こんにちは!
rrrushhourrr(ララッシュアワー) です!
先日、凸版印刷が「リアルとバーチャルを融合させるための共創プロジェクト」と打ち出している「GEMINI Laboratory Exhibition」という作品展示会にお邪魔しました。
3DCG等の技術的な側面がある作品が多く展示されており、このコラムにぴったりな内容でしたので、その中から2つの作品を紹介したいと思います。
- rrrushhourrr(ララッシュアワー)
フリーランス・映像クリエイター。普段は「SAMPRAS DESIGN」で、モーショングラフィックスやVR映像を中心とした映像制作をしている。また、女性クリエイター応援プロジェクト「Story by Story SHIBUYA」の一員としても活動。好きなことに片っ端から足を突っ込んでいる”チカチカ系”クリエイター。
VR=HMDなのか?バーチャル世界へのアクセシビリティについて
突然ですが皆さんは「VR」と聞くと、何を思い浮かべますか?
おそらく、こうだと思います。
大きなヘッドマウントディスプレイ(HMD)とコントローラーを装着し、何やら奇怪な動きをしている…この感じ! VRの世界に没頭している当の本人は楽しいのですが、側から見ると不気味なんですよね。
さて、VRコンテンツにおいて欠かせない言葉として、「没入感」というものがあります。まるで現実であるかのように体験できることに価値があるため、一般的には現実の視覚・聴覚情報をシャットダウンするデバイスになっています。
理論的には正解なのですが、やはりそこに物理的・心理的な障壁があると思っています。
歯医者さんに行った時のことを想像してください。
歯科治療中って、目をタオルで覆われているし、さまざまな機械の音で耳は聞こえにくいし、治療台に寝そべっているから身動きが取りにくいような状況ですよね。VRデバイスをつけて没頭するということは、割とこれに近い状態で、現実世界で極めて無防備な姿になってしまうのです。HMDで色々楽しんでいる時に、オカンのカットインに全く気が付かないって、致命的ですよね…。
この障壁が、VRが世の中に広まらない要因の一つになっていると思っています。やはり、現実世界を捨て置いて仮想現実に没入するように強制されるというのは、無理が生じます。
さて、今から紹介する作品は、VRと現実のあるべき姿について考えさせられるものとなっています。
何やら、センサー付きの小さいロボットフィギュアが、ジオラマの中でくるくると動いています。実はこれ、バーチャル世界とリンクしているんです! ディスプレイには、バーチャル世界のアバターの視界が写し出されています。チェスの駒視点、といったところでしょうか。
バーチャル世界における移動は、現実世界にあるマスコットを手で移動させることによって成り立ちます。
「没入感」の前に「親近感」を重視し、バーチャル世界へのアクセスの障壁をなくすプラットフォームのアイデアを提示してくれた作品だと感じました。
…でもそれって、ゲーム機のコントローラーが変わっただけでは?
...いやそもそも、メタバースって必ずしもVRじゃなくてもいいのでは?
...VR映像って360度レンダリングする必要ある? 人間って真後ろ見ないじゃん...
…メタバースって何? VRって何?
撮影現場に不慣れな人が入るのを避けたいという話を聞いたことがあります。こうなってくると、どんどんと哲学的な問いが頭を廻ります…。
プロのビデオグラファーを目指す学校、はじまる。入学生募集中。
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あなたのペットをNFT化できますよ!ただし…
続いてはこちら。
無味乾燥なフェンスの中に、独特な模様のワンちゃんが写し出されたディスプレイが並んでいます。よく見ると、画面右上にQRコードも表示されていますね。
実はこのQRコードを読み込むと、紐づけられたワンちゃんをデジタル空間上でペットとして飼えるんです! リヴリー世代の私は、「お! 楽しそうだな!」と一瞬思ったのですが…
「10分以内に購入を決断しなければ、その犬は消えてしまう」
「この犬の毛皮をNFT化することも可能(ただし、犬を殺す選択をしなければいけない)」
という、気軽に参加する気持ちにはならない仕組みになっていました。生体販売やNFTという新しい価値基準に対する、人間の倫理観が問われる作品です。
作品鑑賞を通してバズワードを再考しよう
「メタバース」や「NFT」という技術的なバズワードってワードが先行し過ぎて、実際のところよく分かっていない人がほとんどだと思います(もちろん私もその一人です)。
でもそれは当たり前で、そもそも言葉の定義自体が曖昧だし、日常生活に馴染みのない技術だからなんですよね。
だからこそ、ただ単語をググって「よく分からん!」と放置するのではなく、作品鑑賞をしたり実際にサービスを触ってみたりして、その技術の意味や特性を理解する努力が必要だなと感じました。
クリエイターとして、分からないや分かった気でいることはしたくない私にとしては、まだまだこの技術に触れる必要がある思いました。
それではまた次回!!
P.S.
ところで...「NFT」って、なんだか怪しく見えませんか?
映像クリエイター ララッシュアワーの非・効率化計画@rrrushhourrr_column
アラサーで脱サラしてフリーランスになったララッシュアワーが、何かと効率化を求める現代人に対して、あえて回り道する楽しさを伝えていく、”非効率的なコラム”を連載していきます!
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