【コラム】Vol.4 「海外旅行ツアー」に参加しない!〜SIGGRAPH2019の思い出〜【映像クリエイター ララッシュアワーの非・効率化計画】

こんにちは。
rrrushhourrr(ララッシュアワー) です。

うだるような暑さが続きますが、皆さんは楽しい夏の予定はありますか?

夏といえば、SIGGRAPH(シーグラフ)

言わずと知れた毎年行われる世界的なCGのカンファレンス。今年は8/8〜11の期間、バンクーバー(&バーチャル)で開催されたようです。

まだ新型コロナウイルスの影響が出ていなかった3年前、私は当時働いていた会社の退職前に、有給休暇を使ってSIGGRAPH 2019(2019/7/28~8/1@LA)に参加しました。

せっかくなので今回は、その時の思い出を書き起こしてみたいと思います。

SIGGRAPHに行ってみたい! でもお金はかけたくない…

当時の私は、某企業でxR系の企画開発をしながら、休日はデジタルハリウッドに通って3DCGの勉強をしていました。なので、会社でも「SIGGRAPHで発表された技術で〜」というような文脈を耳にしており、イベントの存在自体は認知していました。

そんな中、デジハリから「SIGGRAPH視察ツアー」という案内がタイミング良く届いたのです!

このツアーは、会場チケット・飛行機・ホテルなど必要なものが全て揃っており、講師のかたも引率されるので、安心のツアーパックでした。

「これはチャンスだ!有給休暇の消化も兼ねて参加しよう!」

と思ったのですが…海外に約1週間旅行するツアーというのは、当然ながらなかなかお値段の張るものです。

この頃にはもう会社を退職する意志を固めていた頃で、来たる大不安フリーランス時代に備えるべく、なるだけ貯金額を減らしたくないという状況でもありました。

結局、私はあえてそのツアーに参加せず、単独旅行でSIGGRAPHに参加することを決めたのです。

SIGGRAPHはとにかく会場がデカい!LEDビジョンの迫力もすごい!

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女ひとり海外旅行の節約術と護身術

そんなわけで、私の節約旅行計画がこちら。

以下のことを実践し、ツアー代金の大体半額くらいに費用を抑えました!

  • 飛行機は深夜発着などの一番安い便を予約
  • 宿はドミトリー(女性専用部屋)を予約
  • 移動は公共交通機関 or 徒歩
  • 食事はスーパーで調達 or 会場内の無料軽食で食いつなぐ

ここまですれば当然安く済むわけですが、同時に治安も悪くなっていきます。(特に公共交通機関に注意! 謎に大声を出してる人とかが絶対車両に一人はいます)

己の体と機材の安全は絶対確保しなければならないので、観光客っぽく見られないように...

派手キャップ + メタルTシャツ + ジーパン + 履き潰したスニーカー + デカリュック

という着飾らないスタイル(?)で、何か怒ってんの?ってくらいの早歩きで常に行動していました。

その姿勢を徹底したせいで、現地の人と仲良く会話するシーンが一回もなかったのが残念でしたね…(会場でデジハリご一行と合流したので、そこで会話できたのが唯一の救いでした。)

女性専用ドミトリー 全員SIGGRAPH参加者だった

SIGGRAPHで何を見る?

SIGGRAPHは、5日間広大な会場で朝から晩まで様々な展示が行われるので、タイムテーブルの把握が必須になります。

事前にHPのプログラムを読み込んで、絶対に見に行く!と決めたのは以下の三つでした。

  1. VR Theater :ヘッドマウントディスプレイで見るVR映像の展示
  2. Computer Animation Festival :通称CAF 世界中のCGアニメーションの優秀作品が集結した展示
  3. Production Sessions :有名映画プロダクションのアーティストが制作秘話などを語る

まず、VR Theater内のオペレーションには驚きました。

大人数(30~40人くらい?)が各々ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を被って鑑賞するという、なにかと不具合が起きやすそうな状況だったのですが、入場〜HMD装着〜作品鑑賞までの案内が非常にスムーズだったのです。

…そんなの普通じゃない?

