ドローン空撮でダイナミックな映像に! イベント撮影で大事なこと

2017.01.27 (最終更新日: 2022.06.15)

2016年6月30日、VIDEOGRAPHER'S NIGHT vol.7が開催されました。
ビデオグラファーズナイトVol.7のテーマは「VIDEOGRAPHER'S workstyle」みんなのワークスタイル。

テクノロジーや環境の変化により、ビデオグラファーのワークスタイルは常に変化します。また制作内容に合わせてもワークスタイルは変わります。
制作プロセスから機材、パッキングに至るまで、どのようなスタイルで制作を行っているのかを共有しました。

この記事は、ビデオグラファーの松本敦さんのプレゼンテーションになります。
記事の画像はすべて、同イベントで使用されたスライド資料から引用しています。



松本 初めましての方もおられると思いますので自己紹介させていただきます。
僕は2014年までサラリーマンをしていまして、趣味で映像を作るのが好きで、そのうち友達の結婚式の映像などを作っているうちにさらに映像を作るのが好きになってしまい、独立をして仕事として映像を作るようになりました。
話せば長くなるので詳しくはブログをご覧いただければと思います。
「松本、会社辞めるってよ」シリーズ

マラソンイベントで空撮!

松本 今日のテーマは皆さんあんまり制作する機会は少ないと思いますが、「マラソンイベントを(空撮ありで)撮影する」これをどういう風に作るのかかということをプロセス含めてご紹介したいと思います。

イメージしていただくとわかると思いますがマラソンって、中継とかで見るとあんまり面白くないじゃないですか。
で、今回オーダーされたのが、関西の秘境とも言われている、奈良県上北山村っていう場所でのイベントになります。

そこの地域活性ということで、「大台ヶ原マラソン」という、山の上を走るようなイベントがありまして。そこのオーダーとして、「そういうイベントがありますよ」っていうことを、楽しく、参加者が増えるような(映像を作ってほしい)っていう感じでオーダーをいただきました。

まず最初にちょっと説明する前に、完成した映像を見ていただきます。

[https://www.youtube.com.com/embed/9YHPVl3Wzdo:embed]
松本さんが制作した台ヶ原マラソンの映像

松本 記録というよりは、参加している人がイキイキして、楽しんでるっていう感じをこう出して。イメージとしては、競争というよりはこういう清々しいところで走ってるんだよっていう雰囲気を出す感じで進めました。

あとこれはやってみてわかったんですけども、最初は結構集団で固まっているんですけど後になると離れちゃうんですよね、人が。
あと、走ってると結構同じ人を撮っちゃうっていうね(笑)
だったので、時間調整で苦労して、あとから見返したら「またこの人だ!」みたいな。
並走する車の速度調整を行いながら撮影を進めました。

会場 (笑)

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イベント撮影ならではの機材選び


松本 撮影はDJI Osmo(オズモ)メインで行きました。
マラソンって躍動感があるので、定点で抑えても記録的になっちゃうので、躍動感を表現するためにジンバル付きのOsmoを使用しました。

さらに縦揺れ防止のZ Axis(ゼットアクシス)を使用することで、より滑らかな走行シーンの撮影が可能になりました。
動画内で、走者を一人後ろから追いかけて撮影しました。
一位の走者を待ち受けして自ら走りながら追走して撮影しました。

あと本来DJIでは推奨されてないですが、X5というマイクロフォーサーズが搭載できるアダプターを強引にZ Axisに装着してして斜めに持って、冒頭の足元のシーンなどスライダーっぽく使いました。

今回OSMOをメインに使った理由としまして、イベントで移動が多いので三脚を据える時間が限られるので、機動性の高いものをメインに使いました。
あと随所にですがPanasonic GH4で水飲み場で給水するシーンなどのインサートを撮っていきました。

会場 (笑)

松本 一人でやってるんで、「ゴール前から撮っといて!」とかっていう形で、さっきのちょっと画質荒いんですけど、イェーイってハイタッチしてるシーンとか実は村人のコンデジを使ってるという。

会場 (笑)

松本 という形で、なんとかしてます。

制作プロセスと要件整理に便利な「マインドマップ」


松本 出来上がった映像を見たら、「あーなるほどね」ってなると思うんですけども、じゃあどういうプロセスで今の映像に至ったのかっていう思考のプロセスのことを簡単に説明します。

皆さんやられてると思うんですけども、構成要素の抽出というものを最初行います。
これ何を使うかというと、マインドマップっていうソフトがありますが、マインドマップのソフト使ってる方おられます?

これすごい便利で、エックスマインドっていうソフトですが、これフリーソフトで、WindowsとMacどっちもあります。
実は『ビデオSALON』さんの記事を書くときも、最初に頭の整理に使う時にこれを使って考えてます。

まず最初の要件整理を簡単に説明しますと、「マラソン映像」というのをシンプルに考えた時に、何があったら映像として成り立つのかって言ったら、最低限4つかなと。
「1.スタート前の緊張感」、「2.スタートする瞬間」。これやっぱり一番人がいるので、映像になるというのと、「3.途中のしんどい感じで頑張ってる感じ」を出して、「4.ゴール」っていうところの4項目あれば最低限映像としては成立するのかなというところでまず抽出してまして。

