前置き

映像制作をする上で、音声編集は音のエンジニアに依頼して編集・ミックスしてもらうことが僕は95%です。良い音がわかるように耳を鍛えることは一筋縄でいくようなものでは無いなぁと日々実感しています。ただ、知識として音声編集の工程を理解出来れば自分でもやってみたいと前々から思っていたので勉強をしています。Fairlightを使って音声編集をする際に何が出来るか色々と模索しながらですが、まとめていこうと思います。今回も前回と同様に作曲家のSato Naoさんの力を借りての制作ノートです。

VOOKリンク :Nao Sato(作曲家)

音声編集の流れ

DaVinci Resolve 14に搭載されたFairlightを使えばソフトウェア上でのレコーディングなど、本来別途オーディオソフトウェアが必要なさまざまなことがDaVinci上で出来ます。これから2回に分けてFairlightに備わっているさまざまなオーディオ機能を使って出来ること、また今後追加されるであろう機能についてまとめて行きます。


音声編集の流れのイメージ

収録される音の問題点

一回目の今回は、音声編集において重要な割合を占める、タイムラインに取り込んだ音の補正作業です。

収録される音に生じる問題点は様々あります。

野外で撮影された音には風防(ジャマーなど)をつけたとしてもわずかに低音ノイズが入っていたり、室内で撮影したものは空調や冷蔵庫などの音が入ることが多いです。またピンマイクとガンマイクで収録した音は全く違うように聞こえたり、ガンマイク同士でもそれぞれの特性が出るので音が違います。

ブームを使ったとしてもカメラのフレーム内には入れないため収録された音が小さかったり、収録中音のソースとブームマイクの距離が変わるとそれに合わせてボリュームも変わります。また収録する音が割れないようにあえてレベル値に余裕を持たせて収録するため、取り込んだ際の音のボリュームが基本的に少し低かったりします。

ナレ収録をする場合にも、専用のMAスタジオで行う際はクリーンな音を録ることができますが、例えば予算の関係でそれ以外の場所で行う場合は先ほどのノイズなどの影響で音の補正が必要になる可能性が出てきます。

こうしたことも考慮し、出来る限り反響や環境音がうるさくない場所を使って撮影することが理想なのですが、そうもいかない場合、こういった様々なシチュエーションにおける音声収録に対応するために、音補正はポストプロダクションで重要な仕事です。

ステップ1・音量調整

まずはクリップごとに音量がバラバラな場合、それを均一になるように調整します。Farlight画面右下にあるレベルメーターを見ながら、一番はっきりときこえなければいけない部分・例えばナレーションやインタビューの声の部分などは**ー5dbからー1db(メーター最上部からその下の-5と書かれた目もりの間)**に収まるように、クリップ音量のオーバーレイをドラッグしながら音量を上下させましょう。

B-Rollなどで環境音しかない部分やそれ以外の比較的重要でない部分がある場合は、先ほど合わせた音量を基準にバランスが取れるよう調節してください。(環境音が一切ない場合はカットすることも可能です)

メーターがこのようになっていた場合、この時点での音量は-10dbより少し上、だいたい-9dbほど。

音割れは絶対に避ける

音量調整、特に音量を上げる際に気をつけなければならないのが、音割れです。音量調節をしていてメーター上部の線が赤く点灯してしまう場合は音量を上げすぎて限界を超えているという警告です。一度その状態のまま書き出されてしまうと、音割れなどのあとから完全に修正することのできない音質劣化を招くので、赤くなる手前まで下げて絶対にその状態のまま書き出すことのないようにしてください。

また、クリップ音量が小さすぎる際にそれを最大値まで上げてくれる機能を「ノーマライズ」といい、Premierなど映像編集ソフトウェアには必ずついている必須機能なのですが、まだ発展途上のDaVinciにはついていません。搭載され次第この記事もアップデートしたいと思います!

