【Blender】スカルプトモデリングの基本操作

2023.03.15 (最終更新日: 2023.03.16)

本日は、「Blender」のスカルプトモデリングについて、説明していきます。
わかりやすく、画像付きで説明していきます。

📚合わせて読みたい、Blenderの使い方がまとめてわかる解説記事一覧はこちら!

【Blenderの使い方】これ1本ですべてがわかる! 完全ガイド

Vook編集部がお届けする「解説シリーズ Blender編」。 「Blender」の基本的な使い方から、かゆいところに手が届くTIPSまで、これからBlenderを使い始める人や制作の途中でつま...

スカルプトモデリングとは

「スカルプト」とは、彫像のこと。
彫刻を彫るようにして3Dオブジェクトを造形していくことを、スカルプトモデリングといいます。
このやり方を使うと、直観的なモデリングができます。
もちろん、使わずともモデリングはできますが、ある程度複雑な形を作ろうと思えば、通常のモデリングツールでは不十分に感じる局面が出てくるでしょう。そんなときに、スカルプトは表現力を高めるツールになってくれるのです。

スカルプトモデリングの特徴

先述したように、スカルプトモードでは、彫刻を彫るようにモデリングができます。
通常のツールでは、頂点を一つずつ動かすにしても、プロポーショナル編集を使うにしても、なかなか思いどおりの形になってくれずにストレスを感じることがあると思います。スカルプトモデリングなら、そのようなストレスは軽減されるはずです。

プロのビデオグラファーを目指す学校、はじまる。入学生募集中。

PR:Vook School

スカルプトモデリングの基本的な操作方法

今回はサンプルとして、新規ファイルを作成すると最初に置いてある立方体を使います。
もちろんどんなオブジェクトでもスカルプトはできますが、自分の作りたいかたちを自由に作ろうと思ったら、案外ただの立方体から始めるのが一番いいかもしれません。

下準備

まず、スカルプトを始める前に、準備として頂点数をある程度増やしておきます
最初の立方体のままだと、角を動かすことしかできず、モデリングのしようもないので、細分化は必須です。
画面左上にあるモード選択ウィンドウで「編集モード」にして、「辺」の「細分化」を左クリックします。

画面左下に詳細設定のウィンドウが現れるので、ここでどれだけ分割するかの数値を変えられます。スカルプトでモデリングするからには、それなりに細かくしておきたいところです。

一度で最大10分割できますが、もっと分割したい場合には、複数にわけて繰り返すといいでしょう。細かく分割すればするほど、より精密に作りこむことができます。(ただし、あまり増やしすぎると、ほかの機能を使う際にうまくいかなくなる場合があります)

今回は、10分割したうえで、さらにもう一度分割してみました。

また、表示をスムーズシェードにしておきましょう。
オブジェクトモードでオブジェクトを右クリックするとウィンドウが現れるので、このなかの「スムーズシェード」を左クリックします。

初期設定はフラットシェードになっていますが、このままだと、昔のポリゴンのような感じになります。スカルプトを使うようなモデリングの場合は、たいていスムーズのほうがふさわしいでしょう。
(シェードの切り替えはいつでもできるので、必ずしも最初にする必要はありません)

ブラシの種類と選び方

下準備ができたら、いよいよスカルプトを開始します。
画面左上にあるモード選択ウインドウで、「スカルプトモード」を選択します。

画面左側にブラシが表示されています。

もっとも基本的なのは、一番上にある「ドロー」でしょう。シンプルに削る感覚のブラシです。
あと、便利なのは「スムーズ」。これは、言葉どおり凹凸をなめらかにしてくれるブラシです。いじりすぎて表面がぐちゃぐちゃになってしまったようなときには、消しゴム代わりにも使えます。

ブラシの設定

各ブラシは、細かい設定ができます。
画面右のプロパティエディタや、サイドバーでも可能ですが、画面上部に表示されているウィンドウがもっとも使いやすいでしょう。

「半径」は、カーソルが影響を及ぼす範囲を表し、「強さ」は、どれだけ変化させるかを表します。
また、多くのブラシは+と-を切り替えられるようになっています。+にすると盛り上がるようになり、-だと、えぐれるようなかたちにできます。
(ブラシによっては、逆になっていたり、そもそもプラスマイナスの設定がないものもあります)

