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プロが教える撮影データ管理のコツ|映像のクォリティーを引き上げるDITの仕事とは?~PRO-DOCK 4とPRO-READER レビュー~

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2021.12.17 (最終更新日: 2021.12.23)
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カメラの進化と記録メディアの進化の関係

このところ、6Kや8Kといったハイスペックな動画撮影に対応したカメラが次々と登場してます。そんな新機種の仕様表を見ると、初めて聞くような名前の記録メディアを採用しているなと思った方もいるのではないでしょうか。実は、カメラの進化というものは、記録メディアの進化と共にあるからなのです。

カメラメーカーとしては、旧機種のユーザーが新機種に乗り換えやすいようにすることも大事なので、近頃の新機種は新しいメディアと従来からのメディアの両方に対応している機種が多いようです。しかしそれでも、新機能の中には新しいメディアでのみ使える、という機能も多いですよね。

なぜならその新機能は、最新の記録メディアを採用したことで、実現できた機能だからです。

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CMや映画の撮影現場におけるDITとは

私は、主にCMの撮影でDIT(Digital Imaging Technician)をしています。DITという言葉に、聞き馴染みがない方も多いと思いますので少しだけ説明すると、CMや映画の撮影業界における裏方中の裏方の職種で、まだ十数年程の歴史しかない新しい職種です。

かつてのCMや映画の撮影では、フィルムかビデオテープを使って記録していました。それがRAWデータのようなデータファイル記録に変わったことにより誕生したのが、このDITという職種なのです。

では、撮影現場でDITがやっていることを簡単にまとめると、

  1. 撮影を高品質かつ効率的に進められる環境作り
  2. 撮影データのクローンニング
  3. 撮影素材の編集部への橋渡し

だいたいが、このようなところだと思います。

1は、プレイバックや仮合成、現場グレーディングといった、作品の仕上がりをイメージしながら撮影を効率的に進められる環境を作ること。

2は、カメラで記録したオリジナルデータファイルのクローンを、正確かつ確実に作成すること。

そして3番目は、撮影後の編集作業をスムーズに進められるよう、編集環境に最適なファイルへのトランスコードや、LUT(Lookup Table)の作成やダウンコンバート、時には編集用のマスターデータを作ったりする作業です。

1と3は、映像の制作や撮影に携わられている方でしたら、おおよそ想像がつきそうなことですよね。しかし2番目は、DITが一人で黙々と作業し一人で完結させる作業なので、DIT以外の方で、どうやっているのかを知っている方は少ないと思います。

しかし、この2番目の作業が最も重要な作業なのです。

もしここを雑にやってしまうと、その日の撮影が無かったことにもなってしまうような、とても恐ろしい重要な作業です。撮影終了後、皆さんが片付けをしている中、DITがスタジオの片隅で黙々とやっているのはこの作業なので、そっと見守っていていただけると、嬉しいです。

↑撮影現場において、PRO-DOCK4を使って作業をしている様子

重要な作業の、さらに重要なもの

この一人で黙々と掛かる重要な作業ですが、まずはカメラが記録したオリジナルデータを、記録メディアから取り出すことからスタートします。つまり、この重要な作業のスタート地点が、記録メディアとリーダーということなのです。

皆さんは普段、リーダーのことをどれくらい気にされていますか?

正直言ってリーダーは、カメラやモニターのような機材と比べると、とても地味だし時には付属品扱いをされがちな機材です。しかし、重要な作業のスタート地点だと考えると、リーダーがどれほど重要な機材であるか分かっていただけるのではないでしょうか。

私は、自分自身が信頼できるリーダーしか使いません。言い換えると、信頼性の高いリーダーを使うことで、作成したデータの品質も、現場での作業効率も、間違いなく向上します。 そしてそれが、最終的に自分自身のDITとしての信頼につながると考えています。

ついに出逢った信頼できるリーダー

そんな信頼できるリーダーを見つけるために、これまで私は、いくつもリーダーを購入し、試してきました。ふと店頭やネットで、見たことのないリーダーを見かけると、とても気になってついつい買ってしまうこともありますし、そしてそれが無駄であったことも何度かあります。

これまでは、対応メディアとインターフェース、そしてどのメーカーかということを基準に、リーダーを選択してきました。 そしてついに、決定打と言っても過言ではない製品と出逢ったのです。

それが今回紹介するウエスタンデジタルから新たに登場したSanDisk Professionalブランドの「PRO-DOCK 4」と「PRO-READER」です。

SanDisk Professionalとは?
https://www.sandiskprofessional.com

PRO-DOCK 4とPRO-READERは、SanDisk ProfessionalというSanDiskの中でも特にプロユースを前提にしたシリーズの製品です。この時点で、メーカーの信頼度は激高ですよね。

このPRO-DOCK 4は、名前の通りリーダーではなくDock、つまりThunderbolt対応のPCに、各種インターフェースの機器を接続させるためのドッキングステーションになります。

Thunderbolt Dockといえば、Mac のインターフェースがThunderboltだけになった頃くらいから、いろんな製品が発売されました。私もThunderboltの世代が上がるごとに、いくつか購入してきました。

このPRO-DOCK 4が他の製品と決定的に違うのは、各種インターフェイスの他に、4Bayのスロットが備わっていることなのです。 このようなスロットは、SSDやHDDのRAIDケースでなら似たものを見た気がしますが、ドッキングステーションでは初めてではないでしょうか。

そしてこの4Bayのスロットには、同じSanDisk Professionalから発売されているPRO-READERシリーズの製品を挿すことができます。

現在このPRO-READERシリーズには4タイプのラインナップがあるので、動画系カメラで使用される記録メディアの多くは、これらでカバーすることができるでしょう。

※現在の対応メディアは、SD, microSD, CompactFlash, CFast2.0, CFexpress Type-B, RED MINI-MAGの6種類

