ノースショアは、TVCMなどの映像コンテンツをはじめ、Web、デジタル、グラフィック、イベントといった様々な広告プロモーションの制作を手がけるプロダクション。ナショナルクライアントの広告を数多くまかされ、国内外の広告賞をいくつも受賞してきた。
昼夜を忘れてものづくりに没頭したいクリエイターも多い業界だが、法令を順守しなければ存続は難しいだろう。
そうしたなか、ノースショアは「ブラック」な働き方が蔓延する業界の慣習から抜け出すために約5年をかけて働き方改革を進め、売上を伸ばしつつ労務時間を減少させている。
本稿では当事者たちに話を聞き、その軌跡を紹介する。
「クリエイターの楽園」への厳しい道のり
ノースショアは、CMディレクターの石井 龍氏が2008年2月に創立したクリエイティブプロダクション。
「クリエイティブに全力を注げる、クリエイターの楽園をつくる。」というスローガンの下、16年目を迎えた現在の社員数は約80名で、広告の戦略立案から映像、デジタルコンテンツ、グラフィックデザインまでをワンストップで手がけられる体制を構築している。

また、Webサイトやアプリ開発のためにエンジニアが在籍しているという強みを活かし、制作会社としては珍しい自社サービス事業も展開しており、広告映像クリエイター向けの業務効率化ツールなどを提供している。
下記に紹介するものは、自社スタッフの負担を減らすために開発したサービスを一般向けにも提供をはじめたものだ。
広告映像クリエイター向けプラットフォーム「クリショア」
「映像クリエイターにより多くの出逢いを創出」をコンセプトにローンチした広告映像クリエイター向けプラットフォーム。案件に適した映像クリエイターや映像制作関連企業を、オンラインで簡単に検索できるサービスとしてスタートした後、2023年8月1日から新たに映像制作における受発注マッチングサービス「クリショアfor発注者」も提供開始された。
https://creshore.jp/
https://match.creshore.jp/
カット表かんたん作成AI「カットウヒョー」
手間のかかる映像のカット表作成を「ウヒョー」と言うほどカンタンに作成できるクラウドツール。豊富な種類のテンプレートからタイプを選べば、後はキャプチャと入力をするだけで、従来の3分の1程の時間短縮を実現(※ノースショア制作部における実績比)。
https://lp.cut-panther.com/
こうしたサービスやツールが誕生した背景には、業界に長年はびこるブラックな労働環境を変えて、同社のビジョン「クリエイティブに全力を注げる、クリエイターの楽園をつくる。」を実現したいという石井氏の思いがあった。
だが、理想を掲げたものの実際には業界の慣習が根深く、クライアントや同業に合わせた働き方を余儀なくされていた。せっかくクリエイティブが好きで入社した社員が離職することも珍しくなかったという。
そんな状況を変えていこうと、ノースショアでは売上およびコストの管理と勤怠管理の仕組みを見直して、あいまいになりがちだった勤務実態を可視化すると共に、残業に対して適正な報酬を支給できる体制を整えることにした。
ノースショア 代表取締役社長CEO/石井 龍氏(以下、石井(龍)):
会社の規模が大きくなるにつれ、それまでのExcelによる管理では、利益やコストをリアルタイムで正確に把握できなくなっていました。
Vook編集部@Vook_editor
「映像クリエイターを無敵にする。」をビジョンとするVookの公式アカウント。映像制作のナレッジやTips、様々なクリエイターへのインタビューなどを発信しています。
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