2022.11.17 (最終更新日: 2022.11.25)

最強の物撮り! 登録者数20万人、日本一シネマティックにガンプラを撮る人気YouTuber「ぷらばん」チャンネルの飽くなきこだわり【ぷらばん:インタビュー】

コアな趣味の代表格とも言える「模型・プラモデル製作」。

中でも機動戦士ガンダムシリーズのプラモデル「ガンプラ」は、発売から40年以上の歴史があり、国内はもちろん、世界中に熱心なファンが存在します。

2020年に開設されたガンプラ専門チャンネル「ぷらばん」も、一人のガンプラを愛するオーナーの手によって生み出されました。

長時間の製作工程を1本に凝縮した動画は、「ベテラン」はもちろん、初心者でも親しみやすい内容です。


10月27日公開の動画は急上昇ランキング入りに

今回は、20万人のファンの心をがっちりと掴む「ぷらばん」の中の人に、高品質な映像がいかにして作られているのか、その裏側を聞きました。

  • ゲストYouTuber「ぷらばん」 Plaban ガンプラ専門番組

    2020年7月に開設。幼少期から作り続けたガンダムのプラモデル「ガンプラ」の製作の様子を、こだわり抜かれたシネマティックな映像によって届ける。登録者数は20万人(2022年10月現在)。

登録者数20万人・ガンプラ専門チャンネル「ぷらばん」

Vook:本日はよろしくお願いします!

ぷらばん:こちらこそ、よろしくお願いします。

©️創通・サンライズ

Vook:今やプラモデル・模型ジャンルのトップYouTuberになられたぷらばんさんですが、当初からご自身の中に勝ち目はあったのでしょうか?

ぷらばん:チャンネルを始めた2020年の7月当初は、ヒットするという確信はありませんでした。

「自分が好きなことで、人に自信を持って見せられることって何だろう?」と考えたとき、幼い頃からやっていた模型作りが浮かびました。

最初は仕事の合間の暇つぶし、遊びの延長でやっていた、というのが実際です。

Vook:ガンプラは、いつから作られていたのですか?

ぷらばん:幼稚園の頃に、親に買ってもらったのが最初だったと思います。かれこれ数十年前になるでしょうか。

ガンプラ以外にも、エヴァンゲリオンやミニ四駆、アーマード・コアのようなゲームのキットを作っていた時期もありましたね。

Vook:YouTubeを始めた直接のきっかけは、何かあったのですか?

ぷらばん:ある時、たまたま、YouTubeのオススメに、海外で彫金細工をされているPabloさんという方の動画が表示されました。この動画を見たときに、モノ作り動画でもちゃんと作れば面白いものが作れると、衝撃を受けました。


Pablo氏のYouTubeチャンネル

ぷらばん:Pabloさんの動画が、僕の中では最高に衝撃的で。映像が綺麗なのはもちろん、カメラは動くし、カット割もすごく手が込んでいて。「ぷらばん」の原点と言ってもいいチャンネルですね。

Vook:たしかにシネマティックで、「ぷらばん」に通ずる雰囲気がありますね。

ぷらばんさんの動画からも画作り、カメラワーク、構図……。とにかくこだわり抜かれていることが、伝わってきます。

ぷらばん:ありがとうございます。徹底的にこだわり抜きたくて一切の妥協も許しません。そんな性格のせいか、ワンカットを撮影するのに1、2時間かけることもあります。

なので、そういったこだわりの部分を視聴者の皆様に分かっていただけると、嬉しいです。

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プロ品質を生み出すカメラと照明へのこだわり

Vook:機材についてお伺いしていきます。映像のクオリティがとても高く、魅入ってしまいます。まず、カメラは何を使われていますか?

ぷらばん:SONYのCinema Line カメラ「FX3」を使っています。

プロフェッショナルカムコーダー「ILME-FX3」(引用:https://www.sony.jp/pro-cam/products/ILME-FX3/)

Vook:「FX3」なんですね! SONYだと多くの方が、αシリーズを選択しますが、なぜ「FX3」を選んだのでしょうか? また、どのような違いがありますか?

ぷらばん:やはり、FX3が出す色味の深さは、他のカメラとは違います。

これまでにもαシリーズをはじめたくさんのカメラを試しましたが、ぷらばんチャンネルでいうと、「青」の深さが違います。例えばガンプラを物撮りした際に、背景のブルーのライトが、他のカメラだと紫がかって映ってしまうことが多いのです。

これがFX3だと、正確な「青」として綺麗に出ます。ダイナミックレンジ(※)という数値が高いので、青は青、黄は黄、赤は赤というように、正確に映ります。

※ダイナミックレンジ:識別可能な信号の最小値と最大値の比率。この幅が大きければ、撮影で表現できる明るさの範囲が広くなる

ぷらばん:本当は、時間をかけてカラーグレーディングで色を追い込みたいのですが、そこまでするとYouTubeには向かなくなるので...。

Vook:映像は色を編集していない撮って出しの映像なのですか?

