マウスコンピューターは7月7日(木)、同社のクリエイターPCブランドの新製品「DAIV 6シリーズ」を発表した。本稿では、前日に催されたプレス向け新製品発表会の模様をお届けする。
ハイスペックなクリエイター向けPCをどこでも使えるように。
DAIV 6シリーズは、“あらゆる創作活動にハイパフォーマンスで応えるクリエイター向けPC” と銘打ったものだ。
本シリーズはマウスコンピューターの主要な事業であるゲーミングPC「G-Tuneブランド」で培った、ハイスペックなPCを構築するノウハウをクリエイター向けPCに応用してきた経緯も持つ。これまでもDTPやWeb、イラストレーションや動画制作に最適なプロダクトを提供してきた。
そんなクリエイター向けPCとして存在感を発揮してきた「DAIVブランド」の新作とは、より場所を問わずにクリエイティブに邁進できるノートPCの発表である。
発表会では「求められるクリエイターPC」として3つのテーマが挙げられた。まず 「どこにでも持ち運んで作業できる“軽さ・薄さ”」、続いて 「電源がなくても作業を継続できる“作業時間”」、最後に 「快適な作業を実現する“優れた機能”」 である。
そもそも一般的なノートPCは、スペックの関係もあってクリエイティブには不向きなものだった。例えば、YouTubeなどにアップするための動画制作などはグラフィック性能などが足りないことから、クリエイターが求める表現ができなかった経緯がある。
そこでマウスコンピューターがゲーミングPCのノウハウを生かし、ハイスペックなクリエイター向けのノートPCシリーズを打ち出した。それが2016年にリリースされたDAIVだった。
今日までにDAIVブランドは、“軽さ・薄さ”や“作業時間”の最適化を目指して様々なノートPCの開発とリリースが続いていた。
しかし今日ではデジタルカメラの高画素化や、複雑な3ⅮCGといった表現などが普及することにより、これまで以上に高いスペックが求められる状況であり、ハードルは上がっている。
これらの課題を解決しようとすると、スペックは足りていてもノートPCのサイズや重量が大きくなってしまったり、または軽量にしようとするとバッテリー駆動時間の問題が解決できなったり、悩ましい状況となっていた。そこで新たに開発されたのが、今回発表された「DAIV 6」シリーズというわけだ。
▲ DAIV 6シリーズの紹介映像
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軽量化を実現しながら、高度なクリエイティブができるDAIV 6シリーズのスペック
DAIV 6シリーズは、7月7日(木)に発売された4K動画編集や3D CAD、ハイエンドのVFXワーク向け「DAIV 6H」と、RAW現像や映像編集、3D CAD向け「DAIV 6N」。
そして、近日発売予定のイラスト作成や画像編集、DTM向けの「DAIV 6P-RT」と、Webデザインやイラスト作成、簡単な画像編集向けの「DAIV 6P」という、4モデルがラインアップされている。
最もハイスペックの「DAIV 6H」ではGeForce RTX 3070という高性能なグラフィックスボードを搭載しながらも、注目すべきはその持ち運びやすさだ。
シリーズは平均して約18.5㎜の薄さかつ、およそ1.5~1.6kgの計量でありながら、動作時間は約12時間前後を保っている。
ボディに軽量で強度の高いマグネシウム合金を使用したことで、従来のモデルから500mlのペットボトル約1本分の計量化に成功したとのことだ。まさしく 「どこにでも持ち運んで作業できる」目標を達成するクリエイターノートPC と言える。
軽量化だけではなく、CPUやメモリもハイスペックなパーツを実装している。
14 コア/20 スレッドのインテルCore i7-12700Hプロセッサーを搭載し、32GBメモリで構成。以前のシリーズであるDAIV 5Nシリーズと比べて、マルチコア性能が約21.6%、シングルコア性能が約 20.6%も向上しており、高いパフォーマンスを発揮している。
薄型のボディにハイスペックなCPUを搭載することで、やはり気になるのは発熱と、それに伴うパフォーマンスの低下だろう。
