今年もカメラユーザーのための祭典「CP+」の季節がやってきた。2023年2月23日(木)~2月26日(日)にパシフィコ横浜にて開催される。
「CP+」と聞くと、静止画ユーザー向けのイベントと思われるかもしれないが、実は映像クリエイターにも見逃せない内容へと進化している。
今年のソニーブースでは、初の試みとして、これから映像制作を本格的に始めたい、将来プロとして活躍したいクリエイターに向けた「キャリアコンサルティング」を実施する。
ブース内のコーナーで、プロとして活躍している若手ディレクターと、映像制作に関する悩みや今後のキャリアに対する不安などを1対1で直接相談することができる。これは注目すべき企画だ。
CP+2023当日「キャリアコンサルティング」予約ページ
※先着30名様
https://ers.sony.jp/SEvent/pageEventDetailEVT?e=a2O5F000005ZX1RUAW&p=%E7%A5%9E%E5%A5%88%E5%B7%9D
そのほかにも、ソニーブースはこれまで以上に動画に関わるセミナーやワークショップが充実しているようだ。
「CP+2023」ソニー特設ページ
https://www.sony.jp/ichigan/a-universe/specialevent/cpplus2023/
イベントに先立ち、CP+2023のソニーブースで催されるキャリアコンサルティングやセミナー、ワークショップに登壇する映像ディレクター SHOTROK氏とAKIYA氏の両氏に、これまでのキャリア遍歴と今後の展望を聞いた。
映像制作×○○ ! 異色の背景を持つ新世代のクリエイターたち
──CP+2023のソニーブースにご登壇されるおふたりですが、ミレニアル世代のSHOTROKさん、Z世代のAKIYAさんと、若くしてご活躍をされています。おふたりのバックグラウンドがまた面白く、まずはその辺りからお話を聞かせてください。
SHOTROK:
僕は元々、クラブやフェスでDJをやっていました。
音楽と映像の相性の良さはみなさんご存知の通りで、僕も多分にもれず音楽映像に刺激を受け、自分でも撮ってみようと。
なかでも海外の DJ のアフタームービーや 、 EDMのフェス「Ultra Music Festival」 のアフタームービーには影響を受けています。
SHOTROK(白木翔大)
株式会社オリエンティス取締役/映像ディレクター。1991年生まれ。「人の心を動かす作品が作りたい」と思い立ち、映像制作を始める。強みは、マーケティングから逆算した映像作り。近年は映像のオンラインスクールで講師としても活動する。代表作には2295万回再生となった『Shape of You(箏/Koto cover)』など。
https://www.orientisvision.com/
AKIYA:
僕はダンサーとして、テーマパークの催しに出演する日々を過ごしていました。ダンサーって、自分たちの動きを撮ってチェックする習慣があるんです。
だから、日常的に撮ってました。
とは言っても映像作品という意識はなく、ダンス大会の遠征に行けば記録を回したり、遊びで撮ったものを編集したりっていうのを、高校生の頃からやっていました。
やっているうちにカメラにこだわってみたくなったり、もっとカッコいい映像を作りたくなるんです。
そうやって馴染んでいった感じはあります。
AKIYA
東京を拠点に活動する25歳の映像ディレクター。映画、ミュージックビデオ、テレビCMなど幅広く映像制作に携わる。演出に加え、撮影から編集までをワンストップで手がける。また DaVinci Resolve認定トレーナーとしても活動中。自身のYouTubeチャンネル「AKIYA MOVIE」は登録者数約3万人。
https://www.youtube.com/c/AKIYAMOVIE
──そんな中、プロの映像ディレクターとしてキャリアをスタートさせたきっかけは?
AKIYA:
きっかけは大学4年生の時に、お金をいただいて記録映像の仕事を手がけたことでした。
それもあって新卒で映像制作会社に入社しました。
最短距離でディレクターとして活動したかったのであえて大手を避け、その可能性のありそうな20人規模のプロダクションに入社しました。
CG・VFXのエディター(デザイナー)やテレビカメラマンが多く、実写のディレクター職は2、3人だけ。
ねらい通り(笑)、新米の僕にもすぐに小さな案件ですが、回ってきました。
最初は得意なダンスものの撮影が多かったのですが、今ではMVやCMにまで広がっています。実践することで多くのことを勉強させてもらっています。
──YouTuberとしても活躍中ですね。
AKIYA:
YouTubeチャンネル「AKIYA MOVIE」では、主に撮影機材のレビューやチュートリアルムービーを配信しています。
自分が苦労して調べた内容は他の人も知りたいんじゃないかなと思ったわけです。
YouTube なら作り手としてはもちろん、表現者としても活動できるので、エンターテイナーとして自分を表現する場所としても最適なんです。
▲ 【大規模撮影】映像作品に込める想いと過酷な撮影現場。 | AKIYA MOVIE スペシャルドキュメンタリー
──SHOTROKさんは今年でキャリア何年目になりますか? そもそもプロを目指したきっかけは?
