ASUSとVook Schoolのコラボレーションを記念して、実際に置かれているクリエイター向け製品の実力を、ビデオグラファー用途の観点から試してみました。
本稿では、長野県松本市を拠点に活躍中の映像クリエイターであり、DaVinci Resolve認定トレーナーとしても活躍する井上卓郎さんによるレビューをお届けします!
Vook Schoolに、ASUSのクリエイター向け製品がやって来た!
2021年11月15日(月)に開校した、新世代の映像スクール「Vook School(ヴック スクール)」。渋谷に所在するスタジオスペース(校舎)では、プロが使用しているカメラをはじめとする様々な撮影機材をラインナップ。受講生の学びの場としてだけでなく、映像制作者向けの様々なイベントも開催しています。
そんなVook Schoolにこの度、ASUS JAPANのサポートの下、同社が製造・販売するクリエイター向けブランド「ProArt」のモニターやノートPC、同社製「ProArt」マザーボード搭載のデスクトップPCが導入されました!
【Vook Schoolに提供された、ASUSクリエイター向け製品】
製品名 | 備考 |
---|---|
ProArt Display PA32UCR-K | 32型 4K UHD液晶モニター |
ProArt Display PA278CV(2台) | 27型 WQHD液晶モニター |
PA279CV-R(2台) | 27型 4K UHD液晶モニター |
ASUS Vivobook Pro 16X OLED N7600PC(3台) | 16型 クリエイターノートPC |
ASUS ProArt Studiobook 16 OLED H5600QR | 16型 4K クリエイターノートPC |
ASUS ZenBook Duo 14 UX482EG | 14型 デュアルディスプレイ搭載ノートPC |
raytrek ZF+ ProArt Z690 Powered By ASUSモデル | クリエイターデスクトップPC |
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PR:Vook School
DaVinci Resolveによる編集とカラーグレーディングを試す
こんにちは、Happy Dayz Productionsの井上卓郎です。
今回は、HDR対応の32型ワイドディスプレイ「ASUS ProArt PA32UCR-K」(以下、 ProArt PA32UCR-K)と、ドスパラのクリエイターズブランド「raytrek」のプレミアムクリエーターPC「raytrek ZF+ ProArt Z690 Powerd by ASUS」(以下、raytrek ZF+ ProArt Z690)を使って、DaVinci Resolveによる編集とカラーグレーディングを試してみました。
▲ 普段は、日本中の高い山に登って撮影した映像をDaVinci Resolveを使って、編集・グレーディングをしています。仕事でも自然を活かした自治体や観光地のプロモーション映像、博物館の展示映像などを制作しています。
最近は8K RAWで撮影した映像の編集をしているため、どうしてもハイスペックPCが必要になっているのですが、あまりにも特殊な環境のため、今回は一般的なビデオグラファーの映像制作環境として、「ProArt PA32UCR-K」と「raytrek ZF+ ProArt Z690」が実用に耐えうるのかレビューしました!
ハードウェアキャリブレーションができる! HDR対応の32型ワイドディスプレイ
まずは、「ProArt PA32UCR-K」。
私は普段は27インチのディスプレイを使って編集作業を行なっているのですが、ProArt PA32UCR-Kはひと周り横長の32インチディスプレイ。
箱から取り出した時はあまり感じませんでしたが、編集を始めるとちょうど視界を覆うサイズで普段のディスプレイよりも没入感がありました。
そして、最大輝度が1000nitsまで出るのが良いです。
たいていのモニターは、500nits程度しか出ないパネルが多いのですが、HDRを視野に入れるなら1000nitsを基準にしたいところ。
今後HDR編集する際にも対応できます。「HDRは必要ないなあ……」と思われた方もいるかもしれませんが、大抵のスマートフォンやタブレットはHDRに対応しています。
着実に普及してきているので、今から準備しても損はありません。
高い輝度に加えて、Quantum Dot(量子ドット)技術にも対応。
もちろん色域についても、Adobe RGBの99.5%、DCI-P3の98%、sRGBの100%と、プロ用途の映像制作に欠かせない色域をカバーしています。
一方、ディスプレイのスピーカーはプロレベルの映像編集を行うには物足りないので、別途、スピーカーを用意することのをオススメします。
映像制作において音はとても大切。都内など音をしっかりと出せない環境の場合は、ヘッドフォンでも大丈夫でしょう。
さらに、このディスプレイ。
キャリブレーター「x-rite i1 Display Pro」(※1)が付属しているので、ハードウェアキャリブレーション(ディスプレイの色校正)が可能です。
i1 Displayは単体で買うと意外と値が張るので、これは嬉しかった。
※1:現在、i1 Display Proは販売終了。後継機に該当する製品が販売中
▲ i1 Display Proを併用することで、色精度 (∆E) <1を保証するようにキャリブレート。均一性補正機能も搭載されているので、正確な色合いを表示してくれます
カラーグレーディングを本格的にやりたい人はもちろん、本格的にやらないとしても仕事として映像をやるのであればディスプレイのキャリブレーションは必須。
5万円くらいのディスプレイだと、色が全然違ったりして仕事で使うには大問題が発生します。
業務として映像編集を行う場合は、最初からある程度しっかりしたディスプレイを使うことをオススメします。その意味でもPA32UCR-Kは、有効な選択肢だと思います。
▲ 入力端子も豊富にあるのでメインPC以外にもノートPCも接続できる。USB-C端子からはノートPCにも給電ができます
