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【連載】制作進行に必要な書類や契約書の悩みを解決! STEP0 イントロダクション -映像制作のフローと必要な書類の全体像って?-

2021.05.13 (最終更新日: 2022.07.21)

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「映像を作るために、こんなに色々な契約書や書類を作成しないといけないの!?」

そんな風にお悩みの映像クリエイターの方も多いのではないでしょうか?予算表、PPM資料、業務委託契約書、出演承諾書…etc.。関わるスタッフが増え、制作の規模が大きくなるほど、こうした書類の数は増え、作成にかかる手間も増えていきます。それなのに、これらについてまとまった情報や学べる機会がほとんど無いのが現状でした。

そこでVookでは、Premiumメンバー向けにこうした契約書・制作管理書類に関する知識と情報を特集連載として発信していきます!さらに、記事内ではそれぞれのサンプルフォーマットも配布予定。ここでしか得られない知識や情報と、今日から使えるサンプルをまとめて手に入れることが出来ます。

連載では、映像クリエイターとして活躍中の伊納達也さん松永エイゾーさんに、契約書や制作管理書類を扱う中で実際に起きがちな問題や悩みをお聞きしながら、それぞれの書類を使う目的やおすすめの使い方について解説。イントロダクション編となる今回は、実態調査を踏まえながら、まずは映像制作のフローの全貌と、必要な契約書・制作管理書類の全体像について解説していきます。

  • 映像ディレクター松永エイゾー

    映像ディレクター。主にコンテンツ動画やMV、ドキュメンタリーを中心に制作。コンテンツ動画「#女の子の仕草で好きなやつ」はYoutubeで600万再生を記録。2020年ドキュメンタリー映像「Documentary of TOKYO CITY F.C.」を公開。

  • ノンフィクション・ビデオグラファー伊納達也

    ノンフィクション・ビデオグラファー。ウェブメディア向けのドキュメンタリーや、ショートフィルム、企業VPなどを制作。2019年からは栃木県鹿沼市にスタジオを移転して活動中。

そもそも契約書・制作管理系の書類ってどうしてる?

——よろしくお願いします。まずは実態調査として、こうした書類にどれぐらい触れているか聞かせてください!

松永:個人間でカメラマンさんを呼んだり照明さんに頼むような場合、あまり契約書という流れにならないですよね。そもそも「そのフォーマットってどんなの?」って状態。契約書を結ばないと逃げられるかも…というような心配のある人、まったく知らない人と仕事をすることがあまりないというのもありますね。

でも、仕事が広がってそうした初めての方との仕事が増えてくると、必要になってきますよね。出演者さんとの間でも「口頭では話していたけど、改めてお願いしたらダメだった」というようなケースも出てくると思うので、やっぱり契約書があるといいなと思います。

——逆に制作管理系の書類はどうですか?

松永:コンテ、香盤表ぐらいは事前にまとめて共有しています。でも、所謂プロダクションが作るような立派なPPM(プリプロダクションミーティング、撮影前に行うクライアントとの最終確認ミーティングのこと)資料とかは作らないかも。

伊納:僕は以前CMプロダクションでプロダクションマネージャーをやっていて、その時はPPM資料を作ることが仕事の9割、という感じでした。でも独立してからは、TVCMほどの規模の制作でもないことが多いので、当時ほどはそういった資料はガッチリ作っていないです。

松永:ミニマムな案件だと、細かな出演者情報や衣装の情報よりも、内容についての心配の方が多いですよね。

伊納:ただ出演者がタレントさんになってきたりすると、全然変わりますよね。契約書もクライアントに求められて書く、という流れの方が多いかな。

——契約書を結んでいなくて、何か困ったケースに遭遇したり、そうした話を聞いたことってありますか?

松永:たまに聞きますね、半年間費用が振り込まれていない、とか…。信頼関係がまだ作れていない人と急に仕事をすることになった場合や、自分も周囲もその人のことを知らない場合なんかは、やっぱり怖いし、契約書を結んでおいたほうが安心だろうなと思います。

伊納:より大きな規模での制作になってくると、関わる人数が増えてくる。そうなった時によりこうした書類の重要性は高まってくると思います。

👉規模が大きくなる時こそ、まずは契約書や進行管理書類について考え直すタイミング!

