2017.12.04 (最終更新日: 2020.06.29)

[DaVinci] Fairlightページの「ダイナミクス」ツールを使ってみる

「ダイナミクス」ツールとは?

オーディオにおいて「ダイナミクス」という言葉は「音の強弱」を意味します。DaVinci ResolveのFairlightページを開いたことのある方なら、ミキサーの各トラック上に「ダイナミクス」というセクションがあるのを目にしたことがあると思います。

このダイナミクスというツールは言葉の意味するとおり、主に音量を調整するために必要な機能が搭載された一種のプラグインエフェクトのようなもので、具体的には、リージョン内でバラツキのある音量の均一化や、録音した音をより聴きやすくするための音量の最大化などに使用できるとても便利なツールです。

前回の記事「音量調節とEQで低音ノイズのカット」に引き続き、今回はこの「ダイナミクス」機能を使って音をより聞きやすくする方法をご紹介します。

機能は3つ

Fairlightの画面右、ミキサー部分へ行き「ダイナミクス」をダブルクリックしてウィンドウを開いてみましょう。

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下半分が3つのセクションに分かれています。実は「ダイナミクス」ツールには細かく分けると3つの機能が備わっており、それぞれが違う役割を持つため、必要に応じて個別に使用していくことになります。では実際どういった機能を持つのでしょうか。1つ1つ見ていきたいと思います。

ゲート

まずは一番左、「ゲート(ノイズゲート)」と言われる機能です。ゲートは、ノイズ軽減を目的として、一定の音量以上の音のみを通しそれ以外を減衰させるという機能を持っています。では実際に例を使ってどのような効果があるのか見てみましょう。

使用例

まずは私が例として録音したこちらの音源をお聞きください。(イヤホン推奨)
話している後ろで、ファンの「サーッ」という音が鳴っているのがお分かりいただけるでしょうか。今回はかなり大げさに入れてありますが、こうしたノイズは多かれ少なかれよくあることかと思います。

こうしたノイズをすべて除去することは難しいですが、ノイズゲートを使うことで言葉の合間合間の部分のノイズを消し、クリーンな印象にできます。下の音源は実際にゲートを使った状態です。

話している部分以外のノイズが大幅に軽減されているのがわかるでしょうか。

やり方

⑴ まず「ゲート」と書かれた部分をクリックしアクティブにします。6つのノブがありますが、まず重要なのが「スレッショルド」です。先程「一定の音量以下の音を減衰する」と書きましたが、その基準となるのがこのスレッショルドの値で、それを超えたときだけゲートが開き(=音が聞こえ)、それ以下はゲートが閉じ(減衰され)ます。このスレッショルドを調整しながら、声の部分だけ聞こえるようにしましょう。

⑵ 音量の変化が激しい部分が、ゲートの反応によってプツプツと不自然に途切れてしまう場合があります。その場合リリース(一度開いたゲートが閉じるまでにかかる時間)を調整しながらそういった不自然な減衰を抑えることができます。リリース値を上げれば上げるほど一度空いたゲートが閉じるまでにより時間がかかるようになります。

その他のパラメーター

今回は使用しませんが、それ以外のパラメーターは次のような役割を持っています。

レンジ ・・・ ゲートが閉じた際にどれだけ音を減衰させるかの値
アタック・・・音がスレッショルドに達した際ゲートが開く速さ
ホールド・・・一度開いたゲートが閉じるまでの最小限の時間

コンプレッサー

コンプレッサーはダイナミクスのコントロールにおいてとても重要なツールです。録音された音には、それが人間の声であれ楽器であれ、音量の振り幅(=小さいところと大きいところの落差)があります。その振り幅が大きくなると、場合によっては聞きづらくなったり内容のインパクトも薄くなったりします。

先ほどの音源をもういちど聞いてみてください。出だしの「コンプレッサーとは」という部分に比べ、後半の「スレッショルド、レシオ・・・」の部分の音量が小さくなっているのがお聞きいただけるでしょうか。分かりやすくするために、波形のスクリーンショットを見てみましょう。

青い四角が出だし、黄色い四角が後半の部分です。コンプレッサーは、この場合だと青い四角の部分、音の大きい部分を文字通り「圧縮(減衰)」することでそれ以外の部分に近づけ、音の落差を軽減する役割をします。

使い方

基本的には、先ほどのゲートと同じくスレッショルド(=基準となる音量)を決め、その音量を超えたときだけ音を減衰させるようにします。まずどの部分の音量が大きくなりすぎているかを、上の図のように把握しておきましょう。減衰させる必要のない箇所までコンプレッサーがかかってしまうと全体の音が不自然になってしまう可能性があります。

スレッショルドを徐々に下げ、コンプレッサーがかかりはじめると、上部にあるメーターが動き始めます(画像右、青いメーター)。このメーターでいつ、どれだけ音が減衰されているかを確認できます。これを見ながら音が大きい部分が重点的に減衰されるように調整しましょう。

メイクアップ

これで音がどれだけ「圧縮」されたか、画面右メインアウトのメーターで確認してみましょう。下は先ほどの音源で一番音が大きい部分のメーターをコンプレッサー通過前と通過後に切り取ったものです。

通過後は通過前に比べかなり下がっていることがわかります。通過前の状態ですと、音量がほぼ最大になっているためこれ以上上げることが出来ませんでしたが、コンプレッサーを使うことにより余裕ができ、全体の音量を上げることができるようになりました。

「メイクアップ」とは余裕ができた分、それを補うため全体の音量を再び持ち上げるというプロセスです。メイクアップを上げ、一番音が大きい部分の音量が最大になるようにしましょう。

これらのプロセスを行った音源がこちらです。オリジナルに比べて音量も上がり均一化されたため聴きやすくなったのではないでしょうか。

リミッター

リミッターは、仕組みはコンプレッサーと同じで、一定以上の音量を減衰させます。違いは簡単に言ってしまえばリミッターはコンプレッサーに比べ、より強力という点です。コンプレッサーでは音量がスレッショルドを超えた瞬間からゆるやかに減衰されるのに対し、リミッターは音量がスレッショルドを絶対に超えることがないようにします。コンプレッサーが波を軽減させるテトラポッドだとしたら、リミッターは波を完全に止める壁のようなものだと思ってください。

使い方

これも基本的にコンプレッサーと同じく、スレッショルドを決め減衰メーターやメインアウトの音量を確認しながら全体の音量のバランスを整えていきます。

また、音声や効果音など複数の音をまとめたメインアウトプットに、最終工程として音が割れないようにしながら全体の音量を持ち上げるという目的で使用されることも多いです。DaVinci Resolveでは今のところメインアウトにこのリミッターをかけることは(サードパーティプラグインを除いては)できませんが、以前の記事でも紹介したバスを使えばこうした使い方もできますのでぜひご覧ください。

おわりに

参考になったでしょうか。録った音の抜けがイマイチ悪い、音を割ることなく大きくしたいなどと行った場合には試す価値のあるツールだとおもいます。

また、今回使用した例では、合間合間に入っているノイズではなく声に被さってしまった部分のノイズに関しては触れませんでした。同時に鳴っている2つの音(この場合だとメインの声とファンのノイズ)の片方だけを取り除くのは難しいか、もしくは手間のかかることが多く、それ専用のツールが必要になります。サードパーティのプラグインを使用すれそういった込み入ったことも可能になりますので、折に触れまたご紹介したいと思います!

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