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ビデオアシストという職種について

2022.07.25 (最終更新日: 2022.07.25)
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編集とQtake

はじめまして松村正樹と申します
元々普段は広告関係のエディターをしていまして,
今はAVID MediaComposerとPremiereProが主な使用機材になっています。
現在所属する会社はMIMという会社で、映像に関するレンタル機材を扱っている関係もありまして、テクニカル的な相談も受けたりすることも多くひょんなことからQtakeという機材に出会い、日本での担当者をさせてもらっています。

今回このQtakeという機材の守備範囲であるビデオアシストという職業について自分の知ってる範囲ですがご紹介できたらと思っています。

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撮影現場とプレイバック

プレイバックとは?という方もいると思いますので自分なりに定義をするとプレイバック=撮影素材の確認となるかと思います。そのために収録、管理が必要になります。

CM制作は、依頼主や関係者が同席する場合もあるクライアントワークであること、タレントの時間制限がシビアなこと、明確な絵コンテが存在し納品フォーマットに決まった時間の制約がある(15秒、30秒等)など、色々な要因で撮影現場での撮影素材の確認やカメラの映像を共有をする必要が多くあります。
CM制作では撮影現場での編集が比較的多いのも同じ理由になります。

撮影現場での編集についてはしげぞうさんが良い記事を書かれています。

オフラインエディターは撮影現場で編集もする話し

こんにちは、オフラインエディターのしげぞうです! みなさん「編集」どこでやることが多いですか?基本的には自宅、オフィス、編集室のひとが多いと思います。 そんな中、オフラインエディターは 撮影現場...

またフィルムからビデオに移行したことで映像信号の取り回しが良くなり、撮影現場で映像の確認することが徐々に増えていったのだと思われます。

収録したマスターをその場でみるということも、カメラの記録メディアや撮影スタイルによってはあるかと思いますが、効率やトラブル防止の観点から別途収録することも多く(フィルムではそもそも現場では見れないこともあり)、

過去(2006年頃)には多くの撮影現場でPanasonic AJ-HPMシリーズ

というP2ポータブルレコーダーを良く見かけるようになりました。

この機材を使って、カットごとに撮影されたテイクの確認をするのですが、確認用のプレイバックを業務としている人が必ず一人いることに気付きます。

日本では制作の業務の方が、現場の役割としてそのことを請け負うことが多かったのですが、海外ではVIDEOBOYや単純にPlaybackと呼ばれる専門職になっていました。

画像出典:https://pixeldigitalservices.com/en/services/

HPM以前では 
高価なものではDirector’s friend

画像出典:https://de.wikipedia.org/wiki/Director%E2%80%99s_friend

ハードディスクやDVレコーダーを使用した収録再生機材があったようです。
©Charlie Westfall

フィルムではビジコンと呼ばれる機材を通して映像信号を生成し、収録機材に記録していたので、プレイバック担当の人もビジコンと呼ばれていることもあったようです。

オフラインエディターがPremiere Proを使っていてもAVIDの人と呼ばれるようなものですね。

プレイバックの変化

2010年前後くらいになるとPCやMacの小型化、マシン性能の向上、映像信号を入出力する新しいインターフェースの登場もあり、撮影現場でMacを使いプレイバック業務を行う人も増えました。

AJA IoXT 画像出典:https://www.ask-corp.jp/news/2012/01/thunderbolt-aja-io-xt.html

画像出典:https://www.ohdstudios.com/pages/vtr

同時期にプレイバック業務に重要な仕事が追加されます。それは3D映像の視差調整です。

最初に紹介したQtakeは2つのカメラで撮影されたものを同時に再生して視差を撮影現場で確認するために、ビデオエンジニアだったIN2CORE社の現在の社長であるVladislav Struhar氏が開発したもので、その後多くの3D作品等で使用されました(参考作品等)。

Vladislav Struhar氏
画像出典:https://kultura.pravda.sk/film-a-televizia/clanok/514353-vlado-struhar-v-hollywoode-vam-po-prichode-na-plac-hned-vezmu-mobil/

