2022年12月の段階で、オススメするマシンスペックのリストを、松竹梅のランクに分けてお届けします。自分のマシンがどのあたりか、今度買うときにはどれを選べばいいのか、参考にしていただければ嬉しいです。
まずはじめに
OSについて
DaVinci ResolveはMac、Windows、Linuxの3つのバージョンに対応していますが、OSは最低要件があります。DaVinci Resolve 18の場合は、この3つ、いや、正確には4つです。
macOS 11 Big Sur
Windows 10
CentOS 7.3
iOS 16.0
これらはあくまでも最低要件ですので、これ以上であれば問題なく動作します。だからWindows 11でも、macOS 12 Montereyでも、macOS 13 Venturaでも、どれでもいいわけです。
システムメモリについて
システムメモリ(RAM)はそんなに必要ありません。OSによって最低限推奨されるメモリは変わってきます。
Mac → 8GB
Windows → 16GB
Linux → 32GB
32GB以上のメモリが必要になるのは、Fusionページでたくさんメモリーキャッシュ(RAMキャッシュ)を使いたい場合くらいです。
CPU
CPUは主にコーデックのデコード・エンコードに使用され、一般的にはコア数が多ければ多いほど、パフォーマンスは良くなります。Windowsの場合には、CPUをIntelではなくAMDにするのもコスパの面からおすすめです(ただしAMD GPUはあまりパフォーマンスが良くないのでおすすめしません)。
GPU
DaVinci ResolveはGPUに最適化されたソフトウェアです。GPUのランクは、GPUオンボードメモリ(VRAM)の量が参考になります。Windowsの場合には、HDで4GBのVRAM、4Kで8GBのVRAMを搭載したNVIDIA GPUがあれば十分です。Macの場合はM1チップへの最適化が進んでおり、M1チップ自体のメモリはそれほど大きくないですが、それでもHD、4Kの編集に問題なく使用できます。GPUは主にエフェクトやグレーディングに使用され、一般的にはVRAMが多ければ多いほど、パフォーマンスは良くなります。NVIDIA GeForceとNVIDIA Quadroのどちらがいいのかということを聞かれることがありますが、「値段が高いからQuadroの方がいい」ということはDaVinci Resolveに関してはありません。前述のとおり、VRAMを目安に最適なGPUを選んでみてください。
どのパーツが大事なの?
すっごく簡単に言うと、GPU>CPU>RAMです。この辺りの技術的なことについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
「4K編集」ってどういうこと?
DaVinci Resolveは編集、カラーグレーディング、VFX、音声編集ができる巨大なソフトウェアです。したがって「4K編集に最適」と言ったところで、それがどういう内容を指すのかというのは個人差があります。今回のこの記事では、「編集」という場合には、メインはタイムライン編集で、そこに標準的なレベルのカラーグレーディングやVFXや音声編集が絡んでくるというワークフローを想定しています。ヘビーなノイズリダクション、フィルムグレインなどをかけるとGPUが必要になってきますし、多くのテキストを加えたりFusionページでたくさんツールを使うとCPUパワーが要求されることもあります。そのあたりはご自身の想定されるワークフローにあわせてマシンを選定してみてください。
無償版だとGPUが使われないっていう話を聞いたのですが本当ですか?
いえ、そんなことはありません。無償版でもGPUはちゃんと使います。ただし有償版では、Windowsの場合、NVIDIA/AMD/Intel QuickSyncのH.264/H.265を対象としたエンコーダー・デコーダーが機能します。有償版だと早くなることがあるのはそのためです。たとえばNVIDIA GPUを使っていて、H.264の素材を編集してH.264に書き出すときには、デコード(読み込み)とエンコード(書き出し)でNVIDIA GPUを活用するので、有償版の方が無償版よりも圧倒的に編集パフォーマンスも書き出し速度もスムーズになります。一方、もしNVIDIA GPUを使っていても、たとえばBlackmagic RAWの素材をProResに書き出す際には速度は上がりませんし、もしH.264の読み込みや書き出しをしていても、NVIDIA/AMD/Intel QuickSyncのハードウェアエンコーダー・デコーダーがマシンに備わっていないと速度は上がりません。
プロのビデオグラファーを目指す学校、はじまる。入学生募集中。
PR:Vook School
梅|HD編集
Mac
M1 Mac(MacBook Air、MacBook、Mac mini、iMac)
コストパフォーマンスの面から考えれば、M1 Macと呼ばれる、Apple Siliconの入ったMacに勝るものはありません。DaVinci Resolveは17.1でApple Siliconに対応し、17.3でさらにパフォーマンスを向上しました。DaVinci Resolve 18.1ではさらに様々なエフェクトの最適化が進んでいます。10万円ほどのMacBook Airだけで、楽々と4K編集ができるというすごい時代がやってきました。M1 Macなら、HDの編集はもちろんのこと、4Kの編集もサクサクです。
Windows
メモリ8GB、内蔵Intel GPU
よほど古いマシンでない限り、DaVinci Resolveは立ち上がるはずです。
このあたりのマシンではパフォーマンスに限らず、予期しないトラブルが発生することもあります。そんなときには以下の記事を参考にしてみてください。
DaVinci Resolveが立ち上がらない、インストールできないときに試してみたい7項目
マシンスペックが足りないと悩む前にDaVinci Resolveの再生パフォーマンスを上げるために試してみたい10のこと
iPad
2022年12月22日(2が多くて覚えやすいですね)は動画編集の歴史においてマイルストーンを刻んだ日として将来記憶されることになるかもしてません。これまでMac、Windows、Linuxの3種類のOSで使えていたDaVinci Resolve──これでもたいしたもんですが──が、初めてiPadOSでも使えるようになったからです。iPadでもDaVinci Resolveは手綱を緩めることはありません。Apple Siliconの入っていない古いiPadでも梅ランクくらいの編集には耐えられますし、M1、M2のiPadなら竹レベルの編集だって朝飯前です。
竹|4K編集
梅から竹へのステップアップの近道は、GPUを補強することです。DaVinci ResolveはGPUのスペックがそのままパフォーマンスに直結する編集ソフトだからです。
Mac
M1 Pro(MacBook Pro)
上で書いたとおり、M1 Macの最適化はとどまるところを知らず、4Kの編集でもM1 Macは十分なスペックを持っています。もしこれでも満足できない方(あんまりいない気がしますが)は、M1 ProのMacBook Proでいかがでしょうか。ノイズリダクションやフィルムグレインなどの重いエフェクトを多用される方は、普通のM1よりもM1 Proの方がいいでしょう。
Windows
NVIDIA GeForce RTX 12GB
Windowsで手っ取り早くパフォーマンスを上げようと思ったら、NVIDIA GeForceを導入するのに越したことはありません。現行のラインナップでは、GeForce RTX 3000、4000シリーズがおすすめです。注目すべきポイントはVRAM(ビデオメモリ容量)で、前述のとおり8GB以上あれば4K編集には十分です。GeForce RTX 3000、4000シリーズは、どれも8GB以上のVRAMを積んでいるので安心です。
松|8K編集
Mac
M1 Max(MacBook Pro、Mac Studio)、Mac Pro
8K編集に手を出すなら、M1 Maxを使うという手がいちばん簡単です。M1 Max搭載のMacBook Proで、8K編集が快適にできることが確認されています。「なんでM1 UltraじゃなくてM1 Max?」という声がどこかからか聞こえてきそうですが、M1 Ultraはあえて外しました。M1 Ultra はけっして悪い選択肢というわけではないのですが、あまりにもM1 Proがパワフルなせいか、M1 Ultraとの差異が期待したほどではなかったという感想をちらほらと聞いているからです。M1 UltraよりもM1 Proの方がいいということではありません。はたしてM1 Ultraのぶんの追加費用を払う価値があるだろうか、という疑問が残るというだけです。
MacBook ProやMac Studioを使う場合、I/Oデバイス(DeckLink 8K Pro)からの8K再生出力ができないので、8KモニタリングにまでこだわるのであればMac Proが必要になります。
8Kタイムラインを扱う場合、もしくはMacで最高のスペックを求める場合には、MacならM1 Maxと並んでMac Proもベストな選択肢です。CPUもGPUも多くの選択肢がありますが、張り切って全部盛りにする必要はありません。CPUは16~28コアあたりがいいと思います。GPUについては、Radeon Pro W6800XやW6900Xなど、1枚で32GBのVRAMを搭載したGPUモデルをお勧めします。Mac ProはPCIeレーンがあるので、DeckLink 8K Proからの8Kモニタリングもできます。
Windows
NVIDIA GeForce RTX 24GB
NVIDIAのGPUをさらに上位のモデルにすると、さらにパフォーマンスが上がります。ここでも目安となるのはVRAMです。GeForceシリーズでは、NVIDIA GeForce RTX 3090 24GB、4090 24GBあたりでいかがでしょうか。
コメントする