ドスパラのクリエイターズブランド「raytrek」(レイトレック)とは
続いては、「raytrek ZF+ ProArt Z690」。
レビューを始める前に「raytrek」とは、クリエイティブ環境を下支えする最新パーツを組み合わせ安心して作業をできるハイスペックPCを提供している、ドスパラのクリエイターズブランドです。
4K画質や長尺など、高負荷環境の下で映像制作を行うクリエイターを煩わせない、圧倒的なハイパフォーマンスを持つ製品を豊富にラインナップしています。
低コストで必要なスペックを実装できるカスタマイズ性がありプロクリエイターや、これから趣味として始めたいホビークリエイターにも最適です。
プロ仕様の外観と、十分な拡張性
それでは「raytrek ZF+ ProArt Z690」のレビューを進めます。
外観は、タワー型のケースでゲーミングPCのようにギラギラ光ってはいません。どんな場所に置いてもフィットするプロ仕様のデザインです。
「raytrek ZF+ ProArt Z690 Powerd by ASUS」主要スペック
OS:Windows 11 Pro 64ビット
CPU:Intel Core i9-12900K 24コア 3.2GHz
メモリ:32GB
GPU:NVIDIA GeForce RTX 3070 VRAM 8GB
ストレージ:1TB SSD
▲ キーボードとマウスは、好みがあると思うので自分にあったものと交換すると良いです
「raytrek ZF+ ProArt Z690」背面に設けられた端子の注目ポイントは、Thunderbolt 4端子が2つ付いている点。
CPUやGPUもパフォーマンスを左右する大切なパーツですが、映像制作、特にオーバー4Kを扱うときは、映像素材を入れるメディアと接続方法が重要になるため、高速なThunderbolt 4接続は大切なポイントになります。
内部にはM.2の空きスロットが1つあるので、作業用スペースとしてSSDを追加するのもアリ。
評価機にはメモリが32GB積んでありました。
DaVinci Resolveはあまりメモリーを使わないソフトなので今回の検証では特に問題はなかったのですが、FUSIONやAfter Effectsなど、より多くのメモリを使うソフトウェアで作業する場合は、内部の空きスロットに増設すると良いと思います。
ディスクトップPCは拡張性に余裕があるので、後々買い替えなくてもスペックアップできるのがメリットですね。
▲ 内蔵のSSDも、リード=4,359.MB/s、ライト=3,813.4MB/sと、非常に高速でした!
DaVinci Resolveも軽快に動作!
動作検証として、DaVinci Resolve Studioでひと通りの操作を試しました。映像素材は、外部SSDに入れTunderbolt 3で接続したものを使用。
4Kタイムライン編集
4K UHDの解像度で、まずはBlackmagic RAWの4K素材を編集したところ、まったくストレスもなく編集ができてしまいました。良い意味で拍子抜けしてしまった(笑)
そこで、もう少し負荷をかけるためにNikon Z 9で撮影した4K / 8K H.265と、8K N-RAWの映像素材を編集してみました。
すると、H.265のクリップはストレスなく編集可能。一方のN-RAW素材は、デコード品質を1/2にしたところスムーズに編集することができました。
4Kタイムラインで編集した際のこのスムーズさは、上位機種とも引けをとりません。
カラーグレーディング
カラーグレーディングはホイールやカーブを使った調整は問題なく行えました。
ですが、GPUを使うエフェクトやノイズリダクション、AIを使ったマジックマスクなどは処理が重くなるがこれらの処理は高スペックPCを使ってもけっこう重くなりました。
とは言え、ノイズリダクションをかけても18fpsほどで再生できていたので、決して性能が低いわけではありません。
レンダーキャッシュなどを組み合わせれば、スムーズな作業を行うことができるはずです。
そもそものところで、これ以上の高性能を求めるとPCの値段は一気に高くなるのでちょうど良いバランスだと思います。
しばらく使って本当に必要であればRTX 3080や3090といった上位のGPUに交換するのもアリでしょう。
まとめ:4K HDRにも対応できる、納得のパフォーマンス
「ProArt PA32UCR-K」。
ディスプレイは広い方が作業効率が上がるというのもありますが、大きな画面で映像を見ると感じ方もガラリと変わってきます。
HDRに対応し、最大輝度が1000nitsまで出てさらにハードウェアキャリブレーションができる「PA32UCR-K」は、映像のクオリティを着実にワンランク上げられるはず。当分は買い替えの必要がないしっかりとしたモデルです。
そして、「raytrek ZF+ ProArt Z690」を実際に使用してみて、現在主流のフルHDなど、通常の映像制作において十分な性能があると感じました。
映像制作には、日常生活で使うPCよりも高いスペックが必要ですが、このPCは十分な拡張性があるので将来物足りなくなった時でも強化することができるので、長く使用することができると思います。
性能と価格のバランスがとても良く、これから本格的に映像を始めたいという方にピッタリのディスプレイとPCだと感じました。
▲ 今回レビューした「ProArt Display PA32UCR-K」と「raytrek ZF+ Powerd By ASUS」は、Vook Schoolにも導入済みです。興味をもった人はぜひ、試してみてください!
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TEXT_井上卓郎(Happy Dayz Productions)
Special thanks to Vook School
Vook編集部@Vook_editor
「映像クリエイターを無敵にする。」をビジョンとするVookの公式アカウント。映像制作のナレッジやTips、さまざまなクリエイターへのインタビューなどを発信しています。
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