2017年に入ってから、とある試みを続けている。月一で旅行に行き、その道中を動画に記録、編集したものをYoutubeに載せるというものだ。ただの旅行記だし、そこに映ってるのは景色と俺だけなので、華やかさには欠けるが、撮ってるときは案外面白いもので、「月壱関東脱出計画」と銘打ったそれは、ここまでの10ヶ月、毎月の脱出に成功している。
旅行に行って、いろんなものを見るのももちろん楽しいのだが、この企画には、至極個人的な楽しみがあって、それは「自撮り旅を記録する機材の検証」である。毎月の脱出で、都度何かしら新しい試みをしており、その機材の特徴や、使い勝手、なにか面白い使い方はないかなどをとにかく試すのが楽しいのだ。

これまでにいろんな機材を導入し、そして利用をやめ、そういうことを繰り返してきたのだが、あと少しで1年経つということもあって、一端それぞれの機材についてまとめておこうかな、と考えた次第である。

今回は、月壱関東脱出計画の序盤で、長らく使っていた「OSMO Mobile」について書くことにする。

諸般の事情で、今回紹介するOSMO Mobileは写っていないが、この写真に写ってる機材を順次紹介できればと思う。

OSMO Mobile

OSMO Mobileとは、DJI社が販売している、スマートフォン向けジンバルスタビライザーだ。ドローンで培ったスタビライズ技術を用いたハンディスタビライザーで、先に発売された無印のOSMOでも定評のあったスタビライズ性能はそのままに、カメラとしてスマートフォンを装着することで手ぶれのないスマートフォン動画を撮影することができるようになるものである。片手で撮影することができるので、非常に手軽だし、専用アプリと連携させることで、殆どの操作を親指一本で可能になる。

非常にシンプルな形状で使いやすい

自撮り旅をしよう

OSMO Mobileを手に入れたのはいいが、正直、いつ使えばいいのか悩んでいた。普段から持ち歩いてもいいのかもしれないが、それにしてはいささか大きい。カメラとして使っているのがスマートフォンだとはいえ、それを持って歩いてる姿を見れば、周りの人も少し警戒してしまうだろう。日常的に利用するのは、少し困難である気がした。
じゃあ、日常ではないところで利用すればどうだろう。普通の生活ではなく、そこから少し外れた、たとえば旅行先などで、観光スポットなどで使うのであれば、それほど違和感はないかもしれない。そのような場所ではスチルカメラはもちろん、ハンディカムなどを持ち歩いている人も多い。そうだ、旅行に行こう!
そうして始まったのが、月壱関東脱出計画なのである。

スマートフォンの大画面で確認しながら撮影できる

OSMO Mobileで自撮りをするのは、非常に便利だった。スマートフォンの液晶側が手前に来るように装着することになるので、常に画面を見ながら撮影ができる。特に自撮りの時は、ちゃんと自分が枠内に入ってるかはもちろん、構図まで確認しながら撮影できるので、撮影ミスが起きづらいのだ。今回の旅では、はじめは普段使いしているiPhone SEを使ったのだが、いろいろあって普段使いではないスマートフォンを使った方がいい、という結論になり、2回目からiPhone 6 plusを用いた。結果、非常に大きな液晶で構図確認をすることができ、非常に快適な自撮りができたのだ。
一方、液晶側が手前に来ると言うことは、自撮りの際にはインカメラを使わなければいけない、ということになる。しかし、旅の記録をするという特性上、比較的長時間の撮影になり、総撮影時間やスマートフォンの容量を鑑みると、インカメラの720pで撮ることは、むしろちょうどいい設定だった。いい景色などに遭うともっとよい解像度、たとえば4Kでの撮影をしたくなるが、この場合たいていは自分を映す必要がないのでアウトカメラを使うことができるので、特に問題はない。時と場合によって解像度を切り替えやすいというのも、スマートフォンを利用しているメリットといえるだろう。

普段使いスマートフォンを使うことは是か非か

OSMO Mobileは自分のスマートフォンを装着して撮影するデバイスである。普通の人はそんな、何台もスマートフォンを持っているわけではないので、大抵の場合は普段使いしているスマートフォンを装着するだろう。しかし、これにはいささか問題が生じることがある。
旅の撮影において、道中頻繁に、長い間撮影することになる。1本1本の長さは短くても、朝10時から夕方16時までは、常に撮影できる状態にあったほうが良い。となると、その間、普段使いしているスマートフォンを使うことができなくなってしまうのだ。いや、ちゃんと使うことはできるのだが、メッセージが来たときや、地図を確認したいときなど、都度撮影を停止し、OSMO Mobileから外さなければならない。装着したままの仕様も試してみたが、結構やりづらかった。また、ただでさえ映像撮影によってバッテリーの消費が激しいスマートフォンを、撮影以外でも使うことになるので、より一層バッテリーの持ちが悪くなる。
そこで取るべき対策は、先にも書いたように「普段使いではないスマートフォンを用意し、使用する」という方法である。これならば、撮影中でも急遽調べたいことが出来ても、撮影を停めることなく、むしろ調べてる自分の姿すら撮れ高として撮影が可能になる。最終的には無印OSMOより割高になってしまったが、それ以外のメリットも含めて考えれば、仕方のないことだろう…

