こんにちは。長年インターネットの情報を見ていて本当にリテラシーがないと怖いことあるよね、なんてしみじみと思ってしまうkentaxです。今回はネットリテラシーという視点から、配信の中で必要となる情報や考え方などを詳しくお話していきたいと思います。
ネットリテラシーとは
ネットリテラシーとは、主にインターネットに関する情報や事象を正しく適切に判断・運用できる能力のことを指します。配信はインターネットを通して行うものですので、自分の身を守るためにも覚えるべきものは覚えておきましょう。
インターネット上には、あなた自身の不利益になったり危害が及ぶことや不正確な情報が、溢れています。よくニュースなどで見かける「個人情報漏洩」や、「フェイクニュース(嘘のニュース)」などが代表的なものです。そのほかにも、ある個人の想像でしかないことや確証のないことを正しいと思い込ませるような内容の文書も多くあります。
全てを疑えとは言いませんが、なにもかもを鵜呑みにしてしまうとあなた自身に良くない影響が出てくるものもあるので、配信以外でも普段から情報の正確さや出どころは確認するようにしましょう。
VTuber活動を行っていると、普段の生活にプラスして様々なことから身を守る必要があります。現代ではスマートフォンの普及などから、普段の一般的な生活でインターネットに触れていることも多くなりました。ですが、配信活動をしていると更に注意するべきことや知っておくべきことが増えることを認識していきましょう。
自分の身を守る
一番大事なネットリテラシーですが、それは自分の身を守ることとも言えることです。身を守ると一言で言っても具体的にはどういったものか、しっくりこないかもしれません。ネットリテラシーの中で一番大事なことは個人情報に関連した情報です。
VTuberの場合、本名・住所・実年齢・所属企業・利用店舗などです。いわゆる身バレにより活動が終了することになってしまったり、最悪の場合ストーカー被害などに遭う可能性もあります。そういったことを常に考え、プライベートな情報を伝える人は常に必要最低限にしておく意識が大切です。個人VTuberでもタレントであるという意識を持ちましょう。
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PCの設定を見直す
情報漏洩を考えるなら、配信で使用するパソコンを別にすることが一番安全ではあります。
ただ配信用に専用パソコンを準備するには費用面でかなり難しい人も多いかと思います。ですので、以下のアカウントを増やすなどして個人情報が少しでも表示されないような状況にすることが大切です。
配信用アカウントを準備する
WindowsでもMacどちらでも、1台のPCに複数のアカウントを用意することができます。配信用のマシンを準備しなくても同様の環境で配信用PCとして使うことができるので、安心して使用したい場合はアカウントを分けることも良いでしょう。
- Windowsの場合:PC のアカウントを追加または削除する
- Macの場合:Macでユーザまたはグループを追加する
通知を止める
WindowsでもMacでもOSの機能で常に様々な通知が届くと思います。配信中にメールやメッセージなどの通知が見えてしまい、個人情報やプライベートなやりとりが漏洩することは皆さんも聞いたことがあるかもしれません。ライブ配信では取り返しがつかない事態になってしまうこともあります。メールの通知やインスタントメッセージの通知など配信中に表示されて困るものは、あらかじめ通知を表示させないように設定しておきましょう。
- Windowsの場合:[設定] で通知設定を変更Windows
- Macの場合:MacでアプリケーションまたはWebサイトの通知をオフにする
デスクトップを非表示にする
よくあるトラブルのひとつに、ライブ配信中にアプリケーションやゲームがクラッシュして閉じてしまった際に、デスクトップ画面が自動的に表示されてしまい、ファイル名や本名などが露呈してしまう場合があります。こういったことを未然に防ぐ為に、デスクトップのアイコンなどを非表示にする機能がWindows、Macともに標準でついていますので配信前に設定しておくと良いでしょう。
Windowsの場合
デスクトップ画面を右クリックし、「表示」の中にある、「デスクトップアイコンの表示」のチェックを外してください。
そうするとデスクトップからアイコンが表示されなくなります。
Macの場合
「launchpad」→「その他」→「ターミナル」を開きます。
ターミナルに下記を入力してEnterを押してください。
defaults write com.apple.finder CreateDesktop -boolean false
次に以下を入力してEnterを押してください。
killAll Finder
そうするとデスクトップ上の表示は全てなくなります。
表示を戻す場合は、ターミナルに下記を入力してEnterを押してください。
defaults write com.apple.finder CreateDesktop -boolean true
次に以下を入力してEnterを押してください。
killAll Finder
これで表示が元通りになります。
表示ウィンドウの制限をする(OBSの設定)
ウィンドウキャプチャのプロパティの設定の中にある「ウィンドウの一致優先優位」の項目について、下記の3つの項目があります。
- ウィンドウのタイトルに一致する必要があります