ブラシの使い方

使い方は単純で、オブジェクトにカーソルをあてると、効果範囲が表示されます。
左クリックしながらドラッグすると、オブジェクトが削れます。
ただし、マウスだと手ブレが出てしまうでしょう。「安定化」によって手ブレを抑えることはできますが、手のストロークを活かせるというのがスカルプトの利点なので、できればペンタブレットを使ったほうがいいと思います。ペンタブレットを使用すれば、筆圧をブラシの強度に反映させることもできます。
下図は、実際スカルプトしたところです。
「スムーズ」で、立方体の角を丸くしています。

ここからスカルプトを進めていき、人間の腕をつくってみました。

このモデリングでは、「エラスティック変形」というブラシを多用しています。

エラスティック変形は、オブジェクトの一部を引っ張って伸ばすことができます。
これで
1. 大まかに形成
2. ドローブラシなどで細部を造形
3. スムーズブラシでなめらかにする
5. リメッシュ

という工程を繰り返しています。
(リメッシュについては後述します)

ツールの使い方

スカルプトの際に便利な機能をいくつか紹介します。

まず、ここまでの説明に出てきた機能について説明しておきましょう。
筆圧感知は、下図の赤枠で囲った部分にスイッチがあります。初期設定でオンになっています。

そして、「安定化」機能は下図。
サイドバーの「ツール」→「ストローク」で出てきます。これをオンにしておくと、ブレを軽減できます

逆に、「ジッター」を使用すると、不規則に線がブレる効果を出すこともできます。

そして、「リメッシュ」
どのブラシでも、サイドバーの「ツール」から選択することができます。一番下の「リメッシュ」を押すと、リメッシュを実行してくれます。

リメッシュとは、メッシュを組みなおすことです。
最初にオブジェクトを細分化しましたが、リメッシュするとこの分割の仕方が変化します。
これが重宝するのは、もとの立方体とあまりにも違う形にする場合は、最初の分割のままでモデリングしていくのは難しいためです。

たとえば、「ブロッブ」ブラシを使って一部分を盛り上げるとします。
普通にやると、ブラシを繰り返しかけてもこんな感じです。

これは、もともとのメッシュの形や頂点数がブロッブに対応しきれていないためです。
ワイヤーフレームを表示すると、こんな感じです。
(見てわかりやすいように10分割にしています)

マス目のゆがみがだんだん大きくなっていくので、それ以上にふくらむのが難しくなってくるのです。

そこで、いったんブロッブをかけた後にメッシュを組みなおします。すると、いくらでも膨らませていくことができます。

 
リメッシュをリアルタイムで実行する Dyntopo という機能もあります。

これをオンにしておくと、ブラシをあてるたびにリメッシュしてくれます。
ただ、この機能はかなり扱いが難しいので、上級者むけでしょう。うかつに使うと、ほかの機能を使う際に問題が生じる場合があります。

最後にもう1つ、「対称化」を紹介しておきましょう。
Blender で対称にモデリングする方法は何通りか考えられますが、その1つとして、リアルタイムで対称にしてくれる機能がついています。

ここにチェックを入れると、XYZ各軸で対称にスカルプトできるようになります
一番右のボタンを押すとメニューが表示され、そこから対称化することもできます。

モデルの回転と拡大縮小

スカルプトモード内で、オブジェクトを移動・回転・拡大縮小することもできます。
ブラシ一覧を一番下までスクロールさせると、変形ツールがあります。

オブジェクトモードでも拡大縮小はできますが、スカルプトとの関連で気をつけなければならないのは、各軸の比です。

たとえば、Z軸方向にだけ伸ばしてしまうと、オブジェクトを構成する面がすべてそれにあわせて縦長になってしまいます。結果、スカルプトのブラシも縦長になります。
この状態でスカルプトモードにすると、このような警告のメッセージが出ます。

このメッセージは、「マス目が正方形になっていませんよ」という意味です。それでかまわないのであれば、無視して大丈夫です。

スカルプトモード内のツールで変形させた場合には、この警告メッセージは出ませんが、マス目が縦長になっていること自体は変わらないので、縦長のマス目でスカルプトする状態にはなってしまいます。
先述のリメッシュを実行すれば、縦長状態は解消できます。