この点の対処として、CPU グリスに液体金属を採用。PCの発熱を効率良くヒートパイプに伝導させることで高性能CPUのパフォーマンスを引き出すことに成功している
さらに画面の解像度や作業のしやすさに配慮した、WQXGAの高解像度の液晶パネルを実装。外出先でも確認用の外部ディスプレイを用意せずとも、本体の液晶パネルだけで精度の高い色調整を可能にしている。
16:10のアスペクト比による液晶によって、作業領域を広くしているのも特徴だ。上下にタスクバーやメニューバーを表示した状態で作業できるスペースを作っている。
これにより、例えば映像制作においてPremiere ProやAfter Effectsによる編集作業を行う際のUIの表示エリアが増えて、作業効率が高められた。
加えてHDRの映像技術であるDolby Visionと立体音響技術のDolby Atmosに対応することで、ハイクオリティな映像コンテンツの再生もコンパクトなノートPCで実現できるようになった。
また、Dolby Atmos for Headphones機能によって、 ヘッドホンやイヤホンでDolby Atmos対応コンテンツの立体音響を楽しむこともできる。本シリーズはクリエイティブにとどまらず、外出先で様々なコンテンツを最大限に味わう用途も満たしているわけだ。
もちろんDAIV 6シリーズは、外出先でのクリエイティブワークに使うだけではなく、職場や自宅での使用も想定されている。
そこで外部のモニターに接続し、4K出力によるマルチディスプレイの制作を円滑にしやすくする仕様も実装。
外部映像出力は、HDMI、USB 3.1 Type-C、Thunderbolt 4 の 3系統を実装しており、これらに接続することで最大3画面のマルチディスプレイに対応している。
そのほかにも周辺機器の接続においてもハイパフォーマンスを目指している。最大40Gbpsの高速データ転送を可能にするThunderbolt 4 によって、 CFexpress カードリーダーや SSD・RAIDハードディスクのほか、10GbE対応LANアダプタなど、多彩な周辺機器の接続を可能としている。
さらに内蔵ストレージとして、NVMe 接続に対応した M.2 SSDを標準搭載。これはBTOカスタマイズにより、最大 4TB(2TB×2)の SSD増設や最新の PCI Express Gen4×4 接続に対応した、より高速なタイプも選択できるようになっている。
さらにセキュリティにおいてはWebカメラから顔認証機能の他、大型のタッチパッドによる繊細な操作も実現している。
場所を問わず、ハイクオリティなクリエイティブワークを実現するPCの最新形
発表会ではDAIV 6の各シリーズの紹介と共に、本製品をどのように使ってもらいたいかのライフスタイルも提示する写真も公開された。
主に屋外で本シリーズを気軽に持ち運んだり、室内で作業したりする写真だ。 “どこでもクリエイティブワークができる” というビジョンを提示している。
今回の発表を聴く限り、DAIV 6シリーズでは「どこでもクリエイター向けPCを持ち運んで、制作する」とことが徹底されていることが窺えるし、DAIVブランドが目指してきただろう、場所を問わずにクオリティの高い制作を行えるクリエイターPCの完成形にまた一歩近づいたと言えるだろう。
会場にはDAIV 6シリーズが展示された。液晶の品質や解像度のほか、発表されていた液晶のサイズやタッチパッドなどなどを実際に確認することもできた。本シリーズによって、さらなるクリエイティブの広がりを期待できる。
▲ 会場に展示された「DAIV 6H」。4Kサイズの映像編集やハイエンドの3DCG・VFXワークにも対応するハイスペックでありながら、約1.65kg(※)という軽さが印象的だった。16型なのでキーボードにはテンキーも配されている
TEXT_葛西 祝 / Hajime Kasai
Vook編集部@Vook_editor
「映像クリエイターを無敵にする。」をビジョンとするVookの公式アカウント。映像制作のナレッジやTips、さまざまなクリエイターへのインタビューなどを発信しています。
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