2022.07.04 (最終更新日: 2022.07.11)

カメラやレンズの選び方から、仕事スタイルまで。フィールドの異なる若手ビデオグラファーたちが率直に語り合う。|VGT2022

Sponsored by Nikon

2022年6月10日(金)から11日(土)にかけて、「VIDEOGRAPHERS TOKYO 2022」が行われた。

本イベントは映像関係者、映像作家、ビデオグラファー志望者、動画に興味ある人に向け、制作ノウハウやキャリア形成について講演が行われている。

本稿では、6月11日(土)にBLUE STAGEで催された正直、Nikonって「映像」どうなの?をふり返る。

「Nikon=写真撮影用のカメラ」だという印象を持ち、「Nikonのカメラって『映像』(動画撮影)の使い勝手はどうなんだろう?」と思う映像制作者が少なくないようだ。そこで本セッションでは、キャリアもフィールドも異なる3名の映像クリエイターを迎え、それぞれの視点から見たNikonのカメラで「映像」をつくるということの意味や魅力をディスカッションしてもらった。

NikonのRAWってどう?

▲ディスカッションを繰り広げた3名の映像クリエイター。左から村上 岳氏、だいげん氏、阿部大輔氏(bird and insect)

サイコロを振って決まった1つめのトークテーマ 「NikonのRAWってどう?」 について、まずは阿部大輔氏(bird and insect)が口火を切った。

bird and insect フォトグラファー / シネマトグラファー 阿部大輔氏(以下、阿部):
写真はけっこうニュートラルに撮れるなという印象なんですけど、映像にした時には雰囲気を出したり、透明感のある映像を出したりと、幅があるなという印象を受けています。カラリストやエディターからは、黄色味やシアンの色が出やすい印象があると聞いています。

▲ 持論を語る阿部氏。「"面白い!”を作り、想いを共に描く image branding partner」を標榜するbird and insectにて、シネマトグラファー / フォトグラファーとして活躍中だ

阿部氏が所属するbird and insect では、scenery(シーナリー)というカメラバッグも手がけており、そのプロモーションムービーはZ 9を使い、N-RAW形式で撮影したものだという。

▲ 「scenery」brand movie

ここで、NikonがサポートするN-RAW、Blackmagic RAW、ProRes RAWの特徴について、だいげん氏が質問。フリーランスの映像作家である村上 岳氏が、編集ソフトとの相性とセットアップの観点で見解を述べた。

▲フォトグラファー / 映像作家の村上 岳氏。独学で写真を始め、ブライダルやイベント撮影を経験後2018年より映像に転向。現在は芝居や企業映像の撮影を行なっている
gakumurakami.myportfolio.com

フォトグラファー / 映像作家 村上 岳氏(以下、村上):
僕の場合は普段Final Cut Proで編集することが多いのでProRes RAWがなじみ深いですし、MacのPCに対して負担が少ないコーデックだからこそ、やっぱりProRes RAWを選びたくなる。N-RAWとProRes RAWは、Nikon Z 9ではボディ内で収録できるので、かなり軽量なセットアップで、RAWで撮れるのは、すごく魅力的だと思いますね。

映像制作で大切にしていることは?

続いてのトークテーマ 「映像制作で大切にしていることは?」 は、ビデオグラファーのだいげん氏から話を始めた。

ビデオグラファー だいげん氏(以下、だいげん):
僕は自分が作った映像で「誰も傷付けない」ということを大事にしていて。 YouTubeで情報を発信しているので、まず自分が一番楽しむこと。そして、視聴者さんに楽しんでもらって、この動画を見て「よかったな」「有益だったな」と思ってもらえることを意識して作っています。

▲ ビデオグラファーのだいげん氏。2018年10月からYouTubeチャンネル『DAIGEN TV』にコンテンツを投稿し始め、現在チャンネル登録者3万人を突破。ウェビナーの登壇やWeb記事の寄稿、オンラインサロンの開設など精力的に活動中

