Vookの皆様、ごめんあそばせ。
CYK Studiosの河合です。自分はいい年こいて慢性的中二病なので、新しい物好き、アーリーアダプター気味で、技術関連の情報収集が好きで毎日なにかと情報を発掘するたびに、(ああ、また勉強不足だったか…技術革新とは永遠に終わらないのだな…)と痛感します。
ただ、音に関してはそうでもなく、Cannon XLRケーブルとかなんかふてぶてしいやつ、未だ映像制作で使ってるんですよね。これ70年以上前の技術なんですよ?古くね?!
映像技術はすごい速さで革新が起こるんですが、オーディオ関連技術は革新が遅く、新興技術が消費者側に広がるのも遅いとも感じます。というか音全般そんな興味ないんですよ…映像屋さんは。これほんと。音録れれば良いと思ってやがる!
例えばですが、AoIP(Dante)とか採用されてる映像制作会社さん、大手や大型施設以外少ないと思うんですよね、CP最強なのに。映像はデジタルデジタルしてるのになんで音は未だアナログなんだろうと毎日疑問に思うばかりです。そりゃ壊れてないし、新技術導入コストの関係だと思いますが…
そんな疑問を抱く中、数年前に音楽制作界にも技術革新が起こりました!これ、Appleに「音屋にMac売れなくなるからやめて!」って怒られてしまうやつなんですよ。
弊社サウンドデザインも行っておりますが、多分現在日本では使ってる制作会社はほぼないだろう。ニッチなオープンソースのソフトウェア、「AudioGridder」について説明しようと思います。
AudioGridderってなんだ?
マシンを数珠つなぎしてたGiga Studioって覚えてますか?!(GSIF) FX Teleportとか!
そう、だれも覚えてないんです。DSP負荷分散というよりかはサンプルデータの負荷分散だからちょっと違うけど。
Muse Research Receptorとかありましたね!
え?わからんって?
それならLogic Nodeならどうだ?!
やっぱ誰も覚えてないんですねぇ…
だってもう10年以上も前の話ですから…
これら上記3つに共通するのは、メインマシンの負荷を減らすために生まれた技術です。でもマシン自体のスペックが上がるうちに全部古い技術となってしまい消えていきました。でも未だ軽いWavファイルなのに時々Auditionとかでエフェクト処理に時間かかってびっくりしません?そこで役に立つのが、外部DSP(スレーブマシン)による分散処理を可能にするAudioGridderです。
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え、まって?そもそもDSPってなに?
Digital Signal Processorの頭文字をとってDSPと言います。
音声、映像、温度、圧力、位置などの実世界の信号をデジタル化し、数学的に処理する方法です。音に限ったことではないんですね。
AudioGridderは音・音声のエフェクト処理をマスター側のDAW側じゃなくて他のマシンをDSP化してで数学的な計算をさせ、VST、VSTi、AUのプラグイン上で分散処理をした音をネットワーク経由で送ることで、メインマシンの負荷をすごく下げることができるんです。
過去の技術と何が違うかというと、AudioGridder PluginとAudioGridder Serverの間で、オーディオを常にストリーミングをし続けることです。
ということでMac Studio買うんじゃなくてMac Mini M1を2台買ってMAするほうが得なんだよ!そういうことなんだよ!
これは自分も含め貧乏制作者のための記事なんです。いわせんな!
いや、AudioGridder使えばMac Studio 1台でも、2台のMac Mini M1に勝てないかもしれない。AudioGridderはそれだけ価値のあるソフトなんです。
しかもAudioGridder無料、無料なんだってばよ!!!!
タダってびっくりでしょ?これでポストハウスのITチームも安心して検証・導入できますね。よかったよかった。めでたしめでたし。
AG ServerとAG Pluginの処理フロー
ここからはAudioGridderってタイピングするの面倒なので勝手にAGと略します。
AG PluginはDAWを起動させるマスターマシン側にインストール。
AG Serverは、エフェクト、シンセなどのVST, VSTi, Audio Unitsのプラグインがあるスレーブマシンにインストール。
処理フローとしては以下
1. マスターがネットワーク経由でスレーブ側にあるプラグインライブラリにアクセス
2. マスター側はネットワーク上の利用可能なAG Serverを探し、AG Server接続後インサートチェーンの作成や楽器のロードが可能になる
3. DAWからのMIDIとオーディオデータはネットワーク経由でAG Serverにストリーミング
4. スレーブ側でDSP処理されると、マスター側にストリーミングバックされる
これで貧乏でも「僕の考えた最強のMA環境」が整います!しかも真面目な話Mac Studio単体以上のことができてしまうんですね。
しかも、このAG Serverのスレーブマシン、ネットワーク上を介せば、複数のマシンでエフェクトをシェアして使用が可能というとんでも仕様なんです。まじすごくね?!! これで無料とは恐れ入った…Appleやプラグイン開発関係各社にAG開発者は闇に葬られるんじゃないか?と心配してしまうほど…
AudioGridderインストールしようぜ!
以下からダウンロード可能
AudioGridderダウンロードページ(Win, Mac, Linux)
スレーブ側にVST/AUとAG Server、マスター側はAG Pluginをインスコして終わり!これだけ!はいはい!
設定はウェブサイトをご拝見をお願いします。英語分からない?DeepLでも使ってください。(寄り添わないスタイル)AG Pluginは、マスター側のVSTとしてスレーブマシン上のVSTエフェクトを使用可能になるので、Fairlightでも、Auditionでも使用が可能です。スレーブマシンはWinでもMacどちらもよいので、使っていないマシンがあったらエフェクト専用マシンにしてしまいましょう。
使ってみると本当に編集、DAW、マスタリングソフト側のマシンの軽さにびっくりすると思いますよ!!
私はオーケストラ音源(EWQLやSpitfire関連)ばっかり使うのですが、AudioGridderにしたらサンプルがドロップアウトする機会が激減しました。ほんとおすすめ!
あと、これに関してはNAS上でどうにかしてできないかなぁといろいろ調べましたが、どうもAG Server導入がLinuxではできないので無理でした。無念ッ!Mac Mini M1を2台用意するとすごくいいのではないでしょうか。
そう、先日も他の記事で言いましたが映像制作関係者や代理店さんクライアントさんも含め、絵はこだわるけど音に興味ない人多すぎなんですよ…ほんといつもびっくりです。自分はどちらもこだわりますけど。
AudioGridder通じて音制作にもちょっとでも興味もってくれたら嬉しいです。いい加減にしてください!いつも音興味なさすぎて困り果てているんです!
河合 大呉 - Ringmasters Soundworks@ringmasters
プロデューサー、ディレクター、オーケストレーター、作曲家、フォトグラファー。 DIYが大好き。3ヶ国語ペラペラ。米国の音大卒業後、ロサンゼルスで作曲家修行。米国と日本のゲーム業界で働いた後、音楽制作会社Ringmasters LLCを創業、2018年に映像制...
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