Macベースのソフトウェアシステムでプレイバックが行われるようになり、カメラからのメタデータを取得し管理することが可能になりました。
また編集部門へリファレンスになる動画や撮影記録のデータを引き継いだり、撮影現場での映像信号のHUB(中継管理)の役割を担うポジションになっていったようです。

エンドクレジットの表記などもこの頃からvideo assist /ビデオアシストと表記されるようになることが多くなっていったと思います。

画像出典:https://in2core.com/job/
画像出典:https://www.amarintv.com/news/detail/19464
画像出典:https://onl.sc/bQkt4H6
画像出典:http://www.oceanvideo.com/video-assist-rentals.html
画像出典:https://qtakehd.com/shot-with-qtake-hd/

ビデオアシストの仕事

ここまで書いたプレイバックに関する業務は日本ではDITと呼ばれる職種の人が兼任していることが多いです。DITの仕事にビデオアシストも含まれているというのが割と日本の撮影現場では共通認識になっています。

DITの仕事については株式会社虎徹のタキさんが素晴らしい記事を書かれています。ぜひご参考にしてください。

僕がやっている【DIT】という仕事について

はじめに はじめまして。 株式会社虎徹のタキです。 Vookさんでは初めての投稿です。 CMやMV、映画・ドラマの撮影現場の技術スタッフの一員である”DIT”。 僕はこのアルファベット3文字の謎...


この記事の[DITの仕事 - 03,04,05]がビデオアシストの領域になる場合が多いですね。

ハリウッドではユニオン(組合)がビデオアシストとしての役割を明確にしていて、日本のようにDITなど他の業務と兼任できないようになっているそうです。

ビデオアシスト業務は撮影現場で映像信号のHUBの役割をすることが多いため、撮影スタイルやワークフローの変化に伴い、業務も多岐にわたり更新し続けています。

ビデオアシスト作業内容例

  • ビデオビレッジと呼ばれるモニタリングブースを作成し、関係者各所へのモニタリング管理
  • 収録素材のメタデータ管理(シーン、ショット、テイク、レーティングなども含む)
  • 編集、CGなど各部署へのチェック用データの作成
  • 撮影現場での簡易合成やミックス
  • COVID‑19以降では特に増えた業務としてリモートプレビューのセッティングなど

©Gaylen Nebker


画像出典:https://microstudios.ca/virtual-video-village

Qtakeの作業画面

Qtake「ShootRoom」のUI。必要な情報に素早くアクセスできるように、ボタンが配置されるユーザーインターフェースになっている。このユーザーインターフェースはタッチスクリーンにも対応していて、撮影現場での作業効率を向上するためのバージョンアップが常に行われている。
クリップブラウザ画面。数多くのクリップもサムネイルなどから探しやすいように工夫されている。

ビデオアシストという表記は業務内容が増えてきたこともありハリウッドの大作映画などでは、またそこから細かく分かれて表記されていることも増えてきたように感じます(Playbackや単純にQtake Operatorなどの表記になっている場合もあるようです)。

映像作品には、準備、撮影、編集など様々な工程、ワークフローが必要であり、作品が大きくなると関わる人も多くなっていきます。
そんな多くの人を繋ぐための仕事がビデオアシストとも言えるのです。

ビデオアシスト事例

画像出展:https://www.ask-media.jp/solutions/1630-tokushu-eizai-qtake-ovide.html
QTAKE専用ターンキー「OVIDE SMART」シリーズが、プレイバックやメタデータ管理で高いパフォーマンスを発揮

ビデオアシスト現場参考映像
2:00くらいにQtakeの画面が出てきます

下の動画のようにiPadでモニタリングできるようにするのもビデオアシストの業務といえます

Qtake以外のビデオアシスト用アプリケーションなど
ASSIMILATE Live Assist
PSU4

Qtake関連製品
QtakePro ポータルサイト
OVIDE Smartシリーズ
Screenport+

Qtake参考動画
WEB セミナー:QTAKE・OVIDE 製品紹介
MIM x IN2CORE x OVIDE = QTAKE in Japan

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