Blenderで部屋のモデルに質感をつける【ワールドモデリング vol.03】

部屋のベースがモデリングできたところで、壁や床に対してマテリアルを設定して質感を設定していきます。

作成した部屋のモデルは床と壁が一体になっているので床と壁に別のマテリアルを設定して質感を分けていきます。また、Unityや他の3DCGツールにモデルデータを持っていってもテクスチャを利用できるようにUVも展開しておきます。

それでは、部屋のモデルに質感を付けていきましょう。

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部屋のUVを展開する

まずは、部屋のオブジェクトのUVを展開していきます。UVというのは、立体の形状に対して平面のビットマップテクスチャを貼るために、立体を平面の展開図にしたものです。

UVは[UVエディター]を使って編集していきます。

STEP01 ビューを分割してUVエディターを表示する

シーンにある他のオブジェクトを非表示にして、UVを展開する部屋のオブジェクトだけを表示します。

[3Dビュー]と[アウトライナー]エディターの境界を右クリックして、メニューを表示し[垂直に分割]を選択します。

垂直方向に分割線が表示されるので、マウスを動かして分割線を移動させて分割する位置でクリックします。

ビューが分割されたら、片方のビューの[エディタータイプ]のアイコンをクリックして、[UVエディター]を選択します。ここでは左側のビューを切り替えました。

左側に[UVエディター]を表示した状態です。表示されているグリッドがUV座標で、この正方形の中にオブジェクトを平面に展開したUVを配置していきます。

STEP02 シームを作成する

UVを展開するには、まずは立体を平面に展開するためのUVの切れ目を設定していく必要があります。この切れ目のことをシームといいます。

シームはオブジェクトの辺を選択して設定していきます。右側の[3Dビュー]エディターで編集モードに切り替えます。

[辺選択]に切り替えて、床の輪郭に沿ってシームにしたい辺をShiftキーを押しながら選択していきます。

ある程度辺を選択したら、右クリックして[シームをマーク]を選択します。

選択していた辺が赤くなり、シームとして設定されます。

この操作を繰り返しながら、床の輪郭部分にある辺を全てシームに設定します。

次に壁部分のシームを設定していきます。壁は前後左右の4つのUVに分けておきたいので、四隅にある柱の角の部分をシームにします。柱の角の辺を下から上まで選択します。

4隅の柱の辺を選択できたら、右クリックして[シームをマーク]を選択してシームに設定します。部屋のオブジェクトを上から見ると図のようなシームになっています。

STEP03 UVを展開する

シームが設定できたらUVを展開していきます。UVを展開する時は展開する面を全て選択して展開します。展開する方法はいくつかありますが、ここではシームを手動で付けてあるので、[展開]を使用します。

右の[3Dビューエディター]で、[面選択]に切り替えて、A キーを押して全ての面を選択します。左の[UVエディター]には、展開処理する前のUV座標が表示されます。

面を選択したら、[3Dビューエディター]の[UV]メニュー→[展開]を選択します。

展開した結果が右の[UVエディター]に表示されます。ただし、展開の方式が[等角グルベース]になっているため、かなり重なったり崩れたりしています。

展開の方式を[等角]に設定すると、綺麗にUVが展開されます。

STEP04 UVを編集する

展開されたUVはオブジェクトの辺や面、頂点と同じように変換ツールを使って編集することができます。展開されたUVの一部が歪んでしまっているので、編集していきます。

[UVエディター]で[頂点選択]に切り替えて、曲がっている部分のUVの頂点を選択します。

右クリックして、[自動整列]を選択します。

斜めになっていたUVの頂点が水平方向に真っ直ぐになります。この操作はあくまでもUVの頂点に対する操作なので、オブジェクト自体の頂点には全く影響を与えません。

次は垂直方向の頂点を真っ直ぐにします。歪んでしまっている垂直に並んでいる頂点を選択します。

先程と同様に右クリックして[自動整列]を選択すると、垂直方向に真っ直ぐ頂点が整列します。真っ直ぐになったら移動ツールでそのまま移動させて、UVの右端に合わせます。

[UVエディター]では、[3Dビューエディター]で面が選択されていないと、UVが表示されません。

オブジェクトの面を選択していなくても、UVを表示するには[UVエディター]の左上にある、[UVの選択を動機]のアイコンをクリックしてオンにします。

ただし、この表示では、頂点や面の選択はできますが、位置などを編集することができないのでUVの確認や面の選択する場合に利用すると良いでしょう。

STEP05 分割したビューをひとつにする

UVが展開できたら、ふたつに分割されているビューを1つにまとめます。

ビューをまとめるには、[UVエディター]と[3Dビューエディター]の境界で右クリックして、[エリア統合]を選択します。

画面に◀のマーカーが表示されるので、[UVエディター]の側をクリックします。

クリックするとビューが[3Dビューエディター]の1画面になります。

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マテリアルを設定する

UVが展開できたところで、床と壁にマテリアルを設定して質感を付けていきます。部屋のオブジェクトは壁も床もくっついた状態になっているのでポリゴン単位でマテリアルを設定していくことになります。