そこに付帯要素を追加して、こういう抑えるポイントがあった上でクライアントさんの意向としてはやっぱり「空撮入れて山の中を走ってるダイナミックな感じを出したい」ということと、「そのイベント自体の楽しい感じ」っていう形に行ってほしいというものをここに盛り込んでいくと。

さらに、この項目に何を撮るのか決めていきます。
例えばスタート前だったら「緊張感」とか「意気込み」みたいなものを入れて、スタートした瞬間は「スタート時の空撮」と「地上絵を押さえる」というところと、途中のしんどい感じも走りながら躍動感出すためにOsmo使ったり、空撮入れるとか。
ゴールのところは「表情メイン」で入れようみたいな感じで、どんどん情報を盛り込んで頭の中を整理していきます。

お気に入りカメラバッグと選ぶ時の「こだわり」


松本 実際のパッキングなんですけども、僕がドローンで愛用しているのはこちらのthink TANK Photoのエアポートヘリパックを使っています。
Amazonで2万円ちょっとですかね。

これ何がいいかというと容量が大きいところ。ドローンバッグというとドローンしか入らないのが多いのですが、これだとドローンの本体の横とかに隙間があるので、例えばこの中にGH4の本体2つ入れたりレンズを詰め込んだりとかまあまあいけるというのと、あと海外撮影の時とかでもこれ機内に持ち込むことができるのでパソコンとかもう全部入れちゃって、運搬することができます。

通常のカメラバッグはこのショルダーバッグをすごく気に入ってます。
ポケットの数がたくさんあってバッテリーチャージャーなどを横に入れたりとか、あと優れものなのがこのサイドのポケットって両方とも取り外しができるので、荷物少ないときとかに取り外すことができるんです。

あと細かいこだわりなんですけど、「キャリーバッグの背中につけられるかどうか」が重要です。
移動の時に、例えばリュック背負って着替えとかボストンバッグ持って、これ(カメラバッグ)ってなるとほんともう新幹線とか大変じゃないですか。っていう時に、キャリーバッグのところにつくかどうかというのがすごいポイントですね。

これ気をつけなきゃいけないのが、これ一個上のサイズになるとキャリーバッグにつかないタイプになると思うんで、ご注文される時によく型番を見ていただくようお願いします。

参加者 同じの持ってます。

松本 あ、さすが(笑) で、あとこちらですね、今月号ね(笑)

会場 (笑)

ビデオサロン7月号はこちらから

松本 撮影するときは身軽にこういう形で、バッテリーをちゃんと切れないように持って、フォーカスとかね、雑誌の時のやつなんで実際は持ってないんですけども(笑)
とにかく動きやすい形で撮ってます。

空撮時は申請を忘れずに

松本 あとすごく大事なことなんですけども、今回イベント撮影になりますので空撮の申請を出しました。
これが5月22日のイベントだったんですけども、5月2日に提出して大体10日くらいでおりましたので、この辺も、きちんとした上で撮影にのぞむことが大切ですね。

イベント撮影は時間との戦い


松本 まず「これは絶対撮っておく」リストみたいなのを作っていきます。
っていうのは、こだわりだしたらキリがなくて、もうちょっと撮れんじゃないかみたいなのをやってるうちに時間が過ぎてしまうというのが一番いけないことだと思うので、最低限これ撮ったらオッケーみたいな自分の中の合格点を出すようにしておくというのと、

今回のイベントで言うと、前日に入りまして事前にコースを走りながら全く同じシミュレーションで撮影して、撮影ポイントから次のポイントまでの移動時間をストップウォッチで計って、大体何分移動に時間かかって、次の地点で何分間撮影できるっていうのをラップで計っていって、それの通りにやっていくということをしております。

で、実際の撮影なんですけども、もうここまで準備したらあとはもう始まったら何が起きるかわかんないんで、とにかく目の前のことに一生懸命、五感を研ぎ澄まして何が起こってるのかなっていうことに集中して撮り漏れのないように進めていく感じです。

まあ、なかなか皆さんマラソンイベントは撮る機会って少ないと思うんですけども、イベント撮影のプロセスの参考になれば幸いです。ご静聴ありがとうございました!

(会場拍手)

司会 ありがとうございます。何か質問ある方いますか。

使い道が豊富のマインドマップ

質問者1 マインドマップすごいいいなって思って、あとリスト作るとか。
結構リスト作るのとかやるんですけど、リスト作るのに時間かかるんですけど。
多分独自で編み出されたと思うんですけど、元々何か他のことをするためにああいうリストアップのやり方があったのを転用されたんですか?

松本 そうですね。元々ビジネスツールみたいな感じで結構役立つのが、雑誌の記事とか書く時に、あとブログとか書く時に、大項目、中項目みたいな感じでやってくっていうのを転用したみたいな感じで。
一回書き出すと、穴が見えるじゃないですか。一度情報を書き出してみることで、俯瞰的に全体図が見えることが大事かと思います。

質問者1 例えばさっきのマインドマップごと、少し削って「こういう要素押さえます」みたいな感じでお互いに共有して、ここは押さえるけどこれ以上のとこは言わないでねみたいな・・・。

松本 打ち合わせの時とかに持っていって、その場で付け足してって「これいりますよね」とか書いたりとかプリントアウトして、手書きで打ち合わせするとかっていうのもある感じですね。
事前ブレストみたいな感じの時に役立つかなという感じです。これ(マインドマップ)めっちゃオススメです。無料なんで。

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