DaVinci Resolve 18.5の新機能まとめ 〜リモートコラボレーション編〜

この記事ではDaVinci Resolve 18.5の新機能のうち、クラウド、リモート、コラボレーション(共同編集)に関するものを紹介します。Presentaitonsも、DaVinci Remote Montoringも、どちらもすごいツールですよ。

Blackmagic Cloud Presentations

Presentationsというのは、Blackmagic Cloudのツールのひとつで、高品質な映像を遠隔地の人と共有しながら、ビデオチャット機能でオンライン会議ができます。同じ場所にいなくても、作成中の動画をチームでレビュー(試写)できるように開発されました。早い話がZoomやTeamsなどのオンライン会議機能と、Google DriveやDropboxなどの動画共有機能を組み合わせたような仕組みです。

Presentationsは、Blackmagic Cloudにログインすることでアクセスできます。

Blackmagic Cloudにアクセスするには、Blackmagic Designのホームページの右上のログインボタンを押します。

Blackmagic Cloudは共同編集のためのプロジェクト共有の仕組みとして昨年DaVinci Resolve 18で導入されました。今年は18.5でここに共同レビューのための動画共有の仕組み、Presentationsが加わったわけです。Blackmagic Cloudについて知りたい方はこちらの動画をどうぞ。

Presentationsをクリックすると、このような画面が開きます。Presentationsを始めるには、Presentationsの名前を決めましょう。

作成したPresentationsを開くと、このような画面になります。「DaVinci Resolveからクリップをアップロードしてください」というメッセージが表示されます。まだこの状態では動画はアップロードされていません。ここまではGoogle ChromeやSafariなどのブラウザ上で進みます。

指示のとおり、DaVinci Resolveを開くと、デリバーページやクイックエクスポートにPresentationsというアイコンがあることがわかります。これは18.5で追加されたプリセットです。

Presentationsのプリセットを使ってタイムラインを書き出してみましょう。

書き出しが終わると、そのクリップは自動的にBlackmagic Cloudにアップロードされます。Presentationsにもこのように表示されます。

これで準備はできました。あとは一緒にこの動画について議論をしたい相手を招待します。画面右上のインフォメーションマークから詳細を開き、左下のShareを押します。

この動画をシェアしたい相手のメールアドレスを打ち込みます。このPresentationsに参加するには、このメールアドレスの主がBlackmagic Cloudにサインアップ(入会)している必要があります。サインアップ自体は無料で、お金はかかりませんのでご安心ください。

ひとつのPresentationには10人まで参加できます。

マーカー

このPresentationsには面白い機能がいくつかありますが、ここではふたつ挙げておきたいと思います。まずはマーカーです。マーカーはDaVinci Resolveのタイムラインでも使えますが、このPresentationsにも存在しています。ポイントは、Presentationsで打ったマーカーが、DaVinci Resolveのタイムラインにも反映されるということです。しかもすぐに、です。

Presentationsでマーカーをいくつか打ってみましょう。マーカーにはコメントもつけられます。

DaVinci Resolveのタイムラインを見てみると、Presentationsで打ったマーカーがタイムラインに反映されているのがわかります。Presentationsで異なる人がマーカーを打った場合には、マーカーも異なる色で表示されます。

Presentationsで追加されたマーカーは、通常のマーカーとは違う形のアイコンで現れます。丸いアイコンです。コメント付きのマーカーには真ん中に黒い点が表示されます。

もちろんコメントの内容もちゃんとDaVinci Resolveのタイムライン上で見えます。ビューワーにも、マーカー自体のオーバーレイにも、コメントが表示されます。

さらに面白いのは、このマーカーの情報の行き来が双方向であるということです。つまりPresentationsからDaVinci Resolveへという方向だけではなく、DaVinci ResolveからPresentationsへという方向でも、この仕組みはちゃんと機能するのです。

マーカーをクリックすると、チャットのようなダイアログが表示されます。ここでコメントに対する回答を書き込んでみましょう。

すぐにPresentationsにもそのコメントが反映されます。ちなみにマーカー間を移動するには、DaVinci Resolve上と同じショートカット、Shift + ↑ と Shift + ↓ が使えます。

DaVinci Resolve側で新しいPresentations用のマーカーを追加することもできます。タイムラインの上のツールバーのマーカーのアイコンをクリックして、Presentationsをクリックしましょう。ひとたびマーカーのデフォルトをPresentationsマーカーに設定したら、タイムライン上でMを押すたびに新しいマーカーを追加できます。

Presentationsマーカーをクリックするか、Mをもう一度押すと、コメントを追加できます。

このマーカーとコメントは、Presentationsにすぐに反映されます。ブラウザ上のPresentationsと、DaVinci Resolveのタイムラインが、インターネット回線の存在するかぎり、密接に結びつき続けているのがわかると思います。

