自己紹介
初めに私の自己紹介をします。やどかりと申します。主に星景写真や風景写真、タイムラプスを撮影しています。参考までに今までのカメラ遍歴は下記の通りです。
風景撮影が多いため、自然の色味が好評なNikonをずっと使い続けてきました。気づく人も多いかと思いますが、全部2400万画素のカメラです。高画素のZ7なども気になっていたのですが、星を撮ることが多いため高画素よりも高感度のカメラを選んできました。
私が過去に撮影した作例を下記に載せておきます。
Nikonのカメラはタイムラプスにおいて露出の平滑化が非常に優秀です。そのため、露出の変化が激しい日の入や日の出のタイムラプス(ホーリーグレイルタイムラプス)をカメラ1台で表現することができるという特徴があります。最近は他社のカメラにおいても露出平滑化が可能になっているそうですが、まだNikonのカメラが1番優秀であるとされています。そのような理由からも私はNikonのカメラを使い続けています。
前置きが長くなってしまいましたが、Nikon Z6IIIのレビューに入ります。
Z6IIから進化したポイント
今回のモニターレビューは、タイムラプス撮影者から見たNikon Z6IIIの進化したポイントについて話します。下記にZ6IIIの注目するべき進化したポイントを上げました。
- 常用ISO感度 上限64,000
- 6K 30p/4K 60p 12bit Prores RAW HQ 内部記録
- 高効率RAWによる容量の軽減
- -10℃まで使用可能な堅牢性
- モニターの赤色表示とスターライトビュー表示
どのように進化したかを1つずつ解説していきます。
1. 常用ISO感度 上限64,000
Nikon Z6IIは常用ISO感度の上限は51,200でした。64,000と言っても1/3段のみ高くなっているだけのように感じますが、私の中では大きな進化に感じます。ホーリーグレイルタイムラプスにおいて、絞りは固定であるためシャッタースピードとISO感度の幅が表現の幅を決めます。そのため、ISO感度の上限が少しでも高くなることは重要な点であると考えています。実際にISO64,000まで使うことは稀ですが、ゆっくりとしたタイムラプス撮影ではシャッタースピードを短くするために、40,000程度まで上げることは良くあります。Z6IIではISOを32,000までしか使っていませんでしたが、40,000まで使えるようになったため表現の幅が広がりました。これはZ6IIIにおける大きな進化の1つであると思います。
それではNikon Z6IIIで撮影したタイムラプスをご覧ください。
このタイムラプスで伝えたいのはNikon Zのカメラが映す世界は、その世界の空気感を壊すことなく人の目で見たものをそのままであるという点です。これはZマウントによるレンズ性能の向上や色表現、そしてタイムラプスにおける露出・WBの非常に滑らかな表現が可能にしていると思っています。
2. 6K 30p/4K 60p 12bit Prores RAW HQ 内部記録
Nikon Z6IIは4K 60p 8bitまで内部記録が可能で、12bit RAW撮影は外部レコーダー(ATOMOS NINJA など)を使う必要がありました。私自身も何度かNikon Z6IIで外部レコーダーを使用したRAW動画撮影の経験はありました。その時に感じた、RAW動画の綺麗さや表現力に感動して美しい自然を映すためにはRAW動画で撮りたいと思うようになりました。そのため、カメラ単体でRAW動画を記録できる手軽さは大きな進化と言えます。
それではNikon Z6IIIで撮影した映像をご覧ください。
[https://youtube.com/shorts/AneI_9wCkXU?feature=share:embed]
↑花火の映像 (YouTube shorts)
私はFinal Cut Pro Xで動画編集をしているため、Prores RAW HQで撮影をしました。N-RAWでは6K 60p/4K 120pまで撮影できるため魅力でしたが、Davinchi Resolveを使用していないため今回は断念しました。今後はDavinci Resolveを使用してN-RAW で撮影したいと考えています。
3. 高効率RAWによる容量の軽減