*ブラマジのフォーラムで質問したところ直接ブラマジから返信が来ました。普通にフォーラムにいけば誰でも見れるコメントなので、ここでもシェアしておきます。アメリカのブラマジマーケティングチームの慕われキャラであるポール曰はく、「もう少し時間をください。チーム一丸となってたくさんの機能をDavinciResolve14には搭載しました。オーディオの機能も出来る限り早く追加していけるように頑張っています。ドンドン今後も良くなっていくのでお楽しみに!」と言うことですのでお楽しみに!


参照:Facebookのフォーラム DaVinci Resolve Users

ステップ2・低音ノイズ除去

EQで低音ノイズの除去

「ハイパスフィルター」という、主に低音をカットするためのフィルターがあります。基準となる周波数(音の高さ)を設定し、それ以下の周波数の音を減少・もしくは完全にカットすることができます。風のノイズや運転中の車の中のノイズ、電源由来のノイズなど低音ノイズは音声収録によく入り込むので、こうした低音ノイズはハイパスフィルターを使って一部カットすることが出来ます。

例えば人間の声の場合、一番低くても85Hzほどなので、たとえば100hzより低い帯域にノイズがある場合はその部分だけを削ることでノイズだけがなくなり音がクリーンになります。

Firlightに搭載されているEQ(イコライザー)にはこのハイパスフィルターに相応する機能も付いています。

一つのクリップのみ除去したい場合はインスペクタ内のクリップイコライザーを使用し(画像右)、トラック全体に適用したい場合はミキサー部分の「EQ」と書かれた四角をダブルクリックします(画像中央)。

クリップイコライザーの名前の左側のアイコンをクリックしアクティベートしましょう。中央部分にBand1から4までありますが、今回は一番左のBand1使用します。Band1と書かれたボタンをクリックし、アクティベートします。(もしBand4がアクティベートされている場合は以下のようにフラットに戻します。)数字の(1)をクリック&ドラッグで右に移動させて100Hzまで持っていきます。

トラック全体のEQの場合はBandが6までありますが基本的な操作はクリップイコライザーと同じです。

良い音に合わせて音の質感をマッチさせる

二つ以上の違うマイクで収録した場合に音をマッチングさせるためにEQを使うことが出来ます。音をマッチさせる際には出来る限り収録された音の中でも良い方に合わせてマッチングさせます。ピンマイクをガンマイクで収録された音にマッチングさせることが難しければガンマイクで収録されている音をピンマイクに近づけるためにEQを使っているところを見たこともあります。

やりすぎ注意

EQはやりすぎるとすぐに音が不自然になってしまいます。そのため注意深く使う必要があります。あくまで必要最低限に使うことを心がけること。

低音ノイズの例と除去後の比較

今回実際に作業をするのはこちらの音声。(ヘッドフォンでの視聴推奨です)声自体ははっきりと録れているのですが、よく聞くと常に低音のノイズが流れています。しかし声がちゃんと録れていればそれでいいのでは?と思うかもしれません。

この音声を取り込んでFairlightのミキサーを見てみると、この時点ですでに音量の最大値がほぼ限界まで上がっているのが分かります。(メーターがほぼ最上部に達している:画像左)

これを、先ほどのEQのBand1設定値を100hzにしてみます。するとノイズがカットされその分音量が下がっていることがわかります。(画像右)

全体の音量が下がったということは、今度はその差分を埋めるために全体の音量を上げることができるということです。今回このノイズの分で下がったのは5db、というわけでフェーダーの音量を5dbあげてみます。

どうでしょうか。声がより聞こえやすくなったかと思います。最初の状態ではすでに音割れ限界まで達していたためそれ以上上げられなかった音量が、ノイズをカットすることで余裕ができ結果的に全体の音量を持ち上げることを可能にしています。もしお手元の環境で最初のノイズが確認できない場合でも、補正後に声が聞きやすくなっていることは確認できるのではないでしょうか。

このように、最適の環境で録音された音でなくてもちょっとした補正をかけるだけでより聴きやすく編集することができます。

ダイナミクスのツールは次回

次はFairlightのダイナミクスの中にあるゲート、エクスパンダー、コンプレッサー、リミッターを使って出来る音補正について説明します。

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