だいげん:
メーカーさんもバックにいるので、そのメーカーさんにとってもマイナスにならないように、「機材に合っている人」や、「力を発揮できない使い方の人」といった感じで特徴を紹介するようにして、みんなが幸せになれるようなコンテンツ作りをかなり意識しています。

「自分が一番楽しむこと」 を挙げただいげん氏に続き、阿部氏は 「撮りたくない撮り方をしないことを大切にしている」 と話す。

阿部:
監督やディレクター、クライアントだけの意向を汲んだ撮影をしないということです。

もちろんそれもすごく重要でなんですけど、今は誰でも写真や映像が撮れるからこそ、自分がしっかり納得できるようにディスカッションしたいと思っています。 そうじゃないと、自分の存在価値がなくなってしまうので大切にしています。

一方で村上氏は、フリーランスにとって強力な営業ツールでもある実績を、なるべく公開しないようにしていていることを明かす。

村上:
実績のあるクライアントやタレントさんの名前とかではなく、人間に対して興味を持ってほしいんです。

その代わり、自主制作をすごくやるんですよ。 その時は100点を目指すというより、自分の中で課題を見つけて、70点でもいいからその課題に対してアプローチする。

毎回ちがうアプローチをし続けることを大切にしながら、自分の強みというか色味を作品に落とし込んで、それを公開するようにしていて。

そうすると、お仕事の依頼をいただくときも、僕の「こういうのを作りたい」とか、好きなトーンを知った上なので、ミスマッチが起こりにくくなります。

自分に合うカメラって何?

サイコロが決めた3つめのトークテーマは、「自分に合うカメラって何?」 だ。村上氏は、Z 9を中心に構成する現在のセットアップを披露。

村上:
僕がZ 9を選んでいる理由は、RAWで内部収録ができるというのももちろんなんですけど、信頼度がすごく高いのと、自分が持っていてテンションが上がるからです。

僕らはクリエイターなので作らないと意味がないじゃないですか。持ち歩いてなければ作れない。格好良いとかも含めて、持ち歩きたくなるカメラであることを大事にしていています。

▲ 村上氏のセットアップ。モニターやiPadへ映像を転送するトランスミッター等が取り付けられている

村上:
あと、手振れ補正のスポーツモードが超好きで。ジンバルがいらないし、クルマの中とかの揺れも電子手振れ補正がかけられる。このボディ1個あれば何でもできちゃうのが、Z 9です。

続いてだいげん氏は、「いろいろ使ってみないと結局わからない」とした上で、村上氏と同じく「テンションが上がるか」が大事だと話す。

だいげん:
カメラって同じ価格帯であれば、どのメーカー、どのカメラであっても、機能的にはそんなに変わらないと思うんですよね。

じゃあ、どこで自分に合うかどうかというのが出てくるかというと、持っていてテンションが上がるかとか、撮影体験、自分の感覚じゃないかなと思います。

これに対して阿部氏も、同様の見解を述べる。

阿部:
どれだけカメラに対して愛着を持てるか、そのカメラを好きになれるかだと思っていて。例えば機能に惚れてそのカメラが良いと言う人もいるし、デザインが良い、軽さが良いと言う人もいます。

逆に、重厚感が好きだからこのカメラが良いと言う人もいると思うんですよね。なので、自分の仕事もライフスタイルも含めて考えて、どういったところに愛着を持てるかがすごく重要かなと思います。

個人的には、手軽に持ち運べて雑にも扱えるような。生活の中に溶け込んでいて、パートナーとして一緒にやっていけるカメラが合っています。

▲三者が異口同音に話したのは、カメラを持ったときの愛着やテンションといった心情だった

だいげん氏は同時に、各メーカーの強みもカメラ選びに強く影響すると話した。

だいげん:
自分がどこを重要視するかでも、選ぶメーカーやカメラの機種は変わってくると思います。

Nikonはレンズもすごく強いですし、手振れ補正もけっこう効きます。

NIKKORレンズって実際どう?