PRO-DOCK 4で変化する作業環境

例えば、キヤノンのEOS R5で撮影する現場の場合、カメラのモードによってSDXCカード(UHS-Ⅱ)とCFexpressカード(Type B)という2種類のメディアを使うことになります。

するとこれまでの現場では、作業をするPCには2種類のリーダーとデータを保管するSSD、そして電源と、実に4本ものケーブルがぶら下がっていました。

それをPRO-DOCK 4に変えることで、メディアはいずれもPRO-DOCK 4に直接挿さり、PRO-DOCK 4からMacへ87Wの電源供給もされることから、実質Thunderbolt3ケーブル1本で済ませることができるのです。

PCにたくさんのケーブルが繋がっていると、断線や誤って抜けてしまうといったような思わぬトラブルに見舞われるリスクが高まります。それが配線がシンプルということで、とても安心感が高まります。

PRO-DOCK 4の使い勝手の良さ

また、これまでのThunderbolt Dockでは、インターフェースの大半を背面に持つ機種がほとんどでした。それがPRO-DOCK 4の場合、抜き差しする頻度の高いUSB-CとUSB-Aを、2つずつ前面に持っていることもポイントが高いでしょう。

たいていの現場では、制作部から預かる2台のストレージと、私の作業用SSD2台、合計4台のストレージにカメラのオリジナルデータのクローンを作成しています。私のSSDは事前にカートに組み込まれているので、Dockの背面での接続でも問題ありません。しかし制作部のSSDについては、現場で都度預かり、現場で納品することから、前面で抜き差しできる方が格段に使いやすいと感じています。

ちなみに背面には、Thunderbolt3が2つとギガビットイーサネットさらにディスプレイポートが備わっています。

データの作業時間を短くするためには

カメラが新機種になると、より高品質なモードで撮影できる分、メディアに記録されるデータ量は確実に増大します。すると、それに比例して現場での作業時間も長くなってしまうのです。その作業時間を少しでも短縮させるため、私がいつも気をつけていることを紹介します。

  1. カメラで使用する記録メディアを、そのカメラが対応している中で最も転送速度の速いメディアを使うこと。
  2. メディアの速度を発揮できるリーダーを使うこと。
  3. メディアの読み出し速度を上回るスピードで書き込むことができる、高速なストレージを用意すること。
  4. リーダー・ストレージ・PCそれぞれを、高速なインターフェイスで接続すること。

記録メディアの表面には、よく「◯◯MB/s(MB/秒)」という表記がありますよね。これがそのメディアの持つ、最大の読み出し速度です。

例えば作業環境がMacであれば、メディアからストレージにデータを転送している時に、「アクティビティモニタ」 のディスクのタブを開いてみてください。そこに表示される書き込み速度が、メディアに表記されたスピードと同等でしたら、それはその時にできる最速の方法で作業しているということになります。

↑CFexpress TypeBからG-DRIVE SSDに画像を転送している時の、Macのアクティビティモニター。1GBps程度のスピードが出ており、ほぼ上限のスピードで作業ができている。

↑SDXCカードからG-DRIVE SSDに画像を転送している時の、Macのアクティビティモニター。このメディアの上限値が出ているが、同じ環境でもメディアが変われば、これだけ速度も変化する。

この時、PRO-DOCK 4とPRO-READERを使っていれば、用意するストレージ周りにだけ気をつければ、その他は常に最速の環境が整っているため、とても安心だし頼もしいです。

PRO-READERシリーズについて

4つのタイプのPRO-READERは、いずれも10GbpsのUSB-C(USB3.2 Gen2)をインターフェースに持っています。そしてPRO-DOCK4とは、ケーブルレスで接続されます。またこのリーダーをPRO-DOCK4から抜き出せば、実は単体のリーダーとして使用することもできるのです。

スタジオではPRO-DOCK 4に組んで安定した作業を行い、ロケでは一般的なリーダーと同じように使用する、そしてどちらの時も10GbpsのUSB-C(USB3.2 Gen2)接続であるため、いつでも高速での作業が可能という、とてもマルチプレイヤーなリーダーなのです。

PRO-DOCK4に今後期待すること

今後例えば、ライブ収録のようなカメラを複数台使用する現場では、使用済みのメディアが同時に何枚も私の手元に届くこともあります。そんな時は同じタイプのリーダーを4Bay全てに挿すことで、一気に作業を進められ、とても効率的な環境が実現できそうです。

そして将来的に、もしさらに新しいメディアが出てきても、リーダーを交換するだけで対応できることが想像できるので安心して長く使えることも、とても有難いところです。

また現時点でPRO-DOCK 4のスロットに挿すことができるのは、PRO-READERシリーズだけですが、例えばここに、M.2 NVMeのSSDを挿すことができるようになれば、さらに使い勝手が良くなると間違いないですよね。

PRO-DOCK 4のこの4Bayのスロットは、今後どのように展開されるのか、とても楽しみです。

まとめ

Thunderbolt3とUSB3.2 Gen2の高速性能、様々な現場に対応できる汎用性と将来性、そしてSanDisk Professionalの信頼性、これらを併せ持ち安定した現場での作業環境を実現するPRO-DOCK 4とPRO-READERシリーズ。

現場で性能を遺憾無く発揮できる機器だと感じました。

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渡辺 裕之

Digital Imaging Technician / 撮影技術 大阪府出身。上京後17年間に渡る映像技術会社での経験を生かし、2012年に退職、独立する。 主に、CMやWeb等といった広告系映像を中心に、DITとして撮影に携わる。 またその職種...

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