今回はVookにも珍しい?DIYな話題です。最近、GH5で現場を立ち回る事が増えている自分ですが、悩ましいのがHDMI。自分の場合、GH5の時はできるだけ本体に余分なモニターやEVFを付けたくないため(機動性を重視)、基本的に撮影時はGH5の液晶モニターだけで撮影しています。
一方でGH5を使う時は、ほぼV-Logの10bitで撮影しており、3m〜5m程度のHDMIケーブルを経由してATOMOS SHOGUNに映像を送り、LUTを当てながらのディレクタープレビュー、プレイバック等を行うのが通例になっています。しかし撮影時と移動時で、GH5本体のHDMI抜き差しが多く発生するので、HDMIの構造上、端子の摩耗がとても心配です。
そんな折、海外のとある動画が引き金となり、GH5のシューにクリップオンできる簡単なHDMI to SDIコンバーター(以下H2Sコンバーター)をDIYしてみました。最近のAmazonでは、品質はそこそこに激安のコンバーターが多数出ているので、もしDIYでぶっ壊しても、まぁいいや、な気分で試しに1個作ってみたら、すこぶる便利だったので、今回はそのお話しです。ちなみに以下の動画が元ネタです。
【必要な道具】
・ハンダ(半田)
・電動ドリル
・金属用のドリル刃
・ラジオペンチ
・ツメ切り(ケーブル剥き用)
【必要な部材】
※ 必要部材の購入先は、この記事の最後にまとめておきます。
・(安い)小型H2Sコンバーター
・シューアダプター
・1/4ナット(UNC1/4-20)
・2.1mm標準DCプラグL型
・充電用USBケーブル(100均で入手)
1.小型H2Sコンバーターを分解
今回は上記動画にもあるような、Amazonで(時価で)2,500円〜3,000円そこそこで売っていた激安H2Sコンバーターを調達。製品レビューも悪くなかったので、これをベースに作成。この製品の構造は実に簡単で、ビス一本でケースのフタが開けられます。中には基盤が1枚入っているだけなので、シューアダプターのネジを止めるスペースは十分あります。そこで激安シネアームを買った時に無駄に付いてくるシューアダプターが会社にゴロゴロしていたので、H2Sコンバーターの蓋に穴をあけ、シューアダプターをフタの裏からナットで留めるプランでDIY開始。
DIYと言っても穴を空けてシューを止めるだけ。Hackといった方が適切?
2.ケース(フタ)に穴を空ける
電動ドリルはあったものの、あいにく金属用の刃が無かったので、知り合いから一瞬お借りしてネジ穴程度は開ける事ができました。尚、金属刃もAmazonで2,000円程度で手に入るようです。蓋の暑さは1mm程度なので、小型のドリルでも、やや根気よく押し付けながらドリルを回せば穴は簡単に空きます。
まず、ドリルの刃でケースフタが回転しないように、フタは厚めの木材等にテープ等でしっかり貼り付けておきます。今回は1/4ネジを通す必要があったので、最初は細めの刃でくぼみ程度のへこみをつけて、次に一番太い刃に付け替えて、押し当てながら回し、一気に穴を空けました。ただ空いただけでは1/4のネジが通りにくかったので、ドリルで穴の周辺を多少グリグリして穴を少し広げて見たらネジが通りました。
尚、金属の穴あけはくれぐれも怪我にご注意ください。誤って床に穴を開けないように下敷きには厚めの木材等を置きましょう。また開けた穴のまわりのバリで怪我をしないように。バリが出ていたら金属用のヤスリ等でならしてください。100均等で売ってます。(今回はバリはほぼ出なかった)
穴さえ空いてしまえば、もう難しい事もなく裏からシューアダプターを1/4ナットでネジ留めするだけ。これでクリップオンタイプのH2Sコンバーターの出来上がりです。
尚、シューアダプターなんて転がっていない、という方は、単体でもAmazonで売っています。(Amazonはほんと、なんでもありますね。。)4個入りで800円程度で売られているようです。
また、1/4ナットは、DIY店に行けばゴロゴロしていますが、聞いたところによると、UNCタイプの1/4 20山のナットが良いとのこと。ウィットネジと呼ばれ型番の頭にWがついている物は、建築用でネジ山の角度が微妙に違うので、緩みやすく適切で無い、というアドバイスを受けました。参考までに。