同期再生

もうひとつ紹介したいのが、同期再生の機能です。通常、Presentationsでは各自が自由に動画を再生できます。動画のどこを再生するか、そもそも動画を再生するかしないかといったことは、めいめいに委ねられています。しかし動画のレビュー(試写)では、みんな同期した状態で動画を再生しなくてはいけないこともあります。リアルで試写をするときには、プロジェクターやモニターに動画を再生して、それを複数人が同時に視聴するわけですから、このPresentationsでもそれをやりたいと思う人がいても無理はないでしょう。

Presentationsにはそのための同期再生の機能がついています。Google DriveやDropboxで動画を共有するのと違う点のひとつはここにあります。同期再生を使うには、Presentationsのプレビュー画面の右下のペーパークリップのようなマークをクリックします。

同期再生を有効にすると、相手側は再生ボタンや再生ヘッドを操作できなくなります。同期再生を有効にした人の再生ヘッドがマスターとなり、ほかの人の再生ヘッドはそれに従うのみとなります。これによって離れた場所でも、まるで試写室に一緒にいるかのように、それぞれの人が動画を同期された形で視聴できます。

【5月末まで】初夏のキャッシュバックキャンペーンを実施中!この機会をお見逃しなく!

PR:Vook school

DaVinci Remote Monitor

今回追加されたコラボレーション系の最大のツールがBlackmagic Cloud Presentationsであるのは論を俟ちませんが、じつはもうひとつ複数人でのコラボレーションで使える優秀なツールが加わっています。DaVinci Remote Monitorです。これは18で追加されたDaVinci Remote Monitoringの進化系です。

DaVinci Resolve 18の時点でのDaVinci Remote Monitoringについてはこちらをどうぞ。

DaVinci Resolve 18 新機能まとめ 〜エディット編〜

このページでは、DaVinci Resolve 18の新機能のうちエディットページの新機能について解説します。今回のアップデートの注目点は、字幕機能です。そのほか、25画面マルチカムや、「タイム...

DaVinci Remote Monitoringは、DaVinci Resolveのプレビュー画面を遠隔地のマシンに高画質で送信できる──しかも音声込みで──というなかなか画期的な機能でしたが、送信側がWindowsでないといけなかったり、エンコードにNVIDIA GPUが必要だったり、受信側はUltraStudioやDeckLinkがないといけなかったり、遠隔地との接続にはVPNが必要だったりと、なかなかハードルが高く、おいそれと使いにくい状態だったのも事実です。

わざわざDaVinci Remote MonitoringからDaVinci Remote Monitoringに名前を変えただけあって、このリモート視聴ツールは大きく進化しています。最も重要なことに、前よりも使いやすくなっています。

iPadやiPhoneへリモートモニタリング

今回のDaVinci Remote Monitoringの最大の改善点は、iPhoneやiPadに映像データを送れるようになったことです。

iPhoneやiPadのApp StoreでDaVinci Remote Monitorと検索すると、その名前のアプリが見つかります。これを使ってDaVinci Resolveのプレビュー画面を受信できます。

DaVinci Remote Monitorを使うには、送信側のマシンのDaVinci Resolveで「ワークスペース」のプルダウンメニューからDaVinci Remote Monitorを選択します。

画面右下にダイアログが出てきます。コーデックやビットレートを設定して、Start Sessionを押します。

長いコードが出てくるので、それを受信側に何らかの方法で伝達します。

受信側はiPhoneなどでそのコードを入力します。Blackmagic Cloudへのログインが必要です。

送信側のDaVinci Resolveでは、受信側の申請を受け入れるか否かを聞かれます。Acceptを押します。

これで通信成立です。送信側のDaVinci Resolveのプレビュー画面の映像が、そのまま相手側に送信されます。VPNも必要ありません。IPアドレスやポート開放の面倒な手続きも要りません。遅延も(インターネット経由ということを考慮に入れれば)ほぼありません。

ちなみにDaVinci Remote Monitorのデータ送信にはWebRTCというオープンソース技術が使われています。

macOSに対応

今回サポートを開始したのはiPad、iPhoneだけではありません。送信側としてmacOSが使えるようになりました。macOSは受信側でも送信側でも使えます。送信側のコーデックもいくつかの選択肢が用意されています。

Blackmagic IDでの通信に対応

Blackmagic IDは、Blackmagic Cloudにサインアップ(入会)すると自動的に付与されます。これまではDaVinci Remote Monitoringは同じネットワーク内でのみ通信ができましたが、DaVinci Remote Monitorに格上げされたことで、狭いネットワークを超えて、インターネットのつながるところならどことでも接続できるようになりました。このときに使用されるのがBlackmagic IDです。ただしBlackmagic IDを使うといっても、実際にBlackmagic Cloudを経由するわけではありません。

複数の端末に送信可能に

送信側のマシンがひとつでも、複数の受信端末にデータを送れるようになりました。

コンピュータディスプレイで映像を表示可能に

もし受信側のマシンに外部ディスプレイが接続されている場合には、そこに映像を出せるようになりました。

HDRに対応

DaVinci Remote MonitorはHDRにも対応しています。受信側がHDRに対応していれば適切な形でHDR映像を表示できます。

コメントする

  • まだコメントはありません
記事特集一覧をみる