こんにちは。
rrrushhourrr(ララッシュアワー) です。
前回のコラムでは、私が導入したPCのスペックを公開しました。
PCはひとつに絞らない!【映像クリエイター ララッシュアワーの非・効率化計画 Vol.6】
こんにちは。 rrrushhourrr(ララッシュアワー) です。 突然ですが、皆さん!パソコンは何台お持ちですか? 1台、もしくは2台! って方が多いかと思います。私もこれまでは、MacBoo...
今回は、このゲーミングPCをフル活用して制作した、夏休みの「自由研究(3DCGの二次創作作品)」について、解説していきます!
学生時代は、夏休み中に課題が終わることなんてなかった私ですが(初回授業提出まで引き伸ばすタイプ)、この動画は夏休みの最終日、いわば8月31日に公開できました(大人になってやっと期限を守ることができました…涙)
今回はこの動画を作るに至った経緯と、備忘録も兼ねて制作工程について書いていきたいと思います。
まずはこちらをご覧ください!
©️ANYCOLOR Inc.
なぜ自由研究(自主制作)をするのか?
普段、私がお仕事をしている案件は、契約上の理由で制作に関わったことを公言できない場合が多々あります。そうなると、「毎日働いているのにも関わらず、公に見せられるポートフォリオ(事例集)が寂しい」という事態になってしまうのです…。
フリーランスの方なら、この苦労が分かってくれるのではないでしょうか。インターネット上で営業活動をする上で、これは由々しき事態です。
とはいえ、普段の仕事をしながら、空き時間や休日に自主制作をするというのは、かなりパッションがないとできません。なので私は、パッションを保ち続けられるよう、制作が苦にならない二次創作で技術的な研究をしています!
…と、もっともらしいことを書きましたが、実のところ、一人のオタクがイベントに向けて同人誌を作るというのが、動画にすり変わっただけでもあります。
こういった部分で、趣味に本気になれるオタクで良かったなあとは思います。
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今回の技術的な目標
最近仕事でUnityを使用することが多くなりました。
なので、今回の創作活動では、遊びながら「HD レンダーパイプライン (HDRP)」 の扱いに慣れることをテーマに設定。少しでもクオリティの高いグラフィックで作品が作れるように研究しました!
今回の制作の目標
A. Unity(HDRP)を使用して、映像全体のルックを良くする
B. 物理処理のエラーをなくし、揺れモノの動きを自然にする
C. カメラワーク、ライティングの研究
B.については以前制作したMMD作品における反省点で、C.は今後自分が強みにしたい部分なのでブラッシュアップを図りました。
全体のワークフロー
私が一番楽しみにしている(力を入れたい)行程は、上記画像の④〜⑤です。しかしそこに辿り着くまでは、先の見えない技術調査とエラーとの闘いが待っており、それらを乗り越えなくてはならないのです…。
①題材の策定、素材探し
モデル、モーション、ステージなどの素材を収集します。ライティング・カメラワークのリファレンスを探したり、技術調査も行います。ここは焦らず、ひと月程度かけてゆっくりと進めていきます。
②MMDモデル微修正 <使用ソフト:PmxEditor>
今回お借りしたのは、フィッシュテールスカートが印象的なモデルです。モーションの都合でスカートが破綻しやすかったため、ウェイト・剛体・ジョイント等の物理設定を調整。ここでかなり苦戦しました…。最終的にはここの調整は諦めて、力技でなんとかする方向に転換しました。(※後述)
③モーション流し込み&修正 <使用ソフト:MMD, MMDmacro>
今回使用するモーションを、そのままモデルに流し込むと、元モーションとのスケールの違いで、腕が体に食い込んだりなどの破綻が出てしまいます。そのような破綻箇所は、すべて手で直しました。(②の工程の後始末)
また、スカートや髪の荒ぶりをなくすために、物理演算をキーフレームに焼き込む(フルベイクする)作業に挑戦しました。MMD上の物理シミュレーションを毎度計算しないようにキーに変換し、その後破綻箇所を手で調整する作業です。
ここで活躍したのが、MMD用ツール「MMD macro」! 単調な作業を自動で行うマクロを組めるので、大変効率的に作業が進められました。
この工程の作業は3週間程度かかりました。
④本番作業 <使用ソフト:Unity 2021.3.5f1 HDRP>
長きにわたる調査と調整が終わったところで、やっとメインとなる作業が始まります。今回は、背景と光の描写を実写寄りにしたかったため、「HDRP」というレンダーパイプラインを使用しました。
MMDの各データは「MMD4Mecanim」というツールでインポートします。pmxやvmdがFBXに変換され、PrefabとしてUnityのSceneに追加できるようになりました。
マテリアル設定は、「lilToon」というシェーダーをお借りしました。
https://twitter.com/lil_xyzw/status/1414501717366886404?s=20&t=oj_wwUiFJi0nS09l6eQikQ
トゥーン表現が美しい上、パラメーター調整が非常に簡単で、ラメも入れられちゃうのでここでテンションが一旦ブチ上がります。
そして、HDRPの特長であるFogを足してライティングすると…更にブチ上がります。
最後に、「Cinemachine」を使用しカメラの動きをつけていきます。ここがテンションの最高潮です! 大当たり演出を見てる時くらい脳汁が出ます!!
ひとしきり興奮した後は、粛々と動画を書き出します。
⑤最終調整<使用ソフト:AfterEffects>
ここからは仕上げの調整です。
レンズフレアやトランジション効果の追加、カラコレ、Unityではどうすることもできなかったバレ消し(笑)を行います。Unityのポストプロセスにおいても上記の設定ができるのですが、最終出力が映像ということもありフレアの質感が高く、色の微調整がしやすいAEで最終コンポジットを行っています。
AEは一番慣れているソフトなので、とても気楽に、速く作業ができます。ラストスパートは集中して二週間程度で終わらせます。
そして最後に、各種SNSに動画をアップロードして長い旅が終わるのです……。
終わりに
完全に個人的な備忘録の記事になってしまいましたが、いかがでしたか。
というか、ここまで読んでくださった稀有な方はいらっしゃるのでしょうか!
もし、どなたかの参考になれば…それほど嬉しいことはありません。
今回はモーションもモデルもお借りしたものなので、次回は全てオリジナルで、時間があればUnreal Engineにも挑戦してみようかな?と思っています(制作期間は如何程になるのやら…)
最後になりますが、MMD以外のソフトで使用することを禁止しているMMDモデルもありますので、くれぐれも注意されますよう!
それではまた次回〜!
- rrrushhourrr(ララッシュアワー)
フリーランス・映像クリエイター。普段は「SAMPRAS DESIGN」で、モーショングラフィックスやVR映像を中心とした映像制作をしている。また、女性クリエイター応援プロジェクト「Story by Story SHIBUYA」の一員としても活動。好きなことに片っ端から足を突っ込んでいる”チカチカ系”クリエイター。
映像クリエイター ララッシュアワーの非・効率化計画@rrrushhourrr_column
アラサーで脱サラしてフリーランスになったララッシュアワーが、何かと効率化を求める現代人に対して、あえて回り道する楽しさを伝えていく、”非効率的なコラム”を連載していきます!
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