3.ジャストな長さのUSB-DCケーブルを自作
あとは電源周り。この類のコンバーターは5Vをカバーしている事が多いので、モバイルバッテリー駆動が便利ですね。今回はコンバーターとおおよそ同じ大きさのAnker Astro E1 6700mAhを選択(Amazon価格で時価1,800円程度)。これをコンバーターに(とりあえず)マジックテープでくくりつけました。その際、短めのUSB-DCプラグが欲しいところですが、これがなかなか市場には出回っていない(長いのはある)。なので、これも自作。
100均で充電用のUSBケーブルを調達。これを躊躇なくハサミで目的の長さに切って、秋月とかで売っている自作用DCカプラー(2.1mm標準)に半田付けします。
USBケーブルの多くは、切ると中から赤、緑、白、黒の4本の細いケーブルが出て来ます。このうちの緑と白は使わないので、赤と黒だけをDCプラグに半田付けします。多くは「赤」がプラス(電源用+)で、「黒」がマイナスGND(電源用-)の極性です。ですので、今回は「赤」をDCプラグの中軸に、黒を外側に、それそれ半田付けします。それぞれのケーブルのビニール部分を剥いで銅線をしっかり出す際はツメ切りを使うと便利です。(これまでの経験で、赤プラス黒マイナスで問題ありませんでしたが、この部分は確証はないので、テスター等で調べた後に接続するのが確実です。稀に安い輸入品等はケーブル色がアテにならない時がある?というネット情報も。極性を間違えると機器を壊すリスクがありますので、ご注意下さい。)
半田付けが終わったら、DCカプラー内の留め金具にケーブル本体をはさんでラジオペンチ等でしっかり留めます。最後にDCカプラーのカバーをカチっと押し込んで完成。尚、赤と黒のケーブルの切断は、事前に長さを計算しておくと、綺麗にカプラー内に収まります。
もし電子工作が苦手でしたら、ケーブルは長くなってしまいますが、迷わずUSB-DCプラグの製品をAmazon等で買って下さい。
4.完成!通電。
出来た短いUSB-DCケーブルで、H2Sコンバーターとモバイルバッテリーを接続、電源ON!コンパクトにまとまったクリップオン型激安H2Sコンバーターの完成です。
さて、使ってみると、、かなり快適に動きます。遅延も思ったほど感じません。もちろん4Kの信号は送れないので、4K収録時はGH5側のHDMIの設定をダウンコンバートに切り替え(AUTOで問題ないかと)4K撮影にSHOGUNでもRECしたければ、HDMI接続になりますが、個人的にはGH5はデュアルレックで4K 10bit 422まで収録できてしまうので、外部収録の必要性はほぼ無いと思っています。クリップオンできるとなると、いろんな用途も考えられますので、単純な事ですが、けっこう便利ですよ。よかったら、みなさんもDIYに挑戦して見て下さい。
【17.10.26追記】
Anker Astro E1 6700mAhで稼働時間を調べたところ、ちょうど12時間でした。これなら1日のロケでバッテリーを一度も交換せずに使えますね。
尚、5VのDIYはモバイルバッテリーの他に、エネループを4本使う方法もあります。以前、弊社の記事で書いておりますので、こちらもよかったら参考までに。
* GAI NEWS「簡単自作、エネループ駆動のHDMI分配機」
コンバーターと部材、一覧
2.1mm標準DCプラグL型 (ただしアキバ秋月だと40円で買える)
USB充電ケーブルは、お近くの100均で調達ください。
1/4ナットは近くのDIY店か金物屋で調達ください。その際、1/4ネジの現物を持って行って、ちゃんとハマるか確かめると確実かと思います。(自分もそうしました。)
先記通り、UNCタイプの1/4 20山のナットがオススメです。
Akiraxe / 照山明@Akiraxe
日大芸術学部映画学科在学中、映像と演劇の融合を目指し発足した「ガイプロジェクト」に参加、以降、舞台映像、舞台撮影を中心に活動。一時ポスプロに在籍するが、1年後に退社しフリーに転身。2006年に株式会社ガイプロジェクトを設立。舞台制作と平行して企業VPを中心に映...
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