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【ウェビナーまとめ記事】ビデオグラファーがXR時代に挑む!? メタバースで生まれつつある新しい“実写映像”

2022.06.18 (最終更新日: 2022.06.21)

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3次元のバーチャル空間であるメタバース。現実から離れたデジタル世界の中で、新たな“実写映像” の制作が行われているのはご存じでしょうか。新たな撮影フィールドであるメタバース、そしてVRは、映像表現の新たな可能性として注目を集めています。

Vookでは、 VRSNS 「VRChat」 で撮影された数々の映像作品を通じ、新たな表現の舞台となるメタバースでの創作活動に触れるウェビナーを4月22日に開催。その内容がまとめ記事となりました。
登壇者にはVRクラブ「GHOSTCLUB」主催の0b4k3(おばけ)さんVR映像作家「渡邊課」の渡邊徹さんをお迎えしました。

  • Director0b4k3

    VRクラブ「GHOSTCLUB」主催、Director。近年はVRSNS「VRChat」内で開催された「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」一部会場のディレクションや、「FORGOTTEN[Vocal:ermhoi (Black Boboi / millennium parade)]/ MONDO GROSSO」 の2DMV、VRMVのディレクションを担当。また、渋谷PARCOにて開催された「NEWVIEWFEST 2021」ではXRライブを行うなど、VRDJとしても活動している。

  • 360 Video Creator渡邊課(Concent, Inc.) 課長 渡邊徹

    実写VR映像制作を専門に活動するチーム、渡邊課の課長。「見回す必然」をテーマに、視聴者に没入感を伴った映像体験を企画制作、デモのコンサル。テーマパークのアトラクション、MVやライブの撮影から、企業の研修VRなど様々なコンテンツを手がける。

    https://youtube.com/c/watanabe-ka

👉ウェビナーの様子はこちらから動画でもご覧頂くことが出来ます

ビデオグラファーがXR時代に挑む!? メタバースで生まれつつある新しい“実写映像”

VR映像とは

近年注目を集めるVR映像。従来の映像制作とは何が異なり、どのような特徴があるのでしょうか。VRの定義と急速な浸透の理由を、VR映像制作の最前線で活躍する渡邊さんに解説していただきました。

渡邊:VRは 「仮想現実」 と訳されることが少なからずありますが、これは誤訳です。VRは「Virtual Reality」の略称であり、Virtualには「事実上の」「実質上の」という意味があります。すなわちVirtual Realityとは、CGや実写のコンテンツを使い、現実と同じようなリアリティを再現する技術を指します。

VR体験は、ライブコンテンツと動画コンテンツを比較したときに、ちょうどその中間に位置すると考えられます。現実世界ではないけれど、映像を見ているだけでなく 「体験そのものをしている」 のがVRです。言い換えれば 「その場にいる」という臨場感をデジタルでデリバリーできるメディアがVRであるといえます。

渡邊:なお、最近出回っている 「メタバース」 という言葉は、VRとニアイコールのように扱われていますが、 厳密にはVRとは異なるものです。 メタバースは、コンピューターやネットワークの中に構築された、現実世界とは異なる3次元の仮想空間、または仮想空間を用いたサービスを指します。

これまで現実で行われてきたあらゆる活動が異なる空間で行われることから、ユニバースと対になる概念として捉えられています。それを、体験するのに適しているのがVRという捉え方だと考えています。

VRの定義

渡邊:VRの技術的な定義には「視野角100度以上、頭を振ったときに映像がついてくる、レイテンシが低く0.02秒以内にレスポンスがある、リフレッシュレートは120Hzや90Hz」などの要素があります。
これに視聴者への双方向性を加えると、見ている人がバーチャル空間を実在の空間のように感じ 「今この場所にいて、そこから参加している」 という没入感を得られ、感覚に体験がともなうのです。

VRを実現するための機器

渡邊:この2年ほどVRは、コロナ禍を機に浸透が加速してきていると感じています。 7年ほど前にヘッドマウントディスプレイが安価になったことはVRが一般の人にも浸透するきっかけになりました。それまでは研究機関で使うような専門的なデバイスしかなく、1千万円や2千万円といったコストをかけなければVR環境を手に入れられませんでした。

しかし近年では、同等以上の性能を持つトラッキングデバイスを搭載したヘッドマウントディスプレイが5~10万円程度の安価で手に入るようになっており、Vtuber活動などの一般層への拡大に寄与しています。

ヘッドマウントディスプレイは、スマホを入れるようなものからPCにつなぐもの、PCレスのスタンドアローンとさまざまなタイプがあります、さらに性能の向上や軽量化などが進んでいます。解像度は4Kが主流です。視野角100度といった仕様が一般的です。HDRや高解像度といった特徴を持ったデバイスもあります。

またスマホを繋げて使う眼鏡型や、簡易なゴーグル型といった比較的安価な製品であっても、十分な没入感を得られるようになってきているので、ヘッドマウントディスプレイ環境の進化は侮れません。