- タイトルに一致、そうでなければ同じ種類のウィンドウを見つける
- タイトルに一致、そうだなければ同じ実行可能ファイルのウィンドウを見つける
特に問題がない限り「ウィンドウのタイトルに一致する必要があります」にしておきましょう。これはアプリケーションが終了した場合に、タイトルの一致以外での表示を避けるために行うものです。
もしアプリケーションによって「ウィンドウのタイトルに一致する必要があります」以外を選択しないとならない時は、似たようなアプリケーションを複数立ち上げないこと、立ち上げても機密情報などを表示しないようにするなど配信中は注意しましょう。
Discord通知
過去に何度もVTuber界隈で問題になったので対策している人も多いかと思いますが、忘れがちになっているのがDiscordの通知です。特に個人的なやりとりやメンションなどが表示されることが多いので気をつけなければいけません。
設定をしてしまえば、通知がデスクトップ上に出てくることはないので、事前にしっかりと設定しておきましょう。
設定方法
名前の横にある歯車をクリックして、ユーザー設定を開きます。ユーザー設定の下のほうにある「ゲームオーバーレイ」を選択し、「ゲーム中のオーバーレイを有効化」と「テキストチャットの通知を表示する」の2つをオフにしてください。これでDiscordの通知欄はオーバーレイ設定は配信中に表示されることはなくなります。
まだまだある、表示すると危険なもの
ほかにも意外と気がついていない項目がいくつかあります。下記のものもいわゆる身バレや情報漏洩のリスクになるものが多いのであらためて気をつけましょう。
ファイルパス
ファイルパスとは、Windowsの場合エクスプローラーなどでフォルダ表示した際に出てくるファイルの場所を示すものです。一番問題になるのは、フォルダ表示の左側に表示されているツリーやブックマークなどです。昨今では在宅勤務で自宅PCを仕事に使うことも増えてきている為、配信で使うパソコンと共用している場合もあると思いますので、注意が必要です。仕事のフォルダや書類などが配信中に見えて情報漏洩しないように気をつけましょう。
ブラウザのブックマーク
ブラウザのブックマークを使っている人は多くいると思います。筆者も参考サイトを沢山見たりするのでブックマークが沢山登録されています。
このブックマークですが、自分が見やすい位置に仕事用やプライベートのブックマークがあるとうっかり配信に映り込む場合があります。ブックマークバーの表示は一時的に非表示もできます。(ChromeであればCtrl + Shift + B)
一番安全な方法は、配信で使用するブラウザを分けることです。ブラウザはGoogleのChromeやマイクロソフトのEdge以外にも様々種類がありますので、いくつか専用にインストールして使うと便利です。
- Google Chrome
- Firefox
- Vivaldi etc...
SNS上の機密情報
配信でSNS、主にTwitterを利用した企画(ハッシュタグ企画など)をしている配信などもよく見かけます。SNSにも個人情報が多くありますので気をつけてください。本人にしか見えない設定(誕生日など)や、ダイレクトメッセージで特定の人とのメッセージなど、やりとり自体を表に出してはいけない情報なども多くあると思います。
特に活動を続けているとVTuberさん同士でのやりとりや、企業案件の内容なども増えてくる可能性がありますので、「機密情報がある」と認知して行動しましょう。
メールアドレス
メールアドレスくらいなら別に見えても良いんじゃないだろうか、と思う人は結構多いと思います。露呈してもせいぜいスパムメールが増えるくらいでしょ……?と思っている方が多いと思いますが気をつけてください。状況によっては乗っ取りなどの大きなリスクになります。
具体的にはどのようなことかというと、特にスマートフォンを接続してゲームをしている時などに起きる可能性が高いのが、通知欄の切り忘れでメールアドレスやSMSへの二段階認証の暗証番号の通知やパスワードリセットの通知が届いてしまい、うっかり画面に映ることです。
パスワード
パスワードの保護の仕方がアプリケーションやサイトによって違う場合があり、入力確定で伏せられるものだったり、最後の一文字が伏せられていないものもあったりします。
パスワードの桁数が多くてもYouTubeの巻き戻し機能(「DVRを有効にする」がONになっている)によってその場面にもどって停止ができる状態になっていたら、そこからパスワードを推測されてしまい、乗っ取りをされることも考えられます。
ちょっとだけだから大丈夫だろうという気持ちで放置すると、配信が終わった後には乗っ取られていた、なんてことも実際に筆者は過去に見かけたことがありますので、パスワード入力があるアプリケーションを使う時は、必ず配信上では見えない状態にしてから入力するなどを意識しておいてください。
コメントの取捨選択
自分を守るということでコメントの取捨選択も配信をするうえで必要なネットリテラシーのひとつになります。リスナーは様々な思いやレベル感の違うリテラシーでコメントをしてきます。中には心ない乱暴な言葉を投げつけてくる人もいるかと思います。そういった中で、自分自身のモチベーションを下げずに配信ができるように不快なコメントを拾わないことや、あらかじめ配信ルール(配信ガイドライン)に組み込んで自分を守れるようにしておきましょう。
ネガティブなコメントを広げない
