当記事の改訂について 2020年8月某日
2017年に書いたこちらの記事。おかげさまで30,000viewを突破し、殿堂入りもさせていただきました。初めてお会いした方に「あの記事読みました!」なんて言っていただくこともあり、誰かのお役に立てているようで嬉しい限りです。
さて、記事を書いた当時の DaVinci Resolve のバージョン は 12.5 でしたが、現在は 16 までアップデートされましたし、この記事の元ネタとなっている鎌田さんの記事もアップデートされましたので、当記事も内容をアップデートさせていただきました。
当記事は Premiere で編集し、DaVinci でカラーグレーディング、というワークフローを私が初実践した際に執筆しました。当時の私と同じような初心者の方(私は10年間の飲食店勤務ののち、2013年に脱サラして映像業界へやってまいりました)に向けて、そこでの気づきや注意点などをお伝えした記事です。ぜひお役立てください。
使用ソフト:DaVinci Resolve Studio 16 / Premiere Pro v14.0.4
使用環境:iMac(Retina 5K Late 2015) macOS Catalina 10.15.6
※私は有償版の DaVinci Resolve Studio を使用しておりますが、当記事の内容は無償版でも実践可能です。
はじめに
まず作業を始めるにあたっては Hiroki Kamada さんの下記Vook記事を参考にさせて頂きました。とても丁寧に書いてくださっているので大変助かりました。鎌田さんはこの他にもたくさん参考になる記事を書かれていますので、ぜひご覧になってみてください。鎌田さん、いつもありがとうございます。
↑2017年に当記事を執筆した際はお会いしたことがありませんでしたが、先日 Zoom でお会いすることができました!オンライン万歳!
今回参考にさせて頂いた鎌田さんの DaVinci 関連の記事
[DaVinci Resolve 12] Adobe Premiereで編集するための設定
Premiere Proで編集しDaVinci Resolveでカラーグレーディングする ワークフロー2020年版
ひとまず今回の内容については鎌田さんの上記の記事の通りに進めれば全く問題なく進められます。ですので当記事ではワークフローについての手順や細かな方法についての記述は避け、鎌田さんの記事の通りに進めてみた際に戸惑った点や気づきを中心に進めます。
改訂版メモ #01
鎌田さんの最新版の記事冒頭にて、当記事に記載している私が疑問に思った点(「ピクチャーロック」と「XML」)について、より詳しく解説してくださっていますが、私の記事では初心者の皆さんと同じ目線で執筆しておりますので、内容が重複しますが敢えてそのまま残しておきます。
DaVinci で撮影素材をトランスコード
これが後々絶大な効果を発揮するわけですが、この工程でプロキシファイルを生成するため、編集作業自体もとてもスムーズに進めることができました。
ちなみに Premiere Pro CC でプロキシファイルを生成する方法はこちら。
軽量デバイスのAdobe Premiere Proでの編集用にプロキシを生成する方法や、高解像度のオリジナルファイルと低解像度のプロキシファイルを簡単に切り替える方法について説明します。
プロキシファイル
「プロキシ(proxy)」とは英語で「代理」という意味です。元データよりも低解像度のデータを編集時に使用することで非力なマシンでもより快適に編集作業を進めることができるというわけです。
↑今回の作業でプロキシファイルの意味とそのメリットをようやく理解した筆者。
XML の書き出し
さてプロキシファイルを使用して Premiere での編集作業が終わったら、XMLの書き出しです。実はここでいくつか戸惑いました。
1. ピクチャーロック・・・???
鎌田さんの記事に「ピクチャーロックしたシーケンスから(中略)XMLを書き出します」とあります。ピクチャーロック、、、って何だ???ひとまずグーグルで調べてみますが見つかりません。とりあえず無視して次の工程に進みます(笑)
その後の調査で オールラッシュ=ピクチャーロック という記事を発見しました。要は編集が完成した状態(これ以降尺の変更がない状態)のことを言うようです。
2. XML = Final Cut Pro XML ??
ピクチャーロックが何かがわからないままひとまずXMLを書き出してみます。が、書き出しの項目に XML というものはなく、あるのは Final Cut Pro XML の表記・・・。これは同じものなのか・・・。
調べてみますがこちらも情報が見つかりません。ということでいつも通り、とりあえずやってみます(笑)
結果としては Final Cut Pro XML で全く問題なく Davinci は読み込んでくれました。
改訂版メモ #02
鎌田さんの最新記事にて 「Final Cut Pro 7 XML」を選択して書き出します。 との記載がありますが、私の Premiere では Final Cut Pro 7 XML は選択できず、Final Cut Pro XML でした。Final Cut Pro XML で今回も動作は全く問題ありませんでした。
DaVinciでカラコレ、カラーグレーディング
Premiere で書き出した XML を読み込んだら、いよいよ DaVinci でカラコレ&カラーグレーディングです。鎌田さんの記事の通り「接続されていた素材を一緒に取り込まない」設定で XML を読み込むとあっという間に自動で元素材を見つけ出し接続してくれます。感動です。
が、ここで問題発生!!
