この記事ではDaVinci Resolve 18.5の新機能のうち、カットページに関するものを紹介します。これまではカットページのみで細かい編集をすることが難しく、エディットページを必要とするケースが少なくありませんでした。今回のアップデートではカットページで編集が完結するようになっています。カットページだけでも細かい編集やスムーズな作業が可能になるよう、多くの新機能が加わっています。
とりわけDaVinci Resolve for iPadのユーザーにとっては、これは朗報ではないでしょうか。DaVinci Resolve for iPadでは、カットページのみが編集用のページとして設計されていて、エディットページにはアクセスできないからです(まあ、裏技はありますが・・・)。
18.5の注目機能、自動字幕生成機能は、エディットページだけではなくカットページでもサポートされています。それ以外にも音声波形の拡大、映像と音声の別々の編集、リップルトリムの無効化など、大小さまざまなアップデートが含まれており、今回の18.5は、2019年に16カットページが導入されて以来、このページにとって最も大きな変化のひとつといえます。
カットページの変化としてわかりやすいのは、カットページのタイムラインの左上に追加された3つの新しいボタンです。左から「タイムラインオプション」、「タイムラインアクション」、「エディットオプション」のメニューを表しています。これまでエディットページに行かないとできなかった多くのことが、今回のアップデートでカットページでもできるようになっています。
タイムラインの音声から自動的に字幕を生成
これはエディットページでも使える新機能ですが、もちろんカットページでも有効です。「タイムライン」のメニューから、Create Subtitle from Audioを選択してください。
1行の最大文字数などを指定します。
あっという間に字幕が生成されます。
タイムライン左上の「タイムラインアクション」からもこの字幕生成機能にアクセスできます。
この自動字幕機能がすごいのは、ただ単に音声から言葉を取り出しているだけではないということです。字幕クリップの文字数制限いっぱいになったら次の字幕クリップにいくというのではなく、文法的、文脈的に適切な箇所で区切りを入れてくれます。ピリオド、カンマも適切な場所に入り、人や場所の名前は単語の先頭が大文字になります。喋り方が断定系ではなく疑問系だったら、ちゃんと文末にクエッションマークを入れてくれます。途中で話者が変わったら、罫線を引いてくれます。引用をしている箇所なら、鉤括弧をつけてくれます。音楽を検出したら、[Music] と表示します。
人名、地名、固有名詞は単語の先頭が大文字になります。
文脈から判断して正しい場所でカンマ、ピリオドが入ります。
話者が変わると罫線が入ります。
音楽は自動的に検出されて音楽であることが明記されます。
日本語への対応が待ち遠しいですね。
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字幕トラック
エディットページでしか使えなかった字幕トラックが、カットページでも使えるようになりました。字幕トラックはSubtitleの頭文字をとってST1、ST2と表され、字幕クリップはベージュ色で表示されます。
シーンカット検出
タイムラインからシーンの変わり目を自動的に見つけて編集点を入れてくれる機能、シーンカット検出がカットページでも使えるようになりました。DaVinci ResolveのパワフルなAI機能、DaVinci Neural Engineを使った人気ツールです。
トラックの拡大表示
トラックヘッダーのいちばん左のボタンを押すと、映像と音声が一体となったクリップが拡大表示されます。
これにより音声の波形が見やすくなります。
スプリット編集に対応
これまでカットページでは映像と音声が一体になったクリップの音声のみを編集することはできず、そういった映像と音声をべつに扱う編集(スプリット編集)をやるにはエディットページに行かないといけませんでした。今回からはカットページにいながらスプリット編集ができるようになっています。映像と音声が一体になったクリップの音声の部分の編集点を動かしてみてください。そうすると音声のみをリップルしたりロールしたりすることができます。
スプリット編集ができるようになったことで、JカットやLカットを作りやすくなりました。Jカットというのは音声が先に切り替わることで、Lカットというのは映像が先に切り替わることを指します。タイムラインでのクリップの並び方がそれぞれJ、Lに見えるのでそういう風に呼ばれています。
Jカット
Lカット
トラックを追加
ビデオトラック、オーディオトラック、字幕トラックを追加する項目が加わりました。
クリップを追加、結合
クリップを分割する項目と、分割したクリップを元通りに結合する項目が追加されました。
