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春のブラックマジックデザイン新製品まとめ(下)〜シネマカメラ、カラーパネル〜

2024.04.21 (最終更新日: 2024.04.23)
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いよいよ製品発表も大詰めです。最後のセクションは、シネマカメラをメインで扱います。12K、17K、PYXIS、Micro Color Panelと、トピックは途切れません。

これまでのセクションはこちらからどうぞ。

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Blackmagic URSA Cine 12K

さて次はカメラです。URSA Mini Proをリリースしたとき、デザイン面でリスクを取ることになりました。ハイエンドのデジタルフィルムカメラを作りたかったのですが、ブロードキャスト系のカメラからアイディアを流用して、操作系や機能を付け加えていきました。お求めやすい価格にするために放送系の接続端子を使ったりしました。これはある程度はうまくいったのですが、12Kセンサーを発表したとき、状況が異なってきました。12Kセンサーはハイエンド用のフィルムセンサーで、ハイエンドの映画業界はセンサーを気に入ってくれたのですが、カメラボディが制限となってきました。映画業界で必要とされる端子を備えておらず、映画撮影に必要なアクセサリーを付け加えるのも難しい状態でした。そういうところを改善したいと考えました。

しかしそれだけではありません。もっと深く根本から考えました。新しいフィルムカメラはどんなものがいいだろう。予算が問題ではないとしたらどうだろう。これまでのカメラでは必ず価格に気を配ってきましたが、コストを度外視してカメラを開発してみたらどうなるだろう。そう考えました。良かったのは、アイディアがたくさんあったことです。費用を度外視したら多くの目標を定めることができました。我々がやりたかったのは、夢のハイエンド・デジタルフィルムカメラを作ることでした。これまでつけたかったものをすべてつけようと試みました。機能に制限をつけず、コストのことも考えませんでした。

そして新しい世代のイメージセンサーも開発しました。ポストプロダクションのプロセスにぴたりとはまり、Blackmagic Cloudを通じて世界のどこにいてもポスプロのワークフローに統合できるカメラを目指しました。そうやってできあがったのがURSA Cineです。

まずは新しい12Kセンサーをご紹介しましょう。これはブラックマジックデザインがデザインした第2世代の12Kセンサーです。右にあるのが既存のURSA Mini Pro 12Kのセンサー、左が新しい12Kセンサーです。新しいセンサーは3:2のオープンゲートで、アナモーフィックを含むさまざまな画角をサポートします。ダイナミックレンジは非常に広い16ストップです。これまでのブラックマジックのカメラのどれにも勝るレンジです。シンメトリカルRGBWのセンサーデザインであるため、解像度の自由なスケーリングも可能です。

寸法を見ておきましょう。センサーサイズは35.64mm x 23.32mmです。解像度は12,288ピクセル x 8,040ピクセルです。

この新しい世代のセンサーでは、カラーサイエンスについても改良が加わっています。このセンサーにはDaVinci Resolveのカラーサイエンスが埋め込まれています。これは前例がなく革命的なことだと思います。ピクセルピッチとカラーフィルターが通常のベイヤーセンサーとは異なり、より濃密です。だから撮影できる映像は比類のないものになります。新しいフィルムストックと考えるとわかりやすいと思います。より優れた色再現性がもたらされています。RGBWのセンサー配列のおかげで優れた感度も得られます。高い解像度でも画像がスムースで、細かなディテールも見事に再現されます。過度にシャープだったりどぎつかったりすることはありません。高解像度で撮影すれば、納品時にフルのRGBデータを使うことができます。

センサーは元に戻しますね。センサーを直接触るといつもなにかいけないことをしていない気分になります。

カラーフィルターもシンメトリカルで、前述のとおりセンサーでスケーリングしてもギザギザになってしまうことはありません。

それではカメラの話をしましょう。カメラを取り出します。完全に新しいデザインになっているのがおわかりいただけるはずです。

レンズマウントはシムを含み、PLとEFに対応します。カメラにはOLPF(オプティカル・ローパスフィルタ)が標準搭載されています。2ストップ、4ストップ、6ストップのNDフィルターも内蔵され、電子制御が可能です。

新しいビューファインダーは簡単に着脱可能です。接続はUSB-Cです。USB-Cは細いケーブルで給電もでき、高速データ転送にも対応しています。USB-Cのロックの仕組みも搭載されています。

正面には7ピンのLemoコネクタや3ピンのFischerコネクタがあります。ベースプレートは2種類用意します。付属のベースプレートは19mmですが、15mmも入手可能です。