ぷらばん:そうです。なるべく、色編集に時間を使わないようにするために、撮影の時点で色を作り切っています。

個人のYouTuberが短いスパンで動画を出し続けるには、撮影の段階で映像を完成させて、あとは編集をするだけにしておくのが、もっとも効率的なのです。私は、ガンプラを作るのにも時間がかかっているので、できるだけ効率的に進めなければなかなか動画を公開できなくて。

Vook:正確な色を出すためには、照明にもこだわらないといけないかと思います。ぷらばんさんが使っている照明は、多くの視聴者さんも気になっているのではないでしょうか。

ぷらばん:メインの照明には、Aputure「LS C300d Ⅱ」を使っています。

YouTubeからまともな収入が入ってくるようになってから、真っ先に照明機材に投資しました。

ぷらばんチャンネルで天井に吊り下がっている照明 Aputure「LS C300d Ⅱ」

ぷらばん:こちらにはソフトボックスも付けています。ソフトボックスの重要性については、まだまだ認知されていないような気がします。

よく物撮り動画で照明を直接当ててしまっている動画が多いのですが、とてももったいないなと思います。照明を直接当ててしまうと、白飛びしたり、立体感がなくなってしまいます。

プラモデルにおいて細かいディテールは、もっとも注目するポイントかと思います。そのこだわりのポイントを生かすも殺すも照明次第ではないでしょうか。

Vook:照明は1台だけじゃありませんよね。

ぷらばん:そうですね。立体感を出すために、あらゆる角度から照明を当てています。

例えば、1番奥にあるものは、Aputure「AMARAN 200D」です。この照明は太陽光のような綺麗な色が出ます。そして、その対角線上には、Aputure「NOVA P300C」も置いています。あと、個人的に好きなのがカラーLEDです。NANLITE「PavoTube」を使っています。

チャンネルのイメージカラーの青、オレンジがとても綺麗に映ります。「PavoTube」は小さいものも合わせたら、全部で10本くらいありますね。

スタジオの印象的な青やオレンジカラーはこの「PavoTube」で演出されている

ぷらばん:その他、細かいものだと、Aputure「MC」も使っています。工作シーンで物の裏に置いたりして、味を足すために使っています。

Vook:プロ仕様の照明ですね。

ぷらばん:YouTubeの収益は、基本、機材に注ぎ込んでいます。最短でプロのクオリティに近づくためには、同じものを使う方がいいと思っていたので。

Vook:照明はどうやって配置しているのでしょうか?

ぷらばん:基本的にメイン、サブ、バックライトの3点で当てます。また、意外とオレンジのライトも重要で、裏面から当てることで、エッジが強調されて、立体感が出ます。ブルーのライトは直接は当てませんが、こちらも被写体のエッジを際立たせる役割があります。

Vook:マイクや編集ソフトは何を使われていますか?

ぷらばん:マイクはSHURE「SM7B」。編集ソフトは「DaVinci Resolve」の有料版(Studio)を使っています。DaVinciは無料でも使えますが、有料版限定の機能があったり、編集や書き出しの速度も、有料版の方が速いです。

SHURE「SM7B」(引用:https://www.shure.com/ja-JP/products/microphones/sm7b)

Vook:ありがとうございます。

それにしても、ぷらばんさんの動画はピントの合わせ方であったり、手ぶれのなさが完璧ですよね。

ぷらばん:手ぶれ対策には気を遣っていて、基本的には手持ちではなく、三脚やスライダーを使います。また、フォーカスもマニュアルで行なっています。事前に始点と終点をきっちりと決めてから、撮影を始めます。

圧倒的「ぷらばんクオリティ」へのブラッシュアップ

Vook:動画をこれだけクオリティへ昇格させるのには、時間と体力、そしてこだわりへの執着が必要だと思っています。

ガンプラ製作と撮影には、どれぐらいの時間がかかっているのですか?

ぷらばん:ガンプラはパーツの多さによって変わりますが、製作と撮影を合わせて、おおよそ120〜150時間はかかります。

ガンプラの立体感や細かいディテールを表現するには、塗装の前の下準備から、何度も塗装を重ねるなど、それなりに手がかかっています。モノをしっかり作らないことには、視聴者さんに楽しんでもらえませんので。

ぷらばん:ガンプラが完成して全ての撮影が終わったあとに動画編集の作業に入ります。撮影とは“別に”、この編集作業に50〜60時間はかかっています。

なので、一本の動画を完成させるのに、トータルで約200時間はかかっていますね。

Vook:すごい……辛くないですか?

ぷらばん:まったく辛くないですね。むしろ「早く、動画を完成させたい!」という感じです。

ただ、ガンプラ製作と撮影に時間が取れなかったのが、むず痒いところでしたね。YouTubeの活動を兼業にしていると、20時くらいに帰宅して、深夜の2時までYouTubeの活動......というサイクルでしか活動ができず。休みの日は、起きてから12時間ぶっ通しという感じです。

それもあって、先日本業の仕事を退職して、YouTube一本で活動することになりました。これで、時間の制約はほとんどなく製作に時間をかけられます!