映像の内容毎に適した制作規模がありますが、フリーランスでもいつの間に規模が大きくなっていた…という人もいるのではないでしょうか?関わる人が増えるほど、何かあった時に迷惑をかけてしまったり、自分が被ったりする範囲が広くなってしまいます。そうならないよう、今のうちから必要な知識をつけて、少しづつ実践を始めていきましょう!

こんな時に実感!契約書の大切さ

——実際に書類を提出したり、締結したりはどのぐらいありますか?

松永:相手が社内で誰かに見せる必要がある場合に、見積書を求められて提出するケースは多いですね。でもそうでもないと、テキストで「これぐらいの金額で」というやりとりで済む場合がほとんどです。

伊納:きっとそういうタイミングで、「いつもこのフォーマットでやってます!」というものを提示して、契約書と見積書を一緒に送れると良いんでしょうね。でも紙だと書いて、送って、ハンコ押して送り返されて…みたいなやりとりが複雑で「これ、必要なのかな?」って思っちゃいますよね。

松永:クラウドサイン(電子契約サービス)とかでちゃんとやるべきなんでしょうね。ちなみにクラウドワークスだと、NDA(秘密保持契約書)の締結もポチポチと押して進めていくだけで出来るので有難いんですよね。書類をわざわざWordやExcelで作って送るのは手間だし時間がかかるし、優先度が低いから忘れがち。万が一のためのリスクヘッジの作業なので、なかなか優先できないんですよね…。

——「契約書の中で定めておけば良かった…」というような経験はありますか?

松永:「納品まで2-3回の修正はあるよね」という暗黙の了解ってあると思うんですけど、納期が決まっていなくて延々と修正が続く… なんて時は、事前にルールを決めていればよかったなと思います…!

あとはデータ管理についても、プロダクションによっては「保管は〇年間、それ以降は別料金」と見積書に書いて送っているというのを聞いて、そのあたりも必要だなと。今はやれていなくて、何かあった時に「データ無いの!?」と言われないために全部残しているので、「ああ、なんかこのデータずっと手元にあるな…」という状態になっていて(苦笑)。

伊納:うちも、見積書と請求書に書いていますね!データ保持料として、その分の費用も基本的には入れさせてもらっています。基本的にはデータは消しませんが、「無いの!?」とは言われたくないですからね。

契約書については、立場なども関係してきますよね。クライアント企業から直で依頼を受けるパターンと、制作会社が間に入るパターンとがありますが、前者は見積もりも契約書も先方から求められることが多い。だけど、制作会社やフリーのプロデューサーのような方が相手の時は、それらをやりとりするイメージがあまり無いじゃないですか。

僕の周りでも話を聞くと、揉める場合はこのパターンが多かったように思いますね。最近は、映像業界を専門にしていない方も映像のプロデューサー的な仕事をされている場合があるので、修正はどこまでなのか、データの保管はプロダクションがやってくれるのか等、どちらがどこまでやるのか責任の所在を明確にしておきたいですよね。

松永:プロデューサーと言っても、こちらが思っている“プロデューサー”なのか分からないですしね。クライアント向けの資料を刷って持っていくのはどっちがやるの?みたいな小さな部分でも、今まではたまたま両方持ってきていたからいいけど、相手がどう認識しているのかはわからないですからね。

👉契約書の締結で「暗黙の了解」をなくし、お互いの共通認識を残そう

修正回数やデータ保管など、なんとなくの慣例ですませがちな部分は、全ての相手に通じるわけではありません!契約書という形で双方の認識を擦り合わせて記しておくことで、お互いに気持ちよく仕事に取り組み、そして終えられるよう助けてくれるものでもあるんです。

映像制作のフローに沿って、必要な書類の全体像を把握しよう

映像制作と一口に言っても、その規模や種類によってフローは様々。今回は、フリーのビデオグラファーが行う制作規模よりも少し大きくなり、制作会社・プロダクションとして映像を作っていく場合を想定しています。その各局面で必要になる契約書や制作管理書類について、まずは全体像を解説していきます。

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