DaVinci Resolve 18 新機能まとめ 〜エディット編〜

2022.06.03 (最終更新日: 2023.01.28)

このページでは、DaVinci Resolve 18の新機能のうちエディットページの新機能について解説します。今回のアップデートの注目点は、字幕機能です。そのほか、25画面マルチカムや、「タイムラインエフェクトをレンダー」(Render timeline effects)という新しいオプションや、MP3の書き出し対応など、地味ですが細かいところでも改善が導入されています。DaVinci Remote Monitoringという新アプリも導入されました。この記事では、エディットページだけではなく、アプリ全体に影響するような全般的なアップデートについても紹介します。

解説動画はこちらからご覧になれます。

ひとつのトラックに複数レイヤーの字幕を追加

これまでは同じタイムコードの位置に字幕を複数載せることができませんでしたが、今回からはAdd Subtitle Regionを押すと、「字幕領域」が追加されて、複数の字幕を追加できるようになりました。

そうすると字幕トラックがFairlightページでのレイヤー表示と同じような形になります。

あとは右クリックから「字幕を追加」を押せば、レイヤーが重なります。Add Subtitle Regionをもう一度押せば、さらにレイヤーが加わります。

これは普通の字幕に使えるのはもちろんのこと、テロップ的な使い方もできると思います。ただ文字の装飾という観点で考えるとできることはけっして多くないので、文字の縁を何重にもつけたいとか、アニメーションをつけたいとか、縦書きにしたいとか、そういう用途には、字幕ツールではなくテキスト+ツールの方がより好ましいはずです。

テキストツール活用術まとめ【DaVinci Resolve質問箱】

この記事ではDaVinci Resolveのテキスト関連の使い方を用途別にまとめてみます。辞書みたいに、「これどうやってやるんだっけ」と迷ったら活用してみてください。用途によって、同じようなもの...

字幕レイヤー(Subtitle Region)が出てこないときは設定を確認しましょう。「表示」のプルダウンメニューでShow Subtitle Regionsが有効になっているかをチェックしてみてください(デフォルトではオンになっています)。

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字幕レイヤーの削除、名称変更

作成した字幕レイヤー(Subtitle Region)は、右クリックのコンテクストメニューから削除したり、名称を変更したりできます。

TTML、XML、MXF/IMFの規格の字幕に対応

TTML(Timed Text Markup Language)、XML、MXF/IMFの字幕に対応を開始しました。これらはタイムコードを埋め込めるので、より正確な字幕の受け渡しが可能になります。

複数の字幕トラックのTTMLを書き出し、読み込み、埋め込み

字幕トラックの別ファイルでの書き出しの際に、複数の字幕トラックを書き出せます。

ちなみに現時点で対応している字幕ファイルの拡張子はこちらです。

字幕トラックのヘッダーを右クリックからも字幕ファイルを書き出せます。

メディアストレージから字幕にアクセス、インポート

これまで字幕ファイルは「ファイル」メニューからのインポートのみに対応していましたが、今回からはメディアストレージからのインポートに対応を開始しました。メディアストレージで字幕ファイルに直接アクセスできます。

メディアプールで字幕クリップの再リンクに対応

もし字幕クリップがリンク切れになったら、普通のクリップと同じように、再リンクをかけられます。

テキスト+のライブカラープレビュー

進化したのは字幕ツールだけではありません。「テキスト+」ツールもそうです。色をピックするときにプレビュー画面にその結果がリアルタイムに反映されるようになりました。

DaVinci Resolveの中で最強のテキストツール、テキスト+についてはこちらをご覧ください。

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Fusionタイトルテンプレートの高速化

エディットページでお馴染みのFusionタイトルテンプレートが高速化しました。ノードの繋ぎ方やパラメーターの動かし方などを見直すことで、タイトルテンプレートがさくさく動作するようになっています。

Night Vision、Glitch、TVなどのFusionエフェクトの高速化

エディットページのツールボックスで速くなったのはFusionタイトルだけではありません。Fusionエフェクトも速くなっています。

トランジションの反転に対応

シェイプトランジション、アイリストランジション、ワイプトランジションで、動きを反転させられるようになりました。反転のチェックボックスを押すだけです。

クリップの長さよりも外のキーフレームを編集

これまでキーフレームエディターはクリップの範囲内で調整ができました。ほとんどの場合はそれでいいんですが、トランジションをつけてクリップに追加部分──のりしろ、というやつですね──が生じた際には、いささか不都合になることがあります。タイムラインの中で使われる箇所にキーフレームエディターが表示されないからです。今回のアップデートではそれが改善されています。

ちゃんとどちらのグラフでもトランジション部分までキーフレームエディターが表示されています。

5x5の25分割のマルチビュー画面に対応

マルチカム編集がさらに進化しました。これまでのマルチビュー画面で一度に表示できるアングルの数は4x4の16が限度でした。それ以上のソースがある場合には、ページをまたがないといけませんでした。DaVinci Resolve 18からは、5x5の25分割画面に対応しています。これで25カメのマルチカム編集もお手の物です。

編集インデックスでクリップの長さを表示

編集インデックスにRecord Durationという項目が追加されています。これは使用されているクリップの長さです。

リタイムキーフレームのショートカット

これまで標準では [ と ] のキーで、キーフレーム間を移動できました。今回から同じショートカットで、速度変更点を移動できるようになりました。速度変更点も普通のキーフレームと同じ位置づけになったような感じです。

無効化したタイムラインをフィルタリング

タイムラインを削除するのではなく一時的にオフにすることができる機能が、DaVinci Resolve 17で追加されました。メディアプールでタイムラインクリップを右クリックすると、「タイムラインを無効化」という選択肢が出てきます。今回はこれがスマートビンのフィルタリングに対応しています。

「レンダリングして置き換え」と「Fusionページで開く」にショートカットを割り当て

「レンダリングして置き換え」と「Fusionページで開く」の2項目が、新たにショートカットを割り当てられる対象に追加されています。デフォルトでは何も割り当てられていないので、必要に応じてご自身で追加してください。

「Fusionコンポジションをリセット」を複数クリップに適用

複数クリップを選択した状態で「Fusionコンポジションをリセット」を押すと、複数クリップのFusionコンポジションを一斉にリセットできるようになりました。

PostgreSQL 13がProject Serverに同梱

DaVinci Resolve Project Serverというアプリがあります。PostgreSQLのプロジェクトライブラリを管理するための仕組みです。今回からPostgreSQL 13が同梱されています。

コラボレーションチャットで通知

コラボレーションモードを使用している際にデスクトップに通知が来るようになりました。

MacのFinderのタグに対応

MacのFinderでタグをつけると、それがDaVinci Resolveでクリップのキーワードとして認識されるようになりました。設定は環境設定内にあります。

Macでクリップを右クリックして「情報を見る」を選びます。そしてクリップにタグをつけます。

もしくは「タグを追加」でもいいですね。

そうするとDaVinci Resolve側でそれをキーワードとして認識してくれます。

スマートビンでキーワードで引っかけて検索できます

FCPXML 1.10に対応

Final Cut Pro専用のXML、FCPXMLの最新バージョンの1.10に対応を開始しました。Final Cut ProからDaVinci Resolveにタイムラインを移動させたいときには、「XMLを書き出す」からタイムラインを書き出しましょう。相手がDaVinci Resolve 18なら、1.10を選んでいただいて差し支えありません。

Dropboxのコメントとマーカー同期を外す

以下の記事で説明したとおり、DaVinci Resolve 17.4ではDropboxとの連携機能が強化されています。Dropboxにクリップを書き出したら、Dropboxで置いたマーカーや書いたコメントが、DaVinci Resolveのタイムラインに即座に反映されるという、なかなかすごい連携機能です。

DaVinci Resolve 17.4 新機能まとめ/ノー・タイム・トゥ・パーティー

10月22日に、8月以来の2ヶ月ぶりのアップデートとなる、DaVinci Resolve 17.4がリリースされました。今回は表に出ているだけでも100個以上の新機能が搭載されていて、裏にはさら...

これまではこの連携は自動におこなわれていたのですが、これからは手動でその連携を外せるようになっています。

再生中やレンダリング中にMacがスリープに入らない

再生中やレンダリング中、DaVinci Resolve側は働いているけどこちらは長いことマウスやキーボードを触らない、ということがあります。これまではそのような場合にMacがスリープモードに入ってしまっていましたが、今回からはそのようなことはありません。

システムごとの素材/キャッシュのパス管理とキャッシュモード

コラボレーション作業時やクラウド作業時に、システム(つまりマシン)ごとに素材のパス、そしてレンダーキャッシュのパスが変えられるようになりました。さらにレンダーキャッシュの「なし」「スマート」「ユーザー」という3種類のモードも、システムごとに決められるようになりました。

よりスマートなプロキシパス管理

プロキシのパスのマネージメントも、今回のアップデートで刷新されました。新しいプロキシワークフローについてはこちらをご参照ください。

DaVinci Resolve 18 新機能まとめ 〜Proxy Generator編〜

この記事ではDaVinci Resolve 18で新たに追加されたアプリ、Blackmagic Proxy Generatorをご紹介します。このアプリケーションはDaVinci Resolve...

デフォルトのプロジェクト設定を変更

これまでもプロジェクト設定のデフォルトは変えられました。しかしそれは簡単ではありませんでした。どれくらい簡単ではないかというと、こういう記事を書かないといけないくらい。

DaVinci Resolveでデフォルトのプロジェクト設定を自分好みに変更する方法

Q DaVinci Resolveで新しいプロジェクトを作成した際、プロジェクト設定を毎回変えないといけない。これはなんとかならないのか? A じつはデフォルトのプロジェクト設定は自由に変えられ...

しかし今回からは、単純にプロジェクト設定の右上のボタンを押すと、簡単にデフォルトのプロジェクト設定を変えられます。

Custom ExportでもYouTubeなどにアップロード

これまではYouTubeにアップロードする場合にはYouTubeのプリセットを選ばないといけなくて、Custome Exportを選ぶと、単に映像クリップを書き出せるだけでした。

今回からはCustom Exportのレンダー設定のいちばん下にYouTubeなどの設定が表示されるようになりました。ここで設定をすれば、自動的に書き出されたクリップがインターネット配信プラットフォームにアップロードされます。楽ちんですね。

1440p YouTubeプリセット

YouTubeでは解像度の設定の選択肢として720、1080、2160という一般的なもの以外にも、1440(2560x1440=WQHD)という、どちらかというと従来の放送向けというよりはPC向けの解像度が用意されています。DaVinci Resolve 18では、この1440pをプリセットの選択肢として選べるようになっています。

MP3書き出しに対応

今や懐かしのMP3の書き出しに対応しました。

HyperDeck用H.264書き出しプリセット

HyperDeckユーザーの方々に朗報です。この新しいHyperDeck用のプリセットを使えば、HyperDeckですんなり読み込めるH.264を書き出せます。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、これまではDaVinci Resolveを含め、どこかで編集したH.264ファイルをHyperDeckで読み込ませるのは至難中の至難(つまり無理)だったので、このプリセットが追加されたことは喜ぶべきことではないでしょうか。

個別の書き出しでフレームレート変換や速度変更を加える「タイムラインエフェクトをレンダー」

これはあまり目立ちませんが大きいアップデートです。これまでデリバーページで「個別のクリップ」を選択して書き出すと、書き出されたクリップのフレームレートはタイムラインではなく素材のフレームレートに準拠しました。そしてタイムラインで速度変更を適用しても、それは書き出されたクリップには反映されませんでした。もともとこの「個別のクリップ」という機能は、べつの編集ソフトに素材を送ることを目的として設計されているため、素材をできるだけいじらないように、フレームレートも変えない、速度も変えない、という原則を貫いてきました。これはこれで便利なときも多いのですが、フレームレート変換してくれたらなあ、速度変更してくれたらなあ、というリクエストをいただいていたのも事実です。

今回からは書き出しの際に「タイムラインエフェクトをレンダー」(Render timeline effects)を押すと、クリップに適用された速度変更がそのまま書き出しのクリップに適用され、フレームレートは素材ではなくタイムラインのフレームレートに準ずるようになります。

Blackmagic RAWのメタデータをQuickTimeファイルに重畳

Blackmagic RAWファイルをProResなどのQuickTimeファイルに書き出す際に、オリジナルのBlackmagic RAWファイルに載っているメタデータをそのまま活かせるようになりました。Blackmagic RAWファイルはあらゆる種類のファイルの中でもとくにメタデータの豊富なファイル形式のひとつなので、これは嬉しいアップデートです。

CMYKフォーマットのTIFFファイルの読み込み

通常のTIFFファイルに加えて、CMYKフォーマットのTIFFファイルの読み込みに対応しました。

JPEGファイルの収録日時

JPEGファイルの収録日時を正しく認識できるようになりました。

MacのH.265書き出しでデフォルトで「メイン10」を選択

MacでのH.265書き出しでは、設定項目に「プロファイル」というものがあり、そこで「メイン」、「メイン10」が選べます。種明かしをすると、「メイン」を選ぶと8bitでH.265ファイルが書き出され、「メイン10」を選ぶと10bitでH.265ファイルが書き出されます。今回から、昔からそうあるべきだったように、「メイン10」がデフォルトの選択肢になりました。

スクリプトAPI

DaVinci Resolveではアップデートのたびに新しいスクリプトの項目が加わっていますが、今回もそれは例外ではありません。このアップデートでは、以下のスクリプトAPIが追加されています。
* Fusionコンポジションを作る
* プロジェクトアーカイブを書き出す
* タイムラインの開始タイムコードを取得・設定する
* 更新されていないメディアのビンを更新する
* カメラRAWのサイドカーファイルを更新する

IO Encode Plugin SDKでアルファチャンネルに対応

DaVinci Resolveではデリバーページで選択できるデフォルトのエンコーダー以外に、自分でカスタマイズしたエンコーダーを作って読み込ませることができます。今回はこのIO Encode Plugin SDKでアルファチャンネルに対応を開始しました。

ちなみにスクリプトやらプラグインやらSDKなんかに興味がある方は、「ヘルプ」→「ドキュメンテーション」→「デベロッパー」とお進みください。DaVinci Resolveを自分好みにカスタマイズし、その世界を拡張させるための方法について、説明書やサンプルが載っています。

よい機会なのでそれぞれどういう意味なのかまとめておくと・・・
* Codec Plugin → 前述のカスタマイズエンコーダー(デリバーページ)
* DaVinci CTL → 数式による色と明るさの変換(カラーページ)
* Fusion Templates → 自作のFusionエフェクト(カット、エディット、Fusionページ)
* LUT → おなじみのLook Up Table(カラーページ)
* Open FX → 共通規格を使った自作のエフェクト(カット、エディット、Fusion、カラーページ)
* Scripting → Python、またはLuaによるスクリプト(全ページ)
* Workflow Integrations → アセットマネジメントアプリなど、べつのシステムと統合させる仕組み(全ページ)

Python 3のサポート

3.3から3.10までのPythonバージョンを検出できるようになりました。もし検知された場合には、PYTHONHOMEの環境変数(もしくは明示的なPYTHON3HOMEとPYTHON2HOME)が考慮されます。DaVinci Resolveで使用されているバージョンを明示的に上書きしたいときには、FUSIONPython3Home(以前はFUSIONPython36Home)で、ベースフォルダを示せます。

韓国語UIに対応

사상 처음으로 한국어 사용자 인터페이스에 대응했습니다.

DaVinci Remote Monitoring

これは別アプリなのでProxy Generatorと同じく別記事を書こうかなと思ったのですが、なかなか目覚ましいテクノロジーではあるものの、そこまで利用者が多いとも思えないので、新しい記事を立てるのはやめて、全体的な機能追加のひとつとして、ここに記載することにします。

DaVinci Remote Monitoringは、まったく新しいアプリケーションで、DaVinci Resolve 18のインストールと同時に自動的にインストールされます。簡単に言うと、ATEM Mini ProとATEM Streaming Bridgeの組み合わせと同じように、ある拠点からべつの拠点に高品質の映像をリアルタイムで送ることができる仕組みです。使い方自体はそんなに難しくないのですが、システム要件がけっこう厳しいので注意が必要です。

  • 送信側はNVIDIA GPUの搭載されているWindowsかLinuxのマシンである必要があります
  • 受信側はUltraStudio / DeckLinkといったブラックマジックデザインのI/Oデバイスが必要です
  • 送信側と受信側は同じネットワーク内に存在しなくてはいけません。遠隔地との接続の際にはVPNが必要とされます

手順はこんな感じです。
1. 送信側でDaVinci Resolveのプロジェクトを開きます。受信側でDaVinci Remote Monitoringを開きます。
2. 受信側のDaVinci Remote MonitoringでIPアドレスなどを設定して、Connectを押します。

3. 送信側のDaVinci Resolveにメッセージが来ます。Acceptを押します。

4. 受信側のDaVinci Remote Monitoringで、接続が確立したことが確認できます。この状態においては送信側のDaVinci Resolveで見ているビューワーの映像が、そのまま受信側のUltraStudio / DeckLinkから出力されます。

カメラジャイロセンサーによるスタビライゼーション

これはDaVinci Resolve 18 Beta 5で追加された機能です。Pocket Cinema Cameraシリーズのカメラに最新版の7.9のファームウェアを適用すると、Blackmagic RAWで収録した際にカメラ内部のジャイロセンサーの情報がメタデータとして埋め込まられるようになります。DaVinci Resolve 18 Beta 5以降では、このBlackmagic RAWファイルを読み込むと、スタビライゼーションのセクションにCamera Gyroという項目が現れます。このモードで「スタビライズ」ボタンを押すと、カメラで撮影した際のジャイロセンサーの情報をもとに、DaVinci ResolveのAIが自然な形でスタビをかけてくれます。

ジンバルなしで撮影したとしても、あたかもジンバルつきで撮影したような映像を作成できるわけです。

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