可愛らしいルックとコマ撮り風のアニメーションで配信以前から話題となっていた『ONI ~ 神々山のおなり』(以下、ONI)。
本作は、今年2月25日(※ロサンゼルス現地時間)に開催された第50回(2022年度)「アニー賞(Annie Awards)」にて、作品賞(リミテッドシリーズ テレビ・メディア部門)と、プロダクションデザイン賞(テレビ・メディア部門)の2部門を受賞するなど、海外でも高く評価されている。
『ONI』は、ピクサーのアートディレクターだった堤 大介氏とロバート・コンドウ氏が2014年に設立したアニメーションスタジオ「トンコハウス」が制作した作品であり、Netflixで全4話(計154分)のシリーズとして世界190の国と地域、31の言語で配信中だ。
『ONI ~ 神々山のおなり』予告編 - Netflix
原案・監督:堤 大介
脚本:岡田麿里
制作:トンコハウス
制作パートナー:Megalis VFX、マーザ・アニメーションプラネット、アニマ
エグゼクティブ・プロデューサー:ロバート・コンドウ、ケーン・リー、堤 大介
プロデュース:サラ・K・サンプソン
堤 大介監督にとって初の長編アニメーションであり、制作パートナーとして、Megalis VFX、マーザ・アニメーションプラネット、アニマの3社が参加した。
本稿では、制作パートナーの中でもアセット制作からショットワークまで、全面的にCG制作(Animation & Imagery)を担当したMegalis VFX(以下、Megalis)のメンバーに本プロジェクトをふり返ってもらった。
『ONI』参加スタッフ|Megalis VFX
▲ 左から、ルックデヴTD/縄田壮祐氏、FXアーティスト/浦上菜々子氏、プロダクションマネージャー/中垣ユウサク氏、VFXスーパーバイザー/クリストフ・ロド氏、アニメーター/井上尚大氏、リードATD/坪井琢磨氏、FXアーティスト/永坂友明氏
Megalis VFXとは
都内に所在するスタジオ内観。現在、80名以上のメンバーが在籍している。日本人と外国籍の従業員はほぼ半々とのこと
ILM(Industrial Light & Magic)をはじめとする海外の大手VFXスタジオでキャリアを重ねてきたダニエル・ペレス・フェレイラ/Daniel Perez Ferreira氏が2017年、日本に設立したVFXスタジオ。設立当初はHoudiniを用いたエフェクトを中心に手がけていたが、デジタルコンテンツ制作の全工程を網羅するスタジオを目指して成長を続けている。グローバルに拠点を拡大することも視野に入れており、2023年にはフランスのトゥーロンにもスタジオを開設した。
https://megalis.com/ja/
パイロット制作を経て、ストップモーションの特色を活かしたフルCGを選択
『ONI』プロジェクトに最初から最後まで携わり、本作ではVFXスーパーバイザーを務めたクリストフ・ロド/Christophe Rodo氏は参加の経緯について次のようにふり返る。
Megalis/VFXスーパーバイザー クリストフ・ロド氏(以下、ロド):
2018年に、トンコハウスのメーガン・バーテル/Megan Bartelさん(『ONI』Coエグゼクティブ・プロデューサー)からパイロット映像の制作について問い合わせをいただいたのがきっかけです。
パイロット作業時は、ドワーフによるストップモーション(コマ撮りアニメーション)と、CGによるエンバイロメントをディープ・コンポジティングを用いたコンポジットワークで組み合わせるというアプローチでした。
当時から堤監督とは密にやりとりを重ねて、ストップモーションなのかフルCGなのか、あるいはハイブリッドなのかといった制作手法や、制作規模について、長い時間をかけてトンコハウスと話し合いました。
——最終的に本編はフルCGで制作することが決まり、アニメーション工程についてはリギングをアニマ、アニメーションをマーザとアニマが担当し、CG制作の全般をMegalisがリードすることになった。
ロド:
こんな大きなプロジェクトだからこそ、自分たちがこれまで使ってきた手法をながれで使うのではなく、“一番正しい手法”で制作しようと考えました。
Vook編集部@Vook_editor
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