ほかにもこのカメラのためにデザインされたアクセサリーがいくつもあります。ビューファインダーやトップハンドル、レールやショルダーマウントやバッテリープレートなどです。どのアクセサリもこのカメラのデザインにマッチするように設計されています。

側面にはバックライトのついたボタンがあり、ボタンは押しても音が出ないような設計になっています。5インチのLCDスクリーンは180度回転し、カメラ側に折り畳めます。クールですね。

記録媒体として高速のM.2のメモリーモジュールが入っています。Cloud Storeが内蔵されているのと同じです。8TBの容量で、PCIe x16で接続します。非常に高速です。記録媒体で起こりがちな問題を解消してくれます。

背面にはUSB-Cポート、2つの12G-SDI出力、10Gイーサネットポートがあります。10Gポートからはストレージにアクセスでき、Cloud Storeと同じように動作します。イーサネットをコンピュータとつないで、現場でDaVinci Resolveで素材をグレーディングできます。電源入力は12Vと24Vの両方に対応し、バッテリープレートはさまざまな種類のものを装着できます。

上にはデュアルのアンテナがあります。高速のWi-Fi用です。メディアから素材をアップロードできます。テザリングは必要ありません。

SRTのライブストリーミングにも対応しています。現場から遠方のクライアントにライブで映像を送ることができます。先ほども申し上げたとおり、これは夢のカメラなのです。

電源を入れましょう。内部はBlackmagic OSで動いているので起動も早いです。反対の側面にもモニタがあり、サンシールドがついています。ここはカメラアシスタントが作業をする側です。オリジナルのURSAはこのような設計になっていて、かなり人気でした。またこのデザインを取り戻すことができて嬉しいです。

サンシールドは取り外しができます。ディスプレイからメニューが見えるのは今までどおりですが、新しい機能としてフォーカスメーターがあります。フォーカス位置にマーカーを打って、ラックフォーカスをするのが楽になります。反対から操作するのは難しいですね。まだまだ新機能を追加する余裕はあります。これから数ヶ月、映画クルーやハイエンドのお客様からフィードバックをいただいて、どのような機能を入れるか決めたいと考えています。ハイエンドの映画業界で働く方に向けて設計されているため、そういった方々のご意見を取り入れるつもりです。まだまだこの画面には柔軟に機能を入れる余地があります。

上にはもう2つUSBポートがあります。これは拡張用です。サードパーティーのアクセサリをつけたりするためです。

もう少し仕様についてお話しましょう。メディアモジュールは4枚のM.2カードに対応しています。それぞれのM.2カードがPCIe x4の帯域を使えます。つまり4枚のM.2カードでPCIe x16の帯域になるわけです。大きな解像度や高いフレームレートも扱えます。そのストレージには10Gイーサネットでアクセスできます。カメラの中にDITカートが内蔵されているようなものです。

撮影可能な解像度とフレームレートについてご紹介します。撮影できるのは、12K Open Gate 3:2(12K x 8K)の解像度で80fpsまでです。12K 17:9(12K x 6K)の解像度で100fpsまで、12K 2.4:1 Widescreen(12K x 5K)の解像度で120fpsまでです。

8Kに関しては、8K Open Gate 3:2の解像度で144fpsまで、8K 17:9の解像度で180fpsまで、8K 2.4:1 Widescreenで224fpsまでです。

9Kも撮影できます。9K 3:2と9K 6.5の解像度で、スーパー35mm 4-perfの画角で撮影でき、球面レンズやアナモーフィックレンズやスーパー35レンズが使用できます。17:9、16:9という、スーパー35mm 3-perfの画角もありますし、2.4:1というスーパー35mm 2-perfの画角もあります。

つまり大きなセンサーをスケールしたりクロップしたりしてさまざまな画角が使えるわけです。

このカメラはポストプロダクションのワークフローにフィットするように設計されています。先ほどM.2のメディアモジュールや10Gイーサネットの話をしましたが、それだけではありません。このカメラでは12Kなどの高解像度のBlackmagic RAWを収録時にHD解像度のH.264のプロキシファイルを同時生成してくれます。それをWi-Fiやイーサネット接続でBlackmagic Cloudにアップすれば、あとはBlackmagic Cloudから各地のポスプロチームのメンバーにプロキシを配ってくれます。そして別売りのBlackmagic Media Dockを使えば、簡単にモジュールを移動して高解像度のBlackmagic RAWデータをすぐに編集できます。わざわざデータ転送をする手間が省けます。

