こんにちは。
Premiere Tipsを運営している、映像屋&プログラマーの小枝繁之です。
今回は、iPhoneで撮影した素材の“白飛び問題”を解決する方法を考えてみました。
iPhoneのビデオ撮影では標準設定がHDRモードになっているため、Premiere Proに読み込むと、このように白飛びが発生してしまいます。
素材に合わせて自分の好みの色合いにできる方法を選んで、ぜひ実践してみてください。
iPhone撮影素材の“白飛び問題”を間違いなく解決できる方法
1番手っ取り早くて完璧な解決方法は、iPhoneの撮影モードで[HDRビデオ]をオフにすることです。
[設定→カメラ→ビデオ撮影]に、[HDRビデオ]の項目があります。
しかし、既に収録してしまった場合はどうすればいいのか...…?
まず、HDRには「明るさのガンマカーブ」と「色の色域」の2つの要素があります。この2つの要素をHDRからSDR(一般的な映像規格)に変更することで白飛びを解消していきます。
基本的には、広い範囲から狭い範囲にデータを抑え込むため完璧な処理というのはできません。
そこで4つの手法を考えてみました。皆さんはどの色が好みですか?
それでは、それぞれ順番に説明していきます。
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【方法1】:自動トーンマッピング機能を使う方法
Pr2023 (23.2)で、自動トーンマッピング機能が追加されました。
ここにチェックを入れることで、タイムラインに載せるだけでSDR化されます。
現状ではこれが1番お手軽だと思います。
しかし、それ以前のバージョンではどう解決すれば良いのでしょうか?
続いて、その解決方法を説明していきます。
【方法2】:SDR最適化エフェクトを使用する方法
SDR最適化エフェクトを適用し、ガンマカーブをSDR化します。
ただし、このエフェクトだけでは色が濃すぎる状態になるため、プロセスアンプのエフェクトを使用して彩度を85%程度に下げます。
もちろんこれは正しい変換方法ではなく、Rec.2020→Rec.709に変換する必要があるのですが、Premiere Proにそのエフェクトはありません。
そのため、iPhoneやHDRモニターで撮影した素材をHDR表示した状態で確認し、近い色味に合わせていきます。
【方法3】:プロセスアンプを使用する方法
プロセスアンプのエフェクトで、コントラストを70程度、彩度を80程度に設定します。そうすることで、白く飛んでいた部分が抑えられ、元の素材に近い色味になります。
ただし、素材によって微調整は必要になるので、必ず適宜数値を調整してください。
また、同様の数値をLumetriカラーに設定しても、全く違う色になってしまうことがあるため、プロセスアンプを使用することをオススメします。
数値次第ですが、SDR最適化に比べて落ち着いた色味にしやすいです。
【方法4】:LUTを使う方法
iPhoneHDR撮影用のLUTを公開している方を見つけました。無料で利用できるので、Lookが気に入った方はぜひ使ってみてください。
色がかなり派手になってしまいますが、印象的にしたい場合は手っ取り早いかもしれません。
さいごに
以上、iPhoneで撮影した素材の白飛び問題を解決する方法でした。
ぜひ素材に合わせて試してみてください。
ほかにも有効な対処法があると思うので、ご存知の方は記事を書いていただけると嬉しいです。
- 小枝 繁之 / Shigeyuki Koeda
㈱G-CaL代表・プロデューサー・ポスプロエディター・カラリスト・プログラマー。 ポスプロエディターとしてバラエティ〜4K・8KHDR作品など多くに携わる。 2019年に映像業界をDXする企業G-CaLを設立。ポスプロスケジュール管理システム・ワイプ入れ支援システムを開発し、InterBEE2022に出展。https://gcal.jp/
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