クリエイターにとって、作業環境を充実させることは、仕事のパフォーマンスを向上させる永遠のテーマである。
エディター用のダイヤル付きキーボードや、簡単にショートカットを実行するための多ボタンマウス、編集作業を助ける左手用の入力デバイス。そして、長時間作業を行うために座り心地を意識したデスクチェアや、昇降機能が付いたデスクといった、様々なアイテムが存在する。
これらをクリエイティブに活用するクリエイターは少なくない。
2022年9月15日(木)から18日(日)まで幕張メッセ(千葉)にて、日本最大のゲームイベント「東京ゲームショウ2022(以下、TGS)」が開催された。
TGSでは「e-Sports コーナー」と称したPCデバイスを中心にした展示コーナーなどを設け、数多くのデバイス・アイテムを展示した。その中から、今回Vook編集部は「ゲーミングデバイスは映像クリエイターに使えるのか?」をテーマに、TGSに出展したデバイスやアイテムのメーカーに取材を行なった。
カスタマイズが自由なキーボード群
まず初めに立ち寄ったのは、eSports用ゲーミングデバイス・海外輸入品を取り扱う「ふもっふのおみせ」だ。
ここでは、「オーダーメイドアミロ」と称したカスタマイズキーボードを多数展示していた。
「アミロ」は中国メカニカルキーボードブランド「VARMILO(アミロ)」のことで、日本では「ふもっふのおみせ」を運営する株式会社フェルマーが日本正規代理店だ。
この「オーダーメイドアミロ」は自分の好みに合わせたキーボードをオーダーメイドできるサービスで、最大の特徴は、カスタマイズの”自由さ”だ。
キーボードのサイズ(25%、65%、80%、110%)や配列(日本語・英字)、キーの軸(打鍵感の違い)、有線・無線などの機能面のカスタマイズに加え、キーボードの色までカスタマイズできる。
色は、ベースとなるカラーを数種類の中から選び、さらにキーの色をひとつひとつ指定できる。この自由なカスタマイズのおかげで、自分の使いやすいキーボードを再現することが可能だ。
ゲーム用途では、移動のボタンに多く使われているWASDキーの配色を変えたり、打鍵感があまりしない軸を選んだりと、自分のプレイスタイルに合わせてカスタマイズする。これを映像編集用にカスタマイズするとどうなるか。
例えば、自身で設定しているAdobe Premiere Proのショートカットキーに合わせて配色を変えたり、作業スペースが小さければ、テンキーが必要なければテンキーのないモデルを選択。自身の編集スタイルに合わせてカスタマイズすればよい。
カスタマイズは受注生産で、値段は1万円台のものから2万円台のものまで様々、オーダーしてからおおよそ2〜3週間ほどで届く。
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軽さだけではないゲーミングマウス
もうひとつ目を引いたのが、ゲーミングマウスの「Lexip Pu94」だ。
「Lexip Pu94」は、マウスの親指部分にジョイスティックが付いたゲーミングマウス。ゲームでは、視点移動などの用途で使われるが、こちらもクリエイティブに活用できる。Blenderなどの3DCGソフトを扱う際に、ジョイスティックの割り振りにモデルの回転を指定すれば、使用できるかもしれないと担当者はいう。
検証が必要だが、本来はゲーム中の視点操作とキャラクター操作をマウスのみで実現できるように開発されたデバイスが、制作の用途としてBlenderなどの3DCGソフトにも活用できる可能性が出てきた。
より長時間作業をするために進化したゲーミングチェア
e-Sports 界隈に限らず、様々なシーンで活躍しているのが、ゲーミングチェアだ。すでに自宅の作業スペースにゲーミングチェアを導入しているクリエイター、もしくは長時間の在宅ワークのために導入した人は少なくないだろう。ゲーミングチェアは、その圧倒的な座り心地と安定性で人気を博している。
TGCでも各社数多くのゲーミングチェアを展示していた。
特段目を引いたのが、ゲーム会社のブースが建ち並ぶ中、その緑色の看板を堂々と掲げた、家具メーカーの 「ニトリ」だ。