SHOTROK:
映像を始めたのが2016年なので、7年目ですね。
僕にとってプロの定義が難しいんですよ。
と言うのも報酬をもらって映像を作るのがプロの定義だとすれば、最初からそういう形で携わらせていただいていたから。
当時、 DJ やクラブ業界に映像を作れる人がいなかったので、経歴を聞かれることもなく発注をいただいてました。
今はクライアントワークをベースに、広く行政や企業様からも依頼を受けて映像を作っています。
プロのビデオグラファーを目指す学校、はじまる。入学生募集中。
PR:Vook School
プロとして求められる自分の強み
──おふたりの作風や持ち味をお伺いしたのですが、クライアントからはどのようなことを期待されますか?
SHOTROK:
シネマティックな作風でご指名をいただくことが多いです。
それと音楽をやっていたので音ハメにはこだわっていて、「感覚的に気持ちの良い映像」だと評価をいただいています。
AKIYA:
自分のスタイルに対して自覚的ではないですが、ダンサーだったのでSHOTROKさんと同じく、BGMの選び方や、映像と音がマッチした映像制作が得意なんだと思います。
──その持ち味を活かすため、どんなことを意識して映像制作に向き合っているのでしょう?
SHOTROK:
クリエイターと言えば、自分の好きなものを作って……というイメージがあると思うのですが、僕はマーケティングを重視しているんです。
クライアントファーストの映像と言うか、「その映像で何をしたいのか」をしっかり理解することに努めています。
DJに話が戻りますが、DJ がどんな職業かと言うと、お客さんが求めているものを感じ取って、そこに目がけてベストなタイミングでそれ(音楽)をアウトプットしていく仕事なんですね。
DJ時代も今もずっとそれをやっているんですよね。
それがCMならば、その商品を見た人が買いたいと思ってくれるような映像を心がける。
そしてクライアントの期待を超えることが大事だと思うんです。
期待を超えた時に感動が生まれたり、信頼を得られるんじゃないかと思っています。
AKIYA:
僕はクライアントやアーティストの表現したい世界を映像に落とし込んでいくことに集中しています。
エンターテイナーとして、根本には人を楽しませたい気持ちがある。
MVならアーティストの世界観をしっかりと聞き出して、その世界を構築して、その中にアーティストに入っていってもらえるような……ちょっと抽象的ですが、そういう映像作りを意識しています。
そのためには幅広いジャンルの知識を持って、オールラウンダーでありたいと思っています。
共通点は、ソニーとのタイアップ。クリエイターから人気を集めるFX30とは?
── 今回の企画で、おふたりともソニーのCinema Lineカメラ「FX30」(以下、FX30)を使用されましたが、使ってみての感想は?
Cinema Lineカメラ「FX30」
https://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/202209/22-0928/
SHOTROK:
以前α7S IIをよく使っていたんですが、α7S II時代からの進化がスゴイ。
映像はもちろんキレイですし、4Kサイズで60 FPSと 120 FPS の撮影がこの価格で実現できるんですよね。
今回の撮影では、(アトラクションなどで)忍者を演じている友達に出演してもらいました。
彼のアクションをハイスピードで撮った時、120FPSやオートフォーカスの威力を実感しました。
ジンバルを使わずに、手ブレ補正のアクティブモードを使って撮影したのですが、「ジンバル使わなくてもイケる!」って、いうほどスムーズでした。この機能は、みなさんにオススメしたい。
▲ FX30:SHOTROK 映像作品【ソニー公式】
AKIYA:
今回制作したFX30のタイアップ動画では、見てる人にワクワクしてもらったり、カッコいいと感じてもらえる映像を意識しました。
これまでカメラって、価格の制約がスペックの制約になっている印象があります。比較的エントリーなモデルの場合は 4Kの120FPSは撮れませんよとか、ダイナミックレンジが狭いとか。
でも、FX30は手ブレ補正機能も合わせて、その辺を全てカバーしているのに、学生でもなんとか手の届く価格。とても良いカメラです。安心感があります。
クリエイターとして、その分もっとコンセプトや表現の部分に時間とアタマを使えますよね。
とりあえずFX30があれば、できることっていうのは十二分にあるんじゃないかと思います。
▲ FX30:AKIYA MOVIE 先行 製品レビュー【ソニー公式】
──画質については、いかがでしょう?