なんだか意図していない素材が不思議な場所に配置されています。何が起こっているんだ!?
↑警告を示す赤色の「<!>」と共に「00000」というファイル名の素材がひしめいています・・・。
よく見てみるとテロップ、調整レイヤー、他から引っ張ってきた素材に映像素材がリンクされていました。おそらくオフライン編集というものが終わった状態って、テロップなどは載せていない状態のことを言うんでしたよね??確か・・・。テレビ業界など全く知らず、元飲食店勤務、iMovie出身 の筆者には詳しくはわかりませんが、おそらくテロップなどはこの後の工程で載せるという前提かと思われます。ですので、DaVinci に送るときはテロップ、調整レイヤー等のない状態にしましょう。
また今回最初の工程で「DaVinci でトランスコードした素材」以外の素材を本編の編集で利用していました。そちらも XML で一緒に送ってしまったため、その素材の部分が崩れてしまっていました。具体的に言いますと全く別の素材(トランスコード対象の素材)がリンクされていました。
テロップや調整レイヤー、他から引っ張ってきた素材にファイル名も全く違う(そもそもテロップとか映像ファイルじゃない)のに何かしらの素材がリンクされるのは不思議でした。
鎌田さんの記事をよく読むと「トランスコードした素材以外の新しい素材は、必ずしもタイムラインに合った変換がされません。」と注意事項がしっかりと記載してあります。こういうことだったのですね。とりあえずやってみて学ぶ筆者です(笑) みなさんは同じ失敗をなさらぬようご注意ください!
さて元テロップやらを削除しタイムラインを整えたらいよいよカラコレ、カラーグレーディングです。
・・・。
・・・。
ナニコレ、超楽しい!!
先日参加した Vook主催 の DaVinci基礎講座 の内容をフル活用、ノードという概念を理解している自分に酔いしれつつ(笑)サクサク色調整を進めます。
ノード
ノードとはイラストレーターでいう所のレイヤーのような概念です。このノードを使用することで方向性の転換やクライアントさんの要望の変更などに容易に対応することができます。またシリアルノード、パラレルノード、レイヤーノードなど、様々なノードを使い分けることで更に高度な色調整が可能になります。
その他
その他に気づいた点としては Premiere でかけていたワープスタビライザーの効果は DaVinci には反映されませんでした。また音声も DaVinci ではよくわからないことになっていました。鎌田さんの記事では Premiere で編集、DaVinci で色調整(XML)、Pro Tool で音調整(OMF)、ということでしたが、自分は DaVinci で色調整後、映像ファイルのみを書き出して Premiere に戻し、崩れたテロップ、エフェクトの適用、音調整をして完成させました。
改訂版メモ #03
エフェクトの反映について「XMLの制限」という内容を鎌田さんが最新記事で書いてくださっています。
改訂版 用語集
鎌田さんの最新記事内で私が知らなかった用語について調べてみました。
NLE・・・ノンリニア編集(non-linear editing)
テープやフィルムを物理的に切ったり貼ったりして行う編集がリニア編集。Premiere や FCPX のようにPC上で編集するのがノンリニア編集。僕同様にノンリニア編集しか経験がないという方も多いのでは。
EDL・・・編集決定リスト(edit dicision list)
エンドユーザーさんとの直接取引しかしていない僕は今後も出会わないであろう呪文用語。なんだかよく分かりませんが、色々な情報が詰まった編集用データリストだそうです ^ ^;;(Weblio参照)
まとめ
一番伝えたいのはここです。
今回初めて「Preiere で編集、DaVinciでカラーグレーディング」というワークフローを体験してみましたが、とにかく・・・楽しかったです!何がってカラーグレーディングが!!
「カラーグレーディングは本当に楽しいんだよね〜」という声を聞いてはいましたが、今まで他人事でした。実際に体験してみて、、、いや、本当に楽しい。これまであまり踏み込めていなかった「色」という表現手段を手にすることは映像制作をする者にとって、とんでもない喜びをもたらしてくれると確信いたしました。
DaVinici に興味はあるんだけど、まだ手を出せていないという方は、ぜひ鎌田さんの記事や、Blackmagic Design さんの講座等を活用しながら新しい世界に飛び込んでみてください!
この記事があなたの一歩を後押しするきっかけになれば大変嬉しいです。
改訂版メモ #04
Premiere と DaVinci の連携の記事を書いておいてなんですが、実は筆者は編集含めて DaVinci Resolve に完全移行しました。音声のノイズ除去機能だけが物足りないので iZotope 社製のオーディオプラグイン RX7 を使っています。DaVinci は編集機能や音調整の機能などもかなり進化しているので、自分の意思で編集ソフトを選択できる方は DaVinci 単体での制作を検討してみるのもオススメです!
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