私は夕方から夜、夜通し、夜から朝など数時間という長い時間のタイムラプスを撮影します。そして、編集などでの時間表現の幅を残すために最長でも10秒に1枚撮影します。そのため1回の撮影で1,000枚を越すことは普通にあります。Nikon Z6IIではロスレス圧縮RAWで撮影していたため、1回の撮影で40GB以上必要としていました。しかし、1枚あたりの容量がロスレス圧縮RAWの半分程度である高効率RAWが登場しました。Nikon Z9で初めて搭載されてから、Z6シリーズへの搭載も期待してました。そのため2,400万画素のカメラで高効率RAWが搭載されたNikon Z6IIIは、それだけでもZ6IIからの大きな進化であると言えます。
画質モード | 1コマあたりのファイルサイズ |
---|---|
RAW(ロスレス圧縮RAW) | 約27.3MB |
RAW(高効率★) | 約17.3MB |
RAW(高効率) | 約11.4MB |
4. -10℃まで使用可能な堅牢性
Nikon Z6IIまでは使用下限温度は0℃まででした。しかし、Z6IIやZ6でも-10℃以下の環境での撮影はしてきました。霜が着いて凍らないように雨避けのカバーを付けながら撮影していました。-10℃以下の環境では寒さでバッテリーの出力電圧が下がるためか、シャッターはいくらでも切れるのですが、プレビューの動作やモニターの表示画面の動作が遅くなってしまっていました。もともと0℃までの動作保証ですので仕方ないことですが、Nikon Z6IIIでは-10℃まで可能とHPに表記されているため、そのあたりの使用感も良くなると考えています。これは雪山での撮影などもする私からすると非常に大きな進化であると言えます。
今回のモニターレビューは8月だたため、寒さの中での評価はできていませんが、今後冬になってからも使ってみたいと思います。
5. モニターの赤色表示とスターライトビュー表示
星空撮影などの暗い環境においてモニターの光は最小にしても眩しいものです。暗い環境に慣れた目に白色光などは刺激が強いためです。しかし、赤い色の光であれば目に刺激が弱い。そして赤い光を見た後であれば、暗い環境でも目が見えなくなることはありません。そのため、星空などの暗い環境での撮影では白色光のヘッドライトよりも赤色光のヘッドライトを使われます。
下記にモニター表示の例を下図に示します。モニター全体を赤色表示にするRED1と文字や情報だけ赤色表示にするRED2があります。星空撮影でピント合わせをする時にはRED2などが良いと思われます。
スターライトビューにおいても、星景写真の撮影において非常に助けになる機能となっています。地上風景が暗い時に構図を決めるために何度か試しに撮影することがよくありました。しかし、スターライトビューでは、地上風景が暗くとも見えるようになるため、モニターでリアルタイムで構図を確認することができます。それ以外でも星の光も明るく見えるためピント合わせ時に助けになります。
これら2つもNikon Z6IIIから追加された機能で、今後の星空撮影で重宝される機能であることは間違いありません。そのため、この2つの機能もZ6IIからの大きな進化です。
まとめ
以上の5つがNikon Z6IIIを1ヶ月使用して進化を感じたポイントです。Z6からZ6IIの進化は少し弱いように感じましたが、その分Z6IIIで大きく化けてきました。私がNikon Z6からZ6IIに変えた理由はインターバルタイマー撮影でタイムラプス動画を生成される点とUSB-C給電ができるという2点だけで、他はZ6からほとんど変わっていないという印象でした。しかし、Z6IIIになりZ6IIからの進化点も多く非常に満足しています。価格は円安の影響もあってかZ6IIよりも高くなってしまっていますが、価格以上に満足できるスペックであると確信しました。
この1ヶ月は天気の関係で撮影機会が限られてしまいましたが、本当に楽しく使うことができました。Nikon Zのカメラの表現力がZ6やZ6IIでは制限されていた部分をZ6IIIで全て解放され、撮影者の望む表現が可能となりました。そのため今後は撮影者の表現力がZ6IIIの表現力に負けないようにしなければならないと感じました。今後もタイムラプスや映像をたくさん撮影していきますので、InstagramとYouTubeをご覧いただけると嬉しいです。
最後に今回撮影した作例を紹介して終わります。
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