Proxy Generator

DaVinci Resolve 18をインストールすると、Proxy Generatorというアプリケーションが自動的にインストールされます。これは素材を小さなサイズのファイルに変換するためのツールです。シンプルなつくりのアプリですが、マシンスペックが低いので軽いファイルを作らないといけないときや、ほかの人とコラボレーションするときなどに効果を発揮します。

詳しくはこちらから。

DaVinci Resolve 18 新機能まとめ 〜Proxy Generator編〜

この記事ではDaVinci Resolve 18で新たに追加されたアプリ、Blackmagic Proxy Generatorをご紹介します。このアプリケーションはDaVinci Resolve...

字幕ツール

エディットページでは字幕ツールが強化されています。これまでは同じタイムコードの位置に字幕を複数載せることができませんでしたが、今回からはAdd Subtitle Regionを押すと、「字幕領域」が追加されて、複数の字幕を追加できるようになりました。そのほかにもDaVinci Resolve 18には細かい字幕機能の向上が含まれています。

詳しくはこちらから。

DaVinci Resolve 18 新機能まとめ 〜エディット編〜

このページでは、DaVinci Resolve 18の新機能のうちエディットページの新機能について解説します。今回のアップデートの注目点は、字幕機能です。そのほか、25画面マルチカムや、「タイム...

テキスト系のパフォーマンス向上

エディットページでお馴染みのFusionタイトルテンプレートが高速化しました。ノードの繋ぎ方やパラメーターの動かし方などを見直すことで、タイトルテンプレートがさくさく動作するようになっています。ウェブページの文言を引用するなら、「新しいメモリー管理およびデータ管理によって、Fusionテンプレートが最大200%高速化」したそうです。同じくエディットページのツールボックスのFusionエフェクトも速くなっています。

5x5の25分割のマルチビュー画面に対応

マルチカム編集がさらに進化しました。これまでのマルチビュー画面で一度に表示できるアングルの数は4x4の16が限度でした。それ以上のソースがある場合には、ページをまたがないといけませんでした。DaVinci Resolve 18からは、5x5の25分割画面に対応しています。これで25カメのマルチカム編集もお手の物です。

Fusionページの日本語対応

Fusionページが日本語に対応しました。DaVinci Resolveではほぼすべてのセクションが日本語化されていましたが、Fusionページは最後の砦でした。これまで日本人ユーザーの方からのリクエストも多かったため、今回実現できてよかったです。ちなみにノードの名前だけは、デフォルトでは英語表示になっていると思います。これを変更するには、Fusionのプルダウンメニューから「Fusion設定」を開いて、「ローカライズされたノード名を使用」にチェックを入れてください。そうするとノードの名前も日本語表示されます。

オブジェクトマスク

今回のカラーページのアップデートの目玉はなんといっても、オブジェクトマスクです。DaVinci Resolve 17ではマジックマスクというセクションが新たに追加されました。これはDaVinci Neural Engine(AI)を使って、自動的にマスク(ウィンドウ)を作り、トラッキングまでできる機能でした。今回のDaVinci Resolve 18からはこれまでの人間に加えて、人間以外のあらゆるものが対象になります。それがオブジェクトマスクです。わかりやすく言い換えると、DaVinci Resolve 17までは地球人しかトラッキングできませんでしたが、DaVinci Resolve 18からは宇宙人も宇宙船も惑星もトラック可能になりました(もっとわかりにくいか)。

Resolve FX Depth Map

今回のアップデートでは、追加されたResolve FXがなかなか面白いです。Resolve FXについてご存知ない方に説明をしておくと、Resolve FXというのはDaVinci Resolveに標準搭載されているビデオエフェクトです。全部で80種類くらいあります。カットページ、エディットページ、Fusionページ、カラーページ、どこでも使えます。

追加されたResolve FXの筆頭、Depth Mapは、映像から自動的にDepth Map(深度図)を作り出してくれる機能です。DaVinci Neural Engine(AI)を使って、被写界深度をもとに前景と背景を分離してアルファチャンネルを生成します。背景のみを修正したり、特定の対象物を抽出したり、リアルな霧を合成したり、ボケを強めたりと、この深度図の活用方法は様々です。Fusionページで使ってもいいし、カラーページで使ってもいいでしょう。

Resolve FX Surface Tracker

同じResolve FXではSurface Trackerもすごいです。洋服などの凹凸のある面をトラッキングできるメッシュトラッカーです。DaVinci Resolveにはパワフルなパワーウィンドウとトラッカーがありますが、これらは平面を抽出することを想定しています。映像を3D的に考えてトラッキングすることまではできますが、でこぼこの面のことまで考慮に入れて設計されているわけではないので、洋服や水面などの、歪みや凹凸のある面を立体的に捉えて、正確にそこをトラッキングすることはできませんでした。今回追加されたSurface Trackerは、まさにそれができます。

