2018.04.11 (最終更新日: 2020.06.15)

8K素材で使える一番美しい満月を日本で撮影する

映像の素材として8K対応の最⾼に美しい満⽉を撮影してきました。

今回は【冬季閉鎖の⼭頂で研究者が使⽤する天⽂台で撮影する】という“⾮⼀般的”な⽅法を除外し、「⽇本国内」で「365⽇のうち」しかも「⼀般⼈が扱える機材」に「⼀般⼈が安全に⽴⼊れる場所」そして将来を見越し「8K相当画素で最高画質」という条件を並べて検討し、以下の通りに機材と場所を決定しました。

●使⽤機材
・Canon EOS 5Ds R
・Canon EF800mm F5.6L IS USM
・EXTENDER EF1.4×Ⅲ/2×Ⅲ
●撮影場所
・千畳敷カール(⻑野県駒ヶ根市・⽊曽駒ケ岳)
●撮影⽇時
・冬季の満⽉で天気の良い⽇(実際の撮影⽇は2018 年3 ⽉2 ⽇夜〜3 ⽇未明)

Canon EOS 5Ds R + EF800mm F5.6L IS USM

EOS 5Ds R は⾔わずと知れたCanon の最⾼画素機であり、動画は2Kであるものの静止画は8K相当であるため当機を選択。そして8Kサイズでしっかり満月を写し込むには超超望遠レンズが必要で、当初EF1200mm F5.6L USM を候補に。しかし、いわゆるフィルム⽤の旧型であり⼊⼿も困難。もし⼿に⼊ったとしても、その重量とサイズに⼀⼈で扱うことは不可能。そのため1200mmが除外になり、EXTENDER EF1.4×Ⅲ/2×Ⅲを使用することで800mm が選択肢として入ることになりました。


↑フルサイズフレーム内における焦点距離と満月のサイズを事前にシミュレーション。

撮影場所として選択した千畳敷カールは、⻑野県駒ヶ根市にある中央アルプスの⼀部であり、標⾼2,612m にあるホテル千畳敷の⽬前に広がります。国内で冬季に営業しているホテルとしては⽇本⼀の標⾼であり、さらにはロープウェイでアクセスできることから安全にEF800mm を運び上げることができます。もちろん、ホテルから⼀歩出た場所がすでに撮影場所として適していたため、機材のほか、⾃⾝の安全確保もできておりました。
全国を⾒渡した中で満⽉の撮影に適した場所としては、例えば⼩笠原や北海道、沖縄などが挙げられますが、海が近く湿度が上がり鮮明度が下がること。そして標⾼が2,400m以下の場所は曇天の影響を受ける懸念があり除外となりました。今回の撮影地は気温がマイナス17 度と低いものの湿気もなくレンズ結露も起きず無事に撮影することができています。


精神と時の部屋?

実際の撮影


【800mm】800mm 単体 F11 1/400sec ISO200


【1120mm】800mm+EXTENDER EF1.4×Ⅲ F16 1/400sec ISO400


【1600mm】800mm+EXTENDER EF2×Ⅲ F22 1/400sec ISO800

8K対応の最⾼に美しい満⽉を得るために、800mm 単体ほかEXTENDER EF1.4×ⅢとEXTENDER EF2×Ⅲのそれぞれを接続して撮影しました。それは、画質を優先する場合は800mm 単体で使⽤する⽅がベストであることは変わりありませんが、今回は満⽉⾃体を8Kとして⼤きく映すことも前提であるため、画質低下が許容範囲内であればEXTENDER でフレーム内に⼤きく写し込む方がより良い結果を得ることができると考えたためです。そして各焦点距離で撮影した写真を⾒⽐べ、画質と満月サイズを天秤にかけた結果、トータルバランスが良いのは800mm にEXTENDEREF 1.4×Ⅲを使⽤した1120mm が良いことが分かりました。


1600mm は1120mm と⽐べ、解像感の低下と⾼感度によるノイズを確認。1120mmも800mmと比べノイズ感があるものの、残念ながら“⼤気の揺らぎ”により800mmは1120mm よりも若⼲解像感が低下した。

月を綺麗に撮るための本当の話

月を撮るなんて、満⽉をレンズの⼤トロの部分であるフレーム中⼼に合わせ、AE、AF、そしてシャッターを押せば簡単に得られるものと思っていましたが、実際は超超望遠レンズによる満⽉はフレームの中を想像以上の速度で駆け抜け、そしてフレーム中⼼にその都度狙い直し、さらには『⼤気の揺らぎ』から逃れるために⾼速ドライブで連写して背⾯ディスプレイで拡⼤し、その影響を都度確認する繰り返しでした。それらに撮影時間はおよそ5時間を要し、元々⽢く⾒ていた満⽉の撮影は、まさに「満⽉のブツ撮り」と⾔わんばかりの結果となりました。
地球からの天体撮影で絶対的に障害となるのは⼤気の揺らぎによる光波⾯の乱れがあります。それは蜃気楼の様にユラユラと被写体が歪み、合焦しているものの解像感の低い結果になります。対処法としては、シャッター速度を⾼め、⼀度の撮影で連写して20枚も30枚も撮影することです。その中でたまたま揺らぎの空⽩に⼊った⼀枚を得るしか⽅法はないのです。
このことは、どのレンズを使うにしても『⼤気の揺らぎ』による障害から逃れることができず、逆を言えばそれから逃れることができればどのレンズでも綺麗に撮れるということになります。


大気の揺らぎにより解像感が低下し蜃気楼の様にモヤモヤとボヤけてしまった。


一瞬の空⽩により大気の揺らぎから逃れることができ⾼い解像感を得られた。

おわりに

山の上からの夜景や星空を眺めた時、光がチカチカする現象こそ大気の揺らぎによるものですが、それにより月は不鮮明になり心もモヤモヤするものです。そして解決する方法はとにかく枚数を撮り「アタリ」を得るしかない、というのはなかなか発見できないもので、ぜひ同じように撮りたい方は試して見てください。

下山途中に天然記念物のニホンカモシカに出会った

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