エレコム『V custom』シリーズ発表会レポート。 “ゲーミング”に特化したデバイスは、後に製品全体の利便性を伸ばすきっかけになるか|東京ゲームショウ2022(TGS2022)

2022.09.21 (最終更新日: 2022.09.21)

ゲーミングアイテムは名前の通り、ビデオゲームを快適にプレイすることに特化して製品開発されるものだ。しかし、それらのアイテムの利便性はビデオゲームだけにとどまらず、普段の生活で使ったり、時にはクリエイティブな活動にも使えたりする。

「いかにゲームを快適にプレイするか?」を突き詰めた、ゲーミングチェアやモニターといったアイテムは、現在ではゲームプレイに限らずさまざまな作業を円滑に行うものとしても使える。椅子やモニター、そしてマウスやキーボードといったプロダクトを、ゲーミングとして追求することは、通常の使い方をも向上させるプロダクトにする可能性はあるだろう。

その意味で、大手コンピュータ周辺機器メーカーであるエレコムが挑戦した『V custom』シリーズのマウスとキーボードはなかなか興味深い対象だろう。

これは9月15日の東京ゲームショウ2022にて発表された新製品であり、主にeSportsで活躍するためにプロゲーマーと共同で開発したプロダクトだ。ゲーミングの中でも競技レベルに特化しているプロダクトではあるが、何らかのクリエイティブに使用することを考えたとしても興味深い内容だったといえる。

他 TGS2022 レポート記事

ゲーミングデバイスは、映像クリエイターに使えるのか?|東京ゲームショウ2022(TGS2022)

クリエイターにとって、作業環境を充実させることは、仕事のパフォーマンスを向上させる永遠のテーマである。 エディター用のダイヤル付きキーボードや、簡単にショートカットを実行するための多ボタンマウス...

ゲーミングはもちろん、日常での使いやすさも魅力

まずエレコムの代表取締役である柴田氏が登壇し、新製品に込めた思いについて語った。ゲーミングデバイスの、日本製品と海外製品の国内の年間売り上げの比率はなんと海外製品がほとんどであり、日本製品は全体の3%の売り上げしかないという。そうした状況に鑑みて、柴田氏はエレコムとして本腰を上げ、日本製品の存在感を出すため今回のプロダクトに取り組んだという。

そうして会場で初めてお披露目されたのがV custumシリーズのマウス「VM600PE」、「VM500」とキーボード「VK300」、「VK310」そして「VK200」、「VK210」である。「最適が最強」をキーワードに、いずれもeSportsシーンでの活躍を目指して最適化された製品だという。

写真右:たこまる氏

続いてV custumシリーズの使い心地について、本シリーズの開発メンバーと先行で体験していたYouTuberのたこまる氏が登壇。たこまる氏は主にゲーミングデバイスに関係するチャンネルを運営する人物。その実績から今回の発表会に参加したかたちだ。

たこまる氏はまずマウスについて「シンプルに使いやすい。ワイヤレスで好きなだけ使える」と評していた。「VM600PE」、「VM500」は右利き用に特化したプロダクトであり、被せ持ちや掴み持ちのようなさまざまな持ち方でも使いやすい形状だという。

開発メンバーによれば、センサーの反応速度に加え、ゲーミングマウスらしく8ボタンを搭載しながらも軽量を保ち、利便性の高いものとなったそうだ。

今回の発表会では実際にデバイスに触れられるブースも用意された。左右非対称で右利きに特化したマウスはたしかに持ちやすく、しっかりと掌に収まるものだった

開発メンバーによるマウスの制作秘話として、どのように形状が決まっていったかが語られた。「日本人と欧米人の手の大きさは平均して1cmほど違う。なので、このマウスは少しだけ小さく作り、左右も非対称に設計することで、薬指と小指がフィットするようにしたそうだ。

「マウスと手の間に空間ができないように作りました。いままでオフィス向けに作ってきましたが、やはり対称となる形だと小指に隙間ができてしまうんです」と開発メンバーはフィット感にこだわった点を語っていた。

2-Mode ゼロエッジソール。こちらをマウスのそこに付けることで、滑り心地を調整できる

さらにたこまる氏は、マウスの接地面積を変えられる2-Mode ゼロエッジソールの素晴らしさについても言及。付属の追加ソールをつけるだけで、マウスをスライドさせる性能が変わる魅力について語った。

まとめると、マウスのフィット感や軽さ、動かしやすさに優れたものであり、ゲーミング以外での使いやすさも期待できるものだった。

触れられるブースにはキーボードも展示。実際にキーに触れてみると、たしかに発表会で語られたように指がひっかかりやすいようになっている。また銀軸・青軸・茶軸それぞれのバージョンも出展。キータッチしたときに音が出るものなども用意されるようだ

続いてキーボードについて開発メンバーがたこまる氏とトークを行った。たこまる氏は各キーボードではテンキーの有無を選べることに言及。「テンキーがないことでマウスを振れるスペースが広がりますね」とゲーミングに生かせるバリエーションを評価した。

キーの反応速度も速く、たこまる氏は「いろいろキーを同時に押しても反応がある」ということに驚いていた。

一方で開発メンバーはこうも語る。プロゲーマーとして競技に使える仕様にしたのはもちろんながら、日常でも使いやすいものに仕上げたことも特徴だそうだ。

本キーボードではミスタッチを減らすために、キーキャップは一般のオフィス向けのものと違うかたちに設計している。

主に指がキーに引っかかりやすく設計することで、操作ミスを防ごうとしている。この設計にはたこまる氏も「ゲームに集中すればするほどミスが出るもの」と指摘し、このキーボードならばそれが防げることを語った。

試作品の数々。プロゲーマーと共に開発を進めた形跡がうかがえる

こうした設計は監修したプロゲーマーと議論を重ね、「指に食いつくキーとは何か?」を考え抜いた結果だという。

会場からは「たこまる氏はYouTuberとして活躍されることもありますし、本製品を動画制作などに使用するときの利便性はいかがでしょうか」という質問も上がった。

開発チームによる解答では「今回ゲーミングに特化していますが、ここまでにお伝えしたような触れ心地や使い心地は、いままでのオフィス向けデバイスで培ってきたものを盛り込んでおります。普段、使うときから動画編集や配信などでも十分使っていただける仕様になっているかと思います」とあった。

たこまる氏はV custumシリーズの総評として「最初はどういうユーザに向けるのか不安でした。でも、万人向けで提供してくれており、今後が楽しみになりました」とまとめた。開発メンバーは「今回の開発では、正しくデータを取れる計測システムなどの設備も作りましたので、そのあたりで培ってきたノウハウは今後のオフィス向けキーボードやマウス開発に転用できるかと思います」と語った。

エレコムのこうしたゲーミング事業の試みは、やがて一般的なオフィス向けデバイスを開発する際にも還元されていくことだろう。

またひとつゲーミングに特化することが、さまざまな用途でデバイスを使用するときの利便性を高める可能性を提示した、事例ができたようにも思えた発表会となった。

TEXT_葛西 祝 / Hajime Kasai
EDIT_菅井泰樹 / Taiki Sugai(Vook編集部)

プロのビデオグラファーを目指す学校、はじまる。入学生募集中。

PR:Vook School

コメントする

  • まだコメントはありません
Vook_editor

Vook編集部@Vook_editor

「映像クリエイターを無敵にする。」をビジョンとするVookの公式アカウント。映像制作のナレッジやTips、さまざまなクリエイターへのインタビューなどを発信しています。

Vook編集部さんの
他の記事をみる
記事特集一覧をみる