Resolve FX Despill

Despillは色かぶりを抑えるツールです。地味ですが使い勝手はいいです。グリーンバック合成のとき、「スピル除去」という機能を使って、被写体に載ったグリーンを取り除く作業をふみますが、このResolve FXはそのスピル除去が独立したものとお考えください。もちろんこのツールはグリーンバックなどの合成の色かぶりの補正作業にも使えますが、それだけではなく、森の中の撮影などで色が被写体に反射して、グリーンバック合成をしていないのに色が載ってきたときにも使えます。被写体の色かぶりを抜くということでは、優れた自然な結果が引き出せるはずです。

オリジナル

Despill適用後

Resolve FX Fast Noise

Fast Noiseはノイズを生成するエフェクトです。Resolve FXのテクスチャーの項目にあります。これまでFusionページにあったFast Noiseツールが、ほとんどそのままResolve FXの世界にもたらされました。簡易的に霞や霧や靄(区別が難しいですが)を生成し、映像に載せられます。熱波によるかげろうのような効果も生み出せます。

Resolve FX BeautyのUltraモード

Resolve FXのリファインの項目に、ビューティーというエフェクトがあります。これは今までも存在していました。今回加わったのは、ビューティーの新しいモード、Ultra Beautyです。ビューティーは主に人間の肌を美しく見せるためのエフェクトですが、そこに新たなツールが追加されたわけです。Ultra Beautyの特徴を一言で表すなら、肌をなめらかにしたあとで、ディテールを取り戻すことができることです。ミッドトーンディテールやほかのツールを使っても肌は滑らかになるのですが、どうしても肌をなめらかにしようとするとディテールが失われていきます。Ultra Beautyにはその絶妙なバランスを取るための多くのパラメーターが用意されています。

Dolby Atmosバイノーラルモニタリングに対応

Dolby Atmosでのミキシングの際、モニタリングの選択肢としてバイノーラルが選択できるようになりました。バイノーラルはモニタリングだけではありません。Dolby Atmosのクリップを読み込んで、クリップ属性を開くと、これまでにはなかったBinauralという選択肢が加わっています。この選択肢を選んでから、クリップをそのまま書き出したりバウンスしたりすれば、バイノーラルの音声を作成することができます。


DaVinci ResolveはDolby Atmosにフル対応しています。DaVinci ResolveにおけるDolby Atmosの読み込み、書き出し、ミキシングなどについて詳しく知りたい方はこちらの動画をご覧ください。

サブフレームナッジ

1フレームよりも細かい単位、つまりミリ秒やサブフレームといった単位で、ナッジができるようになりました。ナッジというのは、編集点やクリップを右や左にちょっとずつ動かすことを指します。設定は環境設定の「編集」(Fairlightではなく)のタブにあります。

ネスト化されたオーディオクリップの展開

Fairlightページでは、タイムラインの中にべつのタイムラインを持ち込み、そのタイムラインをひとつのトラックとして扱うことができます。いわゆるネスト化と呼ばれる機能です。これまでのバージョンでもネスト化自体はできました。今回追加された機能は、ネスト化されたタイムラインの展開です。

タイムラインクリップを右クリックすると、Decompose in Place(ここで展開)というコンテクストメニューが現れます。このDecompose in Placeはエディットページにもあります。

オーディオミキサーの進化

Fairlightオーディオミキサーが進化しました。EQ、ダイナミクス、プラグインなど、改善されたのはごく細かいところばかりですが、普段の作業には役に立つと思います。

  • EQ、ダイナミクスにプリセットを追加
  • EQのQファクターをマウスで調整
  • ダイナミクスグラフのグラフィックが進化
  • コンプレッサーにニーとミックスのパラメーターを追加
  • プラグインの置き換えに対応
  • パン、EQ、ダイナミクスのオン/オフがワンクリックで
  • パン、EQ、ダイナミクスのコピー&ペーストが右クリックで
  • ミキサーウィンドウの挙動の向上

個別の書き出しでフレームレート変換(Render timeline effects)

これはあまり目立たないものの大きいアップデートです。これまでデリバーページで「個別のクリップ」を選択して書き出すと、書き出されたクリップのフレームレートはタイムラインではなく素材のフレームレートに準拠しました。そしてタイムラインで速度変更を適用しても、それは書き出されたクリップには反映されませんでした。今回からは書き出しの際にRender timeline effectsを押すと、クリップに適用された速度変更がそのまま書き出しのクリップに適用され、フレームレートは素材ではなくタイムラインのフレームレートに準ずるようになります。

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