また、オブジェクトを回転させると対称の軸が変わってしまうため、対称を維持できなくなってしまいます。これは、どのモードで回転させてもそうなります。

オブジェクトモードの変形はリセットできますが、スカルプトモードや編集モードでは、いったん変形させて保存終了してしまうともう元に戻せなくなるので注意してください。

スカルプトモデリングの応用テクニック

マスクを使って細かい部分を作る

スカルプトモードでは、オブジェクトの一部にマスクをかけることができます。
マスクとは、ブラシの影響が及ばない範囲です。マスクされた箇所は、ブラシをあてても変化しなくなるので、「ここはもう固定しておきたい」というところを保護できるのです。

マスクのかけ方は、何種類かあります。
ボックス選択でかけることもできますが、これを使うシチュエーションはあまりないでしょう。ブラシで塗る感覚でマスクをかけるのが基本と思われます。

マスクした部分は、黒く表示されます。

この状態で、ドローをプラスでかけてみます。
下のように、マスクされた部分は平らなままで残っています。

またマスクされた部分は、スカルプトモード内での変形(移動、回転、拡大縮小)の影響も受けなくなります。

ただしこれは、スカルプトモード内にある変形を使った場合のみです。
オブジェクトモードや編集モードでの変形では、スカルプトモードでマスクした部分も通常どおり影響を受けます。
マスクをはずしたいときには、マスクのブラシをマイナスにして塗ると、消えてくれます。

リトポロジー

リトポロジーとは、全体のメッシュを作り直すことです。
「3Dスキャンやスカルプトモデリングでよく使う」といわれますが、この両者の間にはかなり違いがあります。

3Dスキャンの場合は、スキャンしたデータそのままだと細かいノイズがあるので、そういった部分を補修する意味合いで使います。そのようなリトポロジーはかなり高度な技術を要求され、手間もかかりますが、スカルプトモードでいうリトポロジーは、そこまで難しく考えなくてもよいでしょう。

先に紹介したように、意図しない凹凸はスカルプトモードそのもので修復可能です。現実にあるものをスキャンしているわけではないので、それで修復できないような複雑なノイズが生じることはまずありません。
強いていえば、先述したリメッシュもリトポロジーの一種ですが、これは修正というよりも、より複雑なかたちを作るための工程でしょう。

最終調整

全体のバランスを見る

モデリングを終えたら、全体のバランスを確認しましょう。
スカルプトにかぎりませんが、3Dモデリングでは、1つの方向から特に問題なく見えても別の角度から見るとゆがんでいたりすることがよくあります。
先ほど作った腕ですが、角度を変えて見てみると、だいぶゆがんでいることがわかります。

全体のバランスがおかしいと思ったら調整する方法はいくつかありますが、ここでも「エラスティック変形」が役に立ちます。一部を引っ張ってゆがみを直してやることができます。その際にしわができたりするので、スムーズブラシでなめらかにしましょう。ただ、生物の体などの場合は、あえてゆがみやしわを残したほうがリアル感につながることもあります。

細かいディテールを加える

エラスティックもそうですが、黄色表示になっているブラシは、細かいディテールを加えるのに重宝すると思われます。一部分をつまんだようにする「ピンチ」や、突起を作れる「グラブ」などです。

また、細かいディテールをくわえていくときには、スカルプト以外のツールも併用したほうがいいです。
スカルプトは便利な機能ですが、限界もあります。マテリアルやライティングを工夫すれば、より高度な表現ができるようになるでしょう。
先ほどの腕ですが、ためしにマテリアルプロパティで色と質感を調整してみました。

まとめ

いかがだったでしょうか。
今回紹介したのは、Blenderに搭載されている機能のごく一部です。
スカルプトモデリングには、もっと多くの機能があり、ほかの機能も組み合わせれば、さまざまな表現が可能です。いろいろ工夫してみて、自分なりの表現を追求してみてください。

TEXT_Mur
EDIT_河内誠/Makoto Kawauchi(Vook編集部)

コメントする

  • まだコメントはありません

基礎解説シリーズ|Blender@

Vook編集部がお届けする「解説シリーズ」のBlenderアカウントです。Blenderの基本的な使い方から、かゆいところに手が届くTIPSまで、様々なナレッジ記事を発信していきます!(リクエストもぜひ)

基礎解説シリーズ|Blenderさんの
他の記事をみる
記事特集一覧をみる