さあ、ここで実際に撮影された映像をご覧いただきましょう。このカメラがどのような映像を撮影できるか、その結果がこの動画でおわかりいただけると思います。この撮影では2台のURSA Cinea 12Kが使用されました。
(以下の動画の1:45:00~1:48:30をご覧ください)

革命的なハイエンドデジタルフィルムカメラであるのがおわかりいただけたと思います。このカメラはハイエンドの映画撮影のために設計されました。設計の際にコストのことを考えて節約したところは一切ありません。センサーデザインも新しく、ポストプロダクションのワークフローのことも想定されています。まさに夢のカメラです。

ただそのためみなさんが予想されているよりも高めの価格になっています。ハイパフォーマンスのカメラなので仕方ありません。しかし購入するとキットも同梱され、ロードケースに入って納品されます。トップハンドル、ショルダーマウント、PLレンズマウント、ロック可能なEFレンズマウント、8TBのメディアモジュール、パワーサプライが同梱されます。バッテリープレートはデフォルトで装着されていますが、べつの種類のプレートを使いたかったら取り替えることもできます。

Blackmagic URSA Cine 12Kの税込価格は2,428,000円です。すでに生産は始まっていますが、このカメラは非常にハイエンドなので初期段階では限定された一部の撮影監督のみに納品します。数週間はソフトウェアの機能やアクセサリの動作が間違いないよう、念を入れて確認したいと考えています。そのあとでハイエンドのお客様と話し合いながら生産を加速させていく予定です。

ビューファインダーも同梱されたセットもご用意します。少し大きなロードケースに入って納品されます。ほかの同梱品は同じで、このセットではビューファインダーとビューファインダーをマウントするキットやUSB-Cケーブルが付属します。2種類の長さのビューファインダーのためのマウント用エクステンションが同梱されます。長い方を使うと、ビューファインダーをカメラから遠くに設置することができます。

Blackmagic URSA Cine EVF(ビューファインダー)を同梱したBlackmagic URSA Cine 12Kの税込価格は2,698,000円です。Blackmagic URSA Cine EVFは単品でも購入でき、税込価格は273,800円です。ほかにも多くのアクセサリが単品で入手できます。どのアクセサリもURSA Cineにマッチするようにデザインされています。

ほんとうにすごいカメラで、私も持ち出して自分で撮影するのが楽しみです。いろいろ遊びたいと思います。

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Blackmagic Media Dock

先ほどMedia Dockの話をしました。Blackmagic Cloud Dockに似た製品ですが、SSDではなくM.2ディスクに対応しています。3つのURSA Cineのメディアモジュールが装着できます。

背面もご覧いただきましょう。Cloud Dockと似ているのがおわかりいただけると思います。電源は冗長化可能です。ストレージはポスプロの核となる部分なので、万が一のことがあっても落ちないように電源が冗長化されています。10Gイーサネットポートが4つあります。ひとつでもイーサネットスイッチにつなげば成立しますが、4つあることでDITカートを作りやすくなります。ひとつはインターネット、ひとつはDaVinci Resolveのグレーディングマシンにつなぐこともできます。Cloud Storeのステータス画面の出力もあります。

どう動作するかお見せしましょう。電源を入れるとすぐ立ち上がります。Blackmagic OSで動いているので起動は早いです。

モジュールは簡単に取り外しできます。ハンドルを浮かせると自動的にディスクはオフラインになり、そのまま外してもいい状態になります。挿入するときにはカチッと音が鳴るとディスクがマウントされ、ネットワークに現れます。

LEDは緑と赤に光りますが、緑が読み込み、赤が書き込みです。URSA Cineも10GのあるCloud Storeとして使えますが、Media Dockを使うことでより実用的になります。メディアモジュール同士でバックアップをとることもできます。

Blackmagic Media Dockの税込価格は322,800円です。すでに生産は始まっており、すぐに入手可能になるはずです。

Blackmagic Media Module

記録媒体であるBlackmagic Media Moduleにはカバーも用意されています。移動中などにディスクを保護するためのものです。中にはスポンジが入っていて、衝撃を吸収します。モジュールを購入すると付属されています。

Media Moduleは8TB版と16TB版が用意される予定です。Blackmagic Media Module 8TBは273,800円ですぐに入手可能になります。Blackmagic Media Module 16TBはその後入手可能になる予定です。前述のとおり、URSA Cineを買えばMedia Moduleは付属するのですぐに撮影を開始できます。