普段使い用スマートフォンで、撮影用スマートフォンを撮る。
ここまで来ると、もうこの企画を途中で辞めることはできない…


音声の問題はFilmic Proで対策する

OSMO MobileiPhone 6 plusを装着するようになって、一つ大きな問題にあたった。それは音声問題だ。一応、自分の声の聞こえやすさを気にして、別途レコーダーに同録してはいたのだが、バックアップとして一応スマートフォン側にも自分の声が録音されていてほしいと思っていた。しかし、iPhone 6 plusはその大きすぎるサイズの関係で、iPhoneの底部をOSMO Mobileのジンバル部分に接触するように装着する必要があり、これによって撮影されたデータには、ジンバルの音が非常に大きく入ってしまったのである。iPhoneで動画を撮影する際は、底部にあるマイクが使われるのが一般的のようだ。
そこで用いることにしたのがFilmic Proである。Filmic ProはiPhoneで設定可能なほぼすべての項目を調整できる動画撮影アプリで、公式カメラアプリはもちろん、一般的な録画可能アプリでも設定項目として現れない設定を可能にしてくれる。今回、特に重宝したのが「オーディオ」の設定だ。実はiPhoneは、底部以外にも「前面」や「背面」にもマイクが付いている。おそらく利用してるカメラ(インカメラ/アウトカメラ)によって自動的に切り替わるのだろうけども、Filmic Proでは、使用するマイクを強制的に固定できるのである。今回録音されてほしい音声は主に自分の声なので、この設定を「前面」にしてあげることで、そのマイクの位置が底部から遠いからか、ジンバルの音も入らず、また、自分の声が直接マイクに届くので、非常にクリアに録音することができた。
Filmic Proはほかにも、オーディオの保存形式としてPCMが選べたり、設定した解像度やフレームレートなどをプリセットとして保存することができたりするので、より手軽に、こだわった設定が可能なのでおすすめである。一つ問題があるとすれば、いささか不安定だ、という点だろうか。一日に数回程度、せっかく録画したデータの保存に失敗してフリーズしてしまうことがあり、長回ししたときなどは非常にショックを受けたこともある。使用する際は、定期的にアプリを再起動して、安定動作しやすい状況で利用することとおすすめする。

ちなみに、iPhoneの音声調整機能は非常に優秀である。自撮りをする際は、OSMO Mobileを持つ手をいっぱいに伸ばし、スマートフォンに向かって話しかけるわけだが、このときiPhoneに録音された音声は、ノイズリダクションはもちろん、声の強調などもいい感じに行われており、ほとんどのシーンにおいて「同録いらないんじゃないかな…」と思わせるほどのクオリティを感じた。もしiPhoneで自撮りをする際は、細かいことを気にせずiPhoneの録音性能に任せてしまってもいいかもしれない。

置くことを想定していない形状にどう挑むか

OSMO Mobileは、その前の無印OSMOの時から問題視されている、ある点を一切解決せず発売された。それは「自立しない」という点である。スマートフォンのバランスをうまくとっていれば自立しなくもないのだがら、それでもやはり不安定ではある。そのため、足場の悪いところなどでちょっと鞄の中身を取り出したい、なんてことがあると、OSMO Mobileを地面に横倒しするしかないのだ。これはOSMO Mobileはもとより、スマートフォンにも傷が付いてしまいそうで、できる限り避けたい行為だった。
一応これの対応策は公式に存在している。それがOSMOスタンドだ。別売りで結構な値段をするのだが、簡単に着脱できて、しっかりと自立させてくれる優れものである。逆にそれなりの大きさがあるので、これをつけてしまうと鞄にしまうのが一層億劫になる、という諸刃の剣でもあるのだが、それでもこれがあるのとないのとでは大違いだ。
ただ、人とは欲深いもので、OSMOスタンドによってOSMO Mobileを安心して地面に置けるようになると、今度は「移動中でも手ぶらになりたい」と思うようになる。いくら地面に置けても、おいたまま移動する訳にはいかないのだ。
そこでたどり着いたのが、PeakDesignのCapture with POVである。リュックのショルダーストラップに装着し、GoProやコンデジを胸部に固定しつつ、簡単にカメラ部分を着脱できるようにしてくれるアイテムなのだが、これを無理矢理OSMO Mobileのアクセサリネジのところにくっつけることで、普段は手持ち、両手を自由にしたければショルダーストラップに装着する、ということを可能にした。これが結構快適なのである。これこそOSMO Mobileの最終形態だ、とさえ思ってしまうほどだ。