だいげん氏からレンズの話が出たため、ここはサイコロを振らずに 「NIKKORレンズって実際どう?」 というテーマに移った。

まずは、阿部氏がZレンズについての印象を語った。

阿部:
Zレンズを使ってみて思うことは、本当に欠点が少なくて。目の前にあるものをそのまま映してくれるレンズだなと思っています。

林(bird and insect / COO)もよく言っているのは、レンズを通して、カメラに情報を見たまま伝えてくれる「透明なレンズ」 なんです。

このようにZレンズを評価する阿部氏に、特にオススメのレンズについて聞いたところ、NIKKOR Z 50mm f/1.2 Sを挙げた。

阿部:
オートフォーカスで使える1.2で、ピントが合ったときの解像感がめちゃくちゃすごくて。ぜひ使ってほしいなと思いますね。

だいげん氏は阿部氏に同意した上で、小さくて軽いラインナップの魅力について語る。

だいげん:
今、Z 6Ⅱに付けているのがNIKKOR Z 40mm f/2で、こんなに小さいのもあるんですよね。あとS-Lineのf1.8のレンズシリーズもわりと小さくて軽いものが多い。

気軽に撮りに行こうかなと思った時は軽いレンズも選べるので、ハイエンドなレンズから気軽なレンズまでそろっているというのがZの魅力かなと思います。

▲だいげん氏が持つのは、Z 6ⅡとNIKKOR Z 40mm f/2

村上氏は、光学性能の面でZレンズを高く評価する。

村上:
Zのレンズに関しては、いろんな部分がすごすぎて。フリンジが出づらいので、合成しやすいレンズとしても、今後は評価されるだろうなと思います。

その上で、オールドレンズとZマウントのミラーレスを組み合わせた時の魅力についても語る。

村上:
昔のオールドレンズであっても純正のFTZマウントアダプターを付ければZマウントでも使えるので、今でも「ここはマニュアルで味が欲しいな」というときは、やっぱりオールドレンズを使います。

前にD850という一眼レフ機で使っていた、デジタル用Fマウントレンズだけでなく、NIKKORのすごく古いやつも持っています。自分のおじいさんとかお父さん、いろんな世代の方が持っているものも使えます。

しかもオールドレンズは中古屋さんへ行けば大体3〜4万で買えてしまうので、これからカメラを買いたいという方は、まずオールドのNIKKORで35mmや50mmなど、試してみたい画角を選んで始めてみて、それからZレンズを買ってもいいと思います。

マニュアルのヌルヌル感とか、撮る楽しみがすごく詰まっているレンズなので、そういうのを体験するのもいいなと思います。

▲マニュアルの「ヌルヌル感」を楽しめるのが、オールドレンズを選ぶ魅力のひとつだと、村上氏

阿部:
確かにオールドレンズでピントを合わせる時のヌルヌル感は、めちゃくちゃ気持ちいいですよね。

動画ってマニュアルで撮ることが多いですし。映像って、雰囲気が写真以上に大事です。 CMなど映画系を撮っている人は、表現を広げるためにオールドレンズを使っていることが多い印象です。

最後に村上氏も、マニュアルで撮影することの魅力を語り、トークセッションを締めくくった。

村上:
ピントを合わせにいくのはすごく大事な瞬間。マニュアルだからピントが外れちゃうときもあるけど、でもピントを合わせにいくときの「あなたが好きなんです」みたいな感覚って、そのまま映像の質感に乗る。 だから、マニュアルレンズで映像を撮るってめちゃくちゃ楽しい。

友達と旅行へ行くときや、パートナーや家族を撮るときは、オートフォーカスでガンガンくっついてくれるよりは、「お前に(ピントを)合わせたいんだ」と撮っている方が、映像としてはめちゃくちゃいいと思うんですよね。マニュアルはぜひ触ってほしいレンズですね。

TEXT_加藤学宏 / Norihiro Kato
PHOTO_山﨑悠次 / Yuji Yamazaki

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