Blackmagic URSA Cine 17K

URSA Cineに関してはまだまだお話しすることがあります。じつはさらに高度なセンサーを開発しています。年末くらいまでは出荷開始にはなりませんが、URSA Cineがいかに進んだ技術であるかを強調するためにここでご説明しておきたいと思います。

センサーをご覧いただきましょう。現行のURSA Mini Pro 12Kの12Kセンサーと比較します。こちらは17Kセンサーです。どれだけ大きいかおわかりいただけると思います。

センサーサイズは50.8mm x 23.3mmです。70mm 5-perfのフィルムと同じくらいの大きさです。縦のピクセル数はURSA Cine 12Kのセンサーと同じですが、横に17Kのピクセルがあります。

カメラをお見せしましょう。URSA Cine 12Kに似ていますね。これはもともとURSA Cine 12Kが上位機種の17Kまで対応できるように設計されたことに起因します。どちらの機種も同時期に開発されました。かなりクールですね。

17Kはラージセンサーなので違うレンズマウントが必要です。そこでLPLとハッセルブラッドのレンズマウントに対応しました。URSA Cine 17Kを買うと両方同梱されます。マットボックスとレンズを外してセンサーをご覧いただきましょう。大きいセンサーですね。NDフィルターは入っていません。センサーが大きすぎてNDフィルターが合わないからです。それを除けばほかは基本的に同じです。

この製品はリードタイムが長く、ソフトウェアの修正などもあるため、年末頃までは出荷開始にはなりません。このカメラは本当にエキサイティングな撮影ができると思います。どの映画もIMAX仕様の解像度で撮影できると想像してみてください。複雑なプロセスも要りません。高解像度の撮影を簡単にすることは我々の夢です。映画は鑑賞の方法も向上しています。いまだに映画館ではプロジェクターが主流ですが、なぜかわかりません。高解像度のLEDスクリーンの方がずっと魅力的です。

まだ価格は決まっていません。コストがかかるため、URSA Cine 12Kよりもかなり高くなることが予想されます。価格は年末に向けて明らかになってくるでしょう。

Blackmagic PYXIS 6K

次はよりポータブルなカメラです。じつはまだカメラの新製品があります。最近Blackmagic Cinema Camera 6Kをリリースし、好評をいただきました。画質が非常に良く、価格も安価です。しかし我々が設計していたカメラはそれだけではありませんでした。Cinema Camera 6Kはローコストのハンドヘルドタイプのカメラですが、それ以外に開発を続けていたカメラがあったのです。名前はBlackmagic PYXIS 6Kです。

お見せしましょう。ボックス型、あるいはキューブ型といわれる形をしています。イメージセンサーやカラープロセシングはCinema Camera 6Kと同じです。同じルックをしているので混ぜて使えます。画質は完全に一致します。

このカメラはカスタマイズが簡単にできます。フルフレームのセンサーを搭載したボックス型のカメラです。36mm x 24mmの6Kセンサーで、このセンサー専用のOLPFが装着されています。ダイナミックレンジは13ストップ。2つのCFexpressカードスロットがあります。イーサネットポートがあり、Blackmagic Cloudとの同期ができます。収録コーデックはBlackmagic RAWで、H.264 HDのプロキシファイルが同時生成されます。リグを組んだ状態のカメラをお目にかけましょう。

URSA Cineのアクセサリがここでも使えます。ハイエンドの映画撮影だけではなく、インディペンデント映画、ミュージックビデオ、ドキュメンタリーにも最適です。ボディーは飛行機にも使われるようなアルミニウムをもとに削り出しで製造されています。だから非常に頑丈で、さまざまなものをマウントできます。サイドプレートはいくつか種類があり、場合によって使い分けられます。

レンズを外してセンサーをご覧に入れましょう。すばらしいセンサーを積んでいます。

35mmオープンゲートの3:2の画角で撮影できます。アナモーフィックレンズにも対応しています。ダイナミックレンジが広いのでシャドウやハイライトのディテールを保持して収録できます。第五世代のカラーサイエンスに対応していて、豊かでシネマティックな色を引き出せます。自然なフィルムルックで、スキントーンも美しいです。クロップすれば120fpsまでハイフレームレートで収録できます。ネイティブISOは400と3200で、デュアルネイティブISOです。ISOは25,600まで上げられて、暗い場所でもクリーンな映像が撮影できます。

