こんにちは、映像ディレクター / DaVinci Resolve公認トレーナーのREN TAKEUCHIです。
突然ですが、DaVinci Resolve専用キーボードをご存知ですか?
本記事を執筆している時点で、「DaVinci Resolve Speed Editor」と「DaVinci Resolve Editor Keyboard」の2製品がブラックマジックデザインから発売中です。
両製品とも、編集スピードを劇的にアップする用途でカットページでの作業を念頭にデザインされているとのこと。
汎用的なマウスやキーボードの操作とは異なり直感的にコントロールし操作できる仕様になっているため、タイムライン上の的確な検索・移動を可能になっています。一度使用すれば、DaVinci Resolveキーボードを手放すことはできなるかも?
今回、ブラックマジックデザインから「DaVinci Resolve Speed Editor」を借りることができたので、MVやPVを主に手がけている映像ディレクターという立場からレビューしました!
DaVinci Resolve Speed Editorとは
DaVinci Resolve Speed Editorは、短い納期に間に合わせるために、素早い作業が求められるプロのエディター用に設計されています。
DaVinci Resolveでのみ使える仕様で、基本的にはカットページで映像編集を行うために使います。
先述した通り、現在2製品がラインアップされています。
「DaVinci Resolve Speed Editor」
「DaVinci Resolve Editor Keyboard」
少し前まで、ブラックマジックデザインが実施していたスゴいプレゼント企画がありましたね。
その内容とは、DaVinci Resolve Studio(有料版)を購入した方に「DaVinci Resolve Speed Editor」を1台プレゼント! という腰が抜けそうな太っ腹の企画でした。
すでにDaVinci Resolve Studio(有料版)を持っている方が、このキャンペーンで購入したという話を何度も聞きました。
ただ、あのキャンペーンでゲットされた方の中には「DaVinci Resolve Speed Editor」を持っているけど「使用法がよくわからない」「自分の編集環境に合っているのか?」……といった悩みも聞いたことがあったので、実際にレビューしていきます!
DaVinci Resolve Speed Editorを利用するメリットとデメリット
この記事を読まれているということは、少しでもDaVinci Resolve Speed Editorに興味があるのではないでしょうか?
公式サイトでは、次のように紹介されています。
DaVinci Resolve Speed Editorは、編集に必要な特定のキーのみのデザインに、メタル削り出しのサーチダイヤルを搭載しています。
Bluetoothおよび内部バッテリーを使用したワイヤレス接続や、USB-Cによる接続が可能なので、フルサイズのキーボードと比べて携帯性に優れています!
筆者は普段、映像ディレクターとして活動しており、実作業ではグレーディングを中心にしつつもビデオグラファースタイルで撮影から編集までひと通り手がけています。
そんな立場から実際に使ってみて感じたメリット、デメリットをお伝えできればと思います。
メリット
<1>操作要領を覚えてしまえば、高速に編集できる
<2>PCのキーボード&マウスをいっさい触らずに編集できる
<3>バッテリー内臓&Bluetooth
<4>クリップ選択ではなく、トリミング
まずは、<1>操作要領を覚えてしまえば、高速に編集できるですが、まさにその通りでDaVinci Resolve Speed Editorは、各位置のキーボードが頭に入っていると真価を発揮すると思いました。
ある程度の機能は感覚的にすぐにわかったものの、やはり細かい用語などを用いられてることもあるので、その部分をクリアにすることができれば高速編集が可能になると思いました。
次に、<2>PCのキーボード&マウスをいっさい触らずに編集できるについて。
本当に神ガジェットだと思います。
やはり編集中は自分のペースみたいなものがあり、少し余計な動きが入るとペースが乱れて集中が途切れることもありますよね。
その意味では、DaVinci Resolve Speed Editorで全て完結できることができるので編集に打ち込めると思いました。
続いて、<3>バッテリー内臓&Bluetoothについて。
地味なポイントかもしれませんが、ガジェット好きやクリエイターの気持ちを理解していると思いました。
ケーブルがないことでデスク上の配置も気になることもなく、常にケーブルにつないでおかななくても使えるのが便利だなと。
そして、<4>クリップ選択ではなく、トリミング。
DaVinci Resolveユーザーはこの意味のすごさが理解できると思うのですが、つまり、メディアプール上の素材クリップを選択し、キーボードでインとアウトを選択しマウスでタイムラインにドラッグ&ドロップをするという手間から解放してくれるのです。
DaVinci Resolve Speed Editorを使えば、以上の2動作のみでカット編集が行えてしまうのです。
映像編集をされている方、特にエディターさんならこの無駄のない動きを見ただけで導入するメリットしか見当たりませんよね!?