AKIYA:
リアルな景色をそのまま記録するといったシチュエーションでFX30の底力を目の当たりにしました。
夏の海でポートレートを撮った時やダンサーの屋外撮影した時に、肌の質感も素早い動きも捉え、十分な情報量を記録することができました。
FX30を使う人を想定すると、撮って出しルックに恩恵を感じる人が多いと思います。
S-Logで撮影してそれを編集の時にLUTを当てただけですごく良い色が出る。
ちょっとシネマチック、ちょっとオシャレな質感に、 FX30のカメラだと最短距離でいけるのが良いですね。
SHOTROK:
色味に関して僕も同意見です。
僕もS-Logで撮影してLUTで戻していますが、キレイに加えて、非常に使いやすい。
ディレクターという立場からみて、扱いやすさも含めて総合力の高いカメラだと感じました。
映像ディレクターとしての今後の展望は?
──今後挑戦してみたいこと、将来のビジョンなど聞かせてください。
AKIYA:
YouTubeというプラットフォームで作品を作る際は、エンターテインメント性を追求していきたいです。
自分の想像力を使って人を楽しませる面白さがあって、その辺を強化していきたい気持ちがあります。
レビューコンテンツに関しては、そのカメラでどんな作品が作れるのか、視聴者さんの疑問を、実際の作品で解決できるような参考事例も作っていければと思っています。
SHOTROK:
実は、今年の5月に拠点をフィリピンに移す予定なんです。
映像の良いところは非言語性。
見ればわかるという利点を生かして国外でも挑戦することにしました。
クライアントファーストという話をしてきたので、ロマンのないやつだって思われたかもしれませんが(笑)
フィリピンは今面白くて、日本の高度経済成長期のような盛り上がりを見せています。平均年齢も24歳という若さ。希望に満ちたアジアの新興国だと思います。
僕は観光関係の映像を作ることが多いのですが、一度日本を離れて、改めて海外の視点からみた日本の観光ビデオっていうのを撮ってみたいんです。
それには自らその視点をつかみに行くしかないんですよね。
日本では当たり前すぎて誰も気にしないけど、外国から見るとスゴイことをたくさん発見したいと思っています。
それは僕の人生においても同じなんじゃないかって思うんですよね。
CP+2023の見どころ紹介! キャリアコンサルティングへの意気込みを語る
──おふたりが登壇されるセミナーやワークショップの見どころを教えてください。
SHOTROK:
AOI Film Craft Lab.さんが起ち上げた「撮り旅」プロジェクトとのコラボレーション企画として、FX30で撮影したコンテンツを題材にしたセミナーを予定しています。
「撮り旅」は、旅先で感じた地域の魅力を学生が映像にまとめることで、「旅×学び×映像」の可能性を追求し、映像発信して観光PRに活用し地域活性化を目指すプロジェクトです。
今回のセミナーでは、映像制作を熱心に取り組んでいる大学生の「大久保楽さん」をゲストとして呼んでいます。
大久保さんは先ほど紹介した撮り旅の参加者で、撮り旅で彼が制作した映像を見ながら、映像制作における企画構成・撮影に至るまで、様々な視点から語っていく内容となっています。リアルな制作現場を疑似体験できるようなお話ができればと思っています。
AKIYA:
将来プロのクリエイターを目指す、私のオンラインサロン(1 bloom)メンバーと一緒にワークショップをする予定です。
LUTを活用した色表現の魅力について、FX30を使用して撮影実演を交えながら解説していきます。LUTやLog撮影などは、多くの人にも共通した悩みだと思うので、参考になれば嬉しいです。
──CP+2023では「キャリアコンサルティング」もされるとか。クリエイターに向けたアンケート調査によると、フリーランスで活動しているクリエイターの悩みのひとつに、「相談をする場所や人がない」という結果が出ています。どのような相談会にしたいと思っていますか?