と思われるかもしれませんが、VRコンテンツのデモって結構トラブルがつきものなんですよね。「映像の正面が変な方向になっちゃってるよ!」とか「リモコンが効かないよ!」とか…

VR Theater内の作品では、そのような「意図していない鑑賞体験」をなるべく避けるべく、視線の誘導が上手い演出があったり、操作案内が作品内に組み込まれていたりと、コンテンツとして成熟しているなぁという印象を持ちました。もちろん、スタッフさんの対応力も流石でしたね。

また、技術的に素晴らしいのはもちろんのこと、ストーリーも考え抜かれており、最新技術のショーケースではなく、映像作品としての完成度が高いことに感銘を受けました。

1,2のHMDとCAFは映像鑑賞をするだけなので気軽だったのですが、問題は3の制作秘話です。

セッションはもちろん全部英語で、文字起こしアプリ「Otter」を駆使してなんとか内容を理解しようとものすごく必死になりました…。理解度100%には及ばないものの、スライドが分かりやすく作られていたので助かりました。

当時大注目されていた「スパイダーバース」と「トイストーリー4」のアーティストの講演は個人的に収穫があって、はるばる見に来てよかった〜!! と感動したのを覚えています。

スパイダーバースの特徴的なアウトラインは、Houdiniのシミュレーションと機械学習が為せる技、とのことです

観光も欠かさずに

ここでは展示内容を書けないくらい刺激的な博物館

せっかくロサンゼルスに来たのだし!ということで、近場の観光地にも空いた時間で行きました。その中でも特に「死の博物館」はかなり刺激的で印象に残っています。

「死の博物館」HP
http://www.museumofdeath.net/

凶悪犯の絵、葬儀関連のアイテム、事故写真、解剖映像と…タブーとされている「死」にまつわるものが、包み隠さず展示されています。もちろん会場内は撮影禁止。

周りはカップルと友達グループばかりで、お化け屋敷のようにおっかなびっくり展示を見ていたのですが、私だけ単独行動だったので、”死のガチ勢”っぽくなっていたのが面白かったです。

お土産に買った死のタロットカードTシャツ。今でもよく着ています

最大のやらかし

5日間の展示が終わり、大変充実した気持ちでロサンゼルスの空港に到着。

時刻は8月2日の20時ごろで、搭乗手続き締め切りまではずいぶん余裕がある時間でした。

早めにチェックインしてお買い物でもしようかな〜と、機械にチケットのQRコードをかざすと「ディン!」というエラー音が。

何度試してもエラーが出てしまうので、仕方なくカウンターのお姉さんに聞いてみたところ、

「お客様、こちらの便は既に出発済みでございます…」

と。

もう一度チケットを見てみたら、

日付を間違えてる!!!!!(※この時、8月2日20時過ぎ)

とっさに私は年甲斐もなく「え〜!?やっちゃったぁ…どうしよう…どうすればいいですか…((>_<))」とお姉さんに泣きついたところ、

「空席のある便を探しますのでお待ちくださいね」

と大変優しく接していただき、偶然1席空いていた便に無料で振り替えてくださったのです…。

これがもしハイシーズンだったらおそらくこのような救済はなかったでしょう。半額で済むはずの一人旅で、”お勉強代”を多く支払うところでした…本当に危なかった。

というわけで皆さん、海外旅行はツアーが安全ですよ…色々と!

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  • rrrushhourrr(ララッシュアワー)

    フリーランス・映像クリエイター。普段は「SAMPRAS DESIGN」で、モーショングラフィックスやVR映像を中心とした映像制作をしている。また、女性クリエイター応援プロジェクト「Story by Story SHIBUYA」の一員としても活動。好きなことに片っ端から足を突っ込んでいる”チカチカ系”クリエイター。

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映像クリエイター ララッシュアワーの非・効率化計画@rrrushhourrr_column

アラサーで脱サラしてフリーランスになったララッシュアワーが、何かと効率化を求める現代人に対して、あえて回り道する楽しさを伝えていく、”非効率的なコラム”を連載していきます!

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