Vook:ものすごい熱量を感じます。 そのモチベーションの源はなんでしょうか?

ぷらばん:正にプラモデルと一緒で、完成したときの達成感でしょうか。「プラモデル」と「映像」という2つの作品を、1つの作品として作り上げていく感じです。

Vook:2つの作品。なるほど、達成感も2倍ですね。

もうひとつお聞きしたいのですが、ぷらばんチャンネルは、初期の頃から、かなり動画の構成も変化していますよね。

ぷらばん:はい。YouTube Studioの「視聴継続時間」を参考にして、数字が良くないシーンを、ばっさりカットして、たどり着いたのが、今のスタイルです。

例えば、昔は1カット15秒くらいあった工作シーンは、今では最大でも5秒くらいにまで抑えていますし、話すスピードも上げています。


ぷらばんチャンネル初期に公開された動画

ぷらばん:また、毎回、1本前に作った動画を改めてチェックして、面白くないところ見にくいところを新しいシーンに差し替えています。完成品をさらにバージョンアップさせていくイメージで、これもプラモ作りに似た発想かもしれませんね。

あと、プロットの作成で意識しているのが、「いかに興味のない方、初心者に楽しんでもらえるか」ということです。

YouTubeの動画は、まずはその題材にすでに詳しい方、興味がある方が検索をすることで見られます。

その後、「最後まで見られた動画」など、スコアが良かったものが、他のユーザーの「オススメ動画」に表示され、新規のユーザーに拡散していく、というアルゴリズムになっています。

つまり、まずはコアな方に対して自信を持って動画を届け、その後に、新規のユーザーに楽しんでもらえるかが重要です。

Vook:新規ユーザーに向けて特別に意識していることはありますか?

ぷらばん:まず、動画を見てもらうためにできることとしては、サムネイルの作り込みですね。

YouTubeを飲食店に例えると、動画そのものが料理なら、サムネイルはメニューの写真、タイトルは料金に相当します。メニューの写真が美味しそうに写っていなければ、その料理は注文されません。

まずは「食べたい」と思える写真を用意すること。そして、実際に料理を口にしてもらい「この店は違うな!」と感じてもらえるものを出したいな、と思っています。

このチャンネルは有名人がやっているわけではありませんし、ゲームなどと比べれば、プラモデル・模型は、すごくニッチなジャンルです。

そのような中で、新規ユーザーに動画を見てもらうには、他の人よりも5倍、10倍の努力が必要だと思います。

「ネタがあるか」より、映像づくりを好きになって

Vook:今後の抱負をお聞かせください。

ぷらばん:やるからには、世界一を目指したいですよね。初めての方、興味のない方にも楽しんでもらえるような、世界で一番おもしろい模型チャンネルに育てていきたいです。

あとは、企業さんともおもしろい仕事ができたらいいですね。

Vook:「カッコよく物撮りできる」という強みがあれば、いろんな企業さんからお声がけがありそうですね。

では、これからYouTubeを始めたい方に向けて、アドバイスをお願いします。

ぷらばん:おそらく、ほとんどの人にとって「映像づくり」という行為が、これまでの生活にはまったくなかったことだと思います。

特に最初の1、2本が大変で、私も何から手を付けたらいいのかわからず、とても時間がかかったことを思い出します。何とかそこを突破して、習慣化してもらいたいです。

あとYouTubeが続くかどうかは、「ネタがあるか」よりも、「映像づくりを楽しめるか」にかかっていると思います。

どんなに伝えたいことがあっても、映像の編集が苦痛なら、続けることは難しいかと。映像を作ることを好きになって欲しいですね。

Vook:最後に「これだけは用意して欲しい」というアイテムがあれば教えてください。

ぷらばん:やはり「照明」だと思います。光量のある、高いパワーを備えた照明を用意してください。そして、ちゃんとソフトボックスを使って、光を柔らかくすること。そうすれば、立体感のある綺麗な映像が作れます。

照明は最低でも2個、可能であれば3個用意してほしいです。

例えば予算が10万円あるなら、高い照明を1つ買うよりは、5万円くらいの「AMARAN 200D」を2つと、ソフトボックスを買った方がいいと思います。

あと、本当に良い機材を探したいなら、ブラウザで検索するよりも、例えば、ドラマやCMの撮影現場のメイキング映像を見て、どのようなものが使われているのか調べてみるのもオススメです。

Vook:具体的なアドバイス、とても参考になります。本日は、ありがとうございました!


ガンプラ好きなオーナーが、その熱量で運営しているチャンネルだということは、取材前の段階で想像ができました。

しかし、個人の規模を逸脱したプロ仕様の機材、玄人から初心者まで楽しんでもらうために、ブラッシュアップし続ける、妥協のない姿勢に、多くのファンを獲得している理由を見た気がしました。

Vookは、これからも動画をつくり続けるYouTuberのみなさんを応援します。

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INTERVIEW_菅井泰樹 / Taiki Sugai(Vook編集部)
TEXT_水野龍一 / Ryuichi Mizuno
DESIGN_松儀愛侑 / Ayu Matsugi

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