「LET'S GAME ON!」をコンセプトにゲーミングチェア、ゲーミングブースを中心に展示が行われていた。
餅は餅屋というように、ゲーミングアイテムは、ゲーミングアイテムを専門に扱うメーカーのみの市場かと思っていたが、ここでのニトリ参戦は、会場の多くの来場者を驚かせていた。
しかし、これまで家具メーカーとして培ってきたノウハウを詰め込んだゲーミングチェアや、部屋全体をトータルコーディネートする展示は、新しい市場の開拓としては納得がいく。これまでの既存のユーザーだけでなく、ゲーマーや個人で配信を行うストリーマーといったユーザーに向けた展示だ。
ブースにセットしてあった白を基調にした展示は、デスク、モニター台、ワゴン、ゲーミングチェアを配置されており、トータルで約70,000円だという。
さらに、ルームワークスが日本代理店を務める、ゲーミングチェアブランド「DXRacer」の展示も大きく構えていた。
「DXRacer」は、人間工学に基づいた設計・デザインで、長時間の作業による体の負担を軽減し、快適な座り心地を追求したゲーミングチェアを多数取り揃えている。
今回のTGSでは、ニューリリースとなる「FORMULAシリーズ DXZ V2」の展示が行われた。
DXZシリーズは、日本人の体型にフィットする低座面仕様のスタンダードサイズ「FORMULAシリーズ」にソフトレザーを使用したロングセラーモデル。V2は耐久性をアップさせた高級PUソフトレザー製張地を採用した。頭を支えるヘッドレストも従来のシリーズで使用していた綿ではなく、ジェルを使用することで、より頭に負荷をかけない低反発仕様に変更している。
また、ソフトウレタン製3Dアームレストは、上下昇降、左右首振り、前後水平スライドが可能な3Dアームを採用。自分好みのアームポジションを確保し、作業時におけるキータッチや、マウス操作を快適にするという。
意外な素材から開発された防音室
今回のTGSでは、配信者(ストリーマー)向けに防音室を出展している企業が数社見受けられた。中でも、あの気泡緩衝材「プチプチ」を日本で初めて開発した「川上産業」が、防音室「HAKOIRI」を展示していた。
「HAKOIRI」は外寸幅1,640mm×奥行き1,640mm×高さ1,970mmと2畳ほどの面積を有する防音室で、気泡緩衝材を板状にしたプラパールが壁となっている。
防音室の中は、デスクがゆったりと入るスペースで一人で作業する分には問題ない大きさである。気泡緩衝材だけでの防音ではなく、「HAKOIRI」の中には吸音材も多数設置されており、トータルで音を約-15dB軽減することが可能だ。
「HAKOIRI」は素材自体が軽く工具不要で簡単に組み立てられるのも特徴のひとつだ。プラパール同士を重ねアタッチメントを差し込みレバーを回すだけで、プラパール同士を繋げられる。男性一人で1時間程度もあれば組み立て可能だと担当者はいう。
価格は吸音材込みで25万円ほど。オプションにはなるが、別売りの換気ファンも取り付けも可能だ。
まとめ
現在、PCを中心したデバイス・アイテムは「高品質・低価格化」が進み、誰もが比較的簡単に、映像制作に取り組めるようになった。そのような中で、映像制作界隈とゲーマー界隈(ここではストリーマーも含む)で、似たような環境にあるものの、まだまだ壁を感じる。
「ゲーミングデバイスは、映像クリエイターに使えるのか?」と、壁をひとつ越えて、外に視野を向ければ作業環境を改善できるアイテムは多数見つかりそうだ。
今回のTGS取材に限らず、映像クリエイターがパワーアップできるコンテンツは積極的に採り入れていきたい。
TEXT&PHOTO_菅井泰樹 / Taiki Sugai(Vook編集部)
Vook編集部@Vook_editor
「映像クリエイターを無敵にする。」をビジョンとするVookの公式アカウント。映像制作のナレッジやTips、さまざまなクリエイターへのインタビューなどを発信しています。
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