「タイムラインの最後にクリップを追加したい」「クリップを差し替えたい」などの要望には応えられるのか!?……と思われた方には、次の通りお答えしておきますね!
[SMART INSERT]キー:スマートインジケータのあるところに挿入
[APPEND]キー:タイムラインの一番最後に追加
[RIPPLE O/WR]キー:クリップの差し替え
……といった具合に、様々な操作がDaVinci Resolve Speed Editorだけで行えるので、気になった方はぜひ調べてみてください!
デメリット
デメリットとして挙げさせていただきますが、あくまでも自分のようなビデオグラファースタイルで、MVなど作品を中心に手がけている立場からの所感になります。
<1>カットページに適している
<2>キーボードの配置を覚えるのが大変
<3>クリエイティブが強い編集が弱い
まず、<1>カットページに適しているですが、逆に言えばカットページにしか適していません。
この点が導入するにあたって気になる部分だと思いますが、言うまでもなくDaVicni Resolveにはカットページ以外にもエディットページやカラーページなど、クリエイティブを発揮できるページが豊富にあります。
だからこそ、カットページのみの機能しか使用できないことが非常に残念でした……。
ただし、実はDaVinci Resolve 18.1のアップデートでとんでもない事が起こりました。
なんと、エディットページにもフル対応したのです。
これによりデメリットだと思っていたことが逆にメリットに変化しちゃいました!
どれほどエディットページで使用できるかは、ぜひこちらの記事を読んでください!
DaVinci Resolve 18.1のはんぱないアップデート 〜新機能まとめ〜
11月11日、DaVinci Resolve 18.1がリリースされました。DaVinci Resolveを長く使ってきた方はおわかりかと思いますが、DaVinci Resolveにとって0.1...
続いては、<2>キーボードの配置を覚えるのが大変。
DaVinci Resolve Speed Editorは、可搬性を重視して必要十分のキーを厳選したキーボードなので、はたしてデメリットに挙げてしまっていいものか少し迷いましたが、恐らく慣れの問題だと思います。
使い始めてからしばらくの間は、かえって作業スピードや効率が下がることもあると思うので、業務で使う場合はバランスを取りながら使うことをオススメします。
そして、<3>クリエイティブが強い編集が弱い。
一番課題に感じたのが、この点です。
正直なところ、プロモーションビデオやミュージックビデオ、あるいはビューティー系などの編集作業については、一般的なキーボードを使った方がいいかなと思いました。
撮影/収録に先だって、絵コンテなどでワンカットずつ構図やカメラワークなどしっかりと決まっている作品や、カット編集が中心の作業であれば確かな恩恵が得られると思います。
ですが、MVなどの場合はカラーグレーディングなど、カット編集以外の部分も重要なので、使いどころが限定されてしまう気がしました。
まとめ
DaVinci Resolve Speed Editorを色々な面から考えてみましたが、いかがでしたか!?
カット編集を加速させてくれるガジェットなのはまちがいありません。
先ほど述べたとおり、DaVinci Resolve 18.1のアップデートでエディットページにもフル対応しているので、DaVinci Resolve Speed Editorをすでにお持ちの方はこの機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか!
- 映像ディレクター / DaVinci Resolve 公認トレーナーREN TAKEUCHI
1997年京都生まれ。高校卒業後にビデオグラファーとして活動し、2019年にフリーランスの映像ディレクターとして独立。TVCM、PV、MVなど様々な映像制作を手がける。現在は、株式会社GLASとしてチームで活動をしており、企画・ディレクション・撮影・編集をワンストップで行う。 主にカラーグレーディングを得意とする。 @grove_glas
EDIT by 沼倉有人 / Arihito Numakura(Vook編集部)
Vook編集部@Vook_editor
「映像クリエイターを無敵にする。」をビジョンとするVookの公式アカウント。映像制作のナレッジやTips、さまざまなクリエイターへのインタビューなどを発信しています。
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