正面にはビューファー用のUSB-C端子があり、Mini XLR端子があります。Mini XLRはファンタム電源に対応しています。

側面にはタッチスクリーンLCDがあります。Blackmagic OSが中で動いています。LCDはURSA Mini Proと同じ4インチのサイズですが、それよりも明るく、日差しの強い中でも映像を確認できます。3D LUTやメタデータスレートの機能もあります。 すぐに機能にアクセスできるようにLCD以外にもボタンが用意されていて、ユーザーが自由に設定できるボタンもあります。

反対側はカスタマイズできるサイドプレートです。このカメラはリグを前提として作られています。多様なプレートをつけられます。寸法などはマニュアルに記載されているので、自分でオリジナルのプレートを作ることもできます。マウンティングポイントがあるプレートもありますし、外部SSDや携帯電話を装着するためのプレートもあります。サイドハンドルなどをつけるためのロゼット付きのプレートもあります。

背面も見てみましょう。外部ディスクに収録したり、携帯電話をテザリングしたりするためのUSB-Cがあります。12G-SDI出力があり、タイムコードとレファレンス入力があります。1Gイーサネットポートからは、CFepxressなどにアクセスできます。ネットワークストレージとして見えます。DaVinci Resolveにつないでグレーディングもできますし、インターネットにつないで撮影素材をBlackmagic Cloudにアップロードもできます。イーサネットはREST APIに対応していて、カメラコントロールができます。シネマ仕様のDC電源コネクタがあります。バッテリーの左には3.5mmの音声入力とヘッドフォンジャックもあります。CFexpressは2枚させて、1枚がいっぱいになったら次に移って収録します。カメラにはDaVinci Resolve Studioが同梱します。バッテリーはBP-Uに対応しています。このデザインなら分厚いバッテリーを装着できます。大きなバッテリーを積めば3時間ほど連続して収録もできます。

LCDからはメディアブラウザを使用でき、そこからBlackmagic Cloudへのアップロードもできます。プロキシを送ることでポスプロチームはすぐに編集に取りかかれます。DaVinci Resolveのプロジェクトをあらかじめ選んでおけば、すぐにDaVinci Resolveのメディアプールのビンに素材が届きます。エディターはワークステーションに送られてくる素材を使って即座に編集を始められます。こんなことは今までどこでもありえませんでした。すごいことだと思います。素材は常に同期されます。マルチカムでも問題ありません。複数のカメラをイーサネットやテザリングでインターネットにつないでおけば、次々に撮影素材をBlackmagic Cloud経由でDaVinci Resolveに届けられます。クールですね。

このカメラはストリーミングにも対応しています。クライアントにリアルタイムの映像を配信して送ることができます。LCDにはデータレートが出るので安心です。さまざまなプラットフォームに対応していますが、ATEM Streaming Bridgeを使えば、配信ストリームをSDIやHDMIのビデオ信号に変換できます。ポストプロダクションのチームが撮影中の映像をリアルタイムで確認できるわけです。本当にクールですね。

タイムコードジェネレーターも備えていて、BNCのタイムコード入力を使えば複数のカメラのタイムコードを正確に同期できます。先ほど紹介したDaVinci Resolveのマルチソースですぐにマルチカム編集ができます。

Bluetoothも搭載していて、AndroidやiPhoneからカメラを制御できます。無償のSDKも用意されています。トップハンドルやビューファインダーはURSA Cineと共通です。アクセサリは見た目も美しいです。ビューファインダーのOLEDディスプレイの液晶も解像感が高くきれいです。

マウンティングポイントもたくさんあり、1,000通りもの違ったやり方で使うことができると思います。すばらしいカメラです。機能もてんこ盛りです。ポストプロダクションのワークフローにもしっかり統合できます。

Blackmagic PYXIS 6Kの税込価格は484,800円です。そしてじつはこのカメラは3つのモデルがあります。これはEFタイプです。ロック機構も備えています。通常のEFレンズがつきます。Blackmagic PYXIS 6K EFも同じく税込価格484,800円です。

PLタイプもあります。ハイエンドのシネマレンズが装着でき、PLレンズのレンズデータも読み取れます。だからクリエイティブな選択肢が広がります。クールですね。PLモデルはちょっと高めで、税込価格は521,800円です。

これら3種類のBlackmagic PYXISは6月頃出荷開始予定です。

DaVinci Resolve Micro Color Panel

まだもうひとつあります。DaVinci Resolve用の新しいカラーパネルです。今のMicro Panelよりもポータブルでアフォーダブルなモデルを作りました。そして現在ではDaVinci ResolveはiPad版も提供されているため、iPadを想定したソリューションも必要でした。できあがった製品の名前はDaVinci Resolve Micro Color Panelです。ご覧に入れましょう。