リップル編集の無効化
これまでカットページではトラック1のクリップの編集点を左右に動かすと、隙間があかずに編集されていました(リップルトリム)。トラック1のクリップを削除したときにも、隙間があかずにクリップが削除されていました(リップル削除)。直感的に操作できるよう、故意にそのような設計になっていました。しかし場合によってはリップルしてほしくない場合もあります。そこで今回のバージョンから、このデフォルトでオンになっているリップル編集モードをオフにする機能が追加されました。
タイムラインオプションの下にも同じ項目があります。
ちなみにリップル編集モードがオンになっているときでも、Option(Alt)を押しながら編集点を動かすと、リップル編集モードを一時的にオフにできます。つまり編集後に隙間が生まれます。
再生ヘッドの位置までトリム
「先頭を再生ヘッドの位置までトリム」したり、「末尾を再生ヘッドの位置までトリム」したりするボタンが追加されました。Shift + [ や Shift + ] と同じ結果になります。
マーカーのデフォルトカラーを変更
エディットページと同じようにマーカーの色を変更できるようになりました。ひとたびマーカーの色を変更すると、それがデフォルトのマーカーカラーになります。
タイムラインの左にもマーカーボタンがあります。マーカーボタンを押すとその再生ヘッドの位置にマーカーが追加され、マーカーボタンを右クリックするとマーカーの色を変更できます。
クリップ名とインジケーターを表示
「タイムラインオプション」から、クリップ名とクリップ状況を表示できるようになっています。
クリップ状況を表示する設定にすると、エフェクトを適用したりカラーを変更したりするとそれがアイコンで表示されるようになります。
スマートインジケーターと編集点が明滅
カットページでは、再生ヘッドを編集点におかなくても、トランジションやクリップを挿入するとき、その再生ヘッドの近くの編集点が基準になります。基準になった編集点は白い矢印のスマートインジケーターで表示されますが、このときスマートインジケーターと矢印が明滅します。これまでよりも目立つようになっています。
非同期の表示
同期ビンの機能を使うことによって、上のトラックに別アングルの映像を置けますが、そのクリップがなんらかの理由で移動して、上下のクリップの同期が取れなくなったとき、インジケーターが表示されるようになりました。この表示は、前述の項目で説明した「クリップ状況を表示」しているときに現れます。
クリップの再同期
非同期になったクリップは、簡単に再同期できます。クリップを選択して、「エディットアクション」のResync Clip を押します。
お気に入りのトランジションを表示
スムースカットのトランジションのアイコンを右クリックすると、トランジションのセクションで「お気に入り」に登録しているトランジションが表示されます。トランジションを「お気に入り」にするには、トランジションを右クリックして「お気に入りに追加」を押します。
選択されたトランジションは、アイコンとしてスムースカットに置き換わります。
トラック番号の統一
ほかのページとトラック番号の表示が同じになり、わかりやすくなりました。STが字幕トラック、Vがビデオトラック、Aがオーディオトラックを表しています。
画像の書き出し
これはカットページだけではなくほかのページでも有効ですが、タイムラインで再生ヘッドの置かれているフレームを1枚の画像として書き出せるようになりました。これまではカラーページに行って、ギャラリースチルを保存して、そこから書き出して、といった感じで地味に手間がかかっていたのですが、今回からは「ファイル」メニューから一発でいけます。YouTubeのサムネを書き出したいときなどに便利ですね。
画像のフォーマットも多くの選択肢から好きに選択できます。
テンプレートの追加
トランジションとエフェクトのセクションに、使いきれないくらい多くのテンプレが加わっています。
注目したいのは、3種類の図形エフェクトです。Graphic Cross Overlay、Graphic Shape Overlay、Shape Circleという新たに追加されたFusionエフェクトは、グラフィックを画像に載せることを目的に導入されています。
今までは簡単なグラフィックを入れようとしてもカットページやエディットページでは無理で、Fusionページに行ってノードを組まないといけませんでしたが、今回からはFusionエフェクトのセクションに四角や丸などの図形グラフィックが加わっているので、カットページでお手軽にグラフィックを入れられます。
キーフレームを使えば、簡単なモーショングラフィックスも作れます。
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