STEP01 床のマテリアルを設定する

マテリアルを設定するには、部屋のオブジェクトを[編集モード]に切り替え、[プロパティエディタ]の[マテリアルプロパティ]のアイコンをクリックして切り替えておきます。

マテリアルはポリゴンごとに設定していきますが、[3Dビューエディター]だとまとめて選択しにくいので、一度ビューを[UVエディター]に切り替えて、床分のUVを矩形選択で全て選択します。

UVを選択したことで、対応しているポリゴンも選択された状態になっています。

UVが選択された状態で[マテリアルプロパティ]の[新規]をクリックしてマテリアルを作成します。

床用のマテリアルが作成されました。

マテリアルの名前の部分をクリックして、わかりやすいマテリアル名に変更しておきます。

作成したマテリアルの[ベースカラー]をクリックして、色を変更しておきます。

ここでは黄土色に設定しました。設定したら、マテリアル名の下にある[割り当て]をクリックして、選択されているポリゴンの部分にマテリアルを設定します。

STEP02 壁にマテリアルを設定する

次に壁部分にマテリアルを設定していきます。

[UVエディター]で床部分のUVが選択された状態で、[選択]メニュー→[反転]を選択します。

壁部分のUVが選択されたので、[マテリアルプロパティ]の[新規]をクリックして新しいマテリアルを作成します。

壁のマテリアルの[ベースカラー]は白に設定しておきます。

マテリアルの名前を変更して、[割り当て]をクリックして壁部分にマテリアルを設定します。

ビューを[3Dビューエディター]に切り替えると、図のように床と壁に別々のマテリアルが設定されているのがわかります。

STEP03 壁の下側に新しいマテリアルを設定する

壁が白一色だと単調なので、下の部分だけマテリアルを変えていきます。

下の部分にはポリゴンがないので、[編集モード]に切り替えて、[ループカット]を使って水平方向に辺を挿入します。辺を挿入するぐらいであれば、展開されたUVを再展開する必要はありません。

作成された下部分のポリゴンを全て選択します。

[マテリアルプロパティ]で[新規]をクリックしてマテリアルを作成します。

[マテリアルプロパティ]でマテリアルの名前を変更し、[割り当て]をクリックして選択しているポリゴン部分にマテリアルを設定します。

マテリアルの[ベースカラー]の色を茶色に設定すると、壁の下部が茶色になります。

STEP04 マテリアルに凹凸をつける

マテリアルが各ポリゴンに設定できたところで、画面のレイアウトを[shading]に変更して、細かいマテリアルの設定を行なっていきます。図は床に設定したマテリアルのノードの例です。

[プリンシブルBSDF]マテリアルの[スペキュラー]の値は「0」[粗さ]は「1」に設定して、マットな質感に設定しました。

[ノーマル]には、[バンプ]ノードを入力し、その[バンプ]ノードの[ノーマル]に[レンガテクスチャ]の[カラー]を入力することで、フローリングのような模様を入れています。

[レンガテクスチャ]の[ベクトル]に[テクスチャ座標]の[UV]を入力し、展開したUVをつかって模様が貼り付けられるようにしています。

壁上部のマテリアルも[プリンシブルBSDF]マテリアルの[スペキュラー]の値は「0」、[粗さ]は「1」に設定して、マットな質感に設定しています。

[ノーマル]には[バンプ]ノードを入力し、その[バンプ]ノードの[ノーマル]に[ノイズテクスチャ]の[係数]を入力することで、細かいざらざらした質感を入れています。

[ノイズテクスチャ]の[ベクトル]に[テクスチャ座標]の[UV]を入力し、展開したUVをつかって模様が貼り付けられるようにしています。

壁下部のマテリアルは、[スペキュラー]の値を「0.082」に設定し、若干光沢があるような質感に設定しています。

[3Dビュー]に戻ると、図のように3つのマテリアルで構成された部屋の壁と床が出来上がります。

今回のポイント

・部屋にマテリアルを設定する場合はUVを展開する
・部屋のような角のある形状は、最初にシームを設定しUV展開する
・マテリアルは、ポリゴン単位で設定する
・UV展開されているオブジェクトに、プロシージャルテクスチャをマッピングするには、[テクスチャ座標]ノードのUVをテクスチャノードの[ベクトル]に入力する

TEXT_大河原浩一/Hirokazu Okawara(東京アニメーションカレッジ専門学校-非常勤講師)
EDIT_河内誠/Makoto Kawauchi(Vook編集部)

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