「キャリアコンサルティング」予約ページ
※先着30名様
https://ers.sony.jp/SEvent/pageEventDetailEVT?e=a2O5F000005ZX1RUAW&p=%E7%A5%9E%E5%A5%88%E5%B7%9D
AKIYA:
まだ25歳ということで偉そうなことを言える立場ではないのですが 、距離の近い学生の方には、すぐにでも実践すべき学生のうちにやっておくことだったりを、お伝えできるんじゃないかと思います。
SHOTROK:
課題や目指しているところは人それぞれだと思うので、ヒアリングした上で自分の経験からアドバイスができればと思っています。
自分が初心者だった頃、「こういう風にアドバイスしてほしかったな」とか、「この情報をあの撮影時に知っていたら……」といったことも話せるはず。参加してくださった、みなさんのお役に立てるようにがんばります。
AKIYA:
CP+2023当日に会場に来られない方は、4月にソニーストアで行われるキャリア座談会に参加してもらえるといいかなと思います。
SHOTROK:
直接相談できる機会ってあまりないんですよね。みなさんがどんな悩みを抱えているかを聞くのが非常に楽しみです。
「FX30 撮影体験会&キャリア座談会」予約ページ
2023年4月8日(土)SHOTROK氏@ソニーストア名古屋
※先着24名様
https://ers.sony.jp/SEvent/pageEventDetailEVT?e=a2O5F000005ZXS5UAO&p=%E5%90%8D%E5%8F%A4%E5%B1%8B
2023年4月9日(日)AKIYA氏@ソニーストア大阪
※先着24名様
https://ers.sony.jp/SEvent/pageEventDetailEVT?e=a2O5F000005ZXS0UAO&p=%E5%A4%A7%E9%98%AA
──相談会に先立って、クリエイター志望のみなさんにアドバイスをお願いします。
AKIYA:
トライ&エラーを積極的にやること!
どれだけ早くエラーを重ねられるかが重要だと僕自身、経験から学びました。
一刻も早く撮影して、露出でミスったり、手ブレで使えない素材を知れば、それをどうカバーしていけばいいのか、自分に何が足りないのか明確になる。
それを学生のうちに済ませれば、社会に出たときには必要なクオリティは担保できます。
SHOTROK:
すごく共感します。
僕自身もトライ&エラーをくり返してきた、って。
アドバイスとしては、映像でやっていきたいのであれば、映像じゃないことにも好奇心をもって目を向けていく。
それを映像とかけ合わせることによってオンリーワンの椅子に座れる可能性がありますよ。
CP+2023ソニーブースの他オススメセミナー、ワークショップをご紹介!
【セミナー】 映像作家 大喜多正毅氏
タイトル:映像作家のMV制作におけるソニー Cinema Line “FX6” “FX3”
【セミナー】 映像ディレクター 澤野洋土氏
タイトル:映像クリエイターの創作意欲を刺激する! ソニー Cinema Line “FX30”
【セミナー】 ビデオグラファー 森 俊樹氏
タイトル:仕事に趣味に大活躍!ソニー Cinema Line “FX6” “FR7”
【ワークショップ】 映像作家 鈴木佑介氏
タイトル:Cinema Line”FX6””FX3”だから実現できるミニマルライティング
詳細は「CP+2023」ソニー特設ページへ
https://www.sony.jp/ichigan/a-universe/specialevent/cpplus2023/?s_tc=jp_ext_cpplus2023
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CP+2023当日「キャリアコンサルティング」予約ページ
※先着30名様
https://ers.sony.jp/SEvent/pageEventDetailEVT?e=a2O5F000005ZX1RUAW&p=%E7%A5%9E%E5%A5%88%E5%B7%9D
「FX30 撮影体験会&キャリア座談会」予約ページ
2023年4月8日(土)SHOTROK氏@ソニーストア名古屋
※先着24名様
https://ers.sony.jp/SEvent/pageEventDetailEVT?e=a2O5F000005ZXS5UAO&p=%E5%90%8D%E5%8F%A4%E5%B1%8B
2023年4月9日(日)AKIYA氏@ソニーストア大阪
※先着24名様
https://ers.sony.jp/SEvent/pageEventDetailEVT?e=a2O5F000005ZXS0UAO&p=%E5%A4%A7%E9%98%AA
Cinema Line カメラ「FX30」α Universeスペシャルページ
https://www.sony.jp/ichigan/a-universe/movie-specialcontents/FX30/
TEXT_山本加奈 / Kana Yamamoto(NEWREEL)
PHOTO_蟹 由香 / Yuka Kani
Vook編集部@Vook_editor
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