ネットリテラシーの中でも扱うことが難しい、トークへの注意事項です。それはネガティブコメントを拾わないことです。ここで言うネガティブコメントとは自分自身が一度黙読したタイミングで嫌な気持ちになるようなことです。これらは全てネガティブコメントとして認識してよいと思います。
配信ルール
ここで言う配信ルールは、リスナーへの案内かつ配信参加へのガイドラインとなります。
細かいガイドラインを決めている人もいますが、基本的には問題がある発言を事前に防ぐことだったり、問題ある行動がある場合にタイムアウトなどの処理をする基準などになります。
- ゲーム配信の際ネタバレをしない
- リスナー同士で会話をしない
- 伝書鳩行為をしない
- アドバイスや指示をしない
- 他者の名前を出さない
- センシティブな話をしない(宗教・政治・性・差別)
配信をするにあたり一般的な項目をルールとして組み込んでおけば良いでしょう。たまに配信ルールを設けずにその場で対応するべきなどの意見も見ますが、それはその場で対応ができる能力のある人だけに限られた話ですので、念のためという気持ちでルールを設定しておきましょう。
あらかじめ配信ガイドラインをテキストとして作成し文字起こしておけば、自分の頭の中であるより明確になり、どれはNGでこれはOKなどルールの線引をしやすくなります。
リスナーへルールを伝える
配信ルール(配信ガイドライン)を記載していても、リスナーの多くは読まずに発言することが多いです。多くの人は問題ない発言をすると思いますが、配信を続けていると問題になるリスナーが現れたり、新しいリスナーはあなたの配信での温度感がわからない人もいます。もしも、配信者であるあなたを不快にさせるような最低限の配信ルールが守れないと思ったら警告(タイムアウトや非表示などを行う旨)をした上で、その後改善がみられない場合、適切な処理をしましょう。
スパム対策
2022年にスパムbotによるチャンネルBANが話題になったことを覚えているでしょうか。アダルトサイトの宣伝をするbotが、なにかしらの手段を用いてチャンネルBANを誘発させるというものでした。
現在でも確実な原因が判明はしていませんが、以下の2つの説があります。
- チャット欄に卑猥なワードが氾濫
- 配信画面に卑猥な画像が表示される
ここからは想定ですが、チャット欄の少ない文言や30pxほどしかない画像でBANは難しいと思うので、発言をしたアカウントが複数のアカウントなどで卑猥なチャット内容を通報しYouTubeのロボット判定を誘発させたのではないかと個人的には考えます。
またこの事件をきっかけに、VTuberの間では対策としてチャンネル登録後10分後から発言ができる、連続発言は20秒おきなど、いくつかの手法が出てきました。確実な有効手段ではないものの、こういったbotなどによるスパム行為が増えた場合、自分のチャンネルを守る為の対策を取り入れることを考えなければいけません。
またスパムをする悪意がある人達はその手段が常に変わりますので、注意深く最新情報や対策の情報を得ることを心がけましょう。VTuber同士の横のつながりで情報を得るなどもこのようなときはとても役立ちます。
NGキーワード
NGキーワードはたくさんありますが、この記事に書いてしまうと問題がありますので具体的なキーワードは掲載しませんが、いわゆるテレビ業界で放送禁止ワードになっている文言などを入れておくとよいでしょう。
また、自分の配信もそうですが他者の配信を見ている時に荒らしや不快コメントを見かけた場合にも、そのアカウントの報告や発言していた内容をNGワードに追加するなどをしておくと事前に防ぐことができるので、意識して発言を見るようにしましょう。
注意事項
NGキーワードには、よく利用する単語や、名前の一部を入れないようにしてください。NGワードに入れてしまうと、禁止の範囲がユーザー名まで影響します。例えばkenという文字列をNGワードに設定した場合、筆者のアカウント名である「kentax」はもちろん「kentaro」や「akita-ken」という名前のアカウントも全て発言ができなくなります。
終わりに
今回は適切なネットリテラシーを意識して、自分自身を守り、そして自分のチャンネルやコンテンツを守るという視点でお話させていただきました。自分が意識していても外的要因で起こることもあります。、そういった時にどのように対処しておくべきかを少しでも知っているだけで心構えができたり、行動は大きく変わりますので、意識して自分もリスナーも守れるようになっていきましょう。
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Vol.10【配信を知らせる】配信告知の大切な決まりゴト『VTuberノート』
2023年2月15日公開予定
- VTuberkentax(ケンタックス)
クリエイティブユニットLUVCO主幹。同人レーベルhpt**にも所属。作詞・作曲・編曲やリミックス、グラフィックデザインからWebデザイン、UI/UX関連、WPやMTなどのCMS、Webサーバ関連、テクニカルを含むディレクションとマーケティング、写真撮影と動画撮影や動画制作とか、企画・プロデュース、インフラ整備やPCカスタマイズとか会計や経営補佐など多岐にわたって活動している。
- Web:https://kentax.net/
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