VR映像は特殊なカメラと編集技法によって製作されています。映像素材は複数の魚眼レンズを搭載したカメラで撮影され、地図の図法である正距円筒図法にステッチ(接合)し、イメージとしてはそれを球体に戻したものを中心から見ているのがVR映像です。

原則として360度全方位を撮影していますが、平面視、立体視、180度しかない立体視と、さまざまなフォーマットが存在しています。

VRにおける解像度は数え方が少々独特です。カメラの仕様は8Kや12Kで、撮影した映像全体を見れば12K相当であったとしても、ヘッドマウントディスプレイを通じて見るのはそのうちのほんの一部です。そのため12Kで撮影しても実際に見るのは4K程度、8Kでの撮影ならフルHD程度の質感になるといわれています。

VRChatとは

人々が生活を営むバーチャル空間であるメタバース。そのひとつであるVRSNS「VR Chat」とは何ができる世界なのでしょうか。VRChatの中でVRクラブ「GHOSTCLUB」を運営する0b4k3さんに、VRChatの世界についてお話をお伺いしました。

0b4k3:今も生まれ続けているVR技術を使ったサービスやコンテンツの一つに 「VRSNS」 というものがあります。VRSNSとは、バーチャル空間の中でユーザー同士が自由に交流できるサービスです。 渡邊さんが解説されたメタバースの定義である「コンピューターやネットワークの中に構築された、現実世界とは異なる3次元の仮想空間」と解釈することもでき、そのサービスの中のひとつに、私が主な活動の場としている ソーシャルVR「VRChat」 があります。

VRChatは、3D空間におけるアバター同士のコミュニケーションや、VRの技術を使ったさまざまな表現を行えるソーシャルVRサービスです。VRChatの公式サイトのトップには 「Create,Share,Play」 というキャッチコピーが掲げられおり、これはVRChatの楽しみ方そのものを意味しています。

VRChatで楽しまれていること

VRChatで行える行動は 「Make Friends」「Create Worlds」「Custom Avatars」「Join the Community」 の4つに分類されています。具体的にどのような行動ができ、どのような生活を楽しめるのでしょうか。

Make Friends

0b4k3:VRChatの中では 「友だちをつくる」 ことができ、ユーザー同士での交流を楽しむことができます。この写真に集まっているのは全員私の友人であり、左から2番目が私です。

0b4k3:友人同士で集まって、一緒にゲームをしたり、楽器を演奏したり、何をするでもなく友だちの家に集まって会話をしたり、動画を一緒に見ながら楽しく過ごしたり。そんな日常や生活をVRChatでは過ごすことができます。

Create Worlds

0b4k3:VRChatには、それぞれのユーザーが自分のワールドを作成し、それを共有することができます。自分が理想とするワールドを作成しても良いし、他の人が作成し、公開されているワールドを自室にする事もできます。

ただキレイな見た目を作るだけでなく、時間経過やアクションに応じて反応するいろいろなギミックがあるワールドや、作家性を全面に出したワールド、対戦ゲームに参加できるワールド、気楽におしゃべりを楽しむためのワールドなど、様々なコンセプトのワールドが存在しています。

Custom Avatars

0b4k3:VRChat内では、アバターを着用し活動をします。VRChat内にデフォルトで入っている汎用アバターだけでなく、自分だけのオリジナルアバターを制作することも可能です。またBOOTH等で販売されているアバターをカスタマイズしている方々もいます。

制作したアバターは、誰でも使えるパブリック状態に設定することも可能です。かわいいアバターやかっこいいアバター、ややネタ寄りの面白いアバターも公開されているので、友だちと一緒にそのアバターを着用するといった楽しみ方をしている人も多いようです。

Join the Community

0b4k3:VRChat内には、人々が集まって結成したコミュニティが数多く存在しています。例えば、音楽コミュニティがあったり、スポーツコミュニティがあったり。手話を教えたり、ダンスを楽しんだりするコミュニティなど、現実世界と同じようにさまざまな活動が楽しまれています。

また、VRChat内ではさまざまなイベントも開催されています。私自身も自分のワールドで、2018年から GHOSTCLUB というVRクラブを運営しており、毎週火曜日と土曜日にクラブイベントを開催しています。そのほかにも、おそろいのアバターで集まるイベントや、さまざまなワールドをツアーのように巡るイベント、集まって楽しく飲み会をするイベントなど、イベントの種類は現実世界同様にさまざまです。

時には現実のアーティストらが集まってフェスを開催するような大規模なイベントなど、野心的かつ挑戦的なイベントも開催されています。

VRChat内の写真撮影、映像制作とは?

VRChatのユーザーは空間の中で時間を過ごすだけでなく、バーチャル空間ならではの表現を楽しんでいます。VRChatだからこそ実現できる表現には、どのようなものがあるのでしょうか。「写真撮影」 「映像制作」 の2つの観点から見てみましょう。

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