どうしても解決できなかった問題

OSMO Mobileも完璧ではなく、利用状況や使用者によってはいろんな問題が生じたりする。しかし、様々な対策を練ることで、それらは解決することができ、上記ではその一例を示せたと思う。ただ、このような対策をいろいろ考えたにもかかわらず、結局解決することができなかった問題が一つだけある。それは先にも少しだけ触れた「スマートフォンのバッテリー問題」である。
OSMO Mobile自体のバッテリーは非常に長く持ち、公称である四時間を信用するのであれば日中の撮影なら予備として1本バッテリーを買っておけば一日持つ。実際、心配性な俺は予備を2本持ち歩いていたのだが、多くの場合でバッテリー交換をしなくても撮り切ることができた。
しかし、スマートフォンは別である。そもそも動画撮影というのはバッテリーの消費が激しく、一時間分程度撮影したら、もう残バッテリー量がほぼない状態になってしまう。なので、一日で何度も充電をする必要が出てくるのだが、特にiPhoneはOSMO Mobileのようにバッテリー交換ができないので、有線での接続を余儀なくされる。OSMO Mobileに限らず、スタビライザはバランスが命なので、有線接続をしてしまうとうまく振動を吸収してくれなかったり、常に水平が傾いてしまったりするのだ。そのため、撮影しないタイミングを常に気にしておく必要がある。特に旅動画では、突発的に撮影したいものが現れたりするので、このタイミングを計ることがなかなか難しい。こればかりはもう自分の嗅覚を鍛えるしかない。
また、これはおそらくiPhone 6 plusだから生じた問題なのかもしれないが、音声問題の時にも書いたように、このiPhoneだと底部がジンバルに接する形で装着する必要がある。そしてiPhoneの充電用端子は、その底部にあるのだ。つまり、充電をするたびに、iPhoneをOSMO Mobileから外さなければならないのである。これは地味に大変だ。OSMO Mobileは万力のように上下からスマートフォンを押しつけることでそれを固定するのだが、この押しつけたり緩めたりするためには、これも万力と同じようにネジを回して行うことになる。充電するたびにネジを回して取り外し、撮影するときは再びネジを回して装着する。iPhoneのバッテリーが切れそうなときほど、この作業が頻繁に生じるのである。
もし、これからOSMO Mobile用にスマートフォンを一台買うのであれば、plus系のiPhoneは選ばない方がいいだろう。装着したままでもLightningケーブルがさせるサイズのものをおすすめする。
このようにOSMO Mobileは、スマートフォンの充電との相性がとにかく悪い。しかしスマートフォンはそんなことはお構いなしに、バッテリー切れに向けてひたすら頑張ってくれる。対策としてL字のLightningケーブルを買ってみたり、少しずらして装着するようにしてみたりと試してみたのだが、遂に解決することは叶わなかった。

まとめ

とりあえず、OSMO Mobileで何かを撮影したい、と思っている人に向けて、気をつける点をまとめておく。その人にとってこの記事が役に立てば幸いである。

  • OSMO Mobileのバッテリーは予備を1本持っておけば一日なんとかなる
  • 撮影アプリはFilmic Proで。特にオーディオ設定を「前面」にしておくことでクリアに声が録音できる。
  • 両手を自由にするための手段を考えておこう。公式のOSMOスタンドは必須である。PeakDesignのCaptureも併用できれば、不自由の大部分は解消される。
  • 普段使いとは別に、カメラ専用としてのスマートフォンを用意したほうがよい。
  • iPhoneはplus系のものを使うのはやめておこう。装着する位置の問題で、Lightning端子がふさがってしまい、充電するたびにOSMO Mobileから取り外さなければいけない。
  • スマートフォンのバッテリーはすぐになくなる。充電するタイミングや方法について、常に考えながら撮影した方がいい。

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    コメント

    • Wataru Kouno
      私はOSOMO+、OSMO Proを使用で、CrystalSkyを使用していますが、
      Mobileでスマホ利用時、iPhone底面を左側にできないのでしょうか?
      画面回転すればできるのではと思ったのですが…
      もしくは、少しずらしてL字型ケーブル使うとか…
      マイクも使用できるし(音は悪いですが)、給電も楽ではないでしょうか?

      スマホ取り付け部の裏側に3000~5000mAhのモバイルバッテリーを付け、
      そこから給電すれば、外出先でバッテリー切れはまずないかと思います。
      OSMOでiPhone使用していた時に使っていたので。
    • UTAGE.WORKS カワシマ
      底面を左にすると、カメラがジンバルにかぶってしまい、撮影ができないのです…
      少しずらしてL字ケーブルを使用する方法も行なってみたのですが、ケーブルの張力がジンバルに悪影響を及ぼし、
      ジンバルの効果がなくなってしまいました。