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【ウェビナーまとめ記事】実演で学ぶ照明術 イメージを実現するライティングのつくり方

2021.10.21 (最終更新日: 2021.11.16)

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作りたいと考えている映像には、必ず世界観があるはず。

暗いのか、明るいのか。硬いのか、柔らかいのか。

照明には被写体を照らすだけではなく、色彩のコントロール、立体感の表現、材質感の表現、雰囲気の演出などの役割があります。セッティングによって、作りたいイメージと実際の映像との「違和感」を少しずつ解消していくのが照明の醍醐味です。

9月27日に行われたウェビナー「実演で学ぶ照明術 イメージを実現するライティングのつくり方」では、映像制作における照明の役割や考え方、そして作り方について解説しました。

  • 講師斎藤 卓行

    フォトグラファー。約50カ国放浪後、フォトグラファーとして独立。2010年に常盤司郎監督 短編映画「クレイフィッシュ」で初映像撮影。同作品がShort Shorts Film festival &Asia2010のミュージックShortクリエイティブ部門にて優秀賞と観客賞を開催初のダブル受賞。また、新・鎌倉映像フェスティバル2012で最優秀作品賞を受賞。以後、グラフィックと映像を両立しWEB、CMで活躍中。

  • ファシリテーター竹内 錬

    1997年京都生まれ。高校卒業後にビデオグラファーとして活動し、2019年にフリーランスの映像ディレクターとして独立。TVCM、WebPV、PV、企業VP、MVなど様々な制作を手掛ける。現在はチームで活動をし、主にカラーグレーディングを得意とし、企画・ディレクション・撮影・編集をワンストップで行う。 https://grovelifeartstudio.com/

企画に見合う照明はどう見つけるのか、そこからどう照明の方法を選択するのか、解説と実践を組み合わせてお伝えします。

実演1:「狭い空間」でも「柔らかい光」で肌の綺麗さを表現する

**斎藤:今回は、「光をどうコントロールするか」というお話になります。私が思うに、光をコントロールするのは「世界をつくる」ということになります。**

映像作品は監督のものだと思っています。その監督の頭の中にある世界観をいかにして探るかが、カメラマンの仕事で。そこで、どういう世界を再現するのか、照明をどうしていくのか。カメラの選び方なども重要ですが、光がなければ何も映らないので光を中心に考えることが多いです。では、「世界をつくる」とはどういったことか、事例を紹介します。

ここからは、斎藤さんに実践で照明の作り方を解説していただきました。実演1として「柔らかい光」をテーマにした照明の作り方です。

アイリスオーヤマ

**斎藤:こちらは、アイリスオーヤマさんの「コットンの肌触りのようなマスク」のCMです。「コットン」「柔らかい」「優しい」というイメージを照明の中に入れ込みました。家の大きい窓から差し込む光をイメージしています。いわゆる人口の光ではない、自然な光を作ることを心がけました。**

こちらの「コットン」「柔らかい」「優しい」光を作るために実演をしていただきました。実演にあたり使用した機材は以下のものになります。

使用カメラ:Lumix DC-S1H
シャッタースピード:1/50
F値:2.8
ISO:800
ホワイトバランス:太陽光

**斎藤:今回の実演のポイントは2つあります。1つ目が **「柔らかい肌の綺麗さを出す」。2つ目が 「狭い空間での照明技術」 です。実際に撮影した場所は180㎡程の広いスタジオでした。このスタジオはそこまで広くありませんが、近しい照明を一灯で表現します。

今回、被写体と照明の距離が約1mと近い位置にあります。

**斎藤:直接光を当ててしまうと狭い空間に見えてしまうので、距離を稼ぐために壁にバウンス(反射)させて使用します。** 照明から壁までの距離は約1.5mあります。

壁と照明の間で跳ね返りを含めて約3m稼げ、さらに被写体まで1mですので、合計で約4mの距離から光を当てる計算になります。

**ポイント**
狭い空間で光を当てる際は、壁などにバウンス(反射)させ距離を稼ぐことで、柔らかい光にすることができる。

**斎藤**:これだけだとまだ光が硬いので、さらに大きめのトレーシングペーパー、いわゆる「ディフューズ」を入れます。こちらを使用する理由は、光をより柔らかくするために、光を拡散させる用途で使用します。

**斎藤**:おおよそ完成ですが、まだ背景にディフューズからはみ出た光があり、ムラになっています。それをレフ板などで遮って整えていきます。

**斎藤**:次に、レフ板で少し調整します。光が回り切ってないので、反対側からレフ板で補ってみます。こうすることで、より肌が白くなるのです。

**斎藤:照明の作り方なのですが、私の場合、大きく1つの光の方向性を作ります。そこから手元にあるものを付け加え、最後に微調整する流れです。なぜ大きな光を一つ作るのかと言うと、太陽は一つだけ、すなわち自然光は一灯のみだからです。** そこを基準にして考えなければ、光が迷子になってしまいます。

現場では、機材を揃えて撮影に望みますが、その機材が足りなくなることも多々あります。それを補うためには、どういったものを使用するのが良いのでしょうか?

**斎藤**:制作現場にトレーシングペーパーがない場合が多々あるかと思います。私がよくやるのが布団のシーツを代用品として使うことです。布をディフューズすることで、トレーシングペーパーと同じような効果が得られるほかに、少し違った質感の柔らかさを演出することができます。そのほかにも、市販のゴミ袋や半透明の使い捨てビニール傘など、身の回りにあるものを代用品として使用します。

左:Before、右:After

**まとめ**
「肌の柔らかさ=光の柔らかさ」を中心として、直接光を当てるのではなく、ディフェーズなどで光を拡散させて当てています。さらに、狭い空間で照明を当てる際は、壁などにバウンスさせて光と被写体の距離を稼ぎます。

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