すごく使いやすいトラックボールが搭載されています。じつはこのトラックボールを見つけるまでかなり時間がかかりました。できるだけ小さくしたかったのですが、操作感は損ないたくありませんでした。1日に何時間使っても疲れないようなトラックボールです。ナイスですね。リングの裏には立派なベアリングもついています。スムーズな回転を可能にします。ローラーベアリングに特別な潤滑油が塗られていて、通常よりも高価なのですが、そのおかげで信じられないようなスムーズさが得られます。これは大事なことです。小さいからといってそこはおろそかにできません。プロ仕様でなくてはなりません。

上にはカラーコレクター用のノブがあります。ノブの下はアルミ削り出しで、非常に正確な調整ができます。ボタンレイアウトは刷新され、ボタン自体もハードプラスチックになっています。シザーキーボードと同じ機構で、前のシリコン製のボタンよりもはるかに押し心地は優れています。ナイスです。

動作をお見せしましょう。先ほどのDaVinci Resolveでカラーページに移動します。

Bluetoothで接続でき、有線は必要ありません。離れていても動作します。トラックボールを動かすと色が変わりますね。今回のパネルは左下にShift UpとShift Downのボタンがあり、そこを押しながらトラックボールやリングを動かすと通常とは違う挙動になります。Shift Downを押しながら右のリングやトラックボールを動かしてみましょう。リングを動かすとズームされて、トラックボールを動かすと位置が変わりますね。

Shift Downを押しながら真ん中のセクションを動かすと、アスペクト比を変えたり回転をしたりできます。

パワーウィンドウの調整もできます。Shift Upを押しながら動かすと、パワーウィンドウの位置やサイズや回転などを操作することができます。かなりクールですね。使いやすいです。

もうひとつ面白いのは、この製品はローカライズされるということです。最初リリースされるのは、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、韓国語、日本語、中国語、ベトナム語、タイ語です。その後さらに何ヶ国かの言語を追加したいと思っています。例として韓国語版をお見せしましょう。

非常にパワフルなパネルです。パネルの奥のスロットにはiPadを差し込めます。このスタジオにはiPadはないのでお見せできませんが。

このパネルはフリーランスのカラリストに最適だと思います。持ち運びも簡単です。DaVinci Resolve Micro Color Panelは税込価格79,980円で、英語版はすでに入手可能です。ほかの言語のバージョンは数週間後に出荷開始されるはずです。

あ、iPadがありましたね。こんな感じで装着できます。Bluetoothで接続します。

Video Assistシリーズ値下げ

最後にVideo Assistの値下げのお知らせです。最近我々はVideo Assistシリーズの製造コストを抑える努力を進めてきました。今では多くのカメラがVideo Assist 12Gとの組み合わせでBlackmagic RAWに対応しています。値下げをすることでより多くの方がBlackmagic RAW収録の恩恵を受けられます。もちろんそれだけではなく、モニタリングや収録やスコープの用途でも使えるでしょう。フォーカスガイドやフレーミングガイドも用意されています。Video Assist 5" 3G、Video Assist 7" 3G、Video Assist 5" 12G HDR、Video Assist 7" 12G HDRは一律で200ドル値下げされます。

Video Assistシリーズはハンディーな製品で、いたるところで使われています。モニターとしてもスコープとしても使えて、どんなカメラとの組み合わせでも便利です。とくに新しいPYXISカメラと一緒に使うとピッタリだと思います。

まとめ

これで今回のアップデートは終わりです。ちょっと長くてすみませんでした。あまりに長くて途中で離席してヒゲを剃りに行かないといけないんじゃないかと思ったくらいです。みなさんラスベガスまで安全なご旅行を。NABのブースではこれらの製品が実機で動いているのがご覧になれます。新しいテクノロジーを活用できるのは楽しいです。こうして製品を作り続けられることもありがたいことだと思っています。そしてブラックマジックデザインのすべての人たちに感謝したいです。彼らはこれらの新製品やソフトウェア・アップデートのために頑張ってくれました。みなさんの反応も非常に楽しみにしています。新しい製品を実際にみなさんの目の前にお見せするまではどうなるかわかないのでいつもちょっと緊張します。まあとにかくここまでご視聴いただきありがとうございました。お体に気をつけて。さようなら。

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