パナソニックによるデジタルカメラのブランド、LUMIXシリーズ。
その新製品「LUMIX S5Ⅱ」(以下、S5Ⅱ)シリーズの発表会が招待制のクローズドなイベントとして、昨年12月にグランドプリンスホテル高輪で開催された。
参加したのは、LUMIXユーザーのインフルエンサーやファンフルエンサーとして知られるビデオグラファーやVロガーたち。
参加者の大半は、海外のクリエイターであり、一連のプレゼンテーションは英語で行われた。
実は、招待されたクリエイターたちには「LUMIX GLOBAL SUMMIT」というイベント名のみを伝えておくにとどめ、新製品「LUMIX S5Ⅱ」(以下、S5Ⅱ)の発表会であることは伏せられていた。
そのため、S5Ⅱが発表されると参加者たちは驚きと同時に歓喜の声で応えていた。
本稿では、S5Ⅱの新機能と実演デモで構成されたプレゼンテーションの様子をレポートする。
「新エンジン×新センサー」により、写真も動画も今まで以上にアグレッシブな撮影が可能になった
まずは、パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション イメージングビジネスユニット長の山根洋介氏が登壇。
参加者への謝意と共に、今後もLUMIX製品が世界中のクリエイターに向けて、写真や動画撮影に関するテクノロジーを改良・強化していくことによって、クリエイティブなビジョンを提示していくことを約束した。
続いて同社マーケティングチームのバーニー・サイクス/Barney Sykes氏が登壇。
サイクス氏はまず、2008年からスタートしたLUMIXのブランド哲学として「撮影する体験」、「そしてクリエイターの経験と可能性を広げるもの」などを挙げた。
その上で、実はこのイベントがLUMIXのブランド哲学が込められた新製品「LUMIX S5Ⅱ」のお披露目であることを明かした。
サイクス氏はS5Ⅱに込められた哲学として、写真・動画撮影の完璧さを取り上げる。
具体的に本シリーズの何が新しいかというと、 「新ヴィーナスエンジン」を搭載したことによる圧倒的な静止画・動画の表現力、そしてリアルタイム認識AFの実装をはじめとする優れた基本性能などが挙げられた。
新ヴィーナスエンジンは、DC-S5に搭載されたエンジンとの比較で約2倍の演算性能と、約4倍のバッファメモリを実現。
さらにイメージセンサーも像面位相差AFに対応する新開発のフルサイズ24.2M画素のものを採用。
新エンジンと新センサーの実装により、静止画の撮影では基本画質が進歩した。高い色再現性と繊細な階調表現、そして写真撮影時のバッファメモリ強化に加え、最大30fpsの超高速RAW連写やローリングシャッターの抑制を実現している。
とりわけアピールされたのは、リアルタイム認識AFの進歩だ。
LUMIXとして始めて「像面位相差AF」を採用されたことを知ると、参加者たちは拍手喝采を上げた。
これにより、よりアグレッシブな撮影が可能となるわけだ。
S5Ⅱは、LUMIXブランドとして初めて像面位相差AFを採用したことによって、動く被写体の追随性能も大幅に向上した。
さらにAFはイメージセンサーの撮像領域のほぼ全域をカバーできるようになっている。
これらのAF機能が向上したことにより、様々な撮影のクオリティを上昇させるという。例えば、走行中のバイクのような被写体にもフォーカスする動体追従性や、並んで歩く人々のように複数の被写体もフォーカスできる。
また、逆光のシーンや夕暮れ時のような低照度のシーンでも品質の高い撮影を可能にしている。
さらにアクティブI.Sの機能を実装することにより、強力な手ブレ補正を実現。
これは手ブレ状態を判断し、水平・垂直・回転方向の補正割合を最適化する機能だ。
この機能によりS5Ⅱを動画撮影に使う際、移動しながらでも安定した画角での撮影ができるとのこと。
S5Ⅱでは、高画質な動画撮影を可能にしている。C4K(Cinema 4K)では60p/50p 4:2:2による10bitで無制限記録可能。
6Kの30p/25pでは、4:2:0による10bitの記録ができるようになっている。さらに新エンジンにより3Dノイズリダクションが進歩した。
また動画撮影では長時間の撮影が必要なこともあるだろう。
S5Ⅱでは、C4Kによる動画の記録時間は無制限となっており、好きなだけ撮り続けられるのだ。
S5Ⅱの使いやすさは、そのUX設計にもある。
8方向対応のジョイスティックが搭載され、WB(ホワイトバランス)やISO、露出を操作するボタンが天面に配置。この設計により、直観的に操作できるようになっている。
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まさに百聞は一見にしかず。デモ動画を基に、S5Ⅱの優位性を紹介
続いて同じくマーケティングチームのショーン・ロビンソン/Sean Robinson氏が登壇。
実際にS5Ⅱで撮影した動画を基に、S5Ⅱの優れたパフォーマンスを披露した。
一連の動画は、ここには掲載できないが、その要点をテキストでいくつか紹介したい。
先ほどのサイクス氏が解説したような、S5Ⅱのリアルタイム認識AFがどのように機能するかを映像でわかりやすく示された。
例えば他のカメラが動く被写体へのAFに時間がかかるところを、S5Ⅱは被写体の動きに合わせるかのように、スムーズなAFがかかるのを見せる。いくつかの事例の中には、ロビンソン氏自身がS5Ⅱで自撮りして品質の高い機能を見せる映像のように、チャーミングなシーンも披露された。
さらにロビンソン氏はリアルタイムLUTの機能についても紹介。
LUMIX S5Ⅱでは写真も動画もカメラ内でLUTを適用させることが可能になった。
シーンに合わせた複数のLUTをカメラに読み込み、カメラ内で記録することで、撮影した素材の編集作業を圧倒的に効率化している。これまではPCなどにデータを移して行っていた作業を、S5Ⅱではカメラ内で完結できる点も強みだ。
そして、新しいレンズ「LUMIX S 14-28mm F4-5.6 MACRO」も紹介。
小型軽量で扱いやすく、超広角からハーフマクロ撮影まで対応するレンズだ。風景からスナップ写真など、幅広い撮影を可能にしている。
加えて「LUMIX S 14-28mm F4-5.6 MACRO」ではフィルターの装着もできる。
ブリージングを抑制し、動画撮影時も自然な描写を実現するほか、ジンバル使用を考慮し、鏡筒全長の固定と重量バランスを最適化している。
この仕様により、優れた静止画と動画の撮影ができる。多くのクリエイターにとって最適な仕様となっている。
またこのレンズのS5シリーズは今後も追加されていくとのこと。マクロレンズや高倍率ズームレンズなどが加わっていく予定だ。
HDMI RAW動画出力やProRes動画記録が可能な「LUMIX S5ⅡX」もサプライズで発表
最後に、サイクス氏が再び登壇。
会場に集まった世界中のユーザーへサプライズをしかけるように、S5Ⅱのハイグレード版「LUMIX S5ⅡX」(以下、S5ⅡX)を発表。会場は大いに沸き立った。
S5ⅡXは、S5Ⅱの基本性能に加えて、動画RAWデータ出力機能を追加。
さらにUSB-SSDといった記録媒体の追加、ALL-Intra動画記録とProRes動画記録のほか、無線や有線によるIPストリーミング配信もできるようになっている。
これらの機能は、より動画クリエイター向けに強化されたものだと言えるだろう。
そしてS5ⅡXは、S5Ⅱとは異なるブラック基調のデザインであることも見逃せない。
プロフェッショナル向けの象徴と言えるが、ブラック基調にすることで撮影時の映り込みを防止できるようになっているのだ。
プレゼンテーションが終わると、参加者のうちインフルエンサーには実際にS5Ⅱを貸し出し、その使い勝手を試してもらう時間が設けられた。
また、LUMIXならびにパートナー企業であるシグマやライカのエンジニアたちへ質問や要望を直接伝えることができるようにもなっていた。
Vookでは、海外から参加した4組のインフルエンサーへインタビューを実施。彼らのLUMIX製品ならびにS5Ⅱシリーズに対する率直な所感を次稿でお届けする。
TEXT_葛西 祝 / Hajime Kasai
Special thanks to LUMIX
Vook編集部@Vook_editor
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