こんにちは。
今回はエディティングの話をしてみたいと思います。
映像の編集って終わりの見えないとても面倒くさい作業で、どこから手をつけたらいいかわからない時がありますよね〜
そんな気持ちがくじけそうな時、心の拠り所になりそうな編集者の仕事術をちょっとご紹介します。
ウォルター・マーチ
ウォルター・マーチはアメリカの映画界では伝説的なエディターです。ゴッドファーザー、地獄の黙示録、イングリッシュ・ペイシェントなどの名作に参加し、フランシスフォード・コッポラとのコラボレーションが特に有名。
彼の編集に対する姿勢が
映画の瞬きー映像編集という仕事ー
映画もまた編集であるーウォルター・マーチとの対話ー
に詳しいので、ぜひ書店で手にとってみてください。映画の話に限らず、音楽や科学にも造詣が深い彼の話はとても刺激的な内容で、目からウロコ間違いなしです(黎明期のアメリカン・ニューシネマの話も多いので、その辺りが好きな人にもオススメです)。
編集における6つのルール
編集で一番頭を悩ますのが、何を基準にカットを取捨選択すればいいのか?ということ。
画的にクールだから、面白いから、という基準で繋いでみたけどなぜかしっくりこない…何かが足りない…
そんな時に、ウォルター・マーチは「編集における6つのルール」を使っています。
(映画編集におけるストーリーテリングが前提ではありますが、ショートフィルムやドキュメンタリーにも応用ができそうです。)
そのルールとは、
- その瞬間の感情に忠実であること
- ストーリーを推し進めていること
- リズム的に面白みのある瞬間にカットされていること
- 観客の視線を意識していること
- スクリーンの二次元性を尊重していること
- 三次元空間の連続性を尊重していること
なんだか難しそうですが、1〜3は編集におけるクリエイティブなルールで、4〜6は編集の基本的なルール、といった感じでしょうか。
特にウォルター・マーチは1〜3のルールを重要視しています。
つまり、感情がきちんと表現され、ストーリーが独創的に進められ、リズムが適している映像は4〜6のルールに欠陥があっても観客はあまり気にしない(或いは気がつかない)ようなのです。
そして、中でも一番大切なものは「感情」だと話しています。
「リストのトップに来るべきものは感情だ。これは映画学校であれば、最後に、もしくはまったく扱われないものだけれど、その理由は感情というものの定義や取り扱いがきわめて困難だからだろう。 〜中略〜 最終的に観客の記憶に残るものは、編集技術でもなければ、キャメラワークでも、役者の演技でも、実はストーリーですらない。感情なのだ。」
彼の映像編集に対する姿勢を体現しているような言葉で、とても興味深いですね。
ぜひ、ウォルター・マーチの映画で「感情に寄り添った、編集されていることすら感じない編集」を体験してみてください!
追記
Vimeo On Demandでウォルター・マーチのドキュメンタリーがあるので、
下記リンクからレンタルできます。残念ながら字幕がないのですが、過去の携わった作品を解説しながら編集の秘密を解き明かしていくのですごく分かりやすいです。
興味のある方は是非ご覧ください。
Sho Matsuki@Shom
Sho Matsuki is a Tokyo based director, editor, and cinematographer